「ふしぎなおくりもの」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

ふしぎなおくりもの」(2008/10/23 (木) 23:22:54) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

**ふしぎなおくりもの ◆hqLsjDR84w  さてさて、今回はランダムアイテムについての話をしよう。  まずはランダムアイテムとはいったい何なのか、それについての説明かな。  集められたバトルロワイアルの参加者達は、徳川光成にルールを説明された後に、バトルロワイアルの会場のあらゆる地点に飛ばされた。  飛ばされる瞬間、参加者の足元に大首領の力による魔方陣が出現したのだが、それに気付くものはいなかった。  ほぼ全ての参加者が、葉隠覚悟の宣戦布告に目を取られていたためなのだが、覚悟自身もそれを知ることはないだろう。  参加者が飛ばされた場所の付近に、デイパックが置いてあったのだ。  なに? 気付いた時には、デイパックを所持していた者達がいる?  ああ、知っているさ。志村新八とマリアの二人だろう? なに、彼等の勘違いさ。  彼等は、自らデイパックを背負ったのだ。気付かぬうちにね。  『いきなりの展開に困惑し、本人の気付かぬうちにデイパックを肩にかけていた』として、何か不自然な点があるだろうか?  彼女とて、十六歳と十七歳――片方がそうは見えぬかもしれないが、BADANの情報によればこれで正しいのだ――の少年少女。何ら違和感など、ないだろう。  さて、本題に戻ろうか。  デイパックの中身は、地図、コンパス、筆記用具、水と食料、名簿時計、ランタン――そして今回の御話のメイン、ランダムアイテム。  ランダムアイテム、何が支給されているかは分からない。それは武器である場合もあれば食物だったり、時には何の役にも立たなそうなものである場合もある。  例えば、戦闘機。例えば、強化外骨格。例えば、錬金術の結晶。例えば、銃器。etcetc……  そんなものが参加者一人につき、一つから三つ支給されているのだ。  ……いや、一種から三種と言うべきだな。  ――参加者に配られたランダムアイテムの中に、幾つか伊藤博士の紛れ込ませた物が存在する。  それが何なのかを考えていこうと思う。  さっき『今回はランダムアイテムについての話』と言ったが、スマン。ありゃあ間違っていた。  『今回は伊藤博士が紛れ込ませたアイテムについての話』って言った方が、正しかったな。  そのために、まずは誰のデイパックにどのアイテムが入っていたかを纏めてみよう。  ……と言いたいのだが、問題がある。  勘のいい方ならば気付いただろうが、誰に支給されたのか分かっていないアイテムが存在するのだ。  そういうのが幾つかあるのだが……そうだな。アレら辺りが、最初に説明するのに適してるかな。  まずは、『ZXのメモリーキューブ』『EXP-14LIE高高度実験機』『東方仗助の服』の三種が、一体誰に支給されたかを明かしていくとしよう。  これらの内二つはアレクサンド・アンデルセンが使用したもので、もう一つはアンデルセンのデイパックから本郷猛が発見したものだ。  ならば、三つともアンデルセンのアイテムなのではないか?  そう言いたいかもしれないが、違うんだ。全てがアンデルセンに支給されたアイテムなんてことは、絶対にありえない。  何故ならば、アンデルセンは現在話している三種以外に『核鉄XLIV』を支給されているのだから。  アイテムを四種も支給されているなんておかしい? 運がよくても三種までしか支給されないんじゃないのか?  言いたいことは分かる。まあ、アンデルセンの行動を思い返してみてくれ。  アンデルセンは毛利小五郎を殺害後、小五郎のデイパックを回収した。  生前に小五郎はアイテムを二つ出していたが、まだ一つ残っていたのかもしれない。いや、残っていたのだ。そうでなければ、おかしいのだ。  さて、ならば、先ほどの三つのうちどれが小五郎のアイテムであったのだろう。  彼の行動を思い出すんだ。  アンデルセンの襲撃を受けた彼は焦っていた、切羽詰っていたんだ。『人体模型』でさえも、盾として使用するほどに。  焦りながらも彼は心臓が止まる寸前まで、ただ同行していた桂ヒナギクを逃すことだけを考えていたのだ。  そんな彼が『EXP-14LIE高高度実験機』を持っていたなら、『東方仗助の服』を持っていたなら、それらが封印された紙を開いたのではなかろうか?  『EXP-14LIE高高度実験機』なんかに潰されれば、アンデルセンでも一たまりもない。外れても、足止めにはなる。  ヒナギクが近くにいればかなり危険だが、ヒナギクが小五郎とアンデルセンから結構離れた時まで、小五郎の息はあった。  『東方仗助の服』はダメージは与えられずとも、一瞬だけでも目晦ましにはなっただろう。  しかし、開かなかった。  何故か――理由は至極簡単。持っていなかったからだ。  持っていたのは、『ZXのメモリーキューブ』と書かれた紙。  小五郎は支給品を確認していた。していなければ、咄嗟に『人体模型』で殴ることなんか出来ない。  そもそも確認していなかったならば、『電磁ナイフ付き拳銃』を携えていたこと自体がおかしい。  当然、『ZXのメモリーキューブ』の存在も知っていた。  しかし彼は、メモリーキューブという名からそれをUSBの類と判断した。  故に、彼がそれが封印された紙を開くことはなかった。  尤も、開いたところで生き長らえることが出来たとは思えないがね。  纏めよう。  『ZXのメモリーキューブ』――毛利小五郎に支給された。  『EXP-14LIE高高度実験機』、『東方仗助の服』――アレクサンド・アンデルセンに支給された。  次だ。  『綾崎ハヤテのママチャリ』、『携帯電話』、『ノートパソコン』の三種。  これらは市川を殺害したアミバが、市川のデイパックを回収。それから少し経って、アミバがアイテムを確認した際に出てきたものだ。  全ての参加者が、少なくとも一つはアイテムを支給されている。  したがって、『三つのうち二つがアミバのアイテムでもう一つが市川のアイテム』、或いは『一つがアミバのアイテムでもう二つが市川のアイテム』――と、推測できる。  また、才賀勝のアイテムである『携帯電話』――当然ながら、アミバに支給されたものとは別のものだ――に、アミバの電話番号が登録されている。  という訳で、『携帯電話』はアミバのアイテムであったことが分かる。  さて、ここからだが……残念ながら、もうどっちがどちらのアイテムであるか考察する材料は無い。  だから、結論だけをさっさと言ってしまうとしよう。  『携帯電話』、『ノートパソコン』――アミバに支給された。  『綾崎ハヤテのママチャリ』――市川に支給された。  さあ、次にいこう。  他にもまだ、誰に支給されたのか分からないアイテムはある。  どうしようか……うーむ、残りは一気に説明した方が楽みたいだな。そうするか。  『ヘルダイバー』、『ライダーマンヘルメット』、『キリマンジャロの雪解け水』、そして『■■■』。  え? 『■■■』とは、どういうことかって?  ああ、『■■■』っていうのは――――分からないんだ。  それが一体何なのか、BADANがどの世界から調達したのか、一切が不明。  何でかって? 紙が開かれる前――いいや、違うな。  付属された説明すら読まれる前に、紙ごと燃えてしまったんだ。  第五放送と第六放送の間に、川田章吾が才賀エレオーノルにハルコンネンをぶっ放しただろう? その時だ。  ならばエレオノールが持っていたのか? いいや、違う。  それを持っていたのは、エレオノールの付近に転がっていた死体――マーティン・ジグマール。  ジグマールは『■■■』が何なのかも知らず温存していたらしいが、生憎死ぬ直前まで戦闘していたケンシロウは、中身を確認する隙を与えなかった。  そのためにジグマールは『■■■』が何なのかを知らぬまま、戦闘終了直後に川田に両断された。  そして中身を誰も知らぬまま、紙から出ることなく灰となった。  さて、上記の四つのアイテム。それらは、そもそも誰に支給されたのか。それを知ることから始めよう。  『ヘルダイバー』と『ライダーマンヘルメット』は、ジグマールが川田に渡した。  『キリマンジャロの雪解け水』は、ジグマールが飲み干した。  『■■■』は、ジグマールが最期まで持っていた。  ということは、全てジグマールのアイテムか? いいや、ノゥ。絶対にノゥ。  まず、四種支給されることがありえない。何より、ジグマールの支給品は『破壊の杖』と『ティーガー(P)駆逐戦車』の二つだ。  他には無かったし、その二つもデイパックごとセラス・ヴィクトリアの戦闘で塵となった。  ならば、誰のものか?  この四つはいろいろな参加者の手を転々としたため、説明がややこしいと思う。  そこは、覚悟していただきたい。では、解説を開始しよう。  ジャギが白金に殺害され、道具を奪われる。その時点でジャギのデイパックには、未だ開かれていないエニグマの紙が二つあった。  その後、白金は武藤カズキと戦闘し共に逝去。ジャギの所持していたものを仕舞いこんであった白金のデイパックは、その場に放置される。  白金のデイパックは、その場にいた三千院ナギと駆けつけた空条承太郎と綾崎ハヤテが回収する。  ナギの脱臼していた右腕を承太郎が治療し、その痛みでナギは意識を落とした。  気絶したナギをハヤテが背負った。その際にハヤテは、持ちやすいように白金のデイパックの中身をナギのデイパックに纏めた。  元々ナギのデイパックには未開封のエニグマの紙が一枚あったので、この時点ではナギのデイパックには、未開封のエニグマの紙が三枚あった。  暫くしてナギが目覚め、三人が喫茶店に到着。  休息の間もなく範間刃牙の襲撃を受け、この戦闘で承太郎と刃牙は死亡。ハヤテはその場から走り去り、疲労しきったナギもゆっくりとハヤテを追った。  喫茶店には、四人のデイパックが残された。この時点で、ナギのデイパックには未開封のエニグマの紙が三枚、承太郎のデイパックには一枚入っていた。  フラリフラリと足を前後させていたナギは、喫茶店から少し離れた場所で加藤鳴海と愚地独歩に保護される。  彼等は喫茶店へと戻り、周囲に散らばった道具を回収。そして、移動を開始した。  この時点で、ナギのデイパックは鳴海に渡り、承太郎のデイパックは独歩に渡った。  数刻後、泉こなたと合流。そしてDIOの居場所を知り移動、邂逅、人質、分断、衝突、追跡、再戦、決着。  鳴海はDIOに勝利。また蝶野攻爵と合流するも、操られていたシェリス・アジャーニは救えず、鳴海自身も死んでいった。  そして、鳴海の所持品――承太郎のアイテムを含む――は、独歩の手へ。  この時点で、独歩はエニグマの紙を四枚持っていることになる。内訳は、ジャギのものが二枚、ナギのものが一枚、承太郎のものが一枚、である。  またしても暫くが経過。独歩達三人は、蝶野と離別することになる。  その後、エレオノールとジグマール――先ほどの『誰に支給されたのか分からないアイテム』を一時期四つ持っていた男である――が、独歩達に急襲。  独歩はこなたとナギを逃がすことに成功するが、デイパック――勿論、四枚のエニグマの紙を含む――をジグマールに奪われる。  いろいろあった――その際に、『キリマンジャロの雪解け水』をジグマールは飲み干した――が、その場ではジグマールは逃走。  追いかけた独歩を撒き、川田と同盟を締結。その折に『ヘルダイバー』と『ライダーマン変身セット』は、川田の手に。  そして、次に出会ったケンシロウにジグマールは勝負を挑み、勝利。すぐさま川田により殺害され、『■■■』は灰に。  というワケだ。  要するに、『ヘルダイバー』『ライダーマンヘルメット』『キリマンジャロの雪解け水』『■■■』のうち、二つがジャギ、一つがナギ、一つが承太郎のものなのだ。  ここまで色々な参加者の元を転々とするとは、分からないものである。  特に『ヘルダイバー』と『ライダーマンヘルメット』なんかは、川田からさらに蝶野へと所持者が変わったのだ。なんとも、不思議なものだ。  どれとどれがジャギの支給品で、どれが承太郎支給品で、どれがナギの支給品なのか。  さて、考えてみよう。  ――と言いたいが、これまた考察する材料は無い。  だから、まず答えを言ってから、解説の方をさせていただこう。  『■■■』――空条承太郎に支給された。  『ヘルダイバー』――三千院ナギに支給された。  『キリマンジャロの雪解け水』、『ライダーマンヘルメット』――ジャギに支給された。  承太郎に支給された『■■■』。彼は説明書を読んだが、取り出すことなく息絶えた。  そして鳴海も独歩も、そしてジグマールまでもが、中身を確認することはないまま紙ごと灰となってしまった。  分かるのは、『少なくとも、承太郎には必要なかった』ということだけ。  中身を知るのは、アイテムの分配担当のBADAN構成員だけであろう。  三千院ナギに支給された『ヘルダイバー』。  かなりの性能を誇るバイクなのだが、ナギが使用することはなかった。高性能な足となり得るのに、だ。  何故か――説明書に書かれた一文。  『最高時速600km。核融合エンジンを搭載している』  ただの小学生ならばともかくとして、ナギは工学に関する知識をそれなりに持っている。  そんな少女が、核融合エンジンなど信じるわけがない。  しかしバトルロワイアルの過程で様々な不可思議を体感し、じょじょにナギは『そんなものがあっても、おかしくはない』と思うようになった。  だがそれでも――いや、だからこそ、か。  だからこそ、『核融合エンジン』などという危険物を出すなんてことは出来なかったのだ。  そして、ジャギに支給された『キリマンジャロの雪解け水』。  これの説明書を読んだのは、ジャギと白金の二人だが……  『キリマンジャロの雪解け水』は、ジャギは温存したまま死に行ってしまい、機械のボディを持つ白金はそれを必要としなかった。  そして、もう一つジャギに支給された『ライダーマンヘルメット』。  実を言えば、ジャギはこれの名前しか読んでいない。  説明書は読まなかったのだ。  既にヘルメットを被っていたジャギは、『ヘルメット』と見ただけで、必要ないと判断した。  ……使用していれば、死ななかったかもしれないのに。運が無い男である。  一方、白金は説明書を一応読んでいた。  しかし、これまた機械のボディを持つ白金には必要なかった。  筋力をはじめとする運動機能が大幅に強化される、科学の結晶も、白金には意味が無かったのだ。  さて、これで、誰に何が支給されたかは分かった。  何個支給されたのかも、一体何が支給されたのかも分からないのが、一人分だけある。  それはまだ明かされていないので、それ抜きで誰のデイパックにどのアイテムが入っていたかを纏めてみよう。  01赤木しげる:道化のマスク、グリモルディ、核鉄LV。計三種。  02市川:綾崎ハヤテのママチャリ、以上。一種だけ。  03平山幸雄:ジャギのショットガン、i-pod、泉こなたのスクール水着。計三種。  04鷲巣巌:核鉄C、キング・クリムゾンのDISC。計二種。  05葉隠覚悟:ライダースーツ、以上。一種だけ。  06葉隠散:クルーザー、法皇の緑のDISC、黄金体験のDISC。計三種。  07本郷猛:捕獲網、ロードローラー、ボウガン。計三種。  08三影英介:ハルコンネン、以上。一種だけ。  09村雨良:強化外骨格「霞」、原チャリ。計二種。  10加藤鳴海:核鉄LII、グリース缶、AB型の輸血パック。計三種。  11才賀エレオノール:青汁DX、二十本の投げナイフ、ピエロの衣装とメイクセット。計三種。  12才賀勝:オリンピア、携帯電話。計二種。  13白金:ジャック・オー・ランターン、以上。一種だけ。  14坂田銀時:白銀のあるるかん、蝶ネクタイ型変声機、隠者の紫のDISC。計三種。  15神楽:拡声器、木刀正宗。計二種。  16桂小太郎:ライドル、時計型麻酔銃、スタングレネード×三。計三種。  17志村新八:美那子の手、陵桜学園高等部のセーラー服、ハリセン。計三種。  18愚地独歩:逆十字号、白金のあるるかん、黒王号。計三種。  19花山薫:USSR AK74、煙草一ケース。計二種。  20範馬刃牙:核鉄XXIII、強化外骨格「零」。計二種。  21範馬勇次郎:日本刀、自転車、四個の打ち上げ花火。計三種。  22吉良吉影:バズーカ、アラミド繊維内蔵ライター、法儀礼済みボールベアリングのクレイモア地雷。計三種。  23空条承太郎:首輪探知機、『■■■』。計二種。  24ジョセフ・ジョースター:トランプ銃、ハイパーヨーヨーが二つ、江頭2:50のタイツ。計三種。  25DIO:デルフリンガー、ダーツの矢が三本。計二種。  26カズマ:核鉄LXI、仕込み傘、ギーシュの造花。計三種。  27シェリス・アジャーニ:血の入った金属バケツ、吸血鬼ヌケサクの入った棺、ハート様気絶用棍棒。計三種。  28マーティン・ジグマール:破壊の杖、ティーガー(P)駆逐戦車。計二種。  29劉鳳:空条承太郎の記憶DISC、4色ボールペン。計二種。  30キュルケ:タバサの杖、ジャッカル。計二種。  31タバサ:ただのナイフ、ネクロノミコン、液体窒素。計三種。  32平賀才人:紫外線照射装置、ジェラルミン盾、参加者の自己紹介が録音されたボイスレコーダー。計三種。  33ルイズ:軍刀、以上。一種だけ。  34綾崎ハヤテ:454カスールカスタムオート、13mm爆裂鉄鋼弾×三十五。計二種。  35桂ヒナギク:何がどれだけ入っていたのか、共に不明。  36三千院ナギ:核鉄XXII、スパイスガールのDISC、ヘルダイバー。計三種。  37マリア:鎖鎌、犯人追跡メガネと発信器×三。計二種。  38アーカード:竜の羽衣。一種だけ。  39アレクサンド・アンデルセン:核鉄XLIV、EXP-14LIE高高度実験機、東方仗助の服。計三種。  40セラス・ヴィクトリア:DVDプレーヤー、たこ、スティッキィ・フィンガーズのDISC。計三種。  41アミバ:ノートパソコン、携帯電話。計二種。  42ケンシロウ:成仏鉄球、生命の水、鳴海の鉢巻。計三種。  43ジャギ:ベレッタM92F、キリマンジャロの雪解け水、ライダーマンヘルメット。計三種。  44ラオウ:コカコーラ、キュルケの杖。計二種。  45防人衛:シルバースキン形コート、木刀、スタングレネード×六。計三種。  46蝶野攻爵:週刊少年ジャンプ、んまい棒、綾崎ハヤテの女装服。計三種。  47津村斗貴子:水のルビー、始祖の祈祷書、キック力増強シューズ。計三種。  48武藤カズキ:音響手榴弾、催涙手榴弾、黄燐手榴弾。計三種。  49川田章吾:チョココロネ、マイクロウージー、ジッポーライター。計三種。  50桐山和雄:レミントン M31RS、バヨネット。計二種。  51杉村弘樹:超光戦士シャンゼリオンのDVDBOX、以上。一種だけ。  52三村信史:クレイジー・ダイヤモンドのDISC、七原秋也のギター。計二種。  53江戸川コナン:鷲巣麻雀セット、スーパーエイジャ、ヌンチャク。計三種。  54灰原哀:参加者顔写真と詳細プロフィール付き名簿、ルイズの杖。計二種。  55服部平次:「ざわ……ざわ……」とかかれた紙、モッツァレラチーズとトマトのサラダ、スーパー光線銃。計三種。  56毛利小五郎:電磁ナイフ付き拳銃、人体模型、ZXのメモリーキューブ。計三種。  57泉こなた:猫草、フレイム・ボール、ニードルナイフ。計三種。  58高良みゆき:イングラムM10サブマシンガン、以上。一種だけ。  59柊かがみ:核鉄XII、魔術師の赤のDISC、フェイファーツェリザガ。計三種。  60柊つかさ:ホーリーの制服、バードコール、ターボエンジン付きスケボー。計三種。  そして、シエスタに支給される予定だったアイテム――ということになっている――が、オー・ロンサム・ミーのDISC、生命の水の二種。  シエスタのアイテムというものがあるが、実際には違う。シエスタのアイテムなど存在しない。するわけがない。  徳川光成がルールを説明した際、気まぐれでシエスタの首輪を爆発させたように見えるが、そんなことはない。  最初から、シエスタは殺される予定だったのだ。殺される予定の者の支給品を用意するほど、BADANはマヌケではない。  ならば何故存在するのか?  言っただろう。伊藤博士が紛れ込ませたアイテムが幾つか存在する――と。  伊藤博士は己の用意したアイテムを紛れ込ませる際に、もともと入っていたアイテムを抜いたのだ。  そして伊藤博士は、その抜いたアイテムをシエスタに支給されるはずだった物ということにして、放置した。  ――何故、わざわざアイテムを抜く必要があったのか。  そこに疑問を感じずにはいられない。  もともとのアイテムを入れっぱなしにしておいて、己の用意したアイテムも紛れ込ませればいいではないか。  なんで、そうしなかった。  なんで、わざわざ『シエスタのアイテム』なんてを用意した。  なんで、BADANに感づかれるかもしれないのに、わざわざ残した。  伊藤博士は決して馬鹿ではないし、常識を持ち合わせている。  もともとのアイテムを入れたまま、自分の用意したアイテムも含ませる。そんな簡単なことを考えぬはずがない。  ならば何らかの理由で、『シエスタのアイテムを用意せざるを得なかった』のではないだろうか。  何らかの理由とは一体?  ここで、上記のランダムアイテム表を見ていただきたい。  ランダムアイテムは一参加者につき一~三種支給される。『ランダム』に、だ。  にしては、三種支給されている参加者が多すぎないだろうか。  ランダムアイテムが一種支給された参加者:八人。  ランダムアイテムが二種支給された参加者:十九人。  ランダムアイテムが三種支給された参加者:三十三人。  数えてみれば、上のようになる。なお、アイテムの詳細が不明の桂ヒナギクは含まず、シエスタを一応カウントしておいたことを言っておこう。  明らかに三種支給された参加者が多く、一種二種の参加者は少ない。  ここから何が言えるのか? 言えることなんて、一つだけだ。  三種支給された参加者が殆どってこと、ただ一つ。  おっと、ここで思い出して欲しい。  伊藤博士は『アイテムの配布を担当していた構成員の部屋に潜り込み、デイパックに本来支給するべきでない道具を幾つか紛れ込ませた』のだ。  彼は焦っていたことだろう。バレてしまえば、そこで終わりなのだから。  何が? 彼の命が? 違う。  彼がアイテムを紛れ込ませる計画が、だ。  紙に封印したアイテムを持ち、部屋に侵入。速く事を済ませようと焦りながら、デイパックを開いた。  ――しかし、殆どのデイパックにはアイテムが既に三種入っている。  速く切り上げようとヤキモキしていた伊藤博士。  そんな彼が開いたデイパックに既に三種アイテムが入っていたならば、彼はさらに焦っただろう。  既に三種アイテムが入っているデイパックにさらにアイテムを突っ込めば、アイテムが四種入っているということになる。  もしもデイパック内を確認されれば、怪しまれることは自明である。  ただでさえ長居は出来ない。早急に去らねばならない。監視は無いにせよ、構成員が立ち寄る可能性が無くは無い。  そんな状況で、伊藤博士はもう一つデイパックを開いた。  しかし、それにも既にアイテムは三種入っていた。  焦りを募らせていく伊藤博士。  殆どのデイパックにはアイテムが三種入っているのでは――そう考えた彼が、咄嗟に取った行動。  それが、『デイパックからアイテムを抜き、己の用意したアイテムを突っ込む。引き抜いたアイテムは、シエスタのものとして放置』という苦し紛れの行為。  エンリコ・プッチは『シエスタのアイテムを用意したのは、不自然に増えたアイテムに違和感を持たせないため』と推測したが、以上が真実であったのだ。  現実とは、いたく奇妙なモノである。  さて、彼が紛れ込ませた道具とは一体なんなのだろう。  一つは既に明かされている。  ケンシロウに支給され、ケンシロウが命を賭けて託した『成仏鉄球』。  それが封印された紙を開いたときに、伊藤博士からの手紙も共に出てきたことから明らか。  では、もう一つは、何だ?  一つが強化外骨格『凄』を無効化させるアイテムならば、もう一つはBADANの砦へとたどり着ける移動手段?   クルーザー? それとも、ヘルダイバー? 或いは、その他の雷雲を突き進むことが出来る移動手段?  ノゥ。それら全て、もともとから支給されるべきであった支給品にすぎない。  そもそも『成仏鉄球』には手紙が同封されていたのに、もう一つに同封されていないってのはおかしい。  これまで幾つものエニグマの紙が開かれた。しかし手紙が入っていたのは、『般若心経と書かれた紙』=『成仏鉄球』だけ。  ということは『紙から出ていない』アイテムこそが、伊藤博士の紛れ込ませたもう一つのアイテム……!  つまり『■■■』か、或いは桂ヒナギクに支給されたどれかであろうか?  いいや、片方は違う。  『■■■』が伊藤博士が紛れ込ませたアイテムであることは、絶対にない。  上記のランダムアイテム表を見て欲しい。  『■■■』を支給されたのは、空条承太郎。彼のランダムアイテムは、『二種』。  伊藤博士は元から三種アイテムが入っていたデイパックから一種アイテムを抜いて、自分の用意したアイテムを紛れ込ませた。  『■■■』が紛れ込ませたアイテムならば、承太郎はもともと三種のアイテムを支給されるはずだったことになる。  シエスタに支給されるはずだったアイテムは二種。一種はもともとケンシロウのデイパックに入っていた。  承太郎のデイパックに伊藤博士がアイテムを紛れ込ませたなら、シエスタに支給されるはずだったアイテムは『三種』でなければならない! だが、違う!  ゆえに、『■■■』は伊藤博士が紛れ込ませたアイテムに非ず……!  つまり、桂ヒナギクに支給されたうちの一種が、伊藤博士が紛れ込ませた支給品ということになる。  そして、桂ヒナギクの支給品が三種なのもここで確定となる。  それら正体とは、はたして……―――――――― ■  ヒナギクの言っていたH-4に到着したので、車から降りる。  車に乗ってた所為で、探し物が見つかりませんでした――じゃあ、面白くもねぇ。  勇次郎とラオウの元へと向かう際に、乗り捨てた車を道中で見つることが出来たのは幸運だったな。  飲酒運転は最近厳しいらしいが、缶ビール一本でそこまで酔うワケが無ぇだろ。むしろ落ち着いて、感覚が研ぎ澄まされるってもんだ。  そもそも飲酒運転にどうのこうの言う連中、こんなとこにゃあ……いや、いるか。  覚悟とヒナギクの姿が、頭に浮かんできやがった。  アイツら二人で移動してったが、今頃は仲良くやってんのかねえ。 「しかし、こいつは酷ぇや」  車から降りて暫く移動した頃、周囲に大量の黒い破片が散らばっているのが確認できるようになった。  他にも、木々や石ころなど何もかもにこれまた真黒い煤が付着し、そこで激闘があっただろうと推測せざるにいられねぇ。  注意深く探し物を探しながら、歩き回る。  どれほど経っただろうか。  黒い破片も煤も無い辺りまで着いた頃、やっと見つけた。宝物――ヒナギクのデイパック――を。  それをひょいと拾い上げて、車を駐車した場所に戻ろうとしてやめた。  ヒナギクによれば、アイツが最初に気の狂った神父に襲われた時、命を捨てて逃がしてくれた男がいるという。毛利小五郎とか言ったか?  こんな端っこにゃあ、わざわざ誰も来ないだろう。  墓を作る時間は無ぇが、供え物を捧げる時間くらいはあるだろう。  さっきのビールでも持ってきてればよかったが、悪ぃな。水で我慢してくれや。  全身を切り刻まれていた毛利小五郎――だったと思う――の死体の元に水が入ったボトルを置き、車の元へと駆ける。  その道中でついつい気になってしまうのは、宝物だ。  何が入っているのか。  そこまで期待はしていないが、速く見てみたいもんだ。  思い立ったがままにデイパックに手を突っ込むと、紙は三枚みてぇだ。  適当に一枚選んで、紙を眺める。  名前と説明が書いてあるはずだが…… 「こりゃあ、どういうことでぇ」  勝手に呟きが漏れてきやがった。  だが、確かに意味が分からねぇ。  書いてあったのは、二文字だけ。ただ、『列車』とだけ書いてあった。  紙をひっくり返しても説明などはなく、疑問符だけが浮かんできやがる。  紙を開いてみれば、今度は紙が二枚出てきた。  一枚はやたら文字が書き込まれていて、もう一枚は少し文字が書かれているもほぼ無地。  ほぼ無地の方をポケットに突っ込んで、もう片方に目を通す。 「……どういうことでぇ」  またしても、勝手に言葉が口から零れた。 ■  愚地独歩が、キーを挿しっぱなしにしてあった乗用車に勢い良く乗り込む。  元から持っていたデイパックも回収したヒナギクのデイパックも、後部座席に無造作に積み上げ、ポケットから二枚の紙を取り出す。  一枚にはみっちりと文字が書き込まれていて、もう一枚には一言だけ『同封した注意書きを必読』と書かれている。  ――これが、伊藤博士が紛れ込ませたもう一つのアイテム。  再度文字が書き込まれた紙――伊藤博士からの手紙に、目を通す独歩。  その表情は険しく、彼にしては珍しく冷や汗などというものを流している。  何度も手紙を再読するとポケットに押し込み、『注意書きを必読』と書かれた紙――エニグマの紙を手にする。  伊藤博士からの手紙には、まず成仏鉄球に同封された物と同じことが記されていた。  当然ながら、上空に存在する衛星カメラと首輪内の盗聴器についての記述もあった。  だからこそ独歩は、乗車するまで紙をポケットに突っ込んでおいた。  また成仏鉄球に同封された手紙とは違うことも、独歩の読んだ手紙には書かれていた。  それは、伊藤博士のが紛れ込ませたアイテムに関する説明。 『もう一枚の紙には、文が記された紙が封印されている。  それを読み上げれば、接近物迎撃システムの反応できぬ速度でBADANの砦まで一直線に辿りつくことができる列車が出現する。  しかしそれを護衛している怪人達も、列車は連れてきてしまうだろう。  強い意志と怪人を倒しえる能力を持つ者達が集い、使い時が来たと判断したならば是非とも使って欲しい』  ここに書かれた列車とはBADANがとある世界から調達し、現在サザンクロス内に保管してあるものである。  研究者達とBADANの技術により、どこで呼び出してもサザンクロスまで一直線に疾走するよう改造してある。  その改造を担当したのもまた――伊藤博士であった。  それを知る由もない独歩が、ゴクリと喉を鳴らす。  そして左の目をカッ見開くと、覚悟を決めたようにエニグマの紙を開こうとし――やめた。 (まあ、あとで構わねぇか)  学校辺りで他の参加者達と合流してからでも遅くはない。独歩はそう判断した。  エニグマの紙も手紙と同じポケットに押し込み、独歩はアクセルを踏む。  学校へ向けて少しずつ動き出す車の中で、独歩はニィと笑みを浮かべる。 (それにしても――――列車、か)  ハンドルを握る独歩の両手に力が篭る。  列車。人生を空手に捧げた愚地独歩は、その文字を見た瞬間にすぐさま考えた。列車に乗った状態での、列車を護衛する怪人とやらとの戦闘を。  走る列車の上。不安定な戦場。足に力を入れる事を重要とする空手の使い手には、不利な戦場と思うかもしれない。  しかし、決してそんなことはない。  空手とは、そもそも中国拳法が琉球へと伝わった者を祖とする。  かつて琉球では海上での合戦が多く、列車内の比ではないほどに不安定な船の上での闘争が基本であった。  その中で、多くの犠牲と試行錯誤、そして淘汰の果てに勝ち残った立ち方が存在する。  ――三戦(サンチン)。  攻撃防御の両面に優れ、何よりバランスのよさが特徴の構え。  独歩は弟子に自ら伝授するほど、その構えを得意とする。  故に、笑う。心を躍らせる。手に力が篭る。自然にアクセルを踏む力が強くなる。  他の参加者を守ることを優先すると決めながら、独歩はこれから起こるであろう戦闘のことで頭がいっぱいであった。 【H-4 路上/2日目 朝】 【愚地独歩@グラップラー刃牙】 [状態]:体にいくつかの銃創、頭部に小程度のダメージ、左肩に大きな裂傷 左腕を深く抉られている [装備]:キツめのスーツ、シルバースキン@武装錬金、車@現地調達、伊藤博士からの手紙(ポケット内)、『注意書きを必読』と書かれたエニグマの紙(ポケット内) [道具]:基本支給品一式×3、首輪×2、ジャッカル@HELLSING(残弾数1)、神楽の仕込み傘(強化型)@銀魂 ベレッタM92(弾丸数0/15)、ハート様気絶用棍棒@北斗の拳、懐中電灯@現地調達、包帯と湿布@現地調達、不明支給品×2 [思考・状況] 基本:闘うことより他の参加者 (女、子供、弱者) を守ることを優先する。 1:学校へ向かう。 2:可能なら、光成と会って話をしたい。 [備考] ※パピヨン・勝・こなた・鳴海・覚悟・村雨・ヒナギク・かがみと情報交換をしました。 ※刃牙、光成の変貌に疑問を感じています。 ※独歩の支給品にあった携帯電話からアミバの方に着信履歴が残りました。 ※BADANの存在を知り、かがみから首輪のステルス機能の事、解除方を知りました。また零の暗雲についての推測も知りました。 ※愚地流奥義にしたいと思っている技を会得しました(意を消した拳、これを拳のみならず他の空手技にも用いる事が出来る) ※繁華街のホテル(E-2中心部)内に鷲巣麻雀セット@アカギ、置手紙が放置されています。 ※伊藤博士の手紙より、バトルロワイアルに関する情報を得ました。 ※『注意書きを必読』と書かれたエニグマの紙を開けば、文が記された紙が出現します。 ※その文を読み上げれば、護衛している怪人達共々『列車@???』が現れます。 【村雨、かがみ、覚悟、ヒナギク、独歩、エレオノール、服部、ジョセフ、八人の共通備考】 ※一通りの情報交換は終えています ※神社、寺のどちらかに強化外骨格があるかもしれないと考えています。 ※主催者の目的に関する考察 主催者の目的は、 ①殺し合いで何らかの「経験」をした魂の収集、 ②最強の人間の選発、 の両方が目的。 強化外骨格は魂を一時的に保管しておくために用意された。 強化外骨格が零や霞と同じ作りならば、魂を込めても機能しない。 ※五人の首輪に関する考察及び知識 首輪には発信機と盗聴器が取り付けられている。 首輪には、魔法などでも解除できないように仕掛けがなされている 。 首輪にはステルス機能があり、身を清め水を掛ける事で解除可能 ※五人の強化外骨格に関する考察。 霊を呼ぶには『場』が必要。 よって神社か寺に強化外骨格が隠されているのではないかと推論 ※BADANに関する情報を得ました。 【BADANに関する考察及び知識】 このゲームの主催者はBADANである。 BADANが『暗闇大使』という男を使って、参加者を積極的に殺し合わせるべく動いている可能性が高い。 光成は司会役として脅されている。 BADANの科学は並行世界一ィィィ(失われた右手の復活。時間操作。改造人間。etc) 主催者は脅威の技術を用いてある人物にとって”都合がイイ”状態に仕立てあげている可能性がある だが、人物によっては”どーでもイイ”状態で参戦させられている可能性がある。 ホログラムでカモフラージュされた雷雲をエリア外にある。放電している。  1.以上のことから、零は雷雲の向こうにバダンの本拠地があると考えています。  2.雷雲から放たれている稲妻は迎撃装置の一種だと判断。くぐり抜けるにはかなりのスピードを要すると判断しています。 ※雷雲については、仮面ライダーSPIRITS10巻参照。 |243:[[帝王無双BADAN~白蛇対峙~]]|[[投下順>第201話~第250話]]|245:[[チェイン]]| |242:[[襲来!蝶男の帝王舞]]|[[時系列順>第6回放送までの本編SS]]|245:[[チェイン]]| |239:[[鬼酔酒]]|愚地独歩|:[[]]| ----
**ふしぎなおくりもの ◆hqLsjDR84w  さてさて、今回はランダムアイテムについての話をしよう。  まずはランダムアイテムとはいったい何なのか、それについての説明かな。  集められたバトルロワイアルの参加者達は、徳川光成にルールを説明された後に、バトルロワイアルの会場のあらゆる地点に飛ばされた。  飛ばされる瞬間、参加者の足元に大首領の力による魔方陣が出現したのだが、それに気付くものはいなかった。  ほぼ全ての参加者が、葉隠覚悟の宣戦布告に目を取られていたためなのだが、覚悟自身もそれを知ることはないだろう。  参加者が飛ばされた場所の付近に、デイパックが置いてあったのだ。  なに? 気付いた時には、デイパックを所持していた者達がいる?  ああ、知っているさ。志村新八とマリアの二人だろう? なに、彼等の勘違いさ。  彼等は、自らデイパックを背負ったのだ。気付かぬうちにね。  『いきなりの展開に困惑し、本人の気付かぬうちにデイパックを肩にかけていた』として、何か不自然な点があるだろうか?  彼女とて、十六歳と十七歳――片方がそうは見えぬかもしれないが、BADANの情報によればこれで正しいのだ――の少年少女。何ら違和感など、ないだろう。  さて、本題に戻ろうか。  デイパックの中身は、地図、コンパス、筆記用具、水と食料、名簿時計、ランタン――そして今回の御話のメイン、ランダムアイテム。  ランダムアイテム、何が支給されているかは分からない。それは武器である場合もあれば食物だったり、時には何の役にも立たなそうなものである場合もある。  例えば、戦闘機。例えば、強化外骨格。例えば、錬金術の結晶。例えば、銃器。etcetc……  そんなものが参加者一人につき、一つから三つ支給されているのだ。  ……いや、一種から三種と言うべきだな。  ――参加者に配られたランダムアイテムの中に、幾つか伊藤博士の紛れ込ませた物が存在する。  それが何なのかを考えていこうと思う。  さっき『今回はランダムアイテムについての話』と言ったが、スマン。ありゃあ間違っていた。  『今回は伊藤博士が紛れ込ませたアイテムについての話』って言った方が、正しかったな。  そのために、まずは誰のデイパックにどのアイテムが入っていたかを纏めてみよう。  ……と言いたいのだが、問題がある。  勘のいい方ならば気付いただろうが、誰に支給されたのか分かっていないアイテムが存在するのだ。  そういうのが幾つかあるのだが……そうだな。アレら辺りが、最初に説明するのに適してるかな。  まずは、『ZXのメモリーキューブ』『EXP-14LIE高高度実験機』『東方仗助の服』の三種が、一体誰に支給されたかを明かしていくとしよう。  これらの内二つはアレクサンド・アンデルセンが使用したもので、もう一つはアンデルセンのデイパックから本郷猛が発見したものだ。  ならば、三つともアンデルセンのアイテムなのではないか?  そう言いたいかもしれないが、違うんだ。全てがアンデルセンに支給されたアイテムなんてことは、絶対にありえない。  何故ならば、アンデルセンは現在話している三種以外に『核鉄XLIV』を支給されているのだから。  アイテムを四種も支給されているなんておかしい? 運がよくても三種までしか支給されないんじゃないのか?  言いたいことは分かる。まあ、アンデルセンの行動を思い返してみてくれ。  アンデルセンは毛利小五郎を殺害後、小五郎のデイパックを回収した。  生前に小五郎はアイテムを二つ出していたが、まだ一つ残っていたのかもしれない。いや、残っていたのだ。そうでなければ、おかしいのだ。  さて、ならば、先ほどの三つのうちどれが小五郎のアイテムであったのだろう。  彼の行動を思い出すんだ。  アンデルセンの襲撃を受けた彼は焦っていた、切羽詰っていたんだ。『人体模型』でさえも、盾として使用するほどに。  焦りながらも彼は心臓が止まる寸前まで、ただ同行していた桂ヒナギクを逃すことだけを考えていたのだ。  そんな彼が『EXP-14LIE高高度実験機』を持っていたなら、『東方仗助の服』を持っていたなら、それらが封印された紙を開いたのではなかろうか?  『EXP-14LIE高高度実験機』なんかに潰されれば、アンデルセンでも一たまりもない。外れても、足止めにはなる。  ヒナギクが近くにいればかなり危険だが、ヒナギクが小五郎とアンデルセンから結構離れた時まで、小五郎の息はあった。  『東方仗助の服』はダメージは与えられずとも、一瞬だけでも目晦ましにはなっただろう。  しかし、開かなかった。  何故か――理由は至極簡単。持っていなかったからだ。  持っていたのは、『ZXのメモリーキューブ』と書かれた紙。  小五郎は支給品を確認していた。していなければ、咄嗟に『人体模型』で殴ることなんか出来ない。  そもそも確認していなかったならば、『電磁ナイフ付き拳銃』を携えていたこと自体がおかしい。  当然、『ZXのメモリーキューブ』の存在も知っていた。  しかし彼は、メモリーキューブという名からそれをUSBの類と判断した。  故に、彼がそれが封印された紙を開くことはなかった。  尤も、開いたところで生き長らえることが出来たとは思えないがね。  纏めよう。  『ZXのメモリーキューブ』――毛利小五郎に支給された。  『EXP-14LIE高高度実験機』、『東方仗助の服』――アレクサンド・アンデルセンに支給された。  次だ。  『綾崎ハヤテのママチャリ』、『携帯電話』、『ノートパソコン』の三種。  これらは市川を殺害したアミバが、市川のデイパックを回収。それから少し経って、アミバがアイテムを確認した際に出てきたものだ。  全ての参加者が、少なくとも一つはアイテムを支給されている。  したがって、『三つのうち二つがアミバのアイテムでもう一つが市川のアイテム』、或いは『一つがアミバのアイテムでもう二つが市川のアイテム』――と、推測できる。  また、才賀勝のアイテムである『携帯電話』――当然ながら、アミバに支給されたものとは別のものだ――に、アミバの電話番号が登録されている。  という訳で、『携帯電話』はアミバのアイテムであったことが分かる。  さて、ここからだが……残念ながら、もうどっちがどちらのアイテムであるか考察する材料は無い。  だから、結論だけをさっさと言ってしまうとしよう。  『携帯電話』、『ノートパソコン』――アミバに支給された。  『綾崎ハヤテのママチャリ』――市川に支給された。  さあ、次にいこう。  他にもまだ、誰に支給されたのか分からないアイテムはある。  どうしようか……うーむ、残りは一気に説明した方が楽みたいだな。そうするか。  『ヘルダイバー』、『ライダーマンヘルメット』、『キリマンジャロの雪解け水』、そして『■■■』。  え? 『■■■』とは、どういうことかって?  ああ、『■■■』っていうのは――――分からないんだ。  それが一体何なのか、BADANがどの世界から調達したのか、一切が不明。  何でかって? 紙が開かれる前――いいや、違うな。  付属された説明すら読まれる前に、紙ごと燃えてしまったんだ。  第五放送と第六放送の間に、川田章吾が才賀エレオーノルにハルコンネンをぶっ放しただろう? その時だ。  ならばエレオノールが持っていたのか? いいや、違う。  それを持っていたのは、エレオノールの付近に転がっていた死体――マーティン・ジグマール。  ジグマールは『■■■』が何なのかも知らず温存していたらしいが、生憎死ぬ直前まで戦闘していたケンシロウは、中身を確認する隙を与えなかった。  そのためにジグマールは『■■■』が何なのかを知らぬまま、戦闘終了直後に川田に両断された。  そして中身を誰も知らぬまま、紙から出ることなく灰となった。  さて、上記の四つのアイテム。それらは、そもそも誰に支給されたのか。それを知ることから始めよう。  『ヘルダイバー』と『ライダーマンヘルメット』は、ジグマールが川田に渡した。  『キリマンジャロの雪解け水』は、ジグマールが飲み干した。  『■■■』は、ジグマールが最期まで持っていた。  ということは、全てジグマールのアイテムか? いいや、ノゥ。絶対にノゥ。  まず、四種支給されることがありえない。何より、ジグマールの支給品は『破壊の杖』と『ティーガー(P)駆逐戦車』の二つだ。  他には無かったし、その二つもデイパックごとセラス・ヴィクトリアの戦闘で塵となった。  ならば、誰のものか?  この四つはいろいろな参加者の手を転々としたため、説明がややこしいと思う。  そこは、覚悟していただきたい。では、解説を開始しよう。  ジャギが白金に殺害され、道具を奪われる。その時点でジャギのデイパックには、未だ開かれていないエニグマの紙が二つあった。  その後、白金は武藤カズキと戦闘し共に逝去。ジャギの所持していたものを仕舞いこんであった白金のデイパックは、その場に放置される。  白金のデイパックは、その場にいた三千院ナギと駆けつけた空条承太郎と綾崎ハヤテが回収する。  ナギの脱臼していた右腕を承太郎が治療し、その痛みでナギは意識を落とした。  気絶したナギをハヤテが背負った。その際にハヤテは、持ちやすいように白金のデイパックの中身をナギのデイパックに纏めた。  元々ナギのデイパックには未開封のエニグマの紙が一枚あったので、この時点ではナギのデイパックには、未開封のエニグマの紙が三枚あった。  暫くしてナギが目覚め、三人が喫茶店に到着。  休息の間もなく範間刃牙の襲撃を受け、この戦闘で承太郎と刃牙は死亡。ハヤテはその場から走り去り、疲労しきったナギもゆっくりとハヤテを追った。  喫茶店には、四人のデイパックが残された。この時点で、ナギのデイパックには未開封のエニグマの紙が三枚、承太郎のデイパックには一枚入っていた。  フラリフラリと足を前後させていたナギは、喫茶店から少し離れた場所で加藤鳴海と愚地独歩に保護される。  彼等は喫茶店へと戻り、周囲に散らばった道具を回収。そして、移動を開始した。  この時点で、ナギのデイパックは鳴海に渡り、承太郎のデイパックは独歩に渡った。  数刻後、泉こなたと合流。そしてDIOの居場所を知り移動、邂逅、人質、分断、衝突、追跡、再戦、決着。  鳴海はDIOに勝利。また蝶野攻爵と合流するも、操られていたシェリス・アジャーニは救えず、鳴海自身も死んでいった。  そして、鳴海の所持品――承太郎のアイテムを含む――は、独歩の手へ。  この時点で、独歩はエニグマの紙を四枚持っていることになる。内訳は、ジャギのものが二枚、ナギのものが一枚、承太郎のものが一枚、である。  またしても暫くが経過。独歩達三人は、蝶野と離別することになる。  その後、エレオノールとジグマール――先ほどの『誰に支給されたのか分からないアイテム』を一時期四つ持っていた男である――が、独歩達に急襲。  独歩はこなたとナギを逃がすことに成功するが、デイパック――勿論、四枚のエニグマの紙を含む――をジグマールに奪われる。  いろいろあった――その際に、『キリマンジャロの雪解け水』をジグマールは飲み干した――が、その場ではジグマールは逃走。  追いかけた独歩を撒き、川田と同盟を締結。その折に『ヘルダイバー』と『ライダーマン変身セット』は、川田の手に。  そして、次に出会ったケンシロウにジグマールは勝負を挑み、勝利。すぐさま川田により殺害され、『■■■』は灰に。  というワケだ。  要するに、『ヘルダイバー』『ライダーマンヘルメット』『キリマンジャロの雪解け水』『■■■』のうち、二つがジャギ、一つがナギ、一つが承太郎のものなのだ。  ここまで色々な参加者の元を転々とするとは、分からないものである。  特に『ヘルダイバー』と『ライダーマンヘルメット』なんかは、川田からさらに蝶野へと所持者が変わったのだ。なんとも、不思議なものだ。  どれとどれがジャギの支給品で、どれが承太郎支給品で、どれがナギの支給品なのか。  さて、考えてみよう。  ――と言いたいが、これまた考察する材料は無い。  だから、まず答えを言ってから、解説の方をさせていただこう。  『■■■』――空条承太郎に支給された。  『ヘルダイバー』――三千院ナギに支給された。  『キリマンジャロの雪解け水』、『ライダーマンヘルメット』――ジャギに支給された。  承太郎に支給された『■■■』。彼は説明書を読んだが、取り出すことなく息絶えた。  そして鳴海も独歩も、そしてジグマールまでもが、中身を確認することはないまま紙ごと灰となってしまった。  分かるのは、『少なくとも、承太郎には必要なかった』ということだけ。  中身を知るのは、アイテムの分配担当のBADAN構成員だけであろう。  三千院ナギに支給された『ヘルダイバー』。  かなりの性能を誇るバイクなのだが、ナギが使用することはなかった。高性能な足となり得るのに、だ。  何故か――説明書に書かれた一文。  『最高時速600km。核融合エンジンを搭載している』  ただの小学生ならばともかくとして、ナギは工学に関する知識をそれなりに持っている。  そんな少女が、核融合エンジンなど信じるわけがない。  しかしバトルロワイアルの過程で様々な不可思議を体感し、じょじょにナギは『そんなものがあっても、おかしくはない』と思うようになった。  だがそれでも――いや、だからこそ、か。  だからこそ、『核融合エンジン』などという危険物を出すなんてことは出来なかったのだ。  そして、ジャギに支給された『キリマンジャロの雪解け水』。  これの説明書を読んだのは、ジャギと白金の二人だが……  『キリマンジャロの雪解け水』は、ジャギは温存したまま死に行ってしまい、機械のボディを持つ白金はそれを必要としなかった。  そして、もう一つジャギに支給された『ライダーマンヘルメット』。  実を言えば、ジャギはこれの名前しか読んでいない。  説明書は読まなかったのだ。  既にヘルメットを被っていたジャギは、『ヘルメット』と見ただけで、必要ないと判断した。  ……使用していれば、死ななかったかもしれないのに。運が無い男である。  一方、白金は説明書を一応読んでいた。  しかし、これまた機械のボディを持つ白金には必要なかった。  筋力をはじめとする運動機能が大幅に強化される、科学の結晶も、白金には意味が無かったのだ。  さて、これで、誰に何が支給されたかは分かった。  何個支給されたのかも、一体何が支給されたのかも分からないのが、一人分だけある。  それはまだ明かされていないので、それ抜きで誰のデイパックにどのアイテムが入っていたかを纏めてみよう。  01赤木しげる:道化のマスク、グリモルディ、核鉄LV。計三種。  02市川:綾崎ハヤテのママチャリ、以上。一種だけ。  03平山幸雄:ジャギのショットガン、i-pod、泉こなたのスクール水着。計三種。  04鷲巣巌:核鉄C、キング・クリムゾンのDISC。計二種。  05葉隠覚悟:ライダースーツ、以上。一種だけ。  06葉隠散:クルーザー、法皇の緑のDISC、黄金体験のDISC。計三種。  07本郷猛:捕獲網、ロードローラー、ボウガン。計三種。  08三影英介:ハルコンネン、以上。一種だけ。  09村雨良:強化外骨格「霞」、原チャリ。計二種。  10加藤鳴海:核鉄LII、グリース缶、AB型の輸血パック。計三種。  11才賀エレオノール:青汁DX、二十本の投げナイフ、ピエロの衣装とメイクセット。計三種。  12才賀勝:オリンピア、携帯電話。計二種。  13白金:ジャック・オー・ランターン、以上。一種だけ。  14坂田銀時:白銀のあるるかん、蝶ネクタイ型変声機、隠者の紫のDISC。計三種。  15神楽:拡声器、木刀正宗。計二種。  16桂小太郎:ライドル、時計型麻酔銃、スタングレネード×三。計三種。  17志村新八:美那子の手、陵桜学園高等部のセーラー服、ハリセン。計三種。  18愚地独歩:逆十字号、白金のあるるかん、黒王号。計三種。  19花山薫:USSR AK74、煙草一ケース。計二種。  20範馬刃牙:核鉄XXIII、強化外骨格「零」。計二種。  21範馬勇次郎:日本刀、自転車、四個の打ち上げ花火。計三種。  22吉良吉影:バズーカ、アラミド繊維内蔵ライター、法儀礼済みボールベアリングのクレイモア地雷。計三種。  23空条承太郎:首輪探知機、『■■■』。計二種。  24ジョセフ・ジョースター:トランプ銃、ハイパーヨーヨーが二つ、江頭2:50のタイツ。計三種。  25DIO:デルフリンガー、ダーツの矢が三本。計二種。  26カズマ:核鉄LXI、仕込み傘、ギーシュの造花。計三種。  27シェリス・アジャーニ:血の入った金属バケツ、吸血鬼ヌケサクの入った棺、ハート様気絶用棍棒。計三種。  28マーティン・ジグマール:破壊の杖、ティーガー(P)駆逐戦車。計二種。  29劉鳳:空条承太郎の記憶DISC、4色ボールペン。計二種。  30キュルケ:タバサの杖、ジャッカル。計二種。  31タバサ:ただのナイフ、ネクロノミコン、液体窒素。計三種。  32平賀才人:紫外線照射装置、ジェラルミン盾、参加者の自己紹介が録音されたボイスレコーダー。計三種。  33ルイズ:軍刀、以上。一種だけ。  34綾崎ハヤテ:454カスールカスタムオート、13mm爆裂鉄鋼弾×三十五。計二種。  35桂ヒナギク:何がどれだけ入っていたのか、共に不明。  36三千院ナギ:核鉄XXII、スパイスガールのDISC、ヘルダイバー。計三種。  37マリア:鎖鎌、犯人追跡メガネと発信器×三。計二種。  38アーカード:竜の羽衣。一種だけ。  39アレクサンド・アンデルセン:核鉄XLIV、EXP-14LIE高高度実験機、東方仗助の服。計三種。  40セラス・ヴィクトリア:DVDプレーヤー、たこ、スティッキィ・フィンガーズのDISC。計三種。  41アミバ:ノートパソコン、携帯電話。計二種。  42ケンシロウ:成仏鉄球、生命の水、鳴海の鉢巻。計三種。  43ジャギ:ベレッタM92F、キリマンジャロの雪解け水、ライダーマンヘルメット。計三種。  44ラオウ:コカコーラ、キュルケの杖。計二種。  45防人衛:シルバースキン形コート、木刀、スタングレネード×六。計三種。  46蝶野攻爵:週刊少年ジャンプ、んまい棒、綾崎ハヤテの女装服。計三種。  47津村斗貴子:水のルビー、始祖の祈祷書、キック力増強シューズ。計三種。  48武藤カズキ:音響手榴弾、催涙手榴弾、黄燐手榴弾。計三種。  49川田章吾:チョココロネ、マイクロウージー、ジッポーライター。計三種。  50桐山和雄:レミントン M31RS、バヨネット。計二種。  51杉村弘樹:超光戦士シャンゼリオンのDVDBOX、以上。一種だけ。  52三村信史:クレイジー・ダイヤモンドのDISC、七原秋也のギター。計二種。  53江戸川コナン:鷲巣麻雀セット、スーパーエイジャ、ヌンチャク。計三種。  54灰原哀:参加者顔写真と詳細プロフィール付き名簿、ルイズの杖。計二種。  55服部平次:「ざわ……ざわ……」とかかれた紙、モッツァレラチーズとトマトのサラダ、スーパー光線銃。計三種。  56毛利小五郎:電磁ナイフ付き拳銃、人体模型、ZXのメモリーキューブ。計三種。  57泉こなた:猫草、フレイム・ボール、ニードルナイフ。計三種。  58高良みゆき:イングラムM10サブマシンガン、以上。一種だけ。  59柊かがみ:核鉄XII、魔術師の赤のDISC、フェイファーツェリザガ。計三種。  60柊つかさ:ホーリーの制服、バードコール、ターボエンジン付きスケボー。計三種。  そして、シエスタに支給される予定だったアイテム――ということになっている――が、オー・ロンサム・ミーのDISC、生命の水の二種。  シエスタのアイテムというものがあるが、実際には違う。シエスタのアイテムなど存在しない。するわけがない。  徳川光成がルールを説明した際、気まぐれでシエスタの首輪を爆発させたように見えるが、そんなことはない。  最初から、シエスタは殺される予定だったのだ。殺される予定の者の支給品を用意するほど、BADANはマヌケではない。  ならば何故存在するのか?  言っただろう。伊藤博士が紛れ込ませたアイテムが幾つか存在する――と。  伊藤博士は己の用意したアイテムを紛れ込ませる際に、もともと入っていたアイテムを抜いたのだ。  そして伊藤博士は、その抜いたアイテムをシエスタに支給されるはずだった物ということにして、放置した。  ――何故、わざわざアイテムを抜く必要があったのか。  そこに疑問を感じずにはいられない。  もともとのアイテムを入れっぱなしにしておいて、己の用意したアイテムも紛れ込ませればいいではないか。  なんで、そうしなかった。  なんで、わざわざ『シエスタのアイテム』なんてを用意した。  なんで、BADANに感づかれるかもしれないのに、わざわざ残した。  伊藤博士は決して馬鹿ではないし、常識を持ち合わせている。  もともとのアイテムを入れたまま、自分の用意したアイテムも含ませる。そんな簡単なことを考えぬはずがない。  ならば何らかの理由で、『シエスタのアイテムを用意せざるを得なかった』のではないだろうか。  何らかの理由とは一体?  ここで、上記のランダムアイテム表を見ていただきたい。  ランダムアイテムは一参加者につき一~三種支給される。『ランダム』に、だ。  にしては、三種支給されている参加者が多すぎないだろうか。  ランダムアイテムが一種支給された参加者:八人。  ランダムアイテムが二種支給された参加者:十九人。  ランダムアイテムが三種支給された参加者:三十三人。  数えてみれば、上のようになる。なお、アイテムの詳細が不明の桂ヒナギクは含まず、シエスタを一応カウントしておいたことを言っておこう。  明らかに三種支給された参加者が多く、一種二種の参加者は少ない。  ここから何が言えるのか? 言えることなんて、一つだけだ。  三種支給された参加者が殆どってこと、ただ一つ。  おっと、ここで思い出して欲しい。  伊藤博士は『アイテムの配布を担当していた構成員の部屋に潜り込み、デイパックに本来支給するべきでない道具を幾つか紛れ込ませた』のだ。  彼は焦っていたことだろう。バレてしまえば、そこで終わりなのだから。  何が? 彼の命が? 違う。  彼がアイテムを紛れ込ませる計画が、だ。  紙に封印したアイテムを持ち、部屋に侵入。速く事を済ませようと焦りながら、デイパックを開いた。  ――しかし、殆どのデイパックにはアイテムが既に三種入っている。  速く切り上げようとヤキモキしていた伊藤博士。  そんな彼が開いたデイパックに既に三種アイテムが入っていたならば、彼はさらに焦っただろう。  既に三種アイテムが入っているデイパックにさらにアイテムを突っ込めば、アイテムが四種入っているということになる。  もしもデイパック内を確認されれば、怪しまれることは自明である。  ただでさえ長居は出来ない。早急に去らねばならない。監視は無いにせよ、構成員が立ち寄る可能性が無くは無い。  そんな状況で、伊藤博士はもう一つデイパックを開いた。  しかし、それにも既にアイテムは三種入っていた。  焦りを募らせていく伊藤博士。  殆どのデイパックにはアイテムが三種入っているのでは――そう考えた彼が、咄嗟に取った行動。  それが、『デイパックからアイテムを抜き、己の用意したアイテムを突っ込む。引き抜いたアイテムは、シエスタのものとして放置』という苦し紛れの行為。  エンリコ・プッチは『シエスタのアイテムを用意したのは、不自然に増えたアイテムに違和感を持たせないため』と推測したが、以上が真実であったのだ。  現実とは、いたく奇妙なモノである。  さて、彼が紛れ込ませた道具とは一体なんなのだろう。  一つは既に明かされている。  ケンシロウに支給され、ケンシロウが命を賭けて託した『成仏鉄球』。  それが封印された紙を開いたときに、伊藤博士からの手紙も共に出てきたことから明らか。  では、もう一つは、何だ?  一つが強化外骨格『凄』を無効化させるアイテムならば、もう一つはBADANの砦へとたどり着ける移動手段?   クルーザー? それとも、ヘルダイバー? 或いは、その他の雷雲を突き進むことが出来る移動手段?  ノゥ。それら全て、もともとから支給されるべきであった支給品にすぎない。  そもそも『成仏鉄球』には手紙が同封されていたのに、もう一つに同封されていないってのはおかしい。  これまで幾つものエニグマの紙が開かれた。しかし手紙が入っていたのは、『般若心経と書かれた紙』=『成仏鉄球』だけ。  ということは『紙から出ていない』アイテムこそが、伊藤博士の紛れ込ませたもう一つのアイテム……!  つまり『■■■』か、或いは桂ヒナギクに支給されたどれかであろうか?  いいや、片方は違う。  『■■■』が伊藤博士が紛れ込ませたアイテムであることは、絶対にない。  上記のランダムアイテム表を見て欲しい。  『■■■』を支給されたのは、空条承太郎。彼のランダムアイテムは、『二種』。  伊藤博士は元から三種アイテムが入っていたデイパックから一種アイテムを抜いて、自分の用意したアイテムを紛れ込ませた。  『■■■』が紛れ込ませたアイテムならば、承太郎はもともと三種のアイテムを支給されるはずだったことになる。  シエスタに支給されるはずだったアイテムは二種。一種はもともとケンシロウのデイパックに入っていた。  承太郎のデイパックに伊藤博士がアイテムを紛れ込ませたなら、シエスタに支給されるはずだったアイテムは『三種』でなければならない! だが、違う!  ゆえに、『■■■』は伊藤博士が紛れ込ませたアイテムに非ず……!  つまり、桂ヒナギクに支給されたうちの一種が、伊藤博士が紛れ込ませた支給品ということになる。  そして、桂ヒナギクの支給品が三種なのもここで確定となる。  それら正体とは、はたして……―――――――― ■  ヒナギクの言っていたH-4に到着したので、車から降りる。  車に乗ってた所為で、探し物が見つかりませんでした――じゃあ、面白くもねぇ。  勇次郎とラオウの元へと向かう際に、乗り捨てた車を道中で見つることが出来たのは幸運だったな。  飲酒運転は最近厳しいらしいが、缶ビール一本でそこまで酔うワケが無ぇだろ。むしろ落ち着いて、感覚が研ぎ澄まされるってもんだ。  そもそも飲酒運転にどうのこうの言う連中、こんなとこにゃあ……いや、いるか。  覚悟とヒナギクの姿が、頭に浮かんできやがった。  アイツら二人で移動してったが、今頃は仲良くやってんのかねえ。 「しかし、こいつは酷ぇや」  車から降りて暫く移動した頃、周囲に大量の黒い破片が散らばっているのが確認できるようになった。  他にも、木々や石ころなど何もかもにこれまた真黒い煤が付着し、そこで激闘があっただろうと推測せざるにいられねぇ。  注意深く探し物を探しながら、歩き回る。  どれほど経っただろうか。  黒い破片も煤も無い辺りまで着いた頃、やっと見つけた。宝物――ヒナギクのデイパック――を。  それをひょいと拾い上げて、車を駐車した場所に戻ろうとしてやめた。  ヒナギクによれば、アイツが最初に気の狂った神父に襲われた時、命を捨てて逃がしてくれた男がいるという。毛利小五郎とか言ったか?  こんな端っこにゃあ、わざわざ誰も来ないだろう。  墓を作る時間は無ぇが、供え物を捧げる時間くらいはあるだろう。  さっきのビールでも持ってきてればよかったが、悪ぃな。水で我慢してくれや。  全身を切り刻まれていた毛利小五郎――だったと思う――の死体の元に水が入ったボトルを置き、車の元へと駆ける。  その道中でついつい気になってしまうのは、宝物だ。  何が入っているのか。  そこまで期待はしていないが、速く見てみたいもんだ。  思い立ったがままにデイパックに手を突っ込むと、紙は三枚みてぇだ。  適当に一枚選んで、紙を眺める。  名前と説明が書いてあるはずだが…… 「こりゃあ、どういうことでぇ」  勝手に呟きが漏れてきやがった。  だが、確かに意味が分からねぇ。  書いてあったのは、二文字だけ。ただ、『列車』とだけ書いてあった。  紙をひっくり返しても説明などはなく、疑問符だけが浮かんできやがる。  紙を開いてみれば、今度は紙が二枚出てきた。  一枚はやたら文字が書き込まれていて、もう一枚は少し文字が書かれているもほぼ無地。  ほぼ無地の方をポケットに突っ込んで、もう片方に目を通す。 「……どういうことでぇ」  またしても、勝手に言葉が口から零れた。 ■  愚地独歩が、キーを挿しっぱなしにしてあった乗用車に勢い良く乗り込む。  元から持っていたデイパックも回収したヒナギクのデイパックも、後部座席に無造作に積み上げ、ポケットから二枚の紙を取り出す。  一枚にはみっちりと文字が書き込まれていて、もう一枚には一言だけ『同封した注意書きを必読』と書かれている。  ――これが、伊藤博士が紛れ込ませたもう一つのアイテム。  再度文字が書き込まれた紙――伊藤博士からの手紙に、目を通す独歩。  その表情は険しく、彼にしては珍しく冷や汗などというものを流している。  何度も手紙を再読するとポケットに押し込み、『注意書きを必読』と書かれた紙――エニグマの紙を手にする。  伊藤博士からの手紙には、まず成仏鉄球に同封された物と同じことが記されていた。  当然ながら、上空に存在する衛星カメラと首輪内の盗聴器についての記述もあった。  だからこそ独歩は、乗車するまで紙をポケットに突っ込んでおいた。  また成仏鉄球に同封された手紙とは違うことも、独歩の読んだ手紙には書かれていた。  それは、伊藤博士のが紛れ込ませたアイテムに関する説明。 『もう一枚の紙には、文が記された紙が封印されている。  それを読み上げれば、接近物迎撃システムの反応できぬ速度でBADANの砦まで一直線に辿りつくことができる列車が出現する。  しかしそれを護衛している怪人達も、列車は連れてきてしまうだろう。  強い意志と怪人を倒しえる能力を持つ者達が集い、使い時が来たと判断したならば是非とも使って欲しい』  ここに書かれた列車とはBADANがとある世界から調達し、現在サザンクロス内に保管してあるものである。  研究者達とBADANの技術により、どこで呼び出してもサザンクロスまで一直線に疾走するよう改造してある。  その改造を担当したのもまた――伊藤博士であった。  それを知る由もない独歩が、ゴクリと喉を鳴らす。  そして左の目をカッ見開くと、覚悟を決めたようにエニグマの紙を開こうとし――やめた。 (まあ、あとで構わねぇか)  学校辺りで他の参加者達と合流してからでも遅くはない。独歩はそう判断した。  エニグマの紙も手紙と同じポケットに押し込み、独歩はアクセルを踏む。  学校へ向けて少しずつ動き出す車の中で、独歩はニィと笑みを浮かべる。 (それにしても――――列車、か)  ハンドルを握る独歩の両手に力が篭る。  列車。人生を空手に捧げた愚地独歩は、その文字を見た瞬間にすぐさま考えた。列車に乗った状態での、列車を護衛する怪人とやらとの戦闘を。  走る列車の上。不安定な戦場。足に力を入れる事を重要とする空手の使い手には、不利な戦場と思うかもしれない。  しかし、決してそんなことはない。  空手とは、そもそも中国拳法が琉球へと伝わった者を祖とする。  かつて琉球では海上での合戦が多く、列車内の比ではないほどに不安定な船の上での闘争が基本であった。  その中で、多くの犠牲と試行錯誤、そして淘汰の果てに勝ち残った立ち方が存在する。  ――三戦(サンチン)。  攻撃防御の両面に優れ、何よりバランスのよさが特徴の構え。  独歩は弟子に自ら伝授するほど、その構えを得意とする。  故に、笑う。心を躍らせる。手に力が篭る。自然にアクセルを踏む力が強くなる。  他の参加者を守ることを優先すると決めながら、独歩はこれから起こるであろう戦闘のことで頭がいっぱいであった。 【H-4 路上/2日目 朝】 【愚地独歩@グラップラー刃牙】 [状態]:体にいくつかの銃創、頭部に小程度のダメージ、左肩に大きな裂傷 左腕を深く抉られている [装備]:キツめのスーツ、シルバースキン@武装錬金、車@現地調達、伊藤博士からの手紙(ポケット内)、『注意書きを必読』と書かれたエニグマの紙(ポケット内) [道具]:基本支給品一式×3、首輪×2、ジャッカル@HELLSING(残弾数1)、神楽の仕込み傘(強化型)@銀魂 ベレッタM92(弾丸数0/15)、ハート様気絶用棍棒@北斗の拳、懐中電灯@現地調達、包帯と湿布@現地調達、不明支給品×2 [思考・状況] 基本:闘うことより他の参加者 (女、子供、弱者) を守ることを優先する。 1:学校へ向かう。 2:可能なら、光成と会って話をしたい。 [備考] ※パピヨン・勝・こなた・鳴海・覚悟・村雨・ヒナギク・かがみと情報交換をしました。 ※刃牙、光成の変貌に疑問を感じています。 ※独歩の支給品にあった携帯電話からアミバの方に着信履歴が残りました。 ※BADANの存在を知り、かがみから首輪のステルス機能の事、解除方を知りました。また零の暗雲についての推測も知りました。 ※愚地流奥義にしたいと思っている技を会得しました(意を消した拳、これを拳のみならず他の空手技にも用いる事が出来る) ※繁華街のホテル(E-2中心部)内に鷲巣麻雀セット@アカギ、置手紙が放置されています。 ※伊藤博士の手紙より、バトルロワイアルに関する情報を得ました。 ※『注意書きを必読』と書かれたエニグマの紙を開けば、文が記された紙が出現します。 ※その文を読み上げれば、護衛している怪人達共々『列車@???』が現れます。 【村雨、かがみ、覚悟、ヒナギク、独歩、エレオノール、服部、ジョセフ、八人の共通備考】 ※一通りの情報交換は終えています ※神社、寺のどちらかに強化外骨格があるかもしれないと考えています。 ※主催者の目的に関する考察 主催者の目的は、 ①殺し合いで何らかの「経験」をした魂の収集、 ②最強の人間の選発、 の両方が目的。 強化外骨格は魂を一時的に保管しておくために用意された。 強化外骨格が零や霞と同じ作りならば、魂を込めても機能しない。 ※五人の首輪に関する考察及び知識 首輪には発信機と盗聴器が取り付けられている。 首輪には、魔法などでも解除できないように仕掛けがなされている 。 首輪にはステルス機能があり、身を清め水を掛ける事で解除可能 ※五人の強化外骨格に関する考察。 霊を呼ぶには『場』が必要。 よって神社か寺に強化外骨格が隠されているのではないかと推論 ※BADANに関する情報を得ました。 【BADANに関する考察及び知識】 このゲームの主催者はBADANである。 BADANが『暗闇大使』という男を使って、参加者を積極的に殺し合わせるべく動いている可能性が高い。 光成は司会役として脅されている。 BADANの科学は並行世界一ィィィ(失われた右手の復活。時間操作。改造人間。etc) 主催者は脅威の技術を用いてある人物にとって”都合がイイ”状態に仕立てあげている可能性がある だが、人物によっては”どーでもイイ”状態で参戦させられている可能性がある。 ホログラムでカモフラージュされた雷雲をエリア外にある。放電している。  1.以上のことから、零は雷雲の向こうにバダンの本拠地があると考えています。  2.雷雲から放たれている稲妻は迎撃装置の一種だと判断。くぐり抜けるにはかなりのスピードを要すると判断しています。 ※雷雲については、仮面ライダーSPIRITS10巻参照。 |243:[[帝王無双BADAN~白蛇対峙~]]|[[投下順>第201話~第250話]]|245:[[チェイン]]| |242:[[襲来!蝶男の帝王舞]]|[[時系列順>第6回放送までの本編SS]]|245:[[チェイン]]| |239:[[鬼酔酒]]|愚地独歩|250:[[集結]]| ----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
目安箱バナー