とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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「これは………………………………………………どういうことか説明してもらいましょうか……?」
「どうした美琴?……………………………………………………よし、殺しはしない十分の九殺しだ」

この二人は上琴のケンカを売った。そして二人は絹旗とレッサーのケンカを買った。




目の前のリビングは傷だらけだった。




「……土御門アクセラ浜面青ピィ!!」

上条は玄関にいる土御門たちを怒っているように(絹旗とレッサーには怒っているが)呼ぶ。

「な、なんぜよ?俺はカミヤンを怒らせた事は……これはいったいなんぜよ?」
「今から『最愛&レッサー捕獲作戦』を実行する。土御門は知り合いの中に探すのが得意のヤツに探すように頼んでくれ。
アクセラは早速能力のオンパレードで探してくれ。浜面は昔のガラの悪い連中に頼んでくれ。青ピはクラスメイトに連絡。」

新居の上条は最強敵無しと知っている彼らは、

「に、にゃー。わかったぜい。いくぜ!!野郎共!!」
「「「ら、ラジャー!!」」」

そういうと男達は(上条含める)外に飛び出していった。
一方女たちはと言うと。

「あっ飾利?ちょっと頼みごとよ。うん、最愛とレッサーを探してほしいの。
いろいろとハッキングとかお願い。え?何でかって?二人ともちょっとおいたが過ぎたから罰ゲームよん♪
うん、ありがとうじゃあね~。あっ白雪さんと打ち止めも捜索お願い、滝壺さんはわかれば教えてね」
「「わかった」」

白雪と滝壺は聞いてくれたが、

「ミサカ疲れた~てミサカはミサカはソファーに崩れ落ちてみる……」
「見事つれてきたらごほうびに部屋ひとつあげるわよ?」
「ミサカふっかーつ!!てミサカはミサカは勢いよく外に飛び出してみる!!」

上条勢力、本気を出せばこんなものである。


「おいおい、何の騒ぎよな……ってうおっ! なんつーことしやがったんだ、あの二人は……」
「あ、建宮も悪いけど手伝ってくれるか? 最愛とレッサーにちょっとお説教しなくちゃいけねーからさ」
「ま、まあそれは一向に構わんが一つだけ冷静になって聞いて欲しいのよ。きっとリビングをあんなにしたのはレッサーで、絹旗は止めようとしたはずよね」

 建宮は自分が出る前はリビングは綺麗そのものだっただけに、上琴以上に驚き、そして呆れていた。
 そんな建宮の予想通り、実は主犯はレッサーで絹旗は止めようとしており、逃げた理由は友達の付き合いとしてだったりもする。
 ちなみに男性陣といっしょに探しに行った当麻だがここにいるかというと美琴と一緒に探したいからという理由で引き返したのだ。

「確かに最愛はそんなことする子じゃ無いわよね。でもま、逃げたんだから同罪よ♪ お仕置きは軽めにはしてあげるけど」
「そうだな。じゃあ建宮は天草式のみんなにも頼んでくれるか?」
「それなんだがな、上条当麻。プリエステスと五和は連絡が取れず、対馬と浦上は別の用事で手が放せないのよ。でもその分、わしが働くから安心するよな」

 神裂は初春を愛でると言う名のストーキング中で五和は気絶中で連絡が取れず、対馬と浦上は寮監命令の黒子の監視でそれどころでは無かったのだ。
 建宮の言葉に納得した上琴は、建宮が出陣するのを見送った後で自分達も絹旗&レッサー探しを始めるのだった。

(もし飾利姫に会ったらさっきのパンツの件、謝るべきか……。いやしかし、気絶する前に見たあの方のことを考えると……むぅ)



 こちらはジャッジメント第一七七支部、美琴に頼まれて絹旗&レッサー探しとその他もろもろを頼まれた初春が行動していた。
 ちなみに今までは固法、それと遊びに来ていた佐天と学園都市の巡回をしていて戻ってきたのはついさっきのことだ。

「固法先輩、止めなくていいんですか?」
「止められるならとっくに止めてるわよ……。さっきまでは私がよく知る初春さんだと思ってたのに……」
「アレが、ですか? あの飾利は確かにいじり甲斐がある方の飾利ですけど、少し変じゃなかったです?」

 佐天の言う通り、初春は巡回中も建宮にパンツを見られたことを思い返し、恥ずかしさで頭が一杯で心ここにあらず状態だったのだ。
 最近見せていた怖さが無いという点では固法の言い分も理解出来るが、佐天だけは何か悩みでもあるのではと心配していたのだ。

(皆さんが暴れてもいいようにジャッジメントの演習ってことで学園都市中に連絡終了♪ あとは最愛さんとレッサーさんを……あう~~~~っ)

 大人しくすると言っても初春は美琴の頼みとあって手早く情報操作を済ませ、今度は絹旗とレッサー捜索をしようと思っていたが突然、顔を真っ赤にしてボーっとしてしまう。
 理由は絹旗のことを思い出し、彼女にスカートを捲られて建宮にパンツを見られたことも思い出したからだ。

「ちょっと初春さんしっかりして! 大丈夫? 私のこと、分かる?」
「た、建宮さんに、パ、パンツを……。は、早いんです、ま、まだまだ……。わ、私じゃ、つ、釣り合わないし、あ、あと、6年は……きゅう」
「飾利、飾利ーーーーっ! 固法先輩、とりあえず飾利を寝かせましょう!(後で建宮さんに事情を聞こう。そして場合によっては許さない!)」

 初春は顔から湯気が出かねないほど顔を紅潮させて気絶してしまい、しばらくの間、使い物にならなくなる。
 佐天は気絶する前の初春の言葉を聞いて、建宮に佐天特製金属バッドを持って事情を聞く決意をするのだった。



 当麻の高校の食堂、そこに真夜と半蔵に電話がかかってきた。
 今、半郭、トライアングルカップル、木山は真夜が作った料理を食べ終え、まったりと過ごしていた所。

「もしもし浜面か? 何かあったのか? いやまあ、別にいいけど。分かった、こっちからも探してみる。じゃあまた後でな」
「どうかしました? 半蔵様」
「浜面から人探しの依頼だ。きっとそんなに時間はかからないだろうから郭はここで待っててくれ」
「分かりました。でも私が必要とあらばいつでも呼んでください! すぐに駆けつけますから」

 浜面の頼みごとが人探しだったので自分一人で充分だと考えた半蔵は、郭をここに残す決断をする。
 郭もそれを了承したが、その時の二人は木山曰く、亭主とその亭主を見送る妻のようだったという。

「あれ? 真夜君、電話にも出ないで切っちゃったけど誰だったの?」
「青ピだよ。ここ最近、真昼さんと赤音さんに迷惑かけてるのにこんな時だけ頼ろうとするなんて虫が良すぎるから無視したんだ」
「そーだよなー。青髪のやつ、うちのクラスの男共を集めて俺達を付け回しやがって。ナイス判断だぞ真夜♪」
「……でもそんな青髪君たちを毎回やっつけてるんだよ私達。けど確かに協力する理由、無いもんね~♪」

 最近、毎日のように青ピ率いる『嫉妬ファミリー』に追い回されてるトライアングルカップルは、青ピにはかなり冷たかった。
 とはいえ青ピ達を毎回毎回ぐうの音も出ないくらいに返り討ちにしているが、それでも彼らに対する不満は消えることは無いのだ。

「じゃあ悪いなみんな。すぐ戻るから郭のことよろしく頼む」

 半蔵が出て行くのを見送ると真夜と赤音は後片付け、郭と木山と真昼は午後の訓練の準備に向かうのだった。



「あーっ! 井ノ原弟のやつ、人の話も聞かんと切りよった! まったく何て友達甲斐の無い奴や!」
「あのな青ピ、井ノ原弟を狩ろうとしてるのにこうゆう時だけ協力してもらおうって虫が良すぎるだろ……」
「何言うてんねん、浜面はんは。それはそれ、これはこれや♪」

 こちらは上琴に命じられるまま、行動を起こしている土御門、青ピ、浜面。
 青ピが真夜のことで怒ってるのを見て、土御門と浜面は目の前の人間を揃って最低だと思っていた。

「絹旗とレッサーの動きに体力を気にせずついて来れる井ノ原弟が参加しないのは痛いが、他のクラスの男共は参加してくれる。そう悲観することも無いぜよ」
「そうだな。半蔵も動いてくれるみたいだし、絹旗とレッサーちゃんもすぐ見つかるさ。じゃあ俺は半蔵と合流して捜索に当たるから二人もちゃんとやるんだぞ」
「了解にゃー♪ ほら青ピ、俺達もクラスの連中と合流するぜよ」

 浜面は半蔵と、土御門と青ピは参加してくれるクラスの男子こと『嫉妬ファミリー』と合流して絹旗&レッサー捜索に向かうのだった。
 その際、土御門は密かにこんな決意を固めていた。

(カミやんと美琴ちゃんの新居二号の件は絶対にバレないようにしないとな。それはあの二人も困るし、何より俺達も困るからな)



そのころ、初春をストーキングしていて、初春が気絶したのを見た神裂、シェリー、ヴィリアン、ウィリアムはというと…

「なんか飾利が変ですね。」
「さっきから顔が赤くなったり、気絶したりしてますからね。」
「なんで顔が赤くなっているのかここからじゃわからないね。」

神裂、シェリー、ヴィリアンはなんで初春の顔が赤くなっているのか気になっていた。

「おーい、そこの4人とも何をしているのね?」

初春の顔が赤くなっている原因の建宮が神裂達に走って近づいてきた。

「建宮、そんなに走っていったいどうしたのですか?」
「それが、レッサーと絹旗が上条当麻と御坂さんの新居を傷つけてしまったのね。それでみんながレッサーと絹旗を捜索しているのね。」

「そうなんですか。(あの二人は何をしているんですか!!)」
「それでプリエステス達も手伝ってほしいのよね。」
「わかりました。それじゃあ私たちは飾利の尾行をやめてレッサーと絹旗を探しにいきます。」

というと神裂、シェリー、ヴィリアン、ウィリアムはレッサーと絹旗を捕まえにいった。」

「さてと俺も二人を探しに行くのね。ってあれ、誰かがこっちに近づいてくるのよね?」

建宮もレッサーと絹旗を探しにいこうとしたら佐天が近づいてきた。


「これでもくらえー!!この変態ロリコンクソオヤジー!!」

挨拶代わりに何故かバットが飛んできた。

「どわー!?いきなり何なのよね!?」
「飾利のスカートをめくっていいのは私だけだー!!」
「何の話なのよね!?」

実は佐天、初春が途切れ途切れに『めくられた…………健宮さんに………見られた』と言ってる事を聞いてしまったのだ。
(めくったのは絹旗だが)

「待てやゴルァあああああああ!!」
「り、理不尽なのよねー!!」


 相手が初春と同じ中学生の女子とあって逃げることしか出来ない建宮だが、こちらも事情があるので逃げることを止める。
 建宮が逃げるのをやめたことで佐天も追いかけるのを止めると、話だけでも聞くことにした(バッドは構えたまま)。

「逃げるの止めたってことは観念したってことですよね? 飾利のスカートめくってパンツをガン見した罪を告白する気になったんですか?」
「待て待て待て待て! ガン見はおろか捲ってもいないのよ! わしは絹旗が飾利姫のスカートを捲りやがったもんだから、つい飾利姫のパンツを見ちまったというか何と言うか……」
「つまり建宮さんは飾利のパンツを見たのはあくまでも事故、そう言いたいんですね?」

 しきりに頷く建宮を見て、日頃の彼の初春に対する態度を改めて思い返した佐天はとりあえず信用することにして、バッドを下ろした。
 もっとも、初春のパンツを見たことで鼻血を出したと分かっていれば建宮はバッドで殴殺されかねかったのだが。

「ところでどうしてあんな場所に居たんです? 気のせいか急いでた気がするんですけど」
「おおっ! お前さんとの追いかけっこですっかり忘れてたのよ! 悪いが佐天、お前さんも手伝ってくれ!」

 建宮はレッサーと絹旗(主犯はレッサー)が上琴新居二号でやらかしたこと、上琴の指揮のもと二人を追いかけてることを説明した。
 佐天はそんな命知らずがいることに驚くとともに、すぐさま携帯を取り出した。

「最愛がそんなことするとは思えないですからきっとレッサーって子の仕業でしょうね。ところであっちはあたしが動いてることは知りませんよね?」
「おそらくは。ただ、御坂嬢が飾利姫に連絡を取っていたからそれ経由で伝わってると思ってるかもしれないが……」

 彼女達も自分が捜索に加わっているとは思っていないだろうと踏んだ佐天は、絹旗に連絡を取り始めた。
 しかし絹旗の携帯の電源は切られており、繋がることは無かった。

「ダメですね。最愛のことだから飾利を頼ると読んで連絡を一切取らないつもりですよ。でも今、飾利は気絶してるから情報で追い込むのは難しいですね」
「気絶! 飾利姫はどこかお加減が宜しくないのか? 佐天、詳しく説明すウゴッ!」
「ぜーーーーったい建宮さんには理由は教えてあげません! それと飾利は無事ですから安心して下さい。最愛とレッサーって子の捜索、手伝いますから早く行きましょう」

 初春が気絶した理由をありえないとは思いながらも感じ取っていた佐天は、暑苦しく迫る建宮をバッドで殴って黙らせると絹旗&レッサー捜索を始めるのだった。
 なお、初春から佐天だけに驚愕の真実が聞かされるのは絹旗&レッサーが捕まってから後のことである。



 時は少し遡り、建宮と佐天が追いかけっこを始める前、実は近くの路地裏に絹旗とレッサーが隠れていたのだ。
 第一七七支部なら安全だと踏んだ絹旗だったが、建宮がここにいたこと、佐天が今後自分達の敵に回ることを考え、悩んでいたのだ。

「ちいっ、ここはもはや超安全ではありませんね。もっと違う場所を探しましょう」
「ごめんなさい絹旗。元はと言えば私があなたの言うことを聞いてさえいれば……」
「過ぎたことを言っても超始まりません。とりあえずみんなのほとぼりが超冷めるまで……レッサー避けて下さい!」

 絹旗の勘は見事に的中、先ほどレッサーが居た場所は酷い有様でそこに立っていたのは、

「よォ獲物ども。思ったよりも簡単に見つけちまって少々拍子抜けしてンだ。最後の抵抗ってやつ、やってみなァ」
「ヒーーーーッ! あの白い堕天使がいきなりですか! どうします絹旗……絹旗?」
「ふうっ、アクセラが相手なら超余裕です♪ こっちにはアクセラ対策を何個も超授かってますから」

 学園都市最強の一方通行だが、怯えるレッサーとは対照的に絹旗はとても落ち着いていた。
 その態度が癪に障った一方通行が迫るが彼は知らない、絹旗が初春にいくつか一方通行を萌え死させるアイディアを授かっていることなど。


「ははははは!!超必殺!!打ち止めの萌え写真!!」

バーン!!と言葉通りの打ち止めの萌え写真を何枚も持っていた。
メイド打ち止め、看護師打ち止め、婦警さん打ち止め、バニー打ち止め等々……
一方通行には大ダメージどころか超ダメージだ。

「オマエラバカだなァ?」

だが

「こんなんで俺をどォこォできると思ったかァ?」

一方通行は突き進んでいた。

「な、何ですとぉ!?」
「対策ってこれですか!?」

一方通行も手に何かを持っていた。それはケータイだった。そこには……

「ね、寝顔ですとぉ!?」
「子供の寝顔を待ち受けって変態!?」

「俺はロリコンじゃねェ、そしてオマエラ地獄行きィ!!」


 悠然と突き進む一方通行を前にレッサーはさらに怯えるが、絹旗は決意を秘めて切り札の一つを投下する。

「これだけは、これだけは超使いたくありませんでした。アクセラの名誉を傷つけることになりますが超止むを得ません、行きます!」
「ほほォ、随分と余裕じゃねェかァ! てめェらの持ってる手とやら、俺に見せてみろ! 効くわけねェけどなァ!」
「では打ち止めとの初夜を超イメージしやがって下さい! 学園都市最強のP・Rを超駆使して!」

 絹旗に言われるまま、条件反射的に一方通行はまだまだ先の話である『打ち止めとの初夜』をイメージしてしまう。
 ちなみに『P・R』とは『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』の略で、初春の言葉を借りれば『妄想・信じる力』である。
 当然ながら学園都市最強のP・Rともなると並大抵のものではなく、より現実的かつ鮮明にイメージ出来てしまうわけで結果、

「ブハッ!!!!!!! て、てめェ、ひ、卑怯だぞ…………ぐっ」

 『打ち止めとの初夜』をイメージしてしまった一方通行は鼻血を常人ではありえない量を噴出し、負け惜しみを言って崩れ落ちた。
 それを見ていたレッサー、実際に一方通行にそう仕向けた絹旗も効果の程に驚くと同時に倒れた少年にドン引きしていた。

「小さな子のしょ、初夜を妄想して鼻血だなんて学園都市最強ってもしかしなくてもぺドフィリアなんですね……。上条さんとは雲泥の差です」
「いや、ぺドとは超違いますけど妄想だけでよくあれだけの鼻血を噴いたアクセラが超キモいです。とりあえずメッセージを超残しましょう♪」

 絹旗はそう言うと、一方通行の鼻血で、汚いとは思いながらも近くの壁にメッセージを残した。
 レッサーは知りたくも無いので周囲を見渡し、顔見知りが居ないことを確認し始める。

「よし、これで超バッチリです♪ アクセラには超申し訳ないですけど、私達を襲った罰ですよ」
「絹旗、今なら私達を狙ってる人は居ません。急いでここを離れましょう」

 レッサーからの呼びかけを受けて、絹旗は一方通行が倒れてる路地裏を後にした。
 なお、鼻血の血文字のメッセージは『僕は小さな恋人でHなことを考えたムッツリです』という、かなり酷いものだったり。



 路地裏から出た絹旗とレッサー、身を潜めつつも素早くかつ的確に逃亡していた。
 しかし潜伏先を考えていなかったので単なる行き当たりばったりな逃亡になってしまっている。

「絹旗、本当にあなたが知ってる隠れ家とかは使えないんですか?」
「おそらくは、ですけど。浜面と滝壺さんも敵に回ってるでしょうから、そういう場所はむしろ超危険なんですよ」
「成程、じゃあしばらくは逃げ回るしか無いようで……絹旗、気のせいかあの人達、こっちを見てませんか?」

 絹旗の読み通り、浜面と滝壺により元アイテム時代に使っていた隠れ家とかは押さえられているので彼女の判断は正解だったりする。
 果ての無い逃亡にげんなりしつつも、レッサーはこちらを凝視している当麻くらいの歳の男子数名がこちらを見ていることに気付く。
 そして次の瞬間、その男子の一人が大声でこんなことを叫んだのだ。

「リーダー! ターゲット発見したぞーーーっ!」
「おーっ、ご苦労さんだにゃー♪ さあ絹旗にレッサー、観念して大人しくお縄に付くぜよ」
「「土御門!!」」

 リーダーと呼ばれた土御門が楽しげな笑みを浮かべて現れたことに絹旗とレッサーは驚くが、それ以上の驚きが二人を待っていた。
 なんと、周りの人間の同い年くらいの男子が全員こちらを見てニヤニヤ笑っているのだから。

「ま、まさかこの人達全員、あなたの仲間なんですか? 土御門」
「レッサーは察しが良くて助かるにゃー♪ 抵抗はあまりおススメしないぜよ。アンチスキルの世話になりたくないだろ(これで二人も暴力には訴えないだろ)」
「それよりもみんながニヤニヤと笑ってる方が超気になります。これの説明を超求めますよ」

 アンチスキルと言う言葉を使い、相手の実力行使を押さえ込むことに成功した土御門、これで終わりだと確信していた。
 ところが青ピがバカ正直にも絹旗の問いに答えてしまうことで形勢が変わってしまうことに。

「そんなん簡単や♪ みんな二人を捕まえたら一人一人とデート出来るからな~♪ こない可愛い子とデート、みんなのテンションはうなぎ上りっつーやつや!」
「バッ、バカ! 余計なこと言うな青ピ…………あっ」

 絹旗とレッサー、乙女の防衛反応が土御門、青ピ、そして『嫉妬ファミリー』に襲い掛かる。


しかし、そんな襲われてる二人は

「「(超)ふざけんなぁぁぁあああああああああああああ!!
女を何だと思ってるんだオマエラはァァァあああああああああああああ!!」」

と暴れていた。ちぎっては投げちぎっては投げ、こんな表現大げさだなぁと思ってる諸君も見てもらえば納得して頂けるだろう。
土御門もヤバイと思ったのか退却命令をだそうとしたが何かに気づいた。

「さすがだにゃー。だがオマエラ二人を捕まえようとしている二人は今どこににゃー?」

何を言ってるんだコイツは?と二人は首を傾げたが二人とも何かに気づいた。それは何かは解らない。だがそれは何かを押し潰すようなものだった。
そしてレッサーは前にもこれを感じたことがあった。
イギリスのクーデターの時も、ロシアの時も感じた。そしてつい最近、とある家でも……
二人は後ろに何かを感じた。何かはすぐにわかった。たが二人は後ろを向けなかった。
何故なら……

「アンタたち、こんなところで何をしてるのかしら?」
「オマエラは今日、俺が殴っても仕方ないことをしたからな?」

そこには自分達の愛の巣をどうこうするなら、即叩き潰すバカップルがいるからである。


「建宮さん、あそこに最愛が! 隣にいるロングの子がレッサーって子ですよね? ……って当麻兄さんと美琴姉さんも一緒ですよ!」
「んなっ! まずい、それは非常にまずいのよ! あの二人、殺されかねんぞ!」
「じょ、冗談ですよね? そりゃあ新居の件の話は聞いてますけど、ここは外ですよ? 家の中ならまだしもこんな往来の場でなんてことは……」
「有り得るから言ってるんだ! あの二人をひとまず落ち着かせられるのは義理の妹の佐天、お前さんしかいないのよ! さあ、早く向かうのよね!」

 絹旗&レッサーのピンチにギリギリの所で駆けつけたのは佐天と建宮だった。
 建宮は上琴の尋常じゃない怒りを肌で感じ取り、真っ昼間の惨劇を止めるべく上琴抑止力の一人でもある佐天をけしかける。

「当麻兄さん、美琴姉さんストーーーーーーップ!!!」
「「うおっ!!」」

 怒れる上琴を一先ず止めることに成功した佐天だが、バットを振り下ろしての制止は少しやり過ぎかもしれない。
 上琴は佐天の登場に驚き、レッサーは呆然とし、絹旗は助けてくれた佐天に泣きながら抱きついた。

「うわ~~~~~~~~ん、涙子~~~~~~~~~。ちょ、超、こ、怖かったです~~~~~~」
「はいはい、ゴメンね遅くなって」
「ふうっ、どうにか間に合ったか……。レッサー、お前さんも大丈夫か?」

 遅れて到着した建宮にただ頷いて返答するしか出来ないレッサーは佐天の存在に頭の整理が追いついてなかった。
 一方、上琴はようやく佐天の登場に頭がついてきて、彼女と建宮に事情を尋ねた。

「涙子、どうしてお前が? いや、建宮と一緒ってことは多分途中で合流したんだろうけど……。けど邪魔したのはどうゆうつもりだ?」
「どうゆうつもりはこっちの台詞です! こんな往来の場で最愛に酷いことしようとするなんてあんまりです二人とも!」
「い、いや、あのね、る、涙子。それは、その、二人が、というかそっちのレッサーが悪いというかね……」

 佐天の言葉に土御門は絹旗&レッサーがやったことにツッコミを入れようと思ったが、そんな茶々を入れられる気配が無いので諦めた。
 困惑する上琴に佐天、そして建宮が正論をぶつける(絹旗は佐天の胸の中で怯えてる)。

「悪いことしたのならまずは当人達に理由を聞いて下さい! お仕置きするのも説教するのも話を聞いてからです! だから最愛がこんなに怯えてるんですよ!」
「佐天の言う通りなのよね。惨状がどうであれ、お前さん方は人の話を聞くべきだ。相手にも言い分があるかもしれん。それすら聞かずに行う仕置きはただの暴力だ」
(……アレは理由を聞くまでも無くお仕置きしてもいい気がするが、これであの二人も少しは考えるようになるから黙っとくぜよ)

 佐天と建宮の言葉に思い当たることがある上琴は、怒りを収めて話を聞く態勢になる。
 ちなみに土御門が黙っていたのは上琴がこれで新居の件で我を忘れないようになって欲しいという願いというか目論見があるのだが。

「そうだよな、レッサーはともかく最愛がそんなことするわけ無いって建宮に言われてたのに俺ってやつは……ゴメンな最愛」
「ヒッ!!」
「……うっ、自分達のせいとはいえさすがにそれは傷付くわ。大丈夫よ最愛、私達もうアンタには怒ってないから。だからそんなに怖がらないで、ね?」
「ほーら最愛、二人もああ言ってることだからさ。もう怯えなくても平気だから」

 上琴は絹旗の反応に想像以上にショックを受けていた、普段の懐きっぷりが印象的なだけに。
 佐天が宥めたことでようやく絹旗も上琴にいつもの表情を見せることに。
 これで全て丸く収まったと思っていたのはレッサーだが、そうは問屋が卸さない。

「さて主犯だと思われるレッサーさん。上条さん達にちゃーんとリビングをあんな風にしやがった経緯を説明してもらおうか」
「……えっ? で、でもここは人通りがある所ですよ? さっき言ったことを、も、もう撤回するんですか?」
「大丈夫よレッサー♪ ちゃーんと家に帰って庭であんたの釈明を聞かせてもらうから。覚悟はいいわよね?」

 レッサーは上琴が自分に対してだけ怒りをそれほど収めていないことに気付き、当麻に引きずられるままに上琴新居二号へと連行されることに。
 その後ろを無事だった青ピ、土御門、佐天、絹旗、建宮が後を付いていった。



 無事に上琴新居二号に戻った上琴、土御門、青ピ、佐天、絹旗、建宮、レッサー。
 絹旗とレッサー捕獲の知らせを捜索続行中の仲間達に連絡するのを忘れ、庭ではいきなりレッサーの聴取が始まった。
 レッサーがリビングを滅茶苦茶にした理由、それが本人の口から語られ始める。


「いやー……実はですね?絹旗さんとの勝負が決着ついてなくて、うずうずしてたんですよ……」
「「で?」」

しばしの沈黙…………

「それで……………………………………………………………………………………きゃは♪」
「「きゃは♪じゃねえよ!!」」

上琴の怒りは当たり前、突っ込むのも当然である。

「何よそれ!!特に理由なんてないじゃない!!」
「それであの惨事かよ!?ふざけてんじゃねえ!!思いっきりやってやれ美琴!!」
「にゃー!!落ち着け二人とも!!月夜ー!!」

土御門がここにはいない白雪を呼んだ。

「ここにいない白雪さんを呼んでどうするんですか!?」

すかさず佐天の突込みが入る(当たり前だろ!!)。

「甘いぜい!!」

すると遠くからキラーん☆と何かが飛んできた。
そしてその何かは上琴とレッサーの間に降りた(正確には落ちた)。
その何かとは?察していただきたい。その名は………

「白雪月夜!!ただいま参上!!」
「おお!!白雪さんタイミングよすぎですよ!?どこの漫画ですか!?」

佐天は鋭く当突っ込む(突っ込まないほうがおかしい!!)。


「ふっ、甘いよ佐天ちゃん。私と元春の間には距離もタイミングも問題じゃないの。だって二人は愛の絆で結ばれてるから♪」
「愛の絆ですか、それじゃあ仕方ありませんね~……って言いませんよ! 色々ツッコミ所が多いじゃないですか!」
「まあまあ。佐天ちゃんのツッコミ精神も分かるけど、今はカミやん達の問題を片付けるが先決ぜよ。ツッコミはその後でたっぷりするにゃー」

 土御門の言うことに納得した佐天はひとまず月夜に対するツッコミは置いておくことにした。
 そして問題はレッサーのお仕置き&上琴の怒りを鎮めることに再度注がれる。

「どいて白雪さん、そいつ殺せない」
「お、落ち着いて美琴ちゃん。新居で殺人なんて穏やかじゃないよ……」
「悪い白雪。今回ばっかりは俺も美琴も心底頭に来てんだ。落ち着くなんて出来そうにねぇ」
「だーかーらー! 二人とも落ち着いてってば! とりあえずレッサーちゃんが何をしたのか私に話してよ!」

 上琴はレッサーに襲い掛かりたい衝動を抑えながらも彼女がリビングをあんな風に仕出かした理由っぽいものを月夜に話した。
 それを聞いた月夜は呆れたように溜め息を吐いた後でレッサーに向き直ると、身も心も凍りそうな笑顔(レッサー談)をレッサーに向けた。

「レッサーちゃん、理由がアレじゃあ私も庇いようが無いよ。だからせめてあの二人に病院送りにされないように私がお仕置きしてあげるね♪」
「えっと、そ、それでど、どのようなお仕置きになるんですか……? 痛いのは……イヤですよ?」
「大丈夫大丈夫。痛いのなんてそんなに気にならないから。とりゃー!」

 月夜がいつもの掛け声を言うと、レッサーは首より上を残されて氷漬けに。

「寒っ! 冷たっ! 痛っ! でも冷たっ! それでいて寒っ!」
「ね♪ 痛いのなんてそんなに気にならないでしょ? 上条君に美琴ちゃん、これでレッサーちゃんを許してやってよ。ね?」
「なんかそっちの方が酷い気がするから俺は別にいいけど美琴はどうだ?」
「私もいいわよ。その代わり、すぐさま解放は無しだからね。今の時刻は午後2時だから……2時間放置で♪」

 この状態で二時間放置は地獄にも等しかったので抗議しようとするレッサーだが、言葉がうまく紡げずにいた。
 絹旗と佐天はレッサーを可哀想と思いながらも、自業自得を思うことにして二時間放置を受け入れた。

「さて、とりあえずやることといえばリビングの後片付けか……。はぁ、何か久々に不幸だ」
「リビングはわしと絹旗で片付けるのよ。元を正せばわしの監督不行き届き、ならびに絹旗の甘さが招いたこと。せめて後片付けはわしらがするのよね」
「建宮の言ってることが正しいのは超悔しいですけど、私も建宮に超賛成です。お兄ちゃんたちは食器や衣類の収納を超お願いします」
「傷だらけのリビングの修復は俺が受け持つぜよ。なぁに、ちょっとしたサービスにゃー♪ パパッと修復出来る業者の皆さんを呼んでやるぜい」

 こうして上琴、土白、佐天、青ピは小物類の収納、絹旗と建宮はレッサーのやらかした後始末を開始する。
 その際、土御門は一打、浜滝に、建宮は神裂、シェリー、ウィリアム、ヴィリアン組に絹旗&レッサー捕獲終了を忘れずに伝えるのだった。

 浜滝は途中で合流した半蔵と一緒に絹旗&レッサー探しをしていたが、そこへ土御門から終了の知らせが入る。
 ちなみに浜面と滝壺が一緒の理由は上琴と同じで一緒がいいという、バカップルなら常識的な考えのものだったり。

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