とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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罰ゲーム




ポキンッ

その音を聞いた時、
御坂美琴は目を見開いた。

御坂美琴は俗に言うツンデレである。
それは上条と付き合いはじめて3ヵ月経ったいまも変わらない。
昨日など、「別にアンタのことなんか好きでもなんでもないんだからね!!」と大声を放った。
まさか最大の壁が白井でもあの子でもなく、自分だったなんて美琴的には笑えない。
悩んでいた美琴の耳に、悪魔(黒髪ロングの後輩)が囁いた。

「今日は11月11日ですよ?」

そんなこんなで、御坂美琴は彼氏の自宅で仁王立ちしていた。

「……今日はどうした?」

見下ろされている上条は慣れたもの。

「ふっふっふっ…ポッキーゲームよ!!」

悪魔さんのアドバイスはこうだ。

『今日の日付を口実にポッキーゲームをして、負けたら罰ゲームと称してイチャイチャしちゃいましょう!!』

穴だらけな作戦である。
しかし、美琴は気づかない。
恋は盲目なのだ。
美琴はさてn……悪魔の囁きをそのまま彼氏に伝えた。

「……えー?」

「なによ? 逃げる気?」

「いや、そうじゃないんだが、まぁいっか」

「じゃ、いくわよ!!」

ようやく彼氏の隣に座り、ポッキーを咥える美琴。
上条の方を向き、彼の顔が少しずつ近づいてきたのを見て、ようやくこの作戦のミスに気づいた。

ポキンッ

全力で右を向く美琴を見ながら、上条はモシャモシャと残りを咀嚼する。
美琴が一方を食べきったのを確認して、ようやく口を開いた。

「はいっ、罰ゲームです。ギュッとさせていただきます」

「ちょ、ちょっと待って!!」

「いまはミコったんに拒否権はありませんーぎゅむー」

「たんいうなぷふぁああああああああああああああああ!!」

美琴が暴れながら叫ぶのを無視して、
上条は問答無用でギュッとする。

2ヵ月前、
当初「告白されたから付き合い始めた」状態の上条は、鈍感故にこの反応を拒絶と受け取っていた。
そこで、

『そんなに無理すんなよ。なにがあったか知らないが、嫌々付き合う必要はないし、もうやめようぜ?』

と、提案した。
すると、

『待って、グスッ、ごめんなさい。 素直になれないのは謝るから、だから、ヒグッ嫌いに、エグッならないで…』

とボロボロ泣かれた。
慌てて抱き締めると、さらに号泣された。
そのときにはじめて上条は本当の意味で墜ちた。

現在、上条は美琴のことをよく理解している。
彼女は案の定くたぁ~となっていた。

さて、

「じゃ、2回戦」

「ふぇ? ひょ、ひょっとまって!! 」

「負けるのが嫌なんです?」

「な!! んなわけないでしょ!!」

「じゃ、ほい、ふぁやく」

ポッキーをくわえた上条。
いつも通りのぼやーっとした顔だ。
美琴の顔は、しまったーー、という表情。
ものっすごく困った顔で、ものっすごく真っ赤である。
助けを求めるように上条を見るが、今回彼は救世主ではない。

少しして、キッと目を瞑った美琴は、飛び付くようにポッキーをくわえた。
が、1回ポリッと音がした直後にパキンッと音がしてポッキーは折れる。

美琴が全力で左に首を振っていた。
顔は真っ赤どころではない。
赤すぎて、目や鼻の輪郭もつかめない。
美琴の顔を見ながら、上条はモソモソ残りのポッキーを咀嚼する。

「はいっ!! 罰ゲーム!! 猫耳つけて、語尾はにゃん!!」

「待って!!」

「どうした!! 愛しのミコったん!!」

「ミコったんはうれしいけど愛しのいうな!!」

「逆だ」

「と、とりあえず猫耳とか無いし、無効よ無効!!」

「ここに取り出したるは猫耳」

「なんであるのよ!!」

「オレの親友二人が置いてった。ほい、装着」

「ふにゃぁぁあああああ!!」

猫耳を着けたまま右手は離さない。
上条だって自宅をコンガリトーストにしたくない。
さらに、声が大きいので、

「ほいっ、3回戦」

ポッキーを美琴の口に放り込む。
若干涙目になっている美琴に苦笑しながらもう一方をくわえる。
美琴が大きく震えたが、右手で顔を固定。
もう折らせるもんか。
左手は背中に回す。

ポッキーが少しずつ砕かれる音と美琴がんーんー唸る音が部屋に響く。

暫くして、両方の音が消えた。

「……ぷふぁ」

上条が離れると、美琴はへにょへにょと上条の腕の中で崩れ落ちた。
そのまま支えるように抱き締める。

「そういえば、折れなかったらどうすんだ?」

見下ろすと、ちょうど美琴が伏せていた顔を上げたところだった。
涙目だったのが、今はもう完全に泣いている。
彼女はその表情で、やりすぎたかな?と反省中の上条の服をキュッと握った。

「……も、もっとぉ~」//////////

再び上条は苦笑しながら唇を落とした。










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