とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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 一打のキスに『おーっ♪』と盛り上がっているのを遠目から眺めている者達がいた。
 一人はレッサーの介抱で動けないウィリアム、もう一人は一方通行と同じようにドッキリにはまった初春だった。

「先生ったらひどいですよ! そうゆうことは私には言って欲しかったです! まさかアホ毛ちゃんにだまされるなんて……」
『あの子は騙したとは思っていないはずだよ? 僕はただ、あの子に自分の思う通りに行動すればドッキリは成功するって言っただけだし』

 初春の電話の相手、それはこのドッキリの立案者たるカエル顔の医者だった。
 ちなみに電話をかけたのはカエル顔の医者の方で、今回のことで色々と初春に言いたかったのだ。

『それにしても君の要求通りの電極を作るのは骨が折れたよ? まったく顔に似合わず無茶なことを言う子だね? 彼の為にそこまでする理由は何だい?』
「簡単です♪ 一方通行さんはどう思ってるのか分かりませんが、私はあの人のことは友達と思ってますから。友達の為に何かしたいのは当たり前ですよね?」
『友達というだけであんな無謀をしたのかい? 暗部の技術部にハッキングして遠隔操作機能のデータを拝借、しかも暗部にある方のデータを跡形も無く消去なんて真似、とてもまともじゃない』
「私に出来るのはコレくらいですから。先生は私がお願いした通りのデバイスを作ってくれて本当に感謝してます」

 初春が提供してくれたデータのお陰で一方通行の新型の電極が完成したので、カエル顔の医者はそれ以上は言えなかった。
 しかしカエル顔の医者は人生の先輩として初春に忠告をする。

『アレイスターという男には気を付けるんだよ? といっても君なら調べはもうついてるかな?』
「学園都市総括理事長ですよね? ステイルさんや土御門さんからお話は色々と伺ってます。彼の『プラン』を妨げる者には容赦が無いことも」
『そうかい。なら僕から言うことはもう何も無いよ? 君自身はとても無力なのだから気をつけることだ』
「ありがとうございます、先生。でも、それでも私は自分の大好きな人達の為なら誰だろうと戦います、自分なりのやり方で。それに」

 カエル顔の医者は電話を切った後で、初春が最後に言った事を思い出す。

「『私には共に戦い、守ってくれる大切な家族や友達が付いてますから』か。心から信頼してなきゃ言えない言葉だ。いやはや、最近の若い子は怖くなったもんだよ?」

 初春だけでなく、当麻達のことを思い返して、カエル顔の医者は何故か未来は明るいなと考えていた。
 そこでふと、言い忘れていたことを思い出し、初春にメールで伝えることに。

【さっき海原・エツァリ・光貴くんが重傷で運ばれたよ? いつもの二人が付き添いで。心当たりはあるかい?】

 こんなシンプルなメールを初春に送ると、カエル顔の医者はエツァリの容態を診るために席を立つのだった。


そんなメールを見てから初春はまだキスをしている(ただ口を押し当てるだけの)二人にカメラを向け、

カシャッ!!

いきなりの音に驚く二人、

「……お前は随分と変な趣味してンダナァ」
「そんな変な趣味じゃないと思いますけどね?」

ちょっとドッキリにはまった仕返しに撮ってやった。

「自覚持て花女」
「何かお化けみたいな言い方ですね……ううっ」

初春は勿論うそ泣き、だがそんなうそ泣きでもマジになる魔術師が三人

「「「かz
「いちいちウッセェンだよ格下共がァ!!」

もういつものやり取りに嫌気が差している一方通行はもうさっさと次に進む。

「物理的にだろうが社会的にだろうが殺ってみろ格下供が……カナミンをネットに流出させんのもいいゼェ?どォでもいいからよォ」
「では物理的に……」
「苦しめて……」
「殺るのよね!!」

だがそんな愚かな事はできなかった。
さっきからだしている黒い力を出しているからだ。

「俺にはコイツがいりゃイインダヨ、コイツは俺がイイらしいゼェ?
俺が死んだらどォすりゃいいか分かんなくなるっていうからヨォ……徹底的にヤルゾ?死なない程度になァ!!」


「四人ともやめてくださーい!!」

うそ泣きをしていた初春が本気で戦ったら教会が絶対にぶっ壊れるので、うそ泣きをやめた。
神裂、シェリー、建宮はすぐ戦う体制をやめたが、一方通行はやめなかった。

「じゃあ、さっきの写真のデータを削除しろォ!!」
「わかりましたから、その黒い翼と黒い右腕を解除してください!!」

というと初春はデジカメで撮った一打の写真を削除した。

「今、削除しました。」
「とりあえず削除したか確認させろ!」
「は、はい!!」

初春は一方通行の言うことを聞き、デジカメを一方通行に渡した。
そして一方通行は削除されたか確認した後、デジカメを初春に返した。

「今度こんなことしたら、わかっているよなァ?」
「は、はい…」

初春は一方通行にそういわれたのでとりあえず反省した。
しかし初春は反省してなく、ただこの教会が壊されることを回避したかったからだ。
また、最近の初春の性格を知っている人達はこう思っていた。
『あの飾利(初春)がアクセラに負けた!!』っと。


「アクセラのヴァカたれがーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
「ごべらっ!!!!!!!!!!」

 『幻想殺し』を持つ当麻が久々に主人公らしい(?)活躍を見せたことで周囲が大いに沸くと同時に、一方通行の黒いシリーズは霧散してしまう。
 殴られる理由(少なくとも当麻には)が分からない一方通行はキョトンとしながらも、当麻の熱い言葉を聞くことに。

「打ち止めさえ居ればとかそんな寂しいこと言うなよ! お前には俺もいるんだぞ! だって俺達、戦って分かり合った親友じゃないか!」
「か、上条ォォォォォォォォォォォォッ!! 間違ってた、俺、間違ってたぜ! 俺は打ち止めだけじゃねェ、お前という親友もいるじゃねェかァ!」
「俺だけじゃねぇ! 土御門も青ピも、ここに居る皆がお前の友達なんだ! お前は一人じゃない! こんなに多くの友達がお前は付いてるんだ!」
「アァ! 俺はもう一人ぼっちじゃねェ! ありがとよてめェら! そンでこれからもよろしくなァ!」

 この暑苦しい雰囲気に流された当麻、一方通行、土御門、浜面、建宮、絹旗、五和が友情のスクラムをガッチリと組むことに。
 それ以外の殆どの者は笑いこそしなかったものの、ちょっと冷静な視線を送ることに。
 中には友情のスクラムに参加しなかったものの、それを微笑ましく見ている者がいた、美琴と初春である。

「なんかいーなー、あーゆーの。飾利もそう思わない?」
「そうですね♪ 一方通行さんが私達も友達だって言ってくれたことが嬉しかったです。あちらも友達と思ってくれたのっていいですよね」
「あちらもって……飾利。もしかしてあんた、あいつと友達として接してたの?」
「そうですよ?」

 美琴は今までの初春と一方通行とのやり取りを思い出し、ちょっと疑ってしまう。
 しかしそこへ初春からの納得の言葉が美琴に投げかけられる。

「考えてもみて下さい、美琴お姉さん。友達って思ってなかったら今まで撮った一方通行さんのメモリアル、脚色して学園都市中にばらまいてますよ♪」
「あ……。そ、それもそうね。ちなみにさ、アクセラ以外にも私達の映像も撮ってるわよね? それをどうするつもりなの?」
「世間に公表なんてことは絶対にしません♪ だって皆さんの大切なメモリアルですし。最終的にどうするのかは決めかねてます。いつかはその映像を皆さんにプレゼントしようかなって……」
「そっか。あんたがそうゆう子で良かったわ、うん。さすがは私と当麻が誇る義妹の一人なだけあるわ♪」

 悪意も無く、ただカップルの幸せの記録を撮り続けてる初春、彼女が求めるのはあくまで自分の大切な人達の幸せな笑顔なのだ。
 それに気付いた美琴は義妹の一人でもある隣に居る少女の頭を優しく撫でてやることに。
 義姉の美琴の手の感触を嬉しく思いつつも、初春はカエル顔の医者のメールを思い出し、結標の用事が済んだことを確信してメールで彼女を呼ぶのだった。



 その僅か一分後、結標が教会に到着したことでようやく集まるべき人間が一同に会することに(ショチトルはエツァリの付き添いで欠席)。
 ちょうどその時、ようやくレッサーが目を覚ましたがそこでまた一悶着起きてしまうことに。

「……う、ん。あれ? わ、私、どうしてたんだっけ? 確かヴィリアン様にお声をかけていただいて、そして……」
「ようやく気絶から回復したようだな。我もこれで安心したのでうおっ! な、何をするのであるか!」
「どうしてここにローマ正教の人間がここに! まさかヴィリアン様を狙って? 許せません!」

 レッサーが早合点してしまい、ウィリアムが『後方のアックア』としてヴィリアンを襲いに来たのだと勘違いしてしまう。
 念の為に言っておくが、ウィリアムとヴィリアンの付き合いがオープンなように見えるがこれは知り合いだけが知ってることだったりする。
 なのでレッサーのように二人と知り合っていない者達にとってはカップルになっていようとは夢にも思わないのだ。

「ぬぅ、どうすればいいのだ? ヴィリアン」
「任せて下さいウィリアム。ここは私が彼女と話をして解決してみせますから」

 『人徳』に優れているヴィリアンとレッサー、これが二人にとっての初めてのコミュニケーションとなることに。


「ウィリアムを恐れなくて平気ですよ。」
「ヴィリアン様どうしてですか!?この人はローマ正教の人間ですよ。なんで平気だと言えるのですか?」

そりゃそうだ。レッサーはウィリアムとヴィリアンの関係を知らないのだから。

「あなたは知らないと思うけど、私とウィリアムは恋人同士なんだよ。」



……………………………………………………………………………………………………………………はい?



レッサーはヴィリアンが言った意味が分からなかった。

「えっと…今なんて言いましたか?」

だからレッサーはヴィリアンに聞きなおした。

「だから、私とウィリアムは恋人同士だから。」
「はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

レッサーは相当驚いていた。(当たり前だ)

「ど、どういうことですか!?」
「そのままの意味だけど。だから、ウィリアムは私の付き添いというわけ。」
「じゃあ、あの人は襲いにきた訳じゃなくて、ヴィリアン様の付き添いなんですか?」
「そのとおりよ。だから警戒しなくていいから。」
「分かりました。」

レッサーはヴィリアンの言葉を聞いて納得した。

「ところで、あなた名前は?」
「レッサーです。『新たなる光』のメンバーの一人です。」
「そうなの。で、私たちを呼んだ理由は?」
「あ、そうでした。とりあえず私はみんなを呼び集めますので。」

というとレッサーはみんなが注目するところに向かった。


「みなさーん、お待たせしましたー。今から……って何ですかアレ!」

 レッサーが驚くのも無理ないことで、未だに当麻を中心にした友情のスクラムが組まれていたのだ。

「あ、レッサー気付いたんだ。ゴメンねうちの当麻が熱くなっちゃってさ」
(さりげなく『うちの当麻』と言うなんてやりますね、御坂さん)
「でもこのままってわけにもいかないわよね。ちょろっと待っててくれる? すぐに終らせるように頼むから」

 美琴のさりげない牽制(本人は無自覚)にレッサーは恋のライバル(一方的な)として警戒を強める。
 そんなレッサーの心情など知らない美琴は当麻達の暑苦しいスクラムを終了させる為に、月夜の所へと向かう。
 月夜は美琴に頼まれるままに、スクラムを組んでる連中を容赦なく氷漬けにした。

「さっきはアクセラ君のせいで上手くいかなかったけど、今度は上手くいったよ♪ でも良かったの美琴ちゃん? 上条君も一緒にまとめちゃって」
「たまにはいいんですよ、たまには♪」
「し、白雪さんのクールなイメージが……。むしろすっごく危険じゃないですかっ!」

 当麻達を凍らせて平然としてる月夜を見たレッサーは、月夜に抱いていたイメージが崩れ落ちるのを感じていた。
 そこへさっきからずっと横にいた初春がレッサーに声をかける。

「すみません、色々と遅くなってしまって。今からレッサーさんの探してる人たちを集めてきますから」
「は、はぁ(何ですか、頭にガーデニングしてる変な子は? こんな子も魔術の事情を知ってるんですか? むむ、でも私の探してる本命では絶対に無いですね)」

 初春を第一印象で失礼極まりないことを思ったレッサー、それが初春の思い通りとも知らずに。
 それから初春は迅速に月夜に氷の解除を依頼、科学側の人間を招集する。
 その際、上琴と絹旗は昨日のうちに話は終わっているのでその輪から外れることに。

「じゃあ私、一方通行さん、白雪さん、浜面さん、滝壺さん、木山先生、姫神さん、結標さん、アホ毛ちゃんで全員ですね。……って一方通行さん、ちょっと」

 初春はその場に居た打ち止めを見て、一方通行を呼びつけて小声で話し合う。

「アホ毛ちゃんが自然に居るんですけどいいんですか? 一方通行さんのことだから魔術のことは話していないとは思いますけど」
「あァ、そういやあそうだな。打ち止めはココにいちゃマズイじゃねェか。おい打ち止め。てめェは上条と御坂の所へ行ってろ、いいな?」
「分かったってミサカはミサカはパパとママの所へ行ってみる!」

 その時、打ち止めが大声で『パーパー♪ マーマー♪』と言ったことでレッサーが盛大に噴きだしたが誰も気に留めるものは居なかった。
 気を取り直したレッサーは集まった面々を注意深く観察することにした。

(白雪さんに白い人、頭でガーデニングしてる子、浜面さんと滝壺さん、残念美人だけど知的に見える女性、巫女さん、サラシな人。……なんか随分と濃いですね)
(でもこの中に少なくともオルソラの乱で暗躍していた人がいるはずです。私の推測では知的な女性が本命ですが、判断には早いですね。ま、あの子だけは有り得ませんけど)

 レッサーは木山を自分が探している本命の人物だと当たりを付け、初春を再び度外視することに。
 ちょっとした観察を終えたレッサーはいよいよ科学側で魔術の事情を知った人物達への聴取を始めるのだった。

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