とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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「では皆さん、早速聞きますがあなた達は魔術のどこまで知ってますか?ハイそこの巫女さん!!」

いきなりビシィ!!と指を指される姫神は。

「最初から私。これは用が終わったら。退場」
「ならt」

なんかこの子放っておこうおこうと思ったレッサーはチェンジしようと考えたが。

「すいません。出番をください」
「そんなのどうでもいいですから、さっさとあなたの知ってる魔術のことを教えてください」
「魔術は。知らない」

そんじゃ何しにきたんだこの子はとまたほうって置こうとしたら。

「ごめんなさい。ちゃんと。ちゃんと言います」
「はぁ、さっさと教えてください」

この言葉を聞いた瞬間、姫神はレッサーにそっと耳打ちした。

「アウレオルス=イザードが完成させた。『黄金練成(アルス=マグナ)』の発動の仕方について」


 姫神から黄金錬成(アルス=マグナ)の説明を受け、アウレオウス=イザードと行動を共にしていた事実を聞かされたレッサーは驚きを隠せない。

「じゃ、じゃあ、あなたはあのアウレオウスと知り合いだったというんですか?」
「知り合いというか。協力関係。でも。その関係も御破算になって。殺されかけた」
「殺されかけたってことは誰かに助けられたんですか? そもそもあのアウレオウスと戦って勝った人がいるのも信じられません。でも確か行方不明で……」

 錬金術師として名を馳せたアウレオウスと戦って生き残った人物が居ることが信じられないレッサーは混乱状態に。
 そんなレッサーの疑問を解消させたのは姫神ではなく、当事者の一人でもあるステイルだった。

「彼女の言うことは全て事実さ。彼を倒したのはほとんど上条当麻で行方不明なのも本当だ。その戦いで記憶を失った彼を僕が顔を変えて野に放ったからね」
「私の。見せ場。ごっそり奪われた」
「あなたがそう言うのなら信じるより他にありませんね、ステイル=マグヌス。しかしアウレオウスを倒すなんて素敵です、上条さん!」
*1

 レッサーは同じ魔術師のステイルの言を受けて、ようやく信用することに(姫神の呟きは二人揃って無視)。
 ステイルが当麻の『竜王の顎(ドラゴンストライク)』について話さなかったのは必要性を感じなかったことと、この能力はあまり公にしたくないという彼なりの配慮だ。
 当麻に対して好意を隠そうとしないレッサーをステイルと姫神は当麻のフラグ体質、レッサーの態度に呆れるばかりだった。

「最後に質問です、巫女さん。あなたはオルソラの乱の時、何をしてましたか?」
「そんな乱は。私は知らない。それと私の名前は姫神秋沙。巫女さんは。やめて欲しい」
「そうですか。ご協力感謝します、姫神さん」

 姫神を自分の捜し求めてる本命の人物ではないと判断したレッサーは、すぐさま次の人物への聴取を開始する。
 しかし一人づつというのは面倒なので次は二人同時に聴取しようと考え、直感で指を差した。

「じゃあ次はそこのあなた達です!」
「あァン? 人に向かって指差すたァ礼儀がなってねェガキだなァ、オイ」
「落ち着きなさいよ一方通行。そんな怖い顔で睨んだらその子、トラウマになっちゃうわよ」
(い、いきなり怖そうな人たちに当たっちゃったーーーーーーーーーーーーーーっ!!)

 レッサーが指差した相手は不幸なことに一方通行、そして結標だった。
 二人が一緒に居た理由、それはエツァリの件についてだったりする。
 一方通行に睨まれて固まってしまったレッサー、そんな彼女を助けたのはあの男だった。


「そう睨むのではないのである。初対面の人間にその態度は失礼なのである」

聖人の中の聖人、後方のアックアことウィリアム=オルウェルである。

(だー!!助かったー!!ありがとうございます聖人様ぁぁぁああああああああああああああああ!!)

「ンなこと言ってもよォ俺は元からこういう目つきだァ……ン?テメェどっかで会った事ネェかァ?」
「そんな事………ってあの時の堕天使ぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

何故忘れていたのだろうか?ロシアで上条と共に打倒フィアンマの時いきなり襲ってきた黒い翼を持つ堕天使である。

「堕天使だァ?俺の生き方はンナモンだがいきなりそりゃネェだろォ?」

どうやら一方通行は覚えてないらしい。だがレッサーは更に脅えるばかりだ。

「何か因縁でもあるわけ?」
「ンなババァ覚えちゃいネェよ」
「ば、ばばぁですとぉ!?まだピッチピチ、ピッチピチですよぉ!?」
「ウルセェ、お前みたいなヤツはババァだ」
「それがロ………ごめんなさいそんな殺気を私にむけないで、本当に死んじゃうわ」
「で、では!!話を戻してあなた達がどんな風に魔術の存在を知ったんですか?」

とりあえず空気を和ませようと話を戻すレッサー。

「同僚が魔術だの何だのふざけた事言ってんだよォ」
「私もだけど?」
「学園都市の仕事に何故魔術師?………ああ、そういう仕事ですか」

レッサーは何か納得していたが、どういう事を考えていたのかはここにいる誰にもわからない。


「じゃあ最後にお二人に質問です。オルソラの乱はご存知ですか?」
「ご存知も何もそのふざけた乱を起こした連中とやり合ったぞ。ついでにその首謀者には……クソッ、ロクな思い出がねェ」
「私もこいつと同じく。土御門に呼び出されてそのまま戦闘よ。全く人使いが荒いんだから」
「そうですか。ご協力感謝します」

 一方通行と結標が二人揃って前線で戦っていたことを察したレッサーは、二人が影で動いているという線は無いと踏んだ。
 次にレッサーが指名したのは浜滝だが、ちょっとした問題が起きることに。

「では次は浜面さんと滝壺さんです。お二人はどうやって魔術を知ったんですか?」
「いや、レッサーちゃん、そのことなんだけどさ……」
「はい? どうかしましたか?」
「「魔術って……何?」」

 そう、浜滝はウィリアムに助けられこそすれ、魔術の存在とかは全く知らなかったのだ。
 浜滝は思い出す、絹旗がウィリアムの能力、つまり魔術について説明するからここに呼ばれたことを。
 しかしその時、レッサーはその話を聞いていなかったのでどうしたものかと本気で悩み始める。

「え~、この場合、魔術についての説明をした方がいいんでしょうか?」
「それならば我に任せよ。この二人とは縁が深い、ゆえに我が説明をするのが当然なのである」

 ウィリアムの今までの行動に、最初に会った頃の警戒心は殆ど抜けつつあるレッサー。
 ならばとウィリアムに浜滝への魔術説明を頼むレッサーだが、そこに待ったがかかる。

「ちょーっと待つぜよレッサー。あの二人にウィリアムの説明は堅っ苦しくて上手く伝わらないにゃー。ここは俺がカミやんでも分かる魔術講座を開いてやるぜい」
「な、なぁ美琴。今、さりげなく土御門にバカにされた気がするんだけど?」
「気のせいじゃない? それに私は当麻がバカでも当麻のこと、ずーっと愛してるから♪」

 上琴クラスのバカップルになると、どんなことでもいちゃつく切っ掛けにしかならないようだ。
 そんなバカップルを無視して、ウィリアムは突然割って入ってきた土御門に抗議する。

「待つのである。あの二人を魔術で助けた我が説明をするのが筋というもの。ここは我に任せて欲しいのである」
「滝壺だけならあんたに任せるにゃー。けどな、浜面はカミやんレベルのオツムぜよ。あんたの小難しい説明じゃ知恵熱出して倒れちまうぜい」
「上条当麻クラスの賢さか……成程な。ではお主に彼らへの説明は任せるのである」
「感謝するぜい♪ つーわけでレッサー、悪いけど2分時間をくれるかにゃー? 2分であの二人に魔術の説明、するからさ」

 ウィリアムに代わって浜滝に魔術の説明を請け負った土御門、二分だけ時間をくれるようにレッサーに頼むと快く了承してくれた。
 こうして土御門先生による『カミやんでも分かる魔術講座:二分版』が浜滝に行われることに。


「魔術と言うのはまさに超能力と反対に位置する不思議な現象(チカラ)ぜよ。
例えば昔の文字を刻んで炎の化身を呼び出したり、術式を作って家をぶっ飛ばしたり、黒曜石のナイフで人間の皮を剥ぎ、その皮被って変装したり、更には氷でできたドデカイ船なんてあるにゃー。
更に更に、魔道書何てしろものがあれば一冊でもあれはそんな常識を軽く越えて、神に匹敵する最強のチカラを手に入れることができる。
まあ天使の魔術だったらいつでも地球を破壊できるんだけでにゃー。」

「天使なんているのか?」
浜面が恐る恐るてを挙げながら聞いてみるが、土御門はあっさり、

「普通にいるぜい、俺とかみやんとねーちん何か実物を拝めた事があるにゃー」

その言葉に初春、魔術側の人間も驚いていた。

「て、てててててっ天使って本当に居るんですか!?」
「ええ、しかしあれはあまりおすすめ出来ませんね……」

そこで今回の解説人の土御門元春がにょきっと神裂と初春の間に出てきてた。

「そう、ねーちんの言う通り天使何かいいものじゃないにゃー。あれは科学で言えば神に従うロボット、感情もヘッタクレもないにゃー。
まあそのぶん人間を容赦なく殺れるんだろうけどにゃー」

「じゃあつちみかど、人間にその魔術はつかえるの?」

土御門はピカーン!!とサングラスを光らせ、滝壺に近寄る。

「流石滝壺ちゃん、いい質問だにゃー。でも答えは“分からない”かにゃー?」

そう言う今度はインデックスに近づき、頭をポンポンと叩く。

「こいつの頭の中には十万三千冊の魔道書がつまってるにゃー。そいつの中に天使の術式を書かれたと言われているものもいくつかある。
普通の魔術師じゃなくて、この十万三千冊の魔道書があれは可能かも知れない……俺達魔術師はそいつの事を魔神何て呼んでるけどにゃー。」
「と言うことは、普通の人間に魔術何て扱えないのか……」

そんなことを呟いた浜面に土御門はビシッとカッコよく指をさした。(白雪談)

「それは違う!!魔術は才能のない人間が使うとっておきだ!!逆に言えば超能力者は魔術何て使えないにゃー。
何故使えないかって?それは魔術と超能力の“回路”が違う。
もし強引に超能力者が魔術を使おうとしたら血管マジでち切れるにゃー。」
「じゃあ能力開発を受けても、何の能力も使えない無能力者はどうなんだ?」
「浜面……お前がチカラをつけたい気持ちは分かるけどそれも同じだにゃー。」
「そうか……」
「はまづら、はまづらが何のチカラも無くても、私ははまづらを愛してる……」
「滝壺……ありがとよ!!」

浜面はいかなりガバッと滝壺に抱きついた。ここにもバカップルがいた。

「まっ、基本的にこんなモンぜよ」


「ちなみにウィリアムさんは聖人と呼ばれる、世界に20人程度しかいない特別な人なんです。火織お姉ちゃんもそうなんですよ♪」
「世界中で20人だけしかいねーのかよ! というか聖人ってどんな人達なんだ?」
「えっと、神の子に似た身体的特徴や魔術的記号を持った人達のことです。浜面さんの理論で言うなら色々と人間を超えた人達ですね。ウィリアムさんはさらに例外ですけど」
「ういはる、うぃりあむが例外ってどうゆうこと?」

 土御門に代わってウィリアムについての説明を始めた初春に、魔術側の人間はちょっと感心していた。

「ウィリアムさんは神の子と親子関係の聖母の身体的特徴も持ってるんです。神の子と聖母、両方の力を兼ね備えた二重聖人なんですよ」
「つまりだ、ウィリアムのおっさんは超レアってことでいいんだな?」
「浜面さんの考えで言うならそうですね。これでいいですよね? 土御門さん、火織お姉ちゃん」
「上出来ぜよ。むしろ聖人の説明は出来て、天使の存在に驚いてたことにビックリしたにゃー。ねーちん、教育が偏りすぎてないか?」
「飾利は天草式魔術と私のような聖人についての説明から入りましたからあれでいいんです。それにしても一生懸命魔術の説明をする飾利、立派でした!」

 神裂は科学側の人間で義妹の初春が魔術側の説明をしていたことに感動し、迷わず彼女をハグする。
 どうやらこの聖人サマ、自分がシスコンだということを隠す気はさらさら無いようである。
 ちなみに神裂のハグに反応したシェリーと建宮が動こうとしたが、先の一方通行の件もあって焼きもち全開で見守ることに。

「少し時間が取られちまったけどこれで二人への説明は終わりぜよ、レッサー」
「あ、ありがとうございます! ではお二人が魔術の存在を正しく知ったのは今日ということで。念の為に聞きます、オルソラの乱は知ってますか?」
「わたしはみさかと一緒におるそら達の人質になった。でもはまづらがカッコよくわたしを助けてくれたよ」
「当然、俺達は魔術の存在を知らなかったぞ! いやー、人生ってのは生きてるだけで何とかなるもんだな!」

 浜滝を見ててレッサーは思った、この二人は見た目と違いかなりの大物なのではと。
 これで残るのは月夜、初春、木山なのだがレッサーは一番早く片付けられそうな初春に視線を移す。

「じゃあ次は私ですね。私は」
「あなたにはそんなに聞く気はありません。大方、神裂火織の血の繋がらない妹で魔術のことも彼女に説明を受けた、こんな所でしょう」
「えっ? あ、あの……」
「マスコットっぽいあなたがオルソラの乱なんて物騒な件に関わってるわけありませんからこれで質問は以上です、ありがとうございました」

 最初から初春が本命ではないと思っているレッサー、自分独自の見解で手早く初春の聴取を終了させる。

「まさかここまで君を軽視してるなんてね……。君としては思う壺なんだろうけどちょっとは不満じゃないのかい? 初春」
「いや、まあ、軽く見られるのは分かりきってましたけど、まさかあそこまでとは……」
「知らない人間から見たら初春ちゃんが何をやってるのかなんて分かるはずもないぜよ。それゆえのアドバンテージと思ってればいいんだにゃー」

 レッサーの態度にステイル、初春、土御門は若干呆れていた。
 そんな場合でも神裂は初春を姉として可愛がることを忘れず、土御門に対してあのワードをぶつける。

「飾利の良さを分からないとは嘆かわしい魔術師ですね。それにしても土御門、私はあなたを馬鹿にしていた自分が恥ずかしいです。シスコンとはいいものですね♪」
「ちょ! ねーちん! その単語を俺に当てはめるような言い方は止めるぜグオッ!」

 土御門が言い終わる寸前に、彼の頭に氷の短剣が思いっきり突き刺さる、犯人は当然ながら月夜である。
 顔を血で真っ赤に染めながら、倒れた土御門に周囲がざわつく中、レッサーはそれを行った当事者の月夜と相対することに。

「あ、あの、し、白雪さん……。い、いいんですか?」
「イイも悪いも無いよ。それよりレッサーちゃん、私にも聞くんでしょ? じゃあ早くしようよ♪」
「は、はい……(こ、怖い! さっきの白い人やサラシの人よりも白雪さんの方が怖いです!)」

 レッサーは目の前の月夜に恐怖しつつも、自分の目的を果たす為に彼女にも魔術と関わった切っ掛けを尋ねるのだった。


「……魔術を知ったきっかけは何ですか?」
「元春を愛してるから……でいい?」
「いや、それ理由になってませんよ!?」
「いやー、だって本当にそんな感じで元春に教えてもらったからなー……」

白雪はうそは言っていないのだが、なぜか説得力がない。
それもそのはず、その愛する彼氏を容赦なく短剣突き刺すってどうゆうことだ。

「いやー、それはね?新感覚短剣つっこみアクションってやつだよ。元春すぐに起き上がるし」
「その通りぜよ」

土御門がいきなり起き上がり、そして顔にまいてる包帯をバサッと取り。サングラスをかける土御門。

「土御門元春様、復活ぜよ!!」
「きゃー!!元春カッコいい!!」

いや、この状況ではあまりかっこよくないぞ。


「え~と………ではオルソラの乱では何をしていましたか?」

目の前にいるヤンデレか何デレか分からない白雪に恐る恐るレッサーに聞いてみる。

「確か……すみっこで静かにゆっくり暴れてたよ?」
「それ支離滅裂ですから!!じゃあ次はそこの白衣の人お願いします。」

順番では木山なのだが、また何かの研究をしているらしく、徹夜の為か眠そうに答えた。

「私か?私は魔術なんてものに深入りした覚えはないが、きっかけは偶然だ。」
「偶然ですか……ではオルソラの乱では何か知っていますか?」
「残念ながら何も知らないな」

そう木山が答えるとレッサーは何故か楽しそうに口笛をふいた。

(まあ確かにただの科学者で情報操作何て出来ないとはどこかで思ってましたが……これは面白いことになりました。)



その頃、打ち止めの子守りを任された上琴はと言うと。

「ねーねーもうミサカ飽きちゃったからどこか遊びに行こうよーってミサカはミサカはパパとママにおねだりしてみる」
「それもそうだな。レッサー、もういいよな? そっちの事情聴取は終ったんだろ? だったら俺達の引越し、手伝えよ」
「ええ。ただし、土御門さんに聞くべきことを聞いてからです!」
「俺? どうしてまた俺をご指名なんだにゃー?」

 土御門を指名したレッサー、その表情には自信が満ち溢れていた。
 しかしここからはまさに驚きの事実がレッサーの続々と襲い掛かることに。

「オルソラの乱で情報操作を行っていた人物、私はそれを科学側の人間と決め付けていました。しかし! それは大きな間違いでした!」
「つまりレッサー、お前さんは学園都市に潜入している魔術師の俺なら可能だって思ったのか?」
「その通りです! しかしまさか魔術師が、しかも有名所がたくさん居るとは予想外でしたけど」

 レッサーの自信満々の推理(?)を聞いていた他の面々はただただ呆気に取られた、というより呆れていた。
 そこへレッサーが本当に捜し求めた人物から声が掛かる。

「土御門さんにはそんなことは出来ませんよ。だって本人も前線で戦ってましたから♪」
「……へっ?」
「それにしてもレッサーさん達『新たなる光』の情報収集能力もまだまだです。ネセサリウスの魔術師が学園都市に土御門さんだけしか居ない情報を信じ込んでるようでは」

 自分がこの子だけは絶対に無いと決め付けていた初春の登場にレッサーは呆然とするより他に無かった。

「信じられないようならちょっとした証拠を提示しますね。空港での5000人の魔術師強襲は日本とイギリスの合同演習、廃病院倒壊は大晦日の建設会社のイベントに」
「え? え?」
「さらにオルソラの乱に参加した魔術師とシスターの数は5251名。別目的の名目で来日したシェリーさん、潜り込んでいたインデックスさんとステイルさんは除いた数です」
「か、数まで正確に……ということはま、まさか、あ、あなたが……」

 突きつけられた情報にようやくレッサーが現実を受け入れると、初春は照れくさそうに頭をかきながら宣言した。

「恥ずかしながら私です。オルソラの乱の時だけじゃなく、魔術師の皆さんが動きやすいように情報操作などのサポートもさせてもらってます♪」
「そ、そんな……。こ、こんな、あ、頭でガーデニングしてるようなアホっぽい子が……」

 レッサーがショックで打ちひしがれている所に初春がそっと囁く。
 ちなみにレッサーの悪意の無い暴言に神裂、シェリー、建宮が襲い掛かろうとしたがウィリアムと一方通行と当麻で見事阻止することに。

「それと私、王室派に引き抜かれる気はありませんから。私が目指すのはあくまで魔術と科学の共生、それだけですから」
「うっ……。こちらの目的もズバッと言い当てるなんて、どうやら認めるより他に無いようですね……」

 レッサーの依頼主は王室派の人間(エリザードは関与していない)で、魔術側の為の情報操作を行った科学側の人間なら味方に引き入れたいと思ったのだ。
 しかし敵になるようなら抹殺、そんなことを言われていたレッサーだが目の前の少女にそんな意思は全く感じなかったので抹殺は行わないことに。

「ちなみに土御門さんしかネセサリウスの魔術師が学園都市に居ないように情報操作したのは、当麻お兄ちゃんを狙う魔術師を誘い込む為です。当麻お兄ちゃんには秘密ですよ?」
「……あなた、本当に見かけによらずえげつないこと考えますね。あ、でも確か私達の掴んだ情報に協力者にあなたを示唆するようなデータが……」

 当麻の命を狙う魔術師達の撃退はネセサリウス学園都市支部(天草式学園都市支部も含む)の魔術師が行っているが当麻はそのことを知らない。
 レッサーは、というか『新たなる光』のメンバーは簡単に掴めた情報の中に初春らしき人物がいることを思い出したが全員が全員、ガセだと思っていたのだ。
 そこで更に初春から衝撃の事実がもたらされることに。

「それは私を囮に魔術と科学の共生を望まない魔術師や能力者を誘き出す為です♪ 私もそれなりに命を張ってるということですよ。実際、死に掛けてますし」
「は、はは……。ひ、人を見た目で判断してはいけないということですか……。なんかもう言葉にならないです……」

 初春を前にしたレッサーは、この先ずーっと目の前の少女には勝てそうに無い、漠然とそんなことを思っていた。
 内緒話が終ったと思った初春は顔を上げて、ヴィリアンを手招きで呼び寄せる。


「あ、あの初春。じ、実は私もあなたに大切なお話があるのですが、まだ、こ、心の準備が……」
「は、はぁ……。じゃあそれは後でちゃんと聞かせてもらいますね。それよりもレッサーさん、一つお願いがあります」
「いいですよ、別に。それにヴィリアン様の御前ですし」
「じゃあ早速。レッサーさん、というか『新たなる光』の皆さんにヴィリアンさんの直属になってもらいたいんですけどどうでしょうか」

 初春の提案にヴィリアン、レッサー、魔術師達はかなり驚かされることに。
 そんな中、異を唱えたのはヴィリアンの恋人にして彼女のガーディアンとも呼べるウィリアムだった。

「そのようなことは不要なのである。ヴィリアンには我が付いている」
「お気持ちは分かりますけど、ウィリアムさんは『神の右席』です。『神の右席』としての用事でローマ正教に赴くのに英国王女のヴィリアンさんを連れて行くんですか?」
「ぬぅ……。た、確かにそのようなことは避けたいのである。しかしだな……」

 悩めるウィリアムを初春は真っ直ぐな瞳で彼を見つめながら、嘘偽りない言葉で宣言する。

「大丈夫です! 『新たなる光』は英国の為に動いている結社予備軍です。第三王女のヴィリアンさんの力に必ずなってくれます! ですよね? レッサーさん」
「と、当然です! 私達『新たなる光』、必ずやヴィリアン様のお力になることを今ここに宣言します!」
「えっとレッサー、それはつまり、私の為に働いてくれるということですか? も、もちろん私としても嬉しい申し出なのですが……」
「悩む必要は無いのである、ヴィリアン。彼女達の厚意を嬉しく思うのなら素直に受け入れるのだ」

 迷うヴィリアンの後押しをしたのは初春の言葉、レッサーの真摯な眼差しに偽りが無いと判断したウィリアムだった。
 ウィリアムの後押しで迷いを吹っ切ったヴィリアンはレッサーと誓いの言葉を交わす。

「レッサー、それに『新たなる光』。これから先、私の力となって下さい。あなた方の上に立つに相応しい者になれるように私も努力しますから」
「ありがたき幸せです。私達『新たなる光』、主たるヴィリアン様の力となることをここに誓います」

 ヴィリアン、学園都市にて『新たなる光』という自分にとっての唯一無二の力を手にすることに。

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注釈

*1 またかあの野郎