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「贖罪の拳、煉獄の炎」(2008/08/16 (土) 23:09:08) の最新版変更点
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**贖罪の拳、煉獄の炎 ◆S52NT51/9g
「つまりだ、あの野郎は折角仲直り出来た、俺の親友であるシンジを、殺してくれやがったんだよ!」
民家の屋根の上でジョセフは、ありのまま起こったことを、劉鳳に話し終えた。
二人の眼下には服部が、さながら振子のようにクレイジー・ダイヤモンドで
周囲の物を何度も何度も、破壊と再生を繰り返させている。
「そうか……」
劉鳳の口から、彼らしくない苦汁に満ちた声が響いてくる。
服部は、罪の無い守るべき少年である三村信史を殺した。
それが犯罪者すら殺さない世界からやって来た服部を、どれだけ苦しめているか劉鳳にも痛いほど判る。
しかも劉鳳は、三村信史を殺した人間が「悪」であると、服部を前に断言した。
その言葉はナイフの様に服部の胸を貫いたのは、想像に難くない。
「だから、俺はあの野郎をしこたまぶん殴る、当然だろーが!」
「それでも服部は、本来は罪の無い人間を、殺すような男ではない!
誤った行動を取ってしまったとしても、大切な俺の仲間だ! 俺は服部を救う」
ジョセフの体がわなわなと震えていき、徐々に怒りが体から漏れ出て行く。
「仲間だと……ふざけたこと言ってんじゃねぇ!」
満身創痍であるはずのジョセフの拳が、劉鳳の頬を捉える。
強烈な一撃を受け劉鳳の足元が大きく揺らいだ。
劉鳳はふと思い出す、立浪の一件を受けてカズマと、戦ったあの時を
そうあの時は立浪が、罪の無い少女を殺し、カズマも怒りを露にして殴ってきた。
似ている。この男とカズマは、実に良く似ている。そう劉鳳は感じた。
「服部のミスは、謝罪する……、お前の怒り、そして今の一撃を受け止める、
だが服部は、このふざけたゲームを壊そうと戦ってきた仲間だ、だから……頼む、ここは力を貸してくれ」
劉鳳の視線が、真っ直ぐジョセフを貫く、彼が信奉する絶対正義を表したかの様な、激しくそれでいて誠実な視線だ。
その視線を見てジョセフは思い出す、数時間前に分かれた中性的な顔立ちに、熱い闘志を宿していた少年。
そして自分を救うために、命を掛けた波紋の戦士を。
「たくっ、良い目をしやがる、あいつらを思い出しちまうじゃねぇか、いいだろOKだ、ここは協力してやる。
あいつは、たぶんシンジが使っていたスタンドDISCを、入れたせいでああなっちまってるんだろう。
俺には、あいつの頭ぶん殴れば、あいつが今頭に入れている、スタンドDISCを出すことが出来る。
だからてめぇが、あいつのスタンドを止めろ」
「感謝する」
「ただし、これが終わったら今度は、こっちの用事を手伝ってもらうぜ」
「いいだろう」
「行くぞっ、絶影っ!」
スタンドのダメージは、本体へフィードバックしてしまう。
ならば劉鳳はカズマにどこか似たジョセフが何とかしてくれと信じて
絶影で、スタンドを傷つけずに引き付けるしかない。
それはただ相手を、倒すのに比べれば遥かに難しい。だが他に方法は無い。
屋根から降り立った絶影に、スタープラチナとも殴りあえる、クレイジー・ダイヤモンドの拳が迫る。
劉鳳のアルター絶影は、カズマとは違い、相手と殴りあいをすることで、真価を発揮するアルターではない。
殴り合いを行えば不利は明らか。だが今絶影でクレイジー・ダイヤモンドを、斬ってしまっては服部を傷つける。
ならばと、近距離での殴り合いを行いつつ、体捌きで本体である服部から遠ざけんとする。
だが劉鳳は知らない。クレイジー・ダイヤモンドは近距離パワー型、服部から遠ざけるにはあまりに射程は余りに短い
服部と遠ざけようと動いてもクレイジー・ダイヤモンドはそう簡単には遠ざかってはくれない。
結果離れさすこともできず、アルターとスタンドはただ殴り合いを続ける。
クレイジー・ダイヤモンドの右手が迫る、対する絶影は身を屈め、拳は宙を切る。
続いて迫りくるは左手、岩をも砕く一撃を、絶影は屈めた体を伸ばし、後ろへ飛び退く。
服部との間に、距離が開く。だがクレイジー・ダイヤモンドは、番犬の様に服部の傍から離れない。
絶影が再び間合いを詰める、応じてやってくるのはカウンターの中段蹴り。
屈んで避けるのは不可能、宙へ飛んで避けてしまっては、隙が出来る。
「早いっ」
すんでのところで、触鞭を使い打ち払うが、蹴り足を完全に避けきれず、絶影の体をかする 。
かすっただけの一撃でありながら、絶影の体を削り取る威力に、劉鳳は舌を巻く。
打撃の間合いに入った絶影を待っているのは、絶影の触鞭を使っていても、全てを避けきる事の出来ない怒涛の連撃。
このまま戦うのは圧倒的に不利、そんなことは劉鳳にも判っていた、だがそれでもこれしか手はない。
劉鳳はそう信じて、拳を払い、蹴りを捌き、アルター削られようとも戦い続ける、全ては友を救うために。
だが戦えば戦うほど、目に見えるほどに絶影は、徐々に削られていき
劉鳳の体に、疲労の色が濃くなっていくのは、誰の目にも明らかだ。
絶影は、服部を中心とした円を描くように、じわじわ立ち位置を変えながら、クレイジー・ダイヤモンドを戦っていく。
何度目かも判らない、ギリギリの回避を続けながら、劉鳳は服部に問いかける
「服部! いつまでこんな事をする気だっ! 仲間達の為にも戦い続けるのではなかったのか!?」
劉鳳の言葉を受け、クレイジー・ダイヤモンドの動きが、刹那の間止まる。たとえ刹那の間であろうとも、劉鳳にはそれで十分。
クレイジー・ダイヤモンドは、ジョセフの反対側へと誘導済み。仕掛けるタイミングは、今をおいて他に無い。
刹那の隙を突き、地面から一匹の蛇が飛び出し、大蛇はクレイジー・ダイヤモンドを雁字搦めにしてみせる
地中に忍ばせておいた触鞭によって、クレイジー・ダイヤモンドを拘束する。その為に危険を承知で今まで一本打ちあってきた。
劉鳳の策は実り、クレイジー・ダイヤモンドは動くことは出来ない、後はこのまま締め付け続ければいい。
「今だ、やれジョセフ」
「ウオォォォォォリャァァァァ」
劉鳳の言葉が発せられた瞬間には、すでにジョセフは屋根にはいなかった。
コールタールに塗れた右手を、波紋の光で輝かせたジョセフは、雄雄しい叫び声と共に、服部へと迫る。
ジョセフを見て安堵し、力が緩んだのだろうか、クレイジー・ダイヤモンドは触鞭を引きちぎり拘束を振りほどく。
本体の危機を察知し、危険を取り除くためにためにジョセフ向かっていく。
自らの未熟を悔いたが、逡巡すること無く劉鳳は力を振るう
「させん」
絶影がクレイジー・ダイヤモンドへ向けて突撃する、最早技も何も無い、ただ渾身の力を込めたタックルをぶつけにいく。
カウンターの拳が絶影の腹へと響いた、だがそれでも絶影は止まらない
その身を弾丸に変え、クレイジー・ダイヤモンドと共に倒れこむ。
腹部へのダメージは無視できないが、服部に飛び掛らんとするジョセフを見て、劉鳳は満足げに笑みを浮かべる。
しかし服部を、見て劉鳳の笑みが強張る。今まで反応を示していなかった服部の体が、本能的に頭部を腕で庇っている。
宙に舞っているジョセフは、今更止まることなどは出来ない。ならば劉鳳があの手を除けなければならない。
「届けっ、絶影!」
残る触鞭が服部へと迫る、だがジョセフはもう拳を振り下ろせば服部に届く距離だ。
ジョセフの拳が服部にぶつかるまであとわずか、瞬きをすれば拳はすでに振るわれているだろう。
「間に合えぇぇぇぇ」
劉鳳の執念が宿る触鞭は、服部の両腕を弾き飛ばし、頭部を空ける。
「いくぜっ、太陽のエネルギー波紋、てめぇへの借りはこの一発でチャラにしてやるぜ」
重力と全体重そして波紋の力を乗せた一撃が服部に届く、服部の血と折れた歯が口から零れていく。
頭からは三村の形見であり、服部の暴走の発端である、DISCが空へ向けてクルクルと回転しながら舞っていく
そして倒れこむ服部の足元に、DISCが中空から落ちて、そのまま転がりながら、民家の壁へとぶつかり止った。
ジョセフが。波紋を流した肩から、受身を取って振り返る。服部は地面に伏せたまま、動きを止めていた。
ジョセフは、三村の形見であるDISCを、拾いあげて感慨深く眺める。
これが無ければ自分も、シンジも、そしてこの二人の運命も、大きく変わっていただろうと。
劉鳳が、歩を進めると靴が何かを踏んだ、そこには白い歯が転がっている。
「やりすぎだ」
劉鳳は、そう言いたい感情を抑えつけた、ジョセフの怒りは甘んじて受けねばならない。
最後の一撃を受けた腹を抑え、苦痛に限界まで抗いながら問いかける。
「やったようだな」
「あぁ、これでスタンドは、もう出せねぇはずだ」
「おいっ、しっかりしろ、服部」
劉鳳が駆け寄り、服部を抱き起こす、だが気絶しているのか、服部の反応は鈍い。
何度か頬を叩き、揺さぶり続けていくと、ゆっくりと服部の瞼が、開いていった。
「無事か」
劉鳳の問いかけに答えるように、服部の瞳に光が灯っていく、そして光を灯した瞳から涙が零れ落ちてくる。
「なんで……」
服部が何かを問いかける、だが何を問いたいのかはジョセフと劉鳳には判らない。
なんで……こんなことになってしまったのか?
なんで……こんなことをしてしまったのか?
なんで……三村信史を救うことが出来なったのか?
様々な問いかけが二人の頭によぎる。
「なんで……俺を殺してくれへんかったんや?」
だが出てきたのは、二人の考えてもいなかった質問だった。
「俺は三村はんみたいな人を守りたい、そう思って今までやってきたや……」
弱弱しい声が、空気を揺らしていく。
「なのに、俺は三村はんを殺して、しかもずっと仲間だった劉鳳はんや、ジョセフはんまで傷つけた」
瞳からは涙を、口元からは血を流しながら、ただ切々と服部は語り続ける。
「そんな俺が、この場で生きてええと思えへん、後は工藤いやコナンがやってくれる、俺に生きてる価値なんてあらへん」
「服部……」
呆然として告白を、聞いていた劉鳳に感情取り戻されていく。その感情は同情や。ましてや憐憫などではない。
劉鳳が、こんな時に抱く感情は、たった一つしかない。
「貴様は……貴様は情けなくはないのか!!」
――それは怒り!顔を朱に染め、あらん限りの声だして服部に叩きつける。
「貴様それでも男か! 今の自分を鏡で見てみろ! 情けなくないのか! 情けなくて情けなさすぎて怒りが沸いてこないのか!?
お前がルイズの死に、打ちひしがれたコナンへ、向けて言った『絶対に止まらん』というあの時の言葉は、嘘だとでも言うのか!?
アミバの事を思い出せ! あいつは過去に罪を犯した。だがそんな弱い過去の自分に反逆していた
お前の正義は、反逆はこんな簡単に折れてしまうのか!? 答えろぉ!服部っ!」
劉鳳の言葉受けて、いつしか服部の涙は止まっていた。
「今の俺に……助けられる人なんて、おるんかな?」
「俺には、吉良がアミバを殺した事を、見破ることは出来なかった、だがお前達は見破った
服部、お前が正義と反逆を貫くことを、止めない限り助けられる人は必ずいる!」
劉鳳の言葉は、服部の胸の奥深くへ浸み込んでいく。ここに来てから、今まで服部は様々な仲間達に、出会ってきた。
タバサ、劉鳳、アミバ、ブラボー、コナン、神楽、皆これ以上ないほど、大切な仲間だった。
だがもうそんな仲間達で、今も一緒にいるのは劉鳳ただ一人だけだ。
「あぁ、そやった、俺がこんなんやったら、皆に笑われてまう、コナンと再会した時、あの世行った時、会わせる顔があらへん」
服部は決意を秘めて、ジョセフへと向き直る。
「ジョセフはん、ほんますまんかった、許してもらえるわけない。
俺を心いくまでなぐってえぇ、だけどお願いや、俺達に力を貸してくれへんか?」
地に額を擦りつけ、誠心誠意を込めて、頭を下げ続ける。服部が今三村のために出来ることなど、これくらいしかないのだから。
「OK、だったらギブアンドテイクだ。こいつにはさっきもう言ったが、俺も手伝ってもらいたいことがある
神社であの赤ムシ野郎から、かがみん助け出すのを、手伝ってもらうぜ」
「ほんま……おおきに」
ジョセフが服部を、一発殴ってチャラにしたのは、本来はこの為だ。今のコンディションでは、自分一人で村雨に勝つのは難しい。
だからこそ、この二人を仲間とするために、あそこまで体を張って協力したのだ。
「赤ムシ? それはもしや村雨良のことか?」
「そういえばそんな名前だったな、何だ、あいつの事知ってんのか?」
劉鳳の胸に、忌まわしい記憶が蘇る。唾棄すべき毒虫に後れを取り、守るべき人を守れなかった最悪の記憶だ。
思い返せば、その直後に劉鳳は、服部とアミバに出会った。因果なめぐり合わせに感慨が湧く。
「奴は俺の目の前で、平賀才人を殺した危険な男だ。必ず断罪して、借りを返さなければならん」
「あんのぉ赤ムシ野郎! やっぱ人を殺すような、奴だったんだな。こうしちゃいられねぇ、早く行くぜ」
ジョセフが息巻いて、今にも走り出そうとするところへ、服部が声を掛ける
「待ってくれへん、俺はさっきの放送聞いて無いんや、まずは情報を交換せんか?」
そんなの移動しながらしやがれと、言わんとしたところで、ジョセフも放送を気絶して聞き逃していたのを思い出した。
「しかたねぇ、さっさと終わらせて行かせてくれ」
「すまへんなぁ」
二人の視線が、唯一放送を聞いているはずの、劉鳳へと向けられる。
□ □ □
三人は近くの民家へ移動し、明かりが周囲へ漏れないよう気をつけ、メモを取れる環境を整えた。
「ます禁止エリア午前1時からF-8 、午前3時からE-3 、午前5時からB-5これは覚えている」
劉鳳の発言に合わせて服部がメモを取り、その間にジョセフは4色ボールペンを使い、劉鳳と劉鳳の名簿に今まで知った情報を書き込む。
こうして時間をわずかでも節約するため三人は、分業して情報を整理していく。
「次に死亡者だが、すまない俺も全員は覚えていない。
アミバ、吉良、キュルケ、シェリス、三村、アーカード、DIOが呼ばれたのは覚えているのだが……」
「そっか、しゃあないな、他に願いを叶える権利やら、24時間ルールとか新しい情報はあらへんかったか?」
「いや、その手の情報は……、いや支給品をチェックしろなどと今更言っていたな」
「なるほど、おおきに」
(今更支給品を、チェックしろなどとは、意味わからへん、となるとこれは、俺とコナンが考えた仮設が、合ってるのかもしれへんなぁ
つまり『光成の他に主催者がいて光成による反抗の呼びかけ』、主催側に都合の悪いものが支給してあるから、良く調べろ言うことか
スーパーエイジャみたいに、一見するだけじゃ効果が判らん品もあったし、そういうのが鍵になるかもしれへん)
「ほら、こっちは終わったぜ」
そういってジョセフが名簿を服部へ二枚渡す、新たに青い丸がついたのは
ハヤテ、かがみ、こなた、ナギ、鳴海、エレオノール、ヒナギク、覚悟、の八人。
加えてパピヨンの所に追加で青い丸が付けられていた。
「こりゃえぇ、かなり多いやないか」
「俺が直接会ったのはハヤテとかがみんの二人だけだ、残念ながら後はハヤテからの又聞きだ」
大きく増えた青い丸に満足した服部は、一枚を劉鳳へと渡す。
そして下にあったもう一枚に目を落とし、丸が付けられた名前を確認しようとすると
欄外に、いろいろ書いてあるのを見つけた、先ほどの名簿には書いてなかった事だ
おそらくは情報量が多くて、二枚に書く時間を取られたくなかったから、一枚だけに留めたのだろう。
服部は、そこに書かれた事を読み進むにつれて、胸が高鳴りを抑えきれないのを感じた。
BADANを名乗る黒幕の組織、その使い暗闇大使という凶悪な男、エリア外に存在すると思われる雷雲に守られた敵の本拠地
これらの情報を綾崎ハヤテから得たと書かれてある。
まさに驚天動地、服部は手が震えるのを止められなかった。
これは間違いなくこのゲーム壊すために、欲していた重要情報の一つだ。
こうなると先ほどの『光成の他に主催者がいて光成による反抗の呼びかけ』、という仮説も真実味を帯びてくる。
服部は、先ほどの放送をちゃんと聞けなかったのを悔やんだが、今更悔いても仕方ないと思い直す。
服部は、無言で欄外を指差しながら、劉鳳と名簿を交換する。
興奮して震えている服部を、怪訝な目で見つめていた劉鳳も、この情報を見ては衝撃を隠しきれなかった。
「ハヤテ……、綾崎ハヤテか」
「どないしたん劉鳳はん」
劉鳳が珍しく、眉をひそめ、困惑した様子で唸っていた。
「その名前、先ほどの放送で聞いた記憶がある。それと丸が付けてある三千院ナギ、加藤鳴海も聞いた記憶がある」
ジョセフは大きく息をのむ
「あのハヤテが死んだぁ、しかもハヤテが探しにいった、ナギお嬢様とやらも、二人ともか」
「そうなる、な」
「オイオイつまりどーゆうこった、俺とハヤテは11時30分にS1駅に集合してから赤ムシ野郎を倒しに神社行くって約束してたのに
ハヤテの奴と、ハヤテが探しにいった、ナギお嬢様とやらは、二人とも死んだってことか?」
「劉鳳はん、その三人の名前が呼ばれたのは、間違いあらへんか?」
「間違いない。吉良吉影、三村信史の様な日本人風の名前が、5人くらい連続で呼ばれ
そのなかで、綾崎ハヤテと三千院ナギは、二人連続で呼ばれていた記憶がある」
「何てこった、ハヤテの野郎も死んじまったのか」
ジョセフは宙を仰ぎ、いつもの陽気な姿とは程遠い、憂いを帯びた表情を浮かべる。
「ジョセフはん、ハヤテはんと別れたのって、何時頃か覚えとる?」
「ん、確か9時前後だったぜ」
服部は考えを巡らせ始める、綾崎ハヤテは11時30分にS1駅でジョセフと待ち合わせて、三千院ナギを探しに行った。
そして綾崎ハヤテは死亡している、綾崎ハヤテの死亡時刻はジョセフと分かれた21時前後から12時の間。
放送で呼ばれていたと、劉鳳が断言しているのだから、死んだのは間違い無い。
これらの情報から、綾崎ハヤテ達の行動を推理し始める。
劉鳳は、連続で名前を呼ばれたと、言っていた。
そういえば、放送で名前を呼ぶ順番は、どう決まっているか
50音順、アルファベット順、名簿順では無い。となると死亡した順だろうか
そう考えて、今まで聞いた第三回までの放送を、思い出してみる。
カズマ、平賀才人、桐山和雄の順番を、思い返すと矛盾は無い。
では死亡した順で、放送してると仮定する。すると二人は連続して死亡したことになる。
綾崎ハヤテは、三千院ナギと合流を果たしたが、何者かによって、二人纏めて殺された。一応は筋は通る話ではある。
じゃあ殺したのは、村雨良だろうか?だが11時30分に、S1駅で待っていた人間が、神社へ行って12時以前に死ぬとは考えにくい。
それに、ナギ「お嬢様」などと、呼ばれる人間を連れて、先走るというのも考えにくい。
となると、S1駅で二人が待っている間、もしく二人が合流してS1駅へ行く途中に、村雨以外に殺されたと考えるのが妥当。
ここまで考えたが、情報が圧倒的に足りない。そもそも放送順の仮定が、間違っているかもしれないし
合流したのではなく偶然二人が、連続で死んでしまった、という可能性も有り得る。
結局は直接神社に、行ってみるしかないという、当たり前の結論が出た。
そんな結論は判りきっていたはず、だが服部は今まで何度もいろんな事件で、推理をしてきた。
幾度と無く反復してきた思考は、服部の心を落ち着かせてくれた
劉鳳のアルターやジョセフの波紋の様な力を持たない服部にとって、探偵として培われた推理力こそが彼の最大の武器なのだから。
(あんまり考えるだけじゃあかんなぁ、今はとにかく神社へ行って、かがみって娘を助けにいかなあかん
ハヤテはんから、直接話しを聞いてみたかったが、それも叶わへん。だが村雨って人はBADANの一員だったちゅー事は
貴重な情報を、持っててもおかしない、となると何とかして、情報を頂きたいところやな)
「ハヤテの奴が、死んじまってるなら一刻の猶予もねぇ、さぁ早く行こうぜ」
「あぁジョセフはん、手間取らせたな、ほないこか」
三人は荷物を纏めると、外へと飛び出す。
「絶影っ」
劉鳳は絶影を発動し、バイクを運びんでくる。戦闘前に乱暴に地面に置いたせいか
全体的に車体が歪んでいて、このまま乗るには少し心もとない。
「ジョセフはん、あのDISC貸してくれへん? ――俺が直してやりたいんや」」
ジョセフは一瞬の躊躇の後、服部の瞳を見つめる。
もう決して前回の様にはならない、服部も強い決意を瞳に込める。
その瞳を見てジョセフは、クレイジー・ダイヤモンドのDISCを、デイバックから取り出し、服部へと渡す。
服部は、少しの間じっと手元のDISCを見つめ、決意と共に頭へと入れる
頭の中に。炎の記憶が一瞬蘇り、まさに身を焦がし、骨を焼く熱気が心の中に宿る。
そのまま炎に身を任せたい、衝動に駆られてしまう、だがそれを押さえ込んで、炎の記憶の外にある現実に目をやる。
劉鳳は、絶影いつでも動かせるように待機している。ジョセフはすぐに頭を叩けるように右手を構えている。
服部は二人を安心させるため、手を挙げて自分は平気だとアピールする
「さぁ、いくで、クレイジー・ダイヤモンドっ!」
発現したスタンドは拳をふりあげ、バイクを思いっきり殴りつける。
殴られた衝撃で大きく壊れたバイクは、テープを逆戻しにするかの様に、パーツが元の位置に戻っていく。
そこには殴られるより遥か前、服部が組み上げた時の様な綺麗なバイクに再生した。
「三村はん、あんたの力貸してもらうで」
このスタンドは、物を再生させることが出来る。この特性は、戦闘でいろいろ応用可能な、優れたスタンドだ。
服部にしてみれば、頭の使い甲斐がある武器と言える、加えてスーパー光線銃など武装には恵まれている。
「俺も、この力で一人でも多くの人を救ってみせる」
決意を新たに彼は、一人呟いた。
後は、これに乗って出発するだけ、だがその前に服部には、もう一つやりたいことがあった。
「三村はんのところ、行かせてもらってえぇか?」
三人がたどり着いた場所は、外気にさらされてはいたが
まだ人の肉が燃えた強烈な悪臭が、立ちこめたままだった。
そこには体じゅうに穴が穿たれ、全身焼け焦げた、無残な死体が一つあるだけ。
瞼を、閉じさせてやりたかったが、顔の皮膚は、焼け落ち頬の肉の奥から口腔が微かに覗ける。
左目は、眼窩の中で眼球が露になっており、右目は視神経だけで、繋がって眼窩から零れ落ちている。
誰もが目を背けたくなる、そんな光景だった。
だが服部は、目を逸らさず見つめ続ける。これが自分の行いの証なのだから、しっかりと焼き付けなければならない。
服部は、皮膚の代わりに肉が晒されている体を、地面へ静かに横たえ、両腕を胸の前で交差させる。
続いて零れている右目を掴む。柔らかいその目をそっと眼窩の中へと仕舞う。
少しでも三村を生前の姿に近づけてやりたい服部はそう願っていた。
ちゃんと埋めてやりたいが今は時間が無い、手を合わせ、瞳を閉じ、強く心に思う。
(どんだけ謝っても謝りたりん、でも頼むお願いや、俺がしばらく生きるのを許したってや
こんなふざけたゲームをぶっ壊す、そう仲間と誓ったんや)
三村の遺品などは、ジョセフがデイバックへと回収し、服部はバイクへ跨る
後ろにはジョセフが乗り込み、右手で掴まっている。
「ジョセフはん、片腕だと難儀かもしれへんが後ろでしっかり捉まってもらうで」
大柄なジョセフは窮屈なようだがよっぽど危ない運転をしない限り落ちはしないだろう
「真・絶影っ」
真・絶影を開放し、劉鳳はその背に飛び乗る。
「村雨良、今度こそ貴様を断罪してみせる!」
「かがみん、待ってろ、今助けにいってやるからな!」
「もう迷ったりせえへん、今度こそ一人でも多くの人を救ってみせるんや」
三人はそれぞれの決意を抱きながら、進んでいく、前へ向かって。
E-2(バイクで移動中)/二日目/深夜】
【服部平次@名探偵コナン】
[状態]:肉体疲労中、精神疲労大、全身コールタールまみれ、三村を殺したことから大分立ち直りました
[装備]:スーパー光線銃@スクライド、携帯電話、核鉄ニアデス・ハピネス@武装練金、クレイジー・ダイヤモンドのDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:支給品一式(食料一食消費)、首輪、「ざわ……ざわ……」とかかれた紙@アカギ(裏面をメモ代わりにしている)、
色々と記入された名簿、ノート数冊、ノートパソコン@BATTLE ROYALE、バイクCB1000(現地調達品)
ジャギのショットガン@北斗の拳(弾は装填されていない)、綾崎ハヤテ御用達ママチャリ@ハヤテのごとく(未開封)、
ギーシュの造花@ゼロの使い魔、スティッキィ・フィンガーズのDISC@ジョジョの奇妙な冒険 (内容、使用方法不明)、
キュルケの杖、拡声器、 核鉄ソードサムライX@武装錬金、包帯・消毒薬等の治療薬、点滴用セット(十パック)
病院内ロッカーの鍵(中に千切れた吉良の左手首あり)、才人のデイパック(内容は支給品一式、バヨネット×2@HELLSING、
紫外線照射装置@ジョジョの奇妙な冒険(残り使用回数一回)未確認)
[思考・状況]
基本:江戸川コナンよりも早く首輪のトリック、事件の謎を解除する。三村や仲間達に恥じることの無い行動をする。
1:神社へいってかがみを助ける、村雨からは情報を得たい。
2:ルイズの最後の願いについてはどうするか。
3:三村をちゃんと埋葬してやりたい
4:範馬勇次郎以外の光成の旧知の人物を探り、情報を得たい。
5:自分自身にバトルロワイアル脱出の能力があると偽り、仲間を集める(一時的に保留)
[備考]
※劉鳳と情報交換を行い、シェリスの名前を知りました。
※劉鳳、コナン、神楽、ジョセフの事は全面的に信用しています。
※自分自身にバトルロワイアル脱出の特殊能力があると偽る策を考えています。
※バトルロワイアル脱出の特殊能力は10人集まらないと発動しません。(現時点での服部設定)
※脱出作戦を行うかはどうかは考え中。
※銀髪銀眼の人物が殺し合いに乗った事を知りました。
※コナンと二人で立てた仮説、「光成の他の主催者の可能性」「光成による反抗の呼びかけの可能性」「盗聴器を利用した光成への呼びかけの策」 等について
は、まだ他の人間に話していません。又、話す機会を慎重にすべきとも考えています。
※スーパーエイジャが、「光を集めてレーザーとして発射する」 事に気づきました。
※三村信史の死ぬ直前の記憶を見ました。
※第四回放送の内容は劉鳳からの又聞きでしか記憶にありません。
※ハヤテとナギは一緒に死んだと推理しています。
[服部平次と劉鳳の共通備考]
※劉鳳、服部の持つ名簿には以下の内容が記載されています。
名簿に青い丸印が付けられているのは、カズマ・劉鳳・シェリス・桐山・杉村・三村・川田・才人・
ルイズ・防人・カズキ・斗貴子・タバサ・キュルケ・コナン・服部 ・灰原
ハヤテ、かがみ、こなた、ナギ、鳴海、エレオノール、ヒナギク、覚悟
赤い丸印が付けられているのは、ジグマール・DIO・アーカード・散・村雨
緑色の丸印+青色の丸印が付けられているのは、蝶野
※劉鳳、服部、コナン、神楽は吉良がスタンド使いということを知りました。
※ルイズをF-3の川岸に埋葬しました。折れた軍刀は墓標として刺してあり、キュルケの杖、拡声器は服部が所持しています。
※ルイズの最後の願いについてはまだ話し合っていません。
※アミバの持っていた支給品一式×3 (食料一食消費) は、F-2民家の中にあります。
※アミバの持っていたノートパソコンには、大東亜共和国謹製のOSが組み込まれています。
【E-2(バイクの後ろに乗っている)/二日目/深夜】
【ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:左手骨折、全身打撲、精神疲労大、体力消費極大、深い悲しみ、脇腹にダメージ大、全身コールタールまみれ
[装備]:マジシャンズレッド(魔術師の赤)のDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:七原秋也のギター@BATTLE ROYALE(紙状態)、支給品一式×2、木刀正宗@ハヤテのごとく
[思考・状況]
基本:BADANとかいうボケ共を一発ぶん殴る。
1:S3駅、S1駅周辺を探し、かがみ救出のための仲間を探す、
だがハヤテの死亡を確認したりして状況が変わったので直接神社に行くか
それとも駅に寄るかは次の書き手に任せます
2:かがみを助け、村雨は殺す。
3: マップの端を見に行く。
4:一応赤石も探しとくか……無いと思うけど。
[備考]
※劉鳳と服部の名簿に、追加事項を書き込むときに、今まで丸を付けられた人物を覚えました。
二人から得た情報は今のところそれくらいです。スーパーエイジャの存在などは聞いていません。
※ハヤテ+零が出合った人間のうち、生き残っている人物及び知り合いの情報を得ました。
(こなた、パピヨン、ナギ、鳴海、エレオノール、ヒナギク、覚悟)
※二部終了から連れてこられていますが、義手ではありません。
※吉良の名前に何か引っかかっているようです。
※水を使うことで、波紋探知が可能です。
※三村の留守電を聞き逃しました。
※主催者の目的は強者を決めることであり、その中にはイレギュラーもいると考えています。
※少なくともかがみとは別の時代の人間であるということを認識しました。
※波紋の力を使うことで対象のディスクを頭部を傷つけることなく強制排出することができます。
ただし、かなりの集中力を要求します。
※マジシャンズレッドの火力は使用者の集中力によって比例します。
鉄を溶かすほどの高温の炎の使用は強い集中力を要します。
火力センサーは使用可能ですが精神力を大きく消耗します
また、ジョセフのマジシャンズ・レッドは通常の炎の威力の調節が極端に難しい状態です。
ただし、対象に直接マジシャンズ・レッドの手を当てて炎を出した場合に限り調節が可能です。
修練をすれば通常の炎の精度が上がる可能性があります。
※S7駅がかなり脆くなっていることを発見しました。
※ジョセフとハヤテの約束。
ハヤテはナギと会った後、ジョセフは仲間を募った後、必ず11時30分にS1駅に集合。
その後、かがみ救出のために神社へ攻め込む。
※絶影をスタンドだと思っています。
※第四回放送は劉鳳からの又聞きでしか記憶にありません。
※以下のBADANに対する考察を服部と劉鳳に伝えました。
【ジョジョとハヤテのBADANに関する考察及び知識】
このゲームの主催者はBADANである。
BADANが『暗闇大使』という男を使って、参加者を積極的に殺し合わせるべく動いている可能性が高い。
BADANの科学は並行世界一ィィィ(失われた右手の復活。時間操作。改造人間。etc)
主催者は脅威の技術を用いてある人物にとって"都合がイイ"状態に仕立てあげている可能性がある
だが、人物によっては"どーでもイイ"状態で参戦させられている可能性がある。
ホログラムでカモフラージュされた雷雲をエリア外にある。放電している。
1.以上のことから、零は雷雲の向こうにバダンの本拠地があると考えています。
2.雷雲から放たれている稲妻は迎撃装置の一種だと判断。くぐり抜けるにはかなりのスピードを要すると判断しています。
※雷雲については、仮面ライダーSPIRITS10巻参照。
【E-2(真・絶影に乗っている)/二日目/深夜】
【劉鳳@スクライド】
[状態]:疲労大(随時蓄積中)、全身に中程度のダメージ、左肩と腹部にダメージ中、右拳骨折治癒途中(包帯が巻いてある)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(食料一食消費)、4色ボールペン、色々と記入された名簿、スタングレネード×2 、タバサの眼鏡
タバサのデイパック(内容は液体窒素(一瓶、紙状態)、タバサの支給品一式 、色々と記入された名簿
[思考・状況]
基本:正義を全うし、ゲームとその主催者BADANを断罪する。 死んでいった同志達の遺志を背負い、正義をなす。
1:村雨を断罪し、かがみを救出する。
2:ルイズの最後の願いについてどうするか。
3:悪(主催者・ジグマール・村雨)は断罪、弱者(神楽)は保護。
4:防人の知り合い・桐山の知り合い・核鉄を探す。
[備考]
※絶影にかけられた制限に気付きました。
※桐山・防人・服部・タバサ・吉良・コナンと情報交換しました。
※平次の策に乗る気はありません。
※銀髪銀眼の顔に傷のある人物が殺し合いに乗った事を知りました。
※液体窒素の瓶(紙状態)、スタングレネードなどは、仲間の誰かに渡しても構わないと思っています。
※第四回放送の内容は、戦闘中に聞いたのでちゃんと覚えていません。つかさ以外の死者と禁止エリアついてはメモしてあります。
[E-2地点に関する備考]
※幅数メートルのアスファルト製の壁があります。
※壁周辺にコールタールが散布されています。
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