とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part6

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「――痛てぇ…。 あーもう!不幸だぁあああああ」
「お一人で盛り上がっている所申し訳ありませんが、治療くらいはさせてもらいますわ」

 インデックスと白井の力を借りベッドの上に移動。上条はベッドの感触を確かめるくらい余裕があった
 打ち所が良かったと言ってはアレだが、カエル顔の医者の世話にならない程度のケガで済んだと言えばある程度分かるだろう
 ケガは軽く額から流血している"程度"今更、これくらいのケガでどうこうなるような上条当麻ではない。

「自分に非があるとお分かりなんですよね!白井さん」
「ええ、もちろん。だからこうしてケガの治療をしているんじゃありませんの」
「…分かってんなら最初からやんじゃねぇっつーの」
「一つ教えておきますの「女には負けると分かっていてもドロップキックしなければならない時がある」んですのよ」

 「どうだ」と言わんばかりの顔で言い切った黒子。「なんじゃそりゃ」と言わんばかりの顔で黒子を見つめる上条
 その上条を心配そうに見つめるネコ一人、未だにご飯にありつけてない不機嫌シスターが一人。
 常盤台の女の子が貧乏学生の男子寮に居る。と言い替えればそれだけで見方も変わってしまう。そんな空間に一人の不幸な高校生

「このケガなら、普通に生活出来るだろうからさ、あんま気使わなくて良いからな」
「気なんて使っておりませんの、貴方を蹴っ飛ばした後は最初からこうするつもりでしたもの」
「あのなぁ……」
「…も、もう少しで、もう少しで……」
「何をブツブツ言ってるんですの?」
「ひゃ!? にゃ、にゃんでもない!」
「常盤台のエースと呼ばれる風格なんてあったもんじゃないですわねぇ、そんなお姉様を見たら
 お姉様を慕ってらっしゃる人全員がガッカリしますわよ。よりにもよってこんな変態猿人類を好きにならなくたって」

 その後に「昼間から中学生にキスを迫る輩ですからね」と続けた、これには上条も返す言葉がない。

「で?御坂はどうすんだ、その姿で白井と寮に帰んのか?」
「そ、それは困るに決まってるじゃにゃい」
「先程はあんな事言って、こんな事もしましたけれど…この姿のお姉様を連れて帰るのはさすがに困りますわよ」
「白井、言ってる事とやってる事を見つめ直した上で冷静に判断するなよ…ある意味怖いぞソレ」
「空間移動を使う者は常に冷静でなければなりませんのよ、演算ミスをすると恐ろしい事になるんですの」
「素裸で人の事を追い回す人間が常に冷静ねぇ…、パソコン部品は何の為にあるのかしら?」
「男絡みで力を暴走させるお姉様よりはマシだと、黒子は思いますの」
「…そ、それは仕方がにゃいのよ、だって…」
「何ですの?ハッキリして下さいまし」
「コ、コイツの事が…」
「ちょっとストップですの」
「にゃ!? こ、ここまで言わせといてにゃによ!」
「本当に好きならば『あのバカ』とか『アイツ』とか『コイツ』という呼び方を改めた方が良いと思うんですの」
「コイツはコイツよ!」
「あの~お二方…」
「「貴方(アンタ)は黙ってなさい!(にゃさい!)」」
「(不幸だ…)」

 何やら真剣な面持ちで二人が向い合って座っている、上条は取り敢えず流れに身を任せる事に決めた。
 腹ペコシスター今にも噛み付いて来そうな形相で上条の事を見つめているが、ここは持ち前のスルースキルを発揮。

「コホンっ、話を戻しましょう。お姉様の方はこの変態猿人類の呼び方をどうしようとお考えなんですの?
 お名前でお呼びになるとか、或いはわたくしのようにあだ名でお呼びになるとか…選択肢はそこまで少なくないんですのよ」
「…ア、アンタはにゃんて呼んで欲しいのよ」
「えっ、俺? 別に白井みたいに変な呼び方しなきゃ何だって良いぜ。てか今まで通りで良いんじゃねぇの?
 逆に違う呼び方されたら変な感じになるかもしれないしな。ってオマエいつもは否定するような事を今さっき受け流したよな!」
「いつもは否定するようにゃ事…?」
「…出来ればそこに触れて欲しくなかったんですけどねぇ」

 美琴は会話を洗い流す…『本当に好きならば、呼び方を改めた方が良い』
 『本当に好きならば』……。

「……否定しにゃいわよ」
「(悔しい…悔しいんですの!)」
「良いぜ、オマエがぶつかってくるんなら、俺はそれを全力で受け止めてやっから」
「そ、それって…嘘じゃにゃいわよね?」
「ああ嘘じゃない」
「私、アンタの事が好き」
「な゛な゛な゛……お姉様は白昼堂々何を…………何を堂々と告白してるんですのぉおおおおおおお」

 次の瞬間黒子が崩れ去った、恐らく意識が完全に吹っ飛んでいる
 いざ言葉で表されるとダメージが大きいのだろう…。こうして一人消えた。
 どちらかと言えば、インデックスは協力者側なので邪魔は居なくなったと言って良いだろう。

「…御坂」
「にゃ、にゃによ!」
「ちょっと歯磨いてくるわ…」
「……ムードも何もあったもんじゃにゃいわね」
「御坂さんは俺にどういうキャラ期待してるんですかぁ~?」

 そう言い残して再び風呂場に向かう、その背中はどこかいつも以上に大きく見えたかも…(イン○ックスさん談)

(今さっきの告白、OKって事…? こんなにあっけなく終わって良いのかしら…いやこれから始まるのよね
 元に戻ったら、フリじゃなくて堂々とデ、デート出来ちゃったりするってことよね! どこ行こうかしら…
 第四学区で食事して、第五学区で遊んじゃったり? ど、どうしようかしらね…)

「短髪はそういう風にしてるから、その姿になっちゃったんじゃないかな」
「にゃ!? い、今、言葉漏れてた…?」
「一人で赤くなって口をパクパクしてたら、誰だって分かるんだよ。
 それをしっかりとーまに伝えてればそんな姿にならなくて済んだのに…」
「だって……」
「――「怖かった」んだよね?」
「アンタ意外とまともにゃのね、めちゃくちゃにゃ行動ばっかりしてるただの食いしん坊かと思ってたわ」
「そんな風に思われてたなんて…ショックかも」
「これからにゃか良くしていきましょ、どうせしょっちゅう会う事ににゃるんだろうしね」
「とーまのさいふだけは苦しめるんじゃないよ!」
「???」

 言葉の意味がイマイチ分からなかった御坂美琴お嬢様である…。
 そうこうしている間に上条が戻ってきていた、だが何処か申し訳なさそうな表情をしている。

「…どうしたのよ?」
「どうしたって何がでしょうか…」
「何処と無く元気にゃさそうに見えるわよ」
「…責任取らなきゃダメですよね?」
「せ、責任って何の事よ…?」
「男女の間ではあんなコトやこんなコトをしたら…」
「…アンタは今から私と一体にゃ、にゃにをする気なのよ!」
「そこはご安心を!上条さんには鉄壁の理性がありますので」
「じゃ最初っから言うんじゃにゃいわよ!!」

 短いようで長い…そんな時間も間もなく終わりを迎えようとしている。
 この一日で御坂美琴とインデックス、そして御坂美琴と上条当麻の距離は確実に縮まった
 そして本日、御坂美琴と上条当麻は新しい第一歩を踏み出そうとしている…。
 超能力者と無能力者、学園都市基準で見てしまえばあり得ないカップルと言って良いだろう
 だがその超能力者にその無能力者は絶対に必要な存在、それは彼女が素の姿でぶつかれるただ一人の相手だからだ。
 そう…美琴と当麻が交差する時――恋物語が始まる!

「「ちょっとナニ(にゃに)勝手に締めてんだよ!(締めてんのよ!)」」

 怒られた。

「気を取り直して…御坂、始めっか」
「そ、そうね…」

 二人の鼓動が早く、そして強くなる。
 ネコ相手にこうはならないであろう、相手が御坂美琴だからだ。
 そして二人は瞳を閉じて、唇を重ねた……。

「……」
「っ……!?」

 上条の腕の中には、ネコとしての御坂美琴ではなく、人の形…いや元の御坂美琴がしっかりと収まっていた。
 こうなると分かってはいたけども、いざ体感すると物凄く不思議な感覚なのだろう、一瞬の間に元に戻っている。

「……」
「み、御坂さん…?」
「…こんなにしたんだから、責任…取りなさいよね」

 その瞬間…上条の心にある何かが美琴によって壊された。

「俺…オマエの事めちゃくちゃ好きになってもいいか?」
「じゃ、私はそれよりもっとアンタの事を好きになってやるんだから」
「(とーまと短髪、昼間からどらまみたいな事やってる…)」

 二人の物語はまだまだ始まったばかり…今後どんな困難にぶつかろうと乗り越えられるに違いない。


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