倒れるまで走るくらい、熱く生きてみたいから――DRAGON LOAD――

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倒れるまで走るくらい、熱く生きてみたいから――DORAGON LOAD――  ◆3OcZUGDYUo


主に白と赤の二色で彩られ、前輪の両側に明らかに異質なプロペラを、更に後部にスクリューを備え付け、
車体の前部にはXと文字が刻まれたバイク――クルーザーが大地を疾走する。
本来は人間の自由のため、正義のためにXライダーを乗せ数々の激闘に身を投じた
クルーザーであるが今は正義ではなく、人類を抹殺するという『星義』を胸に秘めた一人の現人鬼――葉隠散。
そしてXライダーの様な仮面ライダーになれるかもしれない一人の男――村雨良をその車体に乗せていた。

「…………散、汚水処理場を調べるんじゃなかったのか? 」
既に汚水処理場を通り過ぎて数分経った所で村雨は前方をその鋭い眼光で睨みつけながら自分の後ろに座っている散に訊ねる。
それもそのはずだ。確かに散はホテルで汚水処理場と変電所を調べたいと村雨に言い、
そのためにクルーザーは爆音を唸らせながら走っている。
だが散は先程目的の汚水処理場に着いたというのにろくに内部を調べる事もなく、
そのまま村雨に次の目的地、変電所に向かうように村雨に言いつけた。
一度散に負けた村雨に散の決定を覆す事は基本的には出来ないのでその時は黙って散の決定に従ったが、
ろくに説明をして貰えないまま目的も知らずに今変電所に向かっているわけである。
村雨の思考に散の行動に対して疑問が涌くのは不自然な事ではない。

「不服か? 良よ? 」
村雨の言葉を受け、散は微笑を浮かべる。
男とも、女とも取れる様な妖しさに満ちた顔はまさに地獄に咲く一輪の薔薇と呼ぶに相応しく、
村雨の首筋にしなやかにそれでいて力強さを重ね備えた右の人差し指を走らせながら散は村雨の問いに応える。

「!…………別に不満じゃない。俺は闘えれば…………それでいい」
散の温かい肌の感触を改造された肉体で感じ取り、その散の予想外の行動に多少
驚き、僅かに身体を震わせながら村雨は言葉を発する。
気を紛らわすために村雨は更にアクセルを強く踏み込み、その村雨の焦りを汲むかのようにクルーザーの速度は更に上昇していく。
そんな村雨の行動を後ろから散はさも可笑しそうに観察している。
まるで自分のペットにちょっと悪戯をして、その反応を面白がる飼い主と言った表現がしっくりくる状況である。

「しかし腑に落ちないのは無理もないであろう。
どうしても知りたいというなら教えてやってもよいが?」
「…………頼む」
ひとしきり村雨の反応を楽しんだ後、散が発した言葉に村雨が静かに応える。
依然、散の方向に振り返らず前を見つめたままに。

「簡単な事だ、この散と霞そして良よ。我らの力があれば最早敵はなし!
汚水処理場や変電所とやらがあろうとなかろうと我らの勝利には何も問題はあるまい。
まぁ初めの地で見た二人の大男、そして我が愚弟覚悟には少々手こずるかもしれんがな」
自信に満ちた表情で散は言葉を並べるが村雨の表情には微かに曇りが残っている。
ならば何故汚水処理場と変電所に向かうと言い出したのか?問題がなければそもそも向かう必要もないのではないか?
散の言葉に対する隠しようのない疑問がその無骨な表情に浮かぶ。
当然今、村雨はクルーザーを運転しているため散には村雨の表情を窺う事は出来ない。
だが散も村雨がこの説明で納得はしないと思っていたのだろう。
己の部下には愛を持って接する散。
己の大切な部下である村雨の疑問を浄化するため散は更に言葉を続ける。

「だが我らには人類の抹殺という目的はあるが何処かへ向かうという明確な目的の
地はあるまい。どうせ人類を抹殺するため我らも移動しなければならん。
それならば! 『ついでに』あの老人から渡されたこの地図に書かれている事が本当に確かである事かだけを確認していくのも一興であろう! 」
あくまでも『ついでに』とあっけらかんに散は村雨に言い放つ。
身を休める事や、隠れ家として敵からの発見を妨害する事など様々な用途に利用する事が出来る施設の存在。
これらの施設の利点など散の意には全く介さず、せいぜい身を清めるために先程のホテルの存在だけが辛うじて散の興味を惹いているだけだろう。
その理由はやはり自分たちの圧倒的な力から湧き起こる自信によるもの。
散の自信はそれほどまでにも強大であった。

「成程…………そういう事なら先を急ごう」
散の返答に頷き、村雨の心に生まれた疑問は急速に溶かされていく。
確かに散の言う通り自分達の力ならばどんな事でも何故かやり遂げる事が出来ると
自信を持ってしまう。
これも散の成せる業なのだろうか?
そんな事を思っているとふと思い出したかのようにある考えが村雨の脳裏を過ぎる。

(人類の抹殺か…………あの女はきっと…………泣くだろうな)
このバトルロワイアルに連れてこられる前、自分が人を殺すたびに目の前に現れ何も言わずに只泣いていた名前も知らない女。
どこか懐かしく、そして自分の事を知っていそうな女の存在を思い出す。

(また…………会えるといいのだがな)
村雨の淡い希望を乗せながらクルーザーはまもなくエリアA-8とエリアB-8の境界に
到達しようとしている。
目指すは変電所の確認…………決戦の時は刻一刻と確実に近づいていた。
◇  ◆  ◇

エリアA-8に存在する変電所。
その変電所一階の北東に位置する警備員室。
そこに錬金戦団戦士長を務める男――防人衛ことキャプテン・ブラボーが腕を組み、
窓の外に目をやりながら警備員室の備品である椅子に座っている。
そしてブラボーの正面数メートル先に位置するドアの傍に黒い学生服を見事に着こなし、
オールバックの少年――桐山和雄が椅子に座りながら眼を閉じて眠っている。
劉鳳が平賀才人を保護し、連れて帰ってくるまで特にする事がない二人は本来人間の活動に必要不可欠な睡眠の時間を設ける事にした。
そして今は年下の桐山が先に睡眠を取っていた。

(確かに桐山は若いわりに良く頭が回り、カズキとはまた違った意味で頼りになる男だ。
だが……この男の表情には変化が見られない)
ちらりと視線を眠っている桐山の方に向け
先程のとても中学生とは思えない冷静さ、そして考察。
桐山の話に思わず感心してしまったがブラボーは桐山の表情に全く変化がない事に違和感を生じた。
思えば会った時から目線が上の空というか生気を感じる事が出来ない。
大人の立場から言わせて貰えば多感な時期である中学生がこんな事では将来が不安になる。

(まぁ年上の俺に対して緊張感があるだけかもしれないな。
年齢が近いカズキや斗貴子と会えば何らかの変化があるかもしれん……
ふっ、やはりいいもんだ。若いやつの成長を見守っていくのは)
あまりに呑気な事を考えている自分に対して思わず苦笑を漏らしながらも再びブラボーは窓の外に眼をやる。
劉鳳達ではなく危険人物がいつ此処にやって来てもおかしくない状況に警戒を怠る程
戦士として堕落してはいない。
そう思いながら窓の外を見つめていたブラボーは距離が若干離れすぎているが
奇妙なバイクに乗った二人組が此方に向かってくるのを発見する。

(よく見えないが服装からして劉鳳達じゃない。
しかし彼らはホテルの方角から来ている…………一応情報を集めておくか)
無論危険人物である可能性もある。
だが、あまりにも遅い劉鳳達の到着が気にかかりブラボーはバイクに乗った二人組み
と接触するべく桐山を起こさないように静かにドアを開け、変電所の出口へ
駆けていく。
この状況を一言で……古代ローマで使われた言葉で言うならば……
『さいは投げられた』……そう言うのが相応しいだろう。
◇  ◆  ◇

「散……前方に一人。どうする?」
「我らの目的は人類の抹殺! ならば抹殺あるのみ! まぁ良のように見所がある者であれば考えてやってもよいな」
「わかった」
村雨と散は前方に見える変電所から真っ白なコートを纏った人物が此方に向かってくる事を確認する。
変電所の確認が出来た二人には最早変電所は風景の一部でしかない。
今二人の興味を引き立たせる存在は前方の人物のみ。
クルーザーを道の途中に停車させ、二人は大地をその両足で踏みしめ真っ直ぐもう数メートル先に居る人物の方角へ向かう。

「……悪いが劉鳳、そして平賀才人という男を知らないか? 」
先に口を開いたのはブラボー。だが彼の表情は暗雲のように暗い。
何故なら目の前の二人男女が醸し出す闘気は尋常ではなく、更に戦士としての本能が
自分にしきりに警告を発していた。
この二人は危険だ!そんな事を何度も。
何故自分がそう感じるかはわからない。しかし決して無視出来るレベルではない警告にブラボーは警戒を強めていた。

「人にものを訊ねる時は名くらい名乗るのが礼であろう」
ブラボーの問いには何も応えず散は両腕を組みながら逆にブラボーの名を訊ねる。
実際、礼の問題どうこうよりも散は純粋にブラボーの名に興味があった。
これから自分と死合を行う相手を知るために。

「……キャプテン・ブラボーだ」
「ふむ! なかなか良い名だ。この散も『ブラボー散』と名乗る事はまた一興かもしれん」
全く正反対の表情でブラボーと散は言葉を交わす。
ブラボーの表情は暗く、散の表情は明るいといったように。
特にブラボーの表情は更に険しいものになっていた。
いつもなら自分のブラボーな名を理解した人間が居たという事に喜びを感じる所だが
流石にそんな事が思える状況ではないからだ。
自分がこれほどまでにも警戒を露わにしているのに目の前の散という女の反応は何かがずれている。
それゆえ油断ならない存在だとブラボーは認識する。

「名前は名乗った。今度こそ知っている事があったら教えてくれ」
再び自分の質問をブラボーは散に催促する。
そしてブラボーの言葉を受けた散は…………笑っていた。

「知っておるぞ……まぁ才人を護る事が出来なかったあの男の名が劉鳳とは知らなかったがな」

散の言葉を受けてブラボーの脳に衝撃が走る。
(劉鳳が護れなかっただと……?才人という少年は……死んだというのか? )
最悪の結果を想像し、ブラボーの奇妙な帽子で隠れている表情は更に重みを増していき……
その表情は紛れもない怒りと移り変わる。

「……誰がやった? 」
静かに、だがそれでいてはっきりと怒りを乗せた言葉をブラボーは散にぶつけ――
「そこに居る良という男だ。なぁ?良よ? 」
ブラボーの言葉に篭った怒りという感情など全く気にも留めず散は村雨に向かって
同意を求める。
そしてブラボーの視界にコクリと散の言葉に頷き、桐山と同じように何も感情が
宿っていないような表情を持つ村雨が入ってくる。
この男が才人という少年を?まだこれから先楽しい事や、苦しい事を乗り越え未来を
手にする事が出来た少年を?
そこまで考えた所でブラボーの体は突然姿を消した……否、跳躍した。
村雨に向かって一直線に――
「流星!ブラボー脚!!! 」
己の怒り……そして絶やす事はできない『正義』を叩き込んだ。


「っ!貴様は!? 」
先程まで村雨が居た位置の大地は抉れ、そしてブラボーが驚きの表情を浮かべている。
そしてそのブラボーの視線の先には……赤と白、そして黒の三色で彩られた屈強な身体。
緑の複眼を持つ異形な存在――ZXが悠然と立っていた。

「そうだ俺は人間じゃない……見せてみろ!キサマの――」
「そこまでだ!良よ! 」
今にもブラボーに飛び掛りそうなZXの発する言葉を散はZXに対して背中を向け、右腕を
天に掲げたまま強引に中断させる。

「その身のこなし! そして徒手空拳の技術! まさにこの散の相手に相応しい!
お前の相手はこの散がやってやろう!」
そういい終わるや否や散は瞬着を完了させ……一輪の薔薇がこのバトルロワイアルという地獄に再び咲き乱れる。
散が霞を一瞬のうちに着装した事に驚き、思わず動きが止まったブラボーに容赦なく
散の身体の回転を存分に利用した左足での回し蹴りが直撃。
即座にブラボーは防御の体勢をとるがあまりの勢いに数メートル後方に位置する変電所の壁に激突する。

「よって手出しは無用! わかったな良よ? そして……そこに隠れている小僧よ! 」
右の人差し指を壁に打ち付けられたブラボーの方に……いや、僅かに左に位置する変電所の出口の方を指差し散は声高らかに言い放つ。
そして散、ブラボー、ZXの三人の視線が出口に注目する中、この一連の騒ぎの最後の
役者……桐山和雄が支給されたレミントンM31を携えながら現れた。

「何をやっている桐山! 何故出てきた! 」
「…………それはこっちの台詞だ」
素早く体制を整えなおしたブラボーの言葉を軽く受け流し桐山は状況を整理する。
実は言うと何か物音がし、眼を覚ました所ブラボーが外で二人組の男と話していたのを
警備員室から見かけ、万が一のために銃を持って桐山は出口に着いたばかりであった所を
散に指名され今こうして外に出ているわけである。
完全には状況を掴めないが劉鳳とは違い自分からいざこざを起こさないと考えられるブラボーの性格を考慮して
桐山は散とZXを敵と断定――レミントンの引き金を引く。

恐ろしい速度で散に向けて撃ち出される銃弾。
だが散は……一歩も動く事無く霞の外殻で受け止め、何も効いている様子は見られなかった。
これには桐山も口を微かに開け、散の方向一点だけを見つめていた。

「この散に刃向うという意気はよし! だがこれ以上刃向かうというのならば……良よ! 」
その散の言葉を受け、ZXは両膝に内蔵された衝撃集中爆弾を取り出しそれをブラボーと桐山に見せ付ける。
勿論それが何かは二人にはわからない。
だが自分達にとって都合の悪いものであるとは予想は付き、恐らく爆弾の類だろうと推測する。
そうでなければこの状況で出す理由が見当たらない。

「わかった…………ブラボー。悪いが…………任せる」
もしかして只のブラフかもしれない。
しかし今の手持ちで最高の武器であるこの銃が効かない今自分に出来る事はないだろう。
ならばここでリスクを犯してまでも自分は手を出すべきではない。
劉鳳達が救援にくるまで桐山はこの場をブラボーに任せる事にした。

「任せろ桐山。俺もお前に闘わせる事はさせん!
闘うのは……このキャプテン・ブラボーの役目だ!!! 」
そう叫び、ブラボーは散に向かって突撃し再び闘いに身を投じていく。

「ふふん!そうこなくてはな! 」
対する散も嬉しそうにブラボーに向かって疾走する。
そして散のすぐ傍に居たZXは衝撃集中爆弾を掲げたままどこか物足りない様子だった。
まるで大好きな玩具を取り上げられた子供のように……。

「はあぁぁぁっっっ!」
体重を乗せたブラボーの右ストレートが強化外骨格霞によって覆われた散の顔面に
向かって撃ち出される。
だがブラボーは手応えを全く感じない。
それもそのはず、ブラボーの右の拳は散が即座に体を屈めた事によりどこまでも
広がる大気の一部分を揺らす事しか出来なかったからだ。

「覇ーーーっ!」
ブラボーに接近した散がその柔軟な動きを利用して仕掛ける。
左足を軸にして大地を踏みしめ、空いた右足を華麗にブラボーの鳩尾に向かって突き出す。
その右足がブラボーの身体を貫こうとする瞬間、身体の軸をずらす事でなんとかブラボーは散の右足の脅威を回避。
そして散が自分の横を通り過ぎていく中で両腕を自分の腰の高さまで落とし――
「そこだ!粉砕!ブラボラッシュ!!! 」
数々の激闘の中で鍛え抜かれたその両腕を高速で前後に移動させ、同時に両の拳に
力を込めまるで流星のように無数の拳が散の全身に叩き込まれるが……
霞の外殻を一瞬だけへこませただけで散の肉体に傷を付ける事は叶わなかった。

「何ぃ!」
「ふっ!霞を甘く見るでない! 」
例え首輪の制限により強度は脆くなっているといえども強化外骨格霞の装甲は展性チタン合金。
ダイヤモンドよりも硬く、どんな衝撃を受けても金属では考えられない展性により衝撃を分散する性質を持つ展性チタン。
シルバースキンがないキャプテン・ブラボーにとって霞を撃ち破るのは途方もなく困難なことであった。
そして攻防は表裏一体……散がこのまま黙っているわけはない。

「それ!こんどはこの散の技を受けてもらうぞ! 」
そう言って散は大地を蹴り跳躍、更に――
「超旋回! 」
空中で自動車の車輪のように縦の方向に高速で散は回転を開始する。
散の奇妙な動きに再びブラボーの戦士としての本能が警鐘を鳴らす。
回避するか!? それとも受け流すか!? 己の次の行動をブラボーは思案する。
だが……当然散は待ってくれない

「千脚!!! 」
地上と較べて不安定な体勢を取らざるを得ない空中で僅か0,07秒間の内に9撃という
常識ではあり得ない連続蹴りを繰り出す千脚がブラボーの身体を容赦なく襲う。
咄嗟に避わす事は己の両腕で受け流す事を決めたブラボーはホムンクルスの激闘で培った類まれな身体能力を駆使し、
散の千脚に立ち向かうが……。

「ぐはぁ!」
シルバースキンを模したコートにブラボーの口から吐き出された赤い血痕が滲む。
流石のブラボーも千脚の尋常ではない速度を見切る事は出来ず、僅か1、2撃の散の蹴りを防ぐことしか叶わなかった。

「どうした!?おまえのその奇妙な服は見かけだおしか!? 」
ブラボーの身体に千脚を喰らわせたそのままの勢いでブラボーの頭上を飛び越え、
優雅に大地に着地して思わず膝をついてしまったブラボーの方を振り向きながら散は
言い放つ。

「確かにこれはシルバースキンを真似た只のコートだ……だが!ここで諦める俺じゃない!錬金の戦士をなめるな! 」
大地についた膝を手の平で叩き、ブラボーは己を奮い立たせ散の方へ向き直る。
ブラボーの両眼には未だ絶望の二文字は存在しない。
だが逆にブラボーの言葉を受け、散の両眼には絶望ではなく落胆という二文字があった。
だがその二文字もすぐ消え去る事になる。

「シルバースキンとやらが無ければ全力が出せんか!よいだろう!ならばこの散も! 」
そういって散は霞の装着を解除、代わりに零式鉄球聖衣形態を身に纏い更に言葉を続ける。

「これでお互い全力は出せまい!勝利が決まっている死合などはこの散には意味なきことよ! 」
右腕を水平に横に伸ばし、マントをたなびかせながら左腕を天に向けて真っ直ぐ右腕と
同じように伸ばす――零式防衛術天地の構えを取りブラボーと対峙する。
散の表情は実に生き生きとして精気溢れるものである。
そしてその散と向き合っているブラボーは……帽子を後方に投げ捨て、シルバースキンを
模したコートの襟を勢い良く下ろす。

「あまり同じ事は二度も言いたくないが…………錬金の戦士をなめるなぁぁぁ!!! 」
顔一色を激情に染め、ブラボーが咆哮をあげる。
あからさまな散の自分に対する手加減にブラボーの戦士としてのプライドに火がつく。
ブラボーも武藤カズキや劉鳳と同じでどちらかというと理屈より感情で動くタイプであり、
散もまた同じタイプである。
ならばこの二人が取る行動は当然――
「いくぞ!!! 」 「逝くぞ!!! 」
目の前の相手を打ち倒すことしかない。


ブラボーと散が熾烈な闘いを繰り広げる中、村雨は目の前で起きている激闘を凝視している。
先程の劉鳳という男とは違い散と闘っているブラボーという男は特に奇妙な能力はなく、只の人間のようだ。
だが、散が霞という鎧を着けていないとはいえ未だ散と闘っている事から相当の実力者だと村雨はその頭脳で認識する。

(……闘いたい)
あまりに簡潔な言葉で表現出来る村雨の感情。
闘うことで何かを思い出せる気がしてならないZXにとっては無視できない程重要なものである。
しかし今、ZXの感情には闘争への欲求という感情の他に興味という感情も見え隠れしていた。
その対象は変電所の出口の傍で村雨と同じような眼で、表情でブラボーと散の激闘を眺めている桐山である。

(似ている……俺と)
この身体に改造される前の記憶が全くなく、文字通り空っぽの存在であるZX。
そんな彼は表情を一切変えずに、眼の焦点はどこか定まらず常にうわの空を向いていて、
感情のようなものが何も感じられなく自分と同じ、まるでマシーンそのものであるかのような存在である桐山に妙な親近感が涌いていた。
キサマも俺と同じで記憶がないのか?俺達はどうしたらいい?どうすれば記憶を取り戻せられる?
思わずそんな事を問い掛けたい程桐山の全ては自分に似ている錯覚にZXは陥る。
◇  ◆  ◇

ZXがそんな事を考えている内にブラボーと散の激闘は続いていた。
片方が片方を殴ればその片方が殴る、もしくは蹴り返す。
そして片方が片方の拳や蹴りを避わしたと思えば、その避わした方が瞬時に反撃。
そんないつまでも終る事がなく、激しい攻防をブラボーと散は繰り返す。
だが勝負の勝敗は一瞬で決まるもの……実力者同士であるならば尚更だ。

「ふふん! この散相手によくぞここまで! だが最後に勝つのはこの散だ!」
ブラボーとの闘いで生まれた若干の疲労を全く気に止めず散は目の前で自分と闘っているブラボーに言い放ち、
散は一瞬の動作でブラボーと距離を更に詰め、自分の身体を一気に落とす。

「何! 」
今まで上半身への攻撃しか行ってこなかった散の突然の下方への動作。
ブラボーが驚いた時にはもう遅い。
ブラボーの両足を散は素早く己の足で払う。
支える力を失ったブラボーの身体は一瞬宙に浮かざるを得なくなるが……散にとっては充分すぎる一瞬。
そのまま散は己の身体を回転……その回転により生まれた遠心力を使い、
振り向きざまに左足を天高く掲げながら宙に浮いたブラボーの胸に叩き込む。

「くっ! 」
とっさに両腕を交差してブラボーは散の強烈な左蹴りの衝撃を抑えるが後方へ吹き飛ばされる……そこに散の狙いはあった。

「そこだ!千手攪乱撃! 」
宙に浮いたブラボーの身体に高速で繰り出すことにより発生した散の無数の掌が襲う。
空中で懸命に両腕を揮い、散の無数の掌をブラボーは防いでいくが……ついに一つの掌がブラボーの身体を捕らえた。
その瞬間散の口角が上がり、散の表情には歓喜の色が見えた。

「さぁ野に漂う醜い蛾のように飛んで逝け! キャプテン・ブラボーよ!弾!!! 」
散がそう叫んだ瞬間ブラボーの身体が縦に、横に、あらゆる方向に回転。
最早常識では有り得ないような回転をしながらブラボーの身体は弾き飛ばされ、
再びしたたかにブラボーは背中から変電所の壁に叩きつけられる。
そしてその好機を見逃すことは散がしないはずはない
左螺旋の構えを取り散は声高らかに叫ぶ。

「最後はこれだ! 螺螺螺! 」
弾き飛ばされたブラボーに向かって散は加速。
大地力を深く腰を落とすことで手に入れ、捻りを加えつつ足の裏から腕に伝達し、
弓をいるかのように捻りを開放しながら蓄えた力を己の掌を相手に密着させる。
そして相手の体内に爆発させた力を流し込む事で相手の内臓に衝撃を与え大蛇のようにのたうちまわらせる、
零式防衛術打撃系必滅技螺旋を散は繰り出そうとする。
最早ブラボーと散の距離はそう離れたものではなかった。
散がブラボーに向かって左腕を繰り出す。

だがそれを――
「待て…………」
一人の男の声が遮り、その声の主以外の者全員が各々の行動を止め、その主に視線を移す。

「何用だ? 確かお前は……」
散が左腕を伸ばしながら、その声の主に向かって訝しげに問う。
その声の主は――
「桐山…………桐山和雄だ…………」
感情といった感情は込めていないが、力強い口調で声の主……桐山ははっきりと散の言葉に応える。

「ふん! お前はこのキャプテン・ブラボーとの死合が終わってから抹殺してやろう」
「……そうだ。桐山!俺に任せろ……」
先程自分に銃弾を浴びせてきた桐山に対して散は確固とした『弱者』という認識だったため桐山も言葉をあしらう。
その理由は自分に向けて銃を使った事。
腕に自信があるならば銃に頼ることもないからだ。
対してブラボーは純粋に桐山を危険に晒したくないという強い意志から言葉を発した。
そしてZXは桐山の行動を注意深く観察している。
まるでもう一人の自分を見ているかのように。
そして三人の視線が未だ集まる中桐山は再び言葉を発する。

「どうせ闘うのなら…………強い方が良いだろう? 」
桐山の意味不明な言葉に三人の表情が歪む。
そしてそれは……
「「「何!!! 」」」
驚きに変わった。

「…………俺が相手になる…………」
レミントンを放り捨て、右腕を水平に横に伸ばし、
左腕を天に向けて真っ直ぐ右腕と同じように伸ばす――零式防衛術天地の構え。
先程散がやったように桐山が構えを取ったからだ。
目の前の只の人間が己の零式防衛術を形だけとはいえ短時間で真似た。
その有り得ない事実に散の思考は思わず停止してしまう。
そしてその僅かな時間に桐山は大地を蹴り跳躍し――
「…………」
蹴りの速度は散のものに較べて段違いに遅いが僅かな時間で無数の蹴りを繰り出す
千脚を桐山は繰り出し、その全てが散の身体に吸い込まれるように撃ち込まれていった。
先程の散のように千脚の勢いがついたまま桐山は散の後方へ着地。
悠然と散の方をその何も宿っていない両眼で見つめる。
そして桐山の全ての蹴りを受けた散の表情は……怒り一色に染まっていた。

「零式防衛術を真似るとは……ど許さぬ!お前はこの天上天我零式防衛術葉隠散が必ずや
地獄へ叩き落してくれる!!! ]
「…………勝負だ」
新たな闘いが今巻き起こり、散と桐山は互いに接近する。

「俺を忘れるな散!……くっ! 貴様!? 」
「邪魔をするな…………これは散と桐山の闘いだ」
散と桐山の闘いに介入しようとしたブラボーをいつの間にか近寄っていたZXがブラボーの身体を羽交い絞めにし、動きを殺す。
別に散に言われたわけではないがZXは咄嗟に動いた。
それはZXさえも理由はわからない。
只この闘いを見届けたかっただろう……自分と近い存在である桐山の闘いを。
そしてブラボーとZXを置いて散と桐山の闘いは始まった。
◇  ◆  ◇

桐山和雄は幼い頃から俗に言う『天才』だった。
どんな事でも直ぐにコツを掴み、その道に数年を費やしてきた達人と同じ領域に達する事など普通は有り得ないだろう。
だが桐山は出来た。
それが桐山和雄だ。
しかし――
「どうした!? やはり所詮盗人か!? 」
耐え難い怒りを表しながら散の拳、蹴、掌が桐山の全身を容赦なく襲う。

「…………」
対して桐山も先程ブラボーと散がやっていたように拳、蹴、掌を放つが散の身体には全く当たらず、
逆に殆どの散の打撃を貰っていた。
全ての格闘術を凌駕した最終格闘技零式防衛術……流石にこれを短時間で完全に習得するのは桐山には到底無理な事だった。

「まだまだこの散の怒りは収まらん! 簡単には死なせんぞ! 」
更に桐山の全身に散は打撃を与える。
自分の怒りを発散させるため即死させず、ジワジワと桐山の命の灯を削っていく。
やがて桐山の口から赤い鮮血が大地に向かって流れ落ちた。

「桐山! 」
ZXの身体から必死に逃れようとしながらブラボーは叫ぶ。
だが散との闘いで疲弊した身体は鉛のように重く、ZXの改造手術によって与えられた驚異的な力が遮る。

「…………」
そしてZXは一言も喋らず只桐山が散に叩きのめされるのを見つめている。
(やはり俺達のような何もない者が散に勝つのは無理か…………)
どこか残念がった様子でZXは心の中で思う。
桐山は自分の味方、散の敵であるというのに。

「…………! 」
遂に桐山の膝が大地に屈し、桐山の身体が崩れ落ちる。
だが散は容赦なく崩れ落ちた桐山の鳩尾に鋭い蹴りを叩き込む。
赤い飛沫が桐山の口から放たれ、散の蹴りの反動で桐山の身体が仰向けの体勢になる。
全身に力を入れ、桐山は表情を変えずに立ち上がろうとするが首根っこを散の右腕に掴まれる。
そしてそのまま散はまるでゴミを捨てるかのように片手で桐山を軽々と投げ飛ばした。

「そろそろ地獄に真逆様よ桐山! 螺螺螺! 」
遂に先程ブラボーに放とうとした、劉鳳の絶影を粉砕した技――螺旋を繰り出すべく散は左螺旋の構えを取り、桐山にむかって突撃する。
既に満身創痍の身体である桐山に螺旋を防ぐ手は……ない。

「くっ!……うおおおぉぉぉっっっ!!! 」
ブラボーがありったけの叫びを上げ、渾身の力でZXの身体を振りほどき、
強烈な打ちをZXの脇腹に叩き込み、桐山を救うべく一心不乱に駆け出す。
ブラボーの後ろではZXが呆然と立ちすくみながら事の成り行きを見守っているが最早そんな事は彼の頭からとっくに抜けている。
一秒でも早く、桐山の元に向かい彼を助ける。
その事のみがブラボーの身体を突き動かしている。
だが散が桐山を投げ飛ばした事でブラボーと桐山の距離は近くない。

(俺は今度こそブラボーな……ブラボーな仲間を死なせはせん! そう誓ったはずだ!!! )
ブラボーと散がその胸に宿る意思は違えども、同じように別の方向から桐山に近づく。
そして――
「桐山ぁぁぁぁっっっーーーーー!!! 」
「螺旋――――――――――――!!! 」
二つの声が激突した。
◇  ◆  ◇

エリアA-7をクルーザーが走る。
運転するのは変身を解いた村雨、そして後部座席には零式鉄球聖衣形態を纏った散が座っている。
「いいのか?…………あの男を殺さなくて?
「よい。奴はもう闘えん。それに死合というのは互いに全力でやるもの。
キャプテン・ブラボーがシルバースキンとやらを手に入れるまでお預けだ」
村雨の質問に散がいつもと変わらない様子で応える。

「そうか…………」
村雨もいつものように短く応えクルーザーを更に走らせる。
だがここからはいつものようには行かなかった。
しばらくクルーザーを走らせた後、急に村雨はブレーキを踏んだ。

「どうした?良よ? 」
当然涌きこる疑問を散は村雨に問う。
その疑問に良は背中を向けたまま散の疑問に応える。

「散…………俺は一人で行動したい」
「……劉鳳やキャプテン・ブラボー、桐山の影響か?良よ? 」
どこか村雨の言いたい事が予めわかっていたかのようで、それでいて呆れた様子で散は村雨の真意を訊ねる。

「そうだ…………特に桐山は俺に似ていた。
空っぽで…………何もない。このバトルロワイアルには様々なやつが居る。
ならばそんなやつらと闘い続ければ…………俺の記憶が……」
先程の散とブラボー、桐山との闘いを見たことに最高まで高められた闘いへの欲求。
散と二人では先程のように見てるだけになる時もある。
そんな事はもう村雨には耐えられない事だった。

「そうか……よかろう良よ!ただし条件がある! 」
背中越しから村雨の強い決意を感じ取り、そう言って散はクルーザーから飛び降り、自分の地図と村雨の地図を広げる。

「ではこの散が西を、良が東の施設の有無を調べる。
そして今から半日……十二時間後に丁度中心となるこのエリアD-4の消防署とやらで落ち合う事でよいな?
この散はお前の記憶を取り戻すと誓ったのだ! このぐらいは我慢してもらうぞ! 」
そう言って散は村雨の地図を渡し、足早に北に向かう。
全く振り返らずに。

「すまん散…………必ず十二時間後に」
そういって地図をズボンのポケットに仕舞い、村雨はクルーザーを東に向けて走り出させる。
当ての無い自分の記憶を求めて。

しばらく歩いたところで散は後ろを振り向く。
クルーザーがどんどん小さくなっていくのを散はその両眼で視覚する。
やがて誰に言うわけでもなく散は言葉を発する。
「良よ……この散の心は風。何事にも流されずただ吹きぬけてゆくだけ!
お前の記憶が戻り、もしこの散の星義を邪魔する事があるなら私は容赦しない。
お前の進む道はその両の足で踏みしめ、そしてお前の意志で決めよ……村雨良! 」
そう言って散は再び歩き出す。
その散の表情はまるで子供の旅立ちを見送る親のようなものであった。
◇  ◆  ◇

エリアA-8の変電所の前でキャプテン・ブラボーが仰向けに倒れ、
果てしなく広がる大空に顔を向けている桐山の傍に座り込んでいる。
そして桐山の口元には赤々しく、とてもグロテスクな……人の内臓が横たわっていた。

「すまん桐山……俺は……」
桐山が散の螺旋を腹部に受けた瞬間、ブラボーの戦意は喪失した。
戦士としては有るまじき行為であるが桐山は錬金の戦士ではなく、只の中学生でしかも自分のせいでやられたようなものだ。
人一倍子供が死ぬ事を嫌うブラボーは桐山を治療する事しか頭には無く、散が桐山に螺旋を放った後
『さぁ! 次はお前の番よ! 』
と自分にいった言葉には何も反応せずに直ぐに桐山の元へ向かった。
それほどまでにもブラボーは桐山の受けた傷の方が心配だったからだ。
そして桐山の口から……彼の体内に存在していた内臓が顔を見せた瞬間……ブラボーの慟哭が周囲に響き渡り、
そのブラボーを見て散とZXは最早ブラボーが闘えないと判断し、クルーザーに跨り北へ疾走した。

大粒の涙を落としながら必死にブラボーは謝る。
今までホムンクルスとの激闘で部下や仲間が死ぬのは何度も見てきたブラボーであったが
やはり彼は自分たちとは違う一般人……特に子供が目の前で死ぬのには慣れなかった。
まだ桐山とは交流は深くなかったが彼もブラボーの保護対象の一人であることには変わりない。
いくら謝っても今更意味がない。
そう思うが自分自身の不甲斐無さ、そして桐山への絶え間ない罪悪感にブラボーは謝れずにはいられなかった。

「…………これで……いい」
そんな時桐山が呻く。
依然表情は変わらないがはっきりと解かる程苦しそうに口を動かす。
だがその言葉の意味はブラボーにはわからない。

「ばかな!こんなことになっていいわけがないだろう! 」
思わず桐山に向かってブラボーは荒々しく怒鳴るが、桐山は全く動じない。
いや、もう動じる力も残されていないのだろう。
だが桐山は構わず話を続ける。

「お前には…………シルバースキンという…………武器があるんだろう?
なら…………お前は死んではならない…………シルバースキンを手に入れ…………このプログラムを潰せ…………」
「なっ!……そのためにお前は自分の身を挺して俺の代わりに闘ったのか!? 」
桐山の言葉に驚愕の表情を浮かべ、ブラボーは叫ぶ。
途中プログラムという聞きなれない単語が飛び出てきたがそんな事は関係ない。
自分のような錬金の戦士と違い、闘いとは無縁の存在である桐山の口からそんな言葉が出るとは夢にも思わなかったからだ。
更に桐山の言葉は続く。

「当然だ…………俺はこのプログラムを潰すと…………決めた。
なら俺よりお前の方が…………生き残る事で…………潰す確率が上がるならば…………やらない……理由はな……い…………」
とてもゆっくりと、淡々と桐山は自分の意思をブラボーに伝える。
瞬きは殆どせず、瞼を一定の間隔で開け、やはり表情は変えずに。

「桐山……お前にはいつも驚かさせられる……絶対にお前を死なせはせん!
お前のその覚悟……ここで朽ちるべきじゃない!!! 」
実際には桐山の覚悟は只のコイントスで決めたわけだがそんな事をブラボーが知るわけも無く、
まさかそんな理由で桐山が動いていたとは想像も出来ない。
己の身体を省みずこの殺し合いを潰すために闘った桐山にブラボーは感嘆を覚え、
何かに使えると思い警備員室から水を持ってこようと即座に立ち上がるが――

「これを…………持っていけ…………きっと役にた…………つ」
桐山のその言葉にブラボーの動きは止まる。
そしてブラボーの視界にヌルヌルとした液体に塗れたDISC――空条承太郎の記憶DISCを桐山が震える腕で差し出しているのが入ってくる。
散の螺旋を受けた事で偶然にもDISCは体外に飛ばされていた。

「それはお前が持っていろ桐山。お前と頭で張り合っては分が悪いからな」
少し自虐的に言ってブラボーは再び立ち上がろうとするが……桐山の腕が力なく大地に落ちた。
その目の前で起きた現実にブラボーは思わず身体を硬直させる。
そして――
「ブラ…………ボー………………つぶ………せ…………」
数に直したらとても短い言葉。
だがそれでいてブラボーにとっては永遠のように長く感じた言葉。
螺旋を受けてここまで命を保つことが出来たのは一種の奇跡と言えるだろう。

「なっ!…………ううう――」
だが誰一人としてその奇跡を喜ぶ者は居ない。
そんな事は当たり前だ。
「うううおおおおおあああぁぁぁぁっっっ!!!!! 」
コイントスで己の決意を固め、これといった異能は持ち合わせず、人外の者と臆せず最後まで闘った数奇な運命を辿った男――
桐山和雄がこれまた最後まで安らかでもなく、苦痛に塗れたわけでなく、何も感じられない程の無心の表情で永眠したのだ。

エリアA-8の変電所前でブラボーの慟哭が続く。
その慟哭は…………まだ終わりそうに無い。

【桐山和雄@BATTLE ROYALE:死亡確認】
【残り43人】

【A-8 変電所前/1日目 昼】
【防人衛@武装錬金】
[状態]:深い後悔、疲労大、全身、特に背中にダメージ有り
[装備]:シルバースキン形コート@武装錬金
[道具]:支給品一式、スタングレネード×2、色々と記入された名簿、空条承太郎の記憶DISC
@ジョジョの奇妙な冒険
[思考・状況]
基本:弱い者を守る
1:第二回放送を聞く。
2:劉鳳を待つ
3:散と村雨を追いかけ、決着を付ける
4:錬金の戦士・パピヨン・カズマ・シェリス・三村・川田、核鉄を探す。
5:勇次郎・拳王・ジグマール・DIOには警戒。
6:桐山の意思を受け継ぎ、DISCについて考察する

[備考]
※名簿に青い丸印が付けられているのは、
カズマ・劉鳳・シェリス・桐山・杉村・三村・川田・才人・ルイズ・防人・カズキ・斗貴子
赤い丸印が付けられているのは、ジグマール・DIO・アーカード
緑色の丸印が付けられているのは、蝶野
※2と3、どちらを優先させるかは後の書き手さんにお任せします。
※桐山のデイパック(内容は支給品一式、レミントン M31の予備弾24、劉鳳の名簿の写し、スタングレネード×2、
お茶葉(残り100g))が警備員室に、レミントンM31(2/4)が変電所前に放置されています。

【A‐7 南部/1日目 昼】
【葉隠散@覚悟のススメ】
[状態]:右腕負傷 全身に中程度の負傷 中程度の疲労 右腕と右太ももに浅い裂傷
[装備]:強化外骨格「霞」(右腕部分に亀裂、右手掌部を破損、全身に小ダメージ)
[道具]: 支給品一式(散&村雨。デイバック一つにまとめてある)、不明支給品1~3品(村雨&散。確認済み)
[思考]
基本:人類抹殺。
1:エリアA~D全域を探索し、ついでに施設の有無の確認。
2:人間を殺す。しかし、村雨のように気に入った相手は部下にする。
3:村雨の記憶を必ず取り戻してみせる。
4:才人のマスターのルイズに興味有り。ブラボーに僅かな執着心。
5:マリアを殺すのは最後。
6:十二時間後(約零時)に消防署の前で村雨と落ち合う。
[備考]
※施設の確認はあくまでも『ついで』なのでそれほど優先度は高くありません。
またどのような経路を辿ってゆくかも後の書き手さんにお任せします。

【A‐7 東部/1日目 昼】
【村雨良@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:疲労回復、全身に裂傷 、闘いへの強い欲求
[装備]:クルーザー、十字手裏剣(1/2)、衝撃集中爆弾 (2/2)
[道具]:地図、時計、コンパス
[思考]
基本:殺し合いに乗る。
1:エリアE~H全域を探索し、ついでに施設の有無の確認。
2:劉鳳と次に会ったら決着を着ける
3:十二時間後(約零時)に消防署の前で散と落ち合う。
4:散の愚弟覚悟に興味あり。
[備考]
※参戦時期は原作4巻からです。
※村雨静(幽体)はいません。
※連続でシンクロができない状態です。
※再生時間はいつも(原作4巻)の倍程度時間がかかります。
※衝撃集中爆弾の威力は制限で弱められています。
制限の程度は後の書き手さんにお任せします
※施設の確認はあくまでも『ついで』なのでそれほど優先度は高くありません。
またどのような経路を辿ってゆくかも後の書き手さんにお任せします。

107:DIOの奇妙なバトルロワイアル~帝王は手段を選ばない~ 投下順 109:ギャラン=ドゥ ジグマールのバトルロワイアル
107:DIOの奇妙なバトルロワイアル~帝王は手段を選ばない~ 時系列順 109:ギャラン=ドゥ ジグマールのバトルロワイアル
105:桐山の戦略 桐山和雄 死亡
105:桐山の戦略 防人衛 138:遥かなる正義にかけて
099:明日を生きる君に 葉隠散 112:『Freaks』
099:明日を生きる君に 村雨良 131:戦闘潮流


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