とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part12

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匿名ユーザー

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上条当麻は夜の学園都市を駆けていた。
その様子は普段の彼を知る者にはとても受け入れ難いもので、街行く人々も自然と道を開く。

「くそッ!! インデックス、どこだ! 何処にいる!」

あの後、部屋中をくまなく探し、他に痕跡が無いか探した。だが、どうしても犯人特定に至る証拠は見つけられなかった。

「(わかったのは、犯人が複数人、それも3人以上だってことくらいか……)」

そこまでは部屋に残っていた足跡で判断できた。だが、結局の所、それだけなのだ。他に全くといっていいほど情報がない。

「(犯人、組織、動機、それどころか『どうゆう事件なのか』すら、わかってねぇ……)」

部屋を調べた後、そのまま飛び出して来たものの、あてがあって走っているわけではない。上条一人に出来る事には限界があった。

「こうゆうとき、頼りになるのは……」

一人の人物を思い浮かべ、すぐに否定しようとする自分に気付き上条は自嘲気味に笑う。

「……はは、まだ気にしてるよ、俺。インデックスが大変なことになってるかも知れないってのにな……インデックスが危ねぇんだ。その友達に頼って何が悪い。この際、俺の私情なんざ捨てちまえ!」

そうして、上条は携帯を開き、その人物に電話をかけた。

ーーーーーー



御坂美琴は故障自販機のあるとある公園で、途方に暮れていた。

この日、美琴は強い恋慕を寄せる上条当麻と、念願のデートをした。偽物じゃない、本物の、デート。

楽しかった。とても、とても。美琴はデートの間、ずっと笑顔で、上条も心の底から楽しそうに笑っていた。
その二人の様子は、端から見れば仲睦まじいカップルに見えた。それ位、二人は幸せそうに笑っていたのだ。

……だが、それは長くは続かず、直ぐに終わりを迎える。

遊園地でのデート。そこで最後に乗った観覧車で、御坂美琴の初恋は、終わったのだ。上条の否定によって。

「私……サイテーだ……」

上条に否定されるとゆうこと。それは美琴には到底受け入れられることではなかった。

「アイツはアイツなりにちゃんと私のこと考えて、考えた上で私を否定した。それなのに、私は、アイツが出した答えを受け入れられなくて、嫌で嫌で仕方なくって、アイツに当たり散らして、ホント、サイテーだ……」

結局、上条とはそのまま別れて、気が付いたらここに来ていた。

「ははは……無意識にここに来るなんてね、私ったらホント、アイツにどんだけ依存してるのよ……」

この公園は、美琴にとって上条と特に接点の多かった場所だ。無意識の行動にまで上条が影響してしまっている自分に笑えてくる。

「はは、は……あれ? なんで私、泣いてるの? ……そっか、私失恋したんだもんね。こんな時くらいは、涙も出るわよね……」

次々溢れてくる涙と一緒になって、自分の中の黒い感情も溢れてくるのを自覚した。
……もう、抑えられなかった。

「……う、あ、うあぁぁぁぁ……なんで、なんで私じゃ駄目なのよッ! 私では隣に居られないの!? 一緒に生きて行けないの!? 私の何が駄目なのよ……どうしたら……嫌、嫌だよ、当麻ぁぁ……」

今の美琴はあまりにも痛々しく、儚かった。このまま気が付いたら消えてしまいそうなほどに。

そんな時、美琴の携帯が着信を告げる。

今の状態を考えれば無視するはずなのだが、何故か、そう言う気持ちにはならず、携帯を開く。

電話をかけてきたのは、今、美琴が苦しむ原因になった人物であり、唯一、美琴を救える人物であった。

「なんでよ。なんでアンタはそうなのよ、私が苦しい時には必ず助けに……こんな時にまで……」

電話は鳴り止まない。

「……ホント、敵わないなぁ、卑怯よこのバカ」

そして、美琴は着信に応じた。

ーーーーーー

インデックスが拐われた。力を貸してほしい。それが上条の第一声だった。
自分のことで電話したんじゃないと知り、多少気落ちするも、事情が事情であり、それにそれでこそ上条当麻であることを理解しているため、美琴は上条に協力することにした。何より、美琴の大事な友達のピンチである。協力しない理由など、端から存在しない。

「……と、監視カメラをハッキングして分かるのはこんな感じかしら、いい? おさらいするわよ? まずこの事件は誘拐事件よ。恐らく、このおっきな袋に入れられて連れ去られたんだと思う。次に、犯人は恐らく7~8人。インデックス誘拐の実行犯が5人だから指示役も考えるとそんなところね。問題は組織や動機がわからないことね。魔術か科学か、はたまた全く別の組織か。逃走ルートから恐らく◯◯地区だと思うけど、はっきりとは……」

『いや、それだけわかれば十分だ。じゃあな』

「待ちなさい! まさか一人で行く気じゃッ……」

『ツー、ツー、ツー』

通話はそこで切れていた。

まさかとは思うが上条はたった一人でインデックスを助けにいったのかも知れない、とそう思った。普段の上条なら絶対に勝てないとわかっているところに無闇に突っこんだりはしない。なんせ、相手が三人以上なら一目散に逃げる。それが上条の持論だ。

だが美琴は先ほどの電話で上条の様子がおかしかったことを感じていた。それはとても危うい物を感じさせ、美琴の背筋を悪寒が走る。こうゆう時の上条は何をしでかすか分からないのだ。
美琴が上条に救われた時にも類似していたように感じる。あの時は結果的にみんな助かったが、今回は状況が違うのだ。

「あのバカ、また一人で背負い込んで! なんでも一人で解決出切ると思ったら大間違いだっての!!」

そう吐き捨て美琴もまた、夜の学園都市に駆け出した。







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