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支給品に核兵器はまずすぎる」(2008/11/12 (水) 21:38:06) の最新版変更点

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**支給品に核兵器はまずすぎる ◆5zoI.SnQGo 昼か夜かの区別もままならない曖昧な意識の下、男は目覚めた。男は目覚めた時、今までの騒がしい日々と同じように布団の上にいた。  歌舞伎町でよろずやを営む、坂田銀時である。 「……ちっくしょ。妙な夢だったな……」  銀時の意識は、昨夜安い酒を浴びるように飲んだためか依然として曖昧なままである。  ゆえに、銀時は、今いる場所が今まで暮らしてきた万事屋とは全く違う寂れた家屋であることに気づいていない。 「……あ~~~頭痛え……とりあえず酒抜くか」  銀時は布団から出て立ち上がった。青い顔をしてふらついている。 「神楽ちゃ~ん。風呂の用意してくれえ……。銀さんこのままじゃ頭爆発して死んじゃうよ~」  神楽の寝室である押入れへ向けておぼつかない足取りで歩く。 「ガキなんだから早起きしねえと駄目だろ。寝る子は育つって言うけどさあ、ありゃうそだよ。睡眠は肥満児を育てるだけなんだぜ  女の子が横に育っても仕方ねえだろ」  銀時は押入れの襖をさっと開いた。中には当然のごとく誰もいない。 「あれ?」  神楽、遊びに行ったのか?いやいや、奴がこんなに早く起きるはずがない。調子いい時は昼ごろまでひたすら寝てるのがあいつだ。  ましてやこんな早朝に……今、朝だよな?  銀時は窓から外の様子を見るため顔の角度を変えた。  外は暗闇だった。もとより家の中も暗闇だったのだが『起きたら朝』という先入観と  鮮明ではない意識が銀時の脳裏に『今は朝』という思い込みを生じさせていたのだ。 「なんだこれ?」  銀時はある物を発見した。そう、夢の中で老人から配られたデイパックである。  さすがにこんな物を見ては動揺してしまうのだろう。銀時は悪夢が実は現実のことであるということに気づき始めている。 「……いやいやいやいや。これはない……これはないな。だって、ここ万事屋だしィ」  冷や汗を流しながら銀時は周りを見渡す。  ここ万事屋じゃねえェェェェェェェェェェェェェ! さっきのって夢じゃなかったのォォォォォォォォ! 「やべーよ。こんなの狂ってるって、俺が何をしましたか。これ何の罰ゲームですかァァァァァァァ!」  いつもは新八がこのようにツッコミを入れるのであるが、彼はこの場にいない。そのため銀時は自分でツッコミを入れるしかなかった。  こんな状況の中、わざわざ大声でツッコミを入れなくてもいいのに、と思うかもしれないが  彼らにとってツッコミとは日々の暮らしの中にある重要な生活必需品である。ツッコミがなくなれば彼らの存在は(ある意味で)消えてしまう。 (とにかく、何とかしないとな。とりあえずこのデイパックの中身でも見てみるか……)  銀時がデイパックへ手を伸ばしたその時である。背後の玄関のドアが開いた。何者かが中へ入ってくる。 (おいおい、他の参加者って奴? やばいって何か、危ない奴だったらどーすんの。木刀もねえしよ)  中に入ってきたのは銀時の想像をはるかに超える肉体を持つ男であった。  銀時の軽く三倍はありそうなほど巨大な身体、いかなる武器を持ってしても傷一つつけることもできそうもない鋼鉄の筋肉。  世紀末覇者、ラオウである。 「……」 「……」  二人は視線を合わせたまま言葉一つ発さない。殺し合いの中とは思えないような静寂が部屋を支配する。  覇者、ラオウは思った。  この銀髪もゲームの参加者か……。他者に強いられる戦いとは胸糞悪いが、まあ良い。ケンシロウも参加している。  強者を集めたというこの殺し合いの舞台で俺は真の天を掴む。ケンシロウも、あの勇次郎という男もまとめて、天へ向けての踏み台としてくれるわ。  侍、銀時は思った。  デケェェェェェェェェ! 何だよこれ! 俺にこんな奴どうしろってんだ! 核兵器でもないとこんな奴殺せる気しねえよ!  馬鹿だろ、あのジジイ馬鹿だろ! こんなゲームこいつが優勝するに決まってんだろうがァァァァァァァ!  こんなのもう完璧に出来レースだよ。ゲーム始まって速攻で戦意喪失だっつの! もっと参加者考えて集めろよ!  こんなバケモンの殺し合い、銀さん着いていけませーん! チクショー! あのジジイ俺が死んだら絶対に呪い殺してやるからなァァァァァ! 「そこの銀髪」  ラオウが銀時に呼びかける。 「はいィッ!」 「こんな問い、このような状況となっては関係のないことかもしれぬがまあ良い。  うぬは北斗七星の脇に輝く蒼星を見たことがあるか?」 「え……星?」 巨漢の突拍子の無い質問に銀時は戸惑った。 (いや、そんな星見たこと無いけどさ。何だ? この質問。これってあれか?見たことありますって言わないと駄目なのか?  見たこと無かったら殺すよってこの御方は仰っているのか?) 銀時は質問の意図を探るためラオウの顔を見た。 (わからん……。わからんぞォォォ! 無表情すぎるんだよ! どうしよう何て答えよう。『毎日、見てまーす』って言えばいいのか?  こう言えば見逃してくれるのか?  いや待て慌てるな銀時! これはアレだ。あの~アレだ。なぞなぞかもしれない。この御方はなぞなぞで俺を試しておられるのかもしれんぞ。  考えろ、考えるのだ銀時ィィィ!) 「なぜ黙るッ! 言え!」  巨大な筋肉を硬直させてラオウがプレッシャーをかけて来た。あまりの迫力に銀時は慌てた。 「も、もちろん毎日見てます!めっちゃ見てますよ!」 「ほう、そうか。ならばうぬは元々、俺に殺される運命だったのだな」  銀時の言葉を聞いた瞬間、ラオウの表情が変わった。全てを破壊できる無敵の拳の照準を銀時に定め覇者は殴る構えをとった。  その威風堂々とした姿は、美しさすら感じさせるものだった。 「ちょ、ちょっと待って! 俺見えてるんだって! 頑張ったら昼でも見えるくらいだよ、ほんと」 ラオウは無敵の拳を放った。  その拳は男を葬るはずだった。その拳は誰であろうと止められない。  しかし、銀時は免れた。音速を超えるスピードを持つラオウの拳から免れる事が出来たのだ。はたしてどのようにして免れたというのか。  その秘密はラオウが拳を放つ瞬間にあった。 「おのれッ! 小細工を!」  銀時はラオウが拳を放ったその瞬間、隠し持っていた枕をラオウの顔面にぶつけたのである。  枕によって視界が塞がれたラオウは一足飛びで後ろに回避した銀時に拳を当てる事ができなかったのである。 ラオウは暗闇の中、窓から外へ出て一目散に走り去る銀時を見つけた。 「逃げるか! 小者めッ!」  ラオウは家屋の壁をまるで藁の家を崩すかのごとく破壊し、銀時を追った。 「き、来たァァァァァ! ちくしょうしつけェェェェェ、しかも」  ラオウが鬼の形相を浮かべ距離を縮めてくる。 「しかも速えんだよ! あの体型でなんで速いんだよ! 反則じゃねーか! あんなん反則だろォォォォォ!」  どうする? どうする? どうすんの俺!  全速力で逃げながら銀時は必死に生き残る道を探す。 (そうだ! 支給品だッ! 俺なんかめっさ弱いからごっさ強い支給品が入っているはず)  銀時はデイパックの中に手を突っ込んだ。 「はああああああ! いでよ核兵器! (せめてロケットランチャー)」  中から出てきたのはとても武器とは呼べない代物、蝶ネクタイである。 「ギャアアアアア! これで戦えというのか、これであの筋肉ダルマ殺せっていうのか! 殺し合いさせたいならもっと考えろあのジジイ!」 「ごちゃごちゃと五月蝿い羽虫め! くらえい北斗剛掌波!」  北斗剛掌波、掌から気を飛ばし、相手に触れることなく吹き飛ばすラオウの得意技である。 「うわあ何か来たあ!」  暗闇のせいかそれとも走りながら技を放ったせいなのか、剛掌波は銀時には当たらず地面を抉っただけだった。 (ヤバイ! こいつはマジでヤバイ!)  死力を尽くして逃げる銀時、全速力で追うラオウ。二人の姿はどす黒い闇に包まれた林の中へ消えていった。 ※  ※  ※ ここはゲームの舞台の東に位置する林である。 光一つない完全なる闇の中、巨人は静かに歩いていた。現在の巨人の表情は先ほどまでの闘志に満ち溢れた険しいものではない。 今の巨人の表情は静かで平和的。いや、戦いに飢えに飢えている男が獲物を逃してしまった屈辱をかみ締めている表情と言うべきか……。 「この拳王から逃げきるとはな……」 ラオウの言葉にはもちろん屈辱という感情が大量に詰まっていた。しかし、どこか尊敬の念もこもっているようにも思える。 そう、彼は侍を尊敬していた。自分から逃げ切った侍を強き者として、天へ上る踏み台として認めていたのだ。 この一言を最後に、覇者ラオウは新たな強敵を求め林の闇に飲まれていった。 「しかし、奴のあの身のこなし只者とは思えぬ。この拳王ごときが勝てる相手ではないな。もう駄目だ死のう」  と、木の上からラオウの野太い声が響いてくるがこれは当然ラオウが言ったセリフではなく、 「ったくよ、あんなバケモノどうしろっつーんだよ……。それにしてもすげーなこれ」  蝶ネクタイ型変声機を操る侍、坂田銀時である。 林の中に入り視界が悪くなった瞬間、銀時は木によじ登りラオウから隠れたのだ。驚く程強い悪運の持ち主である。 (あ~、ちくしょう。殺し合いたあ趣味の悪いゲームに巻き込まれちまったもんだな。  とりあえずあの筋肉ダルマから離れねえと。また会っちまうかもしれねえ。  名簿を見る限り新八と神楽、あとヅラもこのクソゲームに参加させられてるみたいだし……。とりあえず奴らと合流しねえとな) いつの間にやら酔いが醒めた銀時もまた、とりあえずの行動方針を立て、林の闇に飲まれていった。 【3-G 雑木林 一日目 深夜】 【坂田銀時@銀魂】 {状態}健康 多少の疲労 {装備}蝶ネクタイ型変声機(@名探偵コナン) {道具}支給品一式 不明支給品0~2(本人は確認済かも) {思考・状況} 1:とりあえずラオウから離れる 2:新八、神楽を捜す。ついでに桂も 3:このゲームをどうにかする 【ラオウ@北斗の拳】 {状態}健康 {装備}無し {道具}支給品一式 不明支給品1~3(本人は確認済かも) {思考・状況} 1:ケンシロウ、勇次郎と決着をつけたい 2:坂田銀時に対するわずかな執着心 3:強敵を倒しながら優勝を目指す |001:[[Two people meet you in a night town]]|[[投下順>第000話~第050話]]|003:[[主をもとめて]]| |001:[[Two people meet you in a night town]]|[[時系列順>第1回放送までの本編SS]]|003:[[主をもとめて]]| |&COLOR(#CCCC33){初登場}|坂田銀時|029:[[:好きなら素直にスキと言え]]| |000:[[オープニング]]|ラオウ|030:[[A forbidden battlefield]]|
**支給品に核兵器はまずすぎる ◆5zoI.SnQGo 昼か夜かの区別もままならない曖昧な意識の下、男は目覚めた。男は目覚めた時、今までの騒がしい日々と同じように布団の上にいた。  歌舞伎町でよろずやを営む、坂田銀時である。 「……ちっくしょ。妙な夢だったな……」  銀時の意識は、昨夜安い酒を浴びるように飲んだためか依然として曖昧なままである。  ゆえに、銀時は、今いる場所が今まで暮らしてきた万事屋とは全く違う寂れた家屋であることに気づいていない。 「……あ~~~頭痛え……とりあえず酒抜くか」  銀時は布団から出て立ち上がった。青い顔をしてふらついている。 「神楽ちゃ~ん。風呂の用意してくれえ……。銀さんこのままじゃ頭爆発して死んじゃうよ~」  神楽の寝室である押入れへ向けておぼつかない足取りで歩く。 「ガキなんだから早起きしねえと駄目だろ。寝る子は育つって言うけどさあ、ありゃうそだよ。睡眠は肥満児を育てるだけなんだぜ  女の子が横に育っても仕方ねえだろ」  銀時は押入れの襖をさっと開いた。中には当然のごとく誰もいない。 「あれ?」  神楽、遊びに行ったのか?いやいや、奴がこんなに早く起きるはずがない。調子いい時は昼ごろまでひたすら寝てるのがあいつだ。  ましてやこんな早朝に……今、朝だよな?  銀時は窓から外の様子を見るため顔の角度を変えた。  外は暗闇だった。もとより家の中も暗闇だったのだが『起きたら朝』という先入観と  鮮明ではない意識が銀時の脳裏に『今は朝』という思い込みを生じさせていたのだ。 「なんだこれ?」  銀時はある物を発見した。そう、夢の中で老人から配られたデイパックである。  さすがにこんな物を見ては動揺してしまうのだろう。銀時は悪夢が実は現実のことであるということに気づき始めている。 「……いやいやいやいや。これはない……これはないな。だって、ここ万事屋だしィ」  冷や汗を流しながら銀時は周りを見渡す。  ここ万事屋じゃねえェェェェェェェェェェェェェ! さっきのって夢じゃなかったのォォォォォォォォ! 「やべーよ。こんなの狂ってるって、俺が何をしましたか。これ何の罰ゲームですかァァァァァァァ!」  いつもは新八がこのようにツッコミを入れるのであるが、彼はこの場にいない。そのため銀時は自分でツッコミを入れるしかなかった。  こんな状況の中、わざわざ大声でツッコミを入れなくてもいいのに、と思うかもしれないが  彼らにとってツッコミとは日々の暮らしの中にある重要な生活必需品である。ツッコミがなくなれば彼らの存在は(ある意味で)消えてしまう。 (とにかく、何とかしないとな。とりあえずこのデイパックの中身でも見てみるか……)  銀時がデイパックへ手を伸ばしたその時である。背後の玄関のドアが開いた。何者かが中へ入ってくる。 (おいおい、他の参加者って奴? やばいって何か、危ない奴だったらどーすんの。木刀もねえしよ)  中に入ってきたのは銀時の想像をはるかに超える肉体を持つ男であった。  銀時の軽く三倍はありそうなほど巨大な身体、いかなる武器を持ってしても傷一つつけることもできそうもない鋼鉄の筋肉。  世紀末覇者、ラオウである。 「……」 「……」  二人は視線を合わせたまま言葉一つ発さない。殺し合いの中とは思えないような静寂が部屋を支配する。  覇者、ラオウは思った。  この銀髪もゲームの参加者か……。他者に強いられる戦いとは胸糞悪いが、まあ良い。ケンシロウも参加している。  強者を集めたというこの殺し合いの舞台で俺は真の天を掴む。ケンシロウも、あの勇次郎という男もまとめて、天へ向けての踏み台としてくれるわ。  侍、銀時は思った。  デケェェェェェェェェ! 何だよこれ! 俺にこんな奴どうしろってんだ! 核兵器でもないとこんな奴殺せる気しねえよ!  馬鹿だろ、あのジジイ馬鹿だろ! こんなゲームこいつが優勝するに決まってんだろうがァァァァァァァ!  こんなのもう完璧に出来レースだよ。ゲーム始まって速攻で戦意喪失だっつの! もっと参加者考えて集めろよ!  こんなバケモンの殺し合い、銀さん着いていけませーん! チクショー! あのジジイ俺が死んだら絶対に呪い殺してやるからなァァァァァ! 「そこの銀髪」  ラオウが銀時に呼びかける。 「はいィッ!」 「こんな問い、このような状況となっては関係のないことかもしれぬがまあ良い。  うぬは北斗七星の脇に輝く蒼星を見たことがあるか?」 「え……星?」 巨漢の突拍子の無い質問に銀時は戸惑った。 (いや、そんな星見たこと無いけどさ。何だ? この質問。これってあれか?見たことありますって言わないと駄目なのか?  見たこと無かったら殺すよってこの御方は仰っているのか?) 銀時は質問の意図を探るためラオウの顔を見た。 (わからん……。わからんぞォォォ! 無表情すぎるんだよ! どうしよう何て答えよう。『毎日、見てまーす』って言えばいいのか?  こう言えば見逃してくれるのか?  いや待て慌てるな銀時! これはアレだ。あの~アレだ。なぞなぞかもしれない。この御方はなぞなぞで俺を試しておられるのかもしれんぞ。  考えろ、考えるのだ銀時ィィィ!) 「なぜ黙るッ! 言え!」  巨大な筋肉を硬直させてラオウがプレッシャーをかけて来た。あまりの迫力に銀時は慌てた。 「も、もちろん毎日見てます!めっちゃ見てますよ!」 「ほう、そうか。ならばうぬは元々、俺に殺される運命だったのだな」  銀時の言葉を聞いた瞬間、ラオウの表情が変わった。全てを破壊できる無敵の拳の照準を銀時に定め覇者は殴る構えをとった。  その威風堂々とした姿は、美しさすら感じさせるものだった。 「ちょ、ちょっと待って! 俺見えてるんだって! 頑張ったら昼でも見えるくらいだよ、ほんと」 ラオウは無敵の拳を放った。  その拳は男を葬るはずだった。その拳は誰であろうと止められない。  しかし、銀時は免れた。音速を超えるスピードを持つラオウの拳から免れる事が出来たのだ。はたしてどのようにして免れたというのか。  その秘密はラオウが拳を放つ瞬間にあった。 「おのれッ! 小細工を!」  銀時はラオウが拳を放ったその瞬間、隠し持っていた枕をラオウの顔面にぶつけたのである。  枕によって視界が塞がれたラオウは一足飛びで後ろに回避した銀時に拳を当てる事ができなかったのである。 ラオウは暗闇の中、窓から外へ出て一目散に走り去る銀時を見つけた。 「逃げるか! 小者めッ!」  ラオウは家屋の壁をまるで藁の家を崩すかのごとく破壊し、銀時を追った。 「き、来たァァァァァ! ちくしょうしつけェェェェェ、しかも」  ラオウが鬼の形相を浮かべ距離を縮めてくる。 「しかも速えんだよ! あの体型でなんで速いんだよ! 反則じゃねーか! あんなん反則だろォォォォォ!」  どうする? どうする? どうすんの俺!  全速力で逃げながら銀時は必死に生き残る道を探す。 (そうだ! 支給品だッ! 俺なんかめっさ弱いからごっさ強い支給品が入っているはず)  銀時はデイパックの中に手を突っ込んだ。 「はああああああ! いでよ核兵器! (せめてロケットランチャー)」  中から出てきたのはとても武器とは呼べない代物、蝶ネクタイである。 「ギャアアアアア! これで戦えというのか、これであの筋肉ダルマ殺せっていうのか! 殺し合いさせたいならもっと考えろあのジジイ!」 「ごちゃごちゃと五月蝿い羽虫め! くらえい北斗剛掌波!」  北斗剛掌波、掌から気を飛ばし、相手に触れることなく吹き飛ばすラオウの得意技である。 「うわあ何か来たあ!」  暗闇のせいかそれとも走りながら技を放ったせいなのか、剛掌波は銀時には当たらず地面を抉っただけだった。 (ヤバイ! こいつはマジでヤバイ!)  死力を尽くして逃げる銀時、全速力で追うラオウ。二人の姿はどす黒い闇に包まれた林の中へ消えていった。 ※  ※  ※ ここはゲームの舞台の東に位置する林である。 光一つない完全なる闇の中、巨人は静かに歩いていた。現在の巨人の表情は先ほどまでの闘志に満ち溢れた険しいものではない。 今の巨人の表情は静かで平和的。いや、戦いに飢えに飢えている男が獲物を逃してしまった屈辱をかみ締めている表情と言うべきか……。 「この拳王から逃げきるとはな……」 ラオウの言葉にはもちろん屈辱という感情が大量に詰まっていた。しかし、どこか尊敬の念もこもっているようにも思える。 そう、彼は侍を尊敬していた。自分から逃げ切った侍を強き者として、天へ上る踏み台として認めていたのだ。 この一言を最後に、覇者ラオウは新たな強敵を求め林の闇に飲まれていった。 「しかし、奴のあの身のこなし只者とは思えぬ。この拳王ごときが勝てる相手ではないな。もう駄目だ死のう」  と、木の上からラオウの野太い声が響いてくるがこれは当然ラオウが言ったセリフではなく、 「ったくよ、あんなバケモノどうしろっつーんだよ……。それにしてもすげーなこれ」  蝶ネクタイ型変声機を操る侍、坂田銀時である。 林の中に入り視界が悪くなった瞬間、銀時は木によじ登りラオウから隠れたのだ。驚く程強い悪運の持ち主である。 (あ~、ちくしょう。殺し合いたあ趣味の悪いゲームに巻き込まれちまったもんだな。  とりあえずあの筋肉ダルマから離れねえと。また会っちまうかもしれねえ。  名簿を見る限り新八と神楽、あとヅラもこのクソゲームに参加させられてるみたいだし……。とりあえず奴らと合流しねえとな) いつの間にやら酔いが醒めた銀時もまた、とりあえずの行動方針を立て、林の闇に飲まれていった。 【3-G 雑木林 一日目 深夜】 【坂田銀時@銀魂】 {状態}健康 多少の疲労 {装備}蝶ネクタイ型変声機(@名探偵コナン) {道具}支給品一式 不明支給品0~2(本人は確認済かも) {思考・状況} 1:とりあえずラオウから離れる 2:新八、神楽を捜す。ついでに桂も 3:このゲームをどうにかする 【ラオウ@北斗の拳】 {状態}健康 {装備}無し {道具}支給品一式 不明支給品1~3(本人は確認済かも) {思考・状況} 1:ケンシロウ、勇次郎と決着をつけたい 2:坂田銀時に対するわずかな執着心 3:強敵を倒しながら優勝を目指す |001:[[Two people meet you in a night town]]|[[投下順>第000話~第050話]]|003:[[主をもとめて]]| |001:[[Two people meet you in a night town]]|[[時系列順>第1回放送までの本編SS]]|003:[[主をもとめて]]| |&COLOR(#CCCC33){初登場}|坂田銀時|029:[[好きなら素直にスキと言え]]| |000:[[オープニング]]|ラオウ|030:[[A forbidden battlefield]]|

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