とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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結婚式での誓い



本日は上条当麻と御坂美琴の結婚披露宴。
美琴の要望により、自分が愛する人との神聖な儀式をたくさんの人に見てもらいたいとの
事で学園都市の最大級のホールでの披露宴、全世界で生中継を行う事になった。
上条は反対していたが美琴の意見は覆らせず、学園都市第3位の権力に従うしかなかった。
そして今、美琴は控え室にてウエディングドレスを身にまとっている。
母親の美鈴が着替えを手伝っている。
「わぁ~美琴ちゃん!可愛すぎよ!父さんが見たらやっぱり嫁には行かせないって
怒っちゃうわよ~。」
「どんだけ親バカなのよ。お父さんはもう着いたの?」
「まだだけど式までには必ず間に合うって連絡が来たから大丈夫よ。」
「間に合ってもらわないと私が困るわよ。バージンロードを一緒に歩く大切な仕事があるんだから。」
「くす、美琴ちゃん、とっくにバージンは捨ててるのに♪」
「んな、な、なんて事言ってんのよ!母親が言うセリフじゃないわよ確実に!」
顔を真っ赤にして両手をグルグル回して母親に怒る美琴。
「あなたが大人になって体も私に負けず劣らずのナイスバディになったのに
心はいつまでも中学生のままね。よし、もう動いていいわよ。」
「う、うるさい!アイツだって高校生の頃から変わってないんだから。」
「それは私も知っているわよ。会う度に当麻君の話を聞かされてる母親だからね。」
「あーもう!いつまでも私を子供扱いするなー!」
そう言ってじたばたする美琴。美鈴ははいはいと言いながらドレスの紐を結んでいく。
これがこの親子のいつものやりとり。決して仲が悪いわけではなく、お互い凄く好きなのだ。
もうこのようにやりとりするのが滅法減るのかなと美琴が考えていると、突然ドアが開いた。
上条刀夜と詩菜がいた。
「これは失礼、着替え中でしたか。」
「あらあら刀夜さん、美琴さんが着替えているのわかっていてノックもせずいきなり開けたのでしょ?」
「か、母さん、怖い顔で睨まないでくれ。こっちだって急いでいるんだから。」
「どうしたんですか上条さん?急ぎとは?」
「いや、急ぎというか・・・・当麻がこちらに来ていないかと思いまして。」
「来てないですけど・・・当麻君がどうしたんですか?」
「・・・・・・・・まだ来てないんです。」
「「ええ――!?」」

「もう不幸だ――!」
上条当麻はホテルの自室にいた。
結婚式前日、部屋に土御門元春と青髪ピアスが遊びに来て久しぶりのデルタフォース結成
ということで夜まで飲んでしまった。
上条は明日が式のため酒はほどほどにしていたが土御門と青髪はガンガン飲みまくり、
結局上条の部屋に泊まった。
「なんで明日結婚式をひかえてる俺が酔っぱらいのお前らの面倒見なきゃいけねえんだ!」
「サンキューだぜいカミやん、ひっく、俺はソファを借りて寝るぜよ。」
「わては床で充分やで。心配なさらず・・・うぷ・・」
そう言葉を交わして就寝した。
はずだったのだが二人の影はどこにも見えない。
あの野郎どこ行ったんだ?いや、それどころではない。急いで会場に向かわなければ間に合わない。
式の時に着るタキシードは会場にあるため上条は急いでシャツを着て、ズボンを掃き、
財布、携帯を持った。
その時一つのあるものに気づいた。
土御門が寝ていたはずのソファに紙切れが落ちていた。何だろう?と紙切れを開いて読んだ。

『カミやん、久しぶりに会えて嬉しかったぜい。あんなに綺麗になった超電磁砲と結婚するなんて
考えられないぜよ。今日は結婚式だったにゃー。残ったデルタフォースはカミやんだけ幸せに
なるなんて許せないからカミやんの酒にちょっと強力な薬を入れさせてもらったぜい。
もちろん俺たちの酔っぱらいは演技だにゃー。
いつカミやんが起きるかわからないが結婚式に間に合うよう幸運を祈るぜよ。
会場で待ってるぜい。土御門&青ピより♪』

ここで最初の言葉を上条は叫ぶ。




結婚式が始まるまであと一時間。上条当麻は走り出した

「そういえばここから会場まで走ったらどのくらいかかるんだ?」
ふと思った上条は携帯で調べ始める。
検索結果、100メートル金メダリストの足で走り続けて約50分と出た。
「不幸だ・・・美琴に連絡しないと・・・どう怒られるんだろう・・・」
電話をかけようとしたその時、背後から気配を感じた。
「ったくよォ。あのチビがここに行けと言うから来てみたら三下のお迎えとはなァ。」
「あ、一方通行!どうしてここにいるってわかったんだ?」
「ミサカネットワークには驚いた。超電磁砲の声かけ一つで俺を奴隷みたいに扱うんだからよォ。
お前を連れて来ないと普通に生きられないと脅されてっからなァ。」
「???」
突然現れて妹達がうんぬんと言い出すから訳がわからない。
「そうだ三下ァ。ここに来る前にいいモン見つけたんだが。」
一方通行が取り出したのは大きい袋。サンタクロースが担ぐくらいのサイズ。
「三下ァ、こン中に入れ。」
「はい?俺を拉致して殺すとでも言いやがるのですか?」
「人の話聞いてンのかァ?お前を連れていかねェと俺が死んだも同然だ。
その右手に触れられたら能力も意味ねェしよ。お前を殺すのは多分お前の嫁になるだろォけどな。」
カカカと笑い飛ばす一方通行。鈍い上条はここでやっと一方通行が会場まで連れて行って
くれるのだと理解した。
「ありがとうな、一方通行。」
お礼を言って袋に頭まで入れた。
「礼を言われる人間じゃないンだよ俺は。あと、嫁に部屋の窓を開けろと連絡しろ。」
「・・・わかった」
上条は今美琴に電話すると雷を落とされそうだと思い、メールで一方通行の言った通りに
送信した。
「一応今連絡したけど?」
袋の中でもぞもぞ伝える。
「ンじゃ、死ぬなよ?」
「え?」
チョーカーにスイッチが入る。
一方通行は上条が入った袋をハンマー投げのように振り回し、遙か遠くへ投げとばした。
「うわああぁぁぁ!!なんだあぁぁぁぁ!!!!?」
「最っ高だねェ!ギネス級の飛距離誕生ってか?」
飛んで行った上条が入った袋を見ながら一方通行は大笑いした。

美琴が部屋の窓を開けてから数分が経ち、遠くから何かが接近する音が聞こえてきた。
窓に目をやった瞬間、白い物体が美琴目掛けて飛んできていたのだ。それは一方通行に
よってここまで飛んできた上条だとすぐわかった。
ひょいと避けると袋は壁に激しくぶつかり、中から「ぐへ」と情けない声が漏れたのが聞こえた。
袋を開けると中にはあははと少し壊れたように笑っている上条がいる。
「当麻、理由を教えてくれないかしら?」
髪の毛が逆立ちいつでも電撃発射できるわよと上条にアピールする。
「いや、これはですね、土御門たちに薬を飲まされてですね、「問答無用!!」」
言い訳を言っても話を途中で切られ、ガミガミと美琴にたっぷり説教を喰らった。
「無事に着いたみたいだけど、美琴ちゃんと当麻君の立ち位置は既に決まっているようね。」
「あらあら、当麻さんは尻に惹かれるタイプなのね。そう思わない刀夜さん?」
「母さんそこで私に振らないでくれ。目が怖い・・・」

そして長い説教が終わった。
「まだまだ言い足りないけど今はこのくらいにしとくわ。結婚式が終わったら覚悟してなさい!ほら、さっさと着替えに行って!」
「・・・・はい。」
上条の両親がこっちへ来いと促し、それについて行く上条。ドアから出る前にくるっと振り返り、
「美琴、ドレス凄く似合ってるぞ。こっそり俺が頼んだドレスは間違いなかったな。
やはり美琴を見る目は上条さんが一番正確だぜ。んじゃ、着替えてくるから~。」
じゃあなーと言って上条は去って行った。
「お、お母さん、今アイツ、俺が頼んだドレスって・・・」
美琴は驚きを隠せなかった。以前電話で上条と話した時に、
「ドレスの質の違いがわからなかったから一番安いのをレンタルさせてもらうことになった」
と言われた事があった。もちろん美琴はその時激怒したが激安スーパーでいつも食材と
にらめっこしていた上条なら当然の判断なのかなと思い、ドレスの事は諦めていた。
しかし今日ドレスに着替えた時、安物にしてはとてつもなく上等な生地だなと思っていた。
「お母さん、アイツから何か聞いてなかった?」
「私も何も聞いてないわよ。昨日当麻君にドレスを渡してもらっただけ。」
「・・・あの馬鹿」
美琴は廊下に出た。何も教えてくれない上条にまた説教ネタが増えたと思い、
真相を問い詰めてやろうと上条がいるであろう部屋の前に立ち、バンとドアを開けた。

上条当麻はいた。だが着替えの真っ最中でパンツ一枚になっておりズボンを履こうとしていた。
「どうした美琴。レディなんだからノックくらいしろよ?」
「きゃあ!!ごめんなさいぃ!」
パンツ一枚の姿に慌ててドアを閉めた。部屋の中から
「なんだ当麻、この年になって美琴ちゃんはまだお前の裸を見慣れてないのか?」
「あらあら刀夜さん、娘になる美琴さんで変な妄想していたら許しませんよ?」
「だああぁぁうるさい!これくらい自分で着替えれるから早く出て行けー!」
そんなやりとりが聞こえたかと思うと同時に刀夜と詩菜がため息を吐きながら出てきた。
この両親ならドレスの事について知っているかもしれないと思ってとっさに質問した。
「あの、このドレスはどうされたんですか?」
「あらあら美琴さん、そのドレス改めて見ると凄く綺麗ね。あなたが着ているからかしら。
それに一つ一つ丁寧すぎる程縫ってあるわ。」
「いや、ドレスは?」
「どこでどう調達したかはわからないがさすが学園都市。当麻のタキシード姿が目立たなくなるな。」
「・・・・・」
どうやら上条の両親も知らないみたいだ。こうなったら上条本人に聞くしかない。
タイミング良く上条が着替え終わって出てきた。
「おまたせ~って美琴、さっきからどうしたんだ?」
「このウエディングドレスどうしt・・・・ムグ」
上条に手で口をふさがれた。
「父さん、母さん。最後の打ち合わせがあるからもう中に入っていいよ。
待っていても俺が遅れたからすぐ式始まってしまうぜ?」
「そうか。では母さん一番乗りに会場に入るとするか。」
「はい刀夜さん。美鈴さんも一緒に連れて行きましょうか。」
「当麻、美琴ちゃんに恥ずかしい思いさせるなよ!頑張れ!」
そう言い残して二人は去っていった。二人が完全に見えなくなったところで
「ごめん美琴、隠すつもりはなかったんだけど隠してしまった形になってしまったな。」
「何よ、このドレス、絶対ここで借りたヤツじゃないでしょ?」
「ああ。借りるつもりだったんだけどケタを見てびっくりしてさ。ダメもとで舞夏に頼んだら快く引き受けてくれたんだよ。
色々注文したのに一晩で作り上げたとか言ってたぞ。」
「一晩でこのレベル・・・凄すぎるわよ。」
「さすがメイド学校と言ったとこか。てかお前・・・・・可愛すぎ」
「やめて――!は、恥ずかしい事言うなこらー!!」ビリビリ

開始まであと数分、会場にはたくさんの人で埋め尽くされている。
もちろん二人の親交が深い友人達、かつて(?)のライバルもいる。
「初春また頭の花増えてない?」
「何の事ですか?それより佐天さん、白井さんはまだですか?」
「つい先程合流したことをお忘れですの?頭のお花だけ瞬間移動させてあげましょうか?」
「冗談ですごめんなさい白井さ~ん!」

「あ~やっと会えた!お疲れ様!てミサカはミサカはあなたの腕に抱きついてみたり!」
「チッ、クソガキが」
「もうクソガキじゃない!てミサカはミサカは体も著しく成長したとこをアピールするために胸を強く腕に押し当ててみたり!」
「やめろこンな場所で!てめェは妹達に何を吹き込まれてンだ!」
「妹達じゃないもん、お姉様だもん!てミサカはミサカは真実を告げる!」

「建宮、五和はまだ来ていないのですか?」
「女教皇様、それがさっきからずっとトイレに引きこもっているのよ。」
「そうですか。あの方があの女性を選んでからずっと五和はこの調子ですからね。」
「お、噂をすれば戻ってきたよ。」
「女教皇様。いらしていたんですね。」
「五和、心配してたのですよ・・・ってこんなところで何故槍を装備しているのですか!」
「女教皇様、私が変な行動をとろうとしたら力ずくで止めてくださいね」
「まずい、五和の目がマジになってる・・・」

「小萌センセー、まさかあの上条が常盤台の超電磁砲と結婚するなんて考えられないじゃん?」
「今まで上条ちゃんが立てた女性フラグは星の数です。その中の御坂さんを選ぶとは
上条ちゃんも相当やり手だと見えるのですー。やはり隅におけないですねー。」
「でも悔しいと思わないじゃん?」
「悔しくないと言えば嘘になりますが、もう誰もあの二人を引き離すことはできないですー」
「やれやれ・・上条は小萌センセーにもフラグを立てていたとは。凄い男じゃん」

そして結婚式が始まった。

先に上条一人入場した。祭壇の前まで進むとステイルが立っていた。
「あれ?何でステイルがここに立ってんだ?インデックスにお願いしてたのに。」
「誓いの言葉はシスターではなく神父が問いかけるものだ。それにあの子は君のお願いなら断らない。
だが、愛する人に他の女性と永遠の愛を誓いますか?とは聞けないだろ?」
「え?インデックスの奴俺の事を・・・」
「今頃気づくのかい。ここまで鈍いとはもはや病気だね。とにかく今は私語は慎んでくれたまえ。
僕は彼女の代役を真っ当するためにここに立っているのだから。」
「・・・・」

上条は思い返した。美琴と結婚すると決めた時、噛み付かれるかと怖かったが一番にインデックスに報告した。
報告した時のインデックスは「あの短髪と?」と驚いていたがおめでとうと祝福の言葉を
もらった。だが悲しい表情をしていた事にはこの上条は気づいていなかったのだ。
『続きまして新婦の入場です』
アナウンスが流れ入り口から美琴は旅掛と腕を組んで入場した。
二人が上条の隣に立ち、旅掛は神父のステイル、次に上条にお辞儀をして席に座った。
式が進み、いよいよ誓いの言葉を言う時がやってきた。
「上条当麻、汝は御坂美琴を永遠に愛する事を誓うか」
ステイルが棒読みで質問してきた。
しかし上条は口を開けない。

(どうしたのよコイツ。もしかして誓いますって言うのが恥ずかしいのかしら。
私だって大勢の前で言うの恥ずかしいからここで漏電しないようにかなり予行練習して
きたんだから。アンタが緊張したら私も余計緊張するじゃない)
美琴は隣にいる上条を不安そうに見ていたが上条の本心は違っていた。
(・・・インデックスが俺の事を好きでいたなんて考えもしなかったぜ。今までずっと
一緒に暮らしていたのによ。もしかしたら美琴より多く同じ時間を過ごしていたかもしれねえ。
ステイルが俺たちの前にいるって事はインデックスは会場のどこかで見てくれてるはず。
俺は一生美琴を愛するって決めたんだ。でもインデックスの気持ちに気づいてやれなかっ
た俺はホントに馬鹿だな。何も考えずいつも目先の事だけ見ていた俺はとんでもないな。
遅いかもしれないがインデックスに言う事がたくさんある!)
上条はくるっと会場の方を振り向き、生中継されている事をすっかり忘れ会場に向かって
語り始めた。会場にいる女性全員にフラグを立てる事も知らずに。

「俺は神に宣言はしねえ。ここにいるみんなに宣言する。美琴を一生愛する事を!
妻として、そして恋人として一生愛する。昔から俺は決めていた事がある。
御坂美琴と周りの世界を守ると。美琴の周りの世界はみんながいる。美琴は俺をヒーロー
だと言ってくれた。だから俺はみんなを守りたい!美琴を守れたらみんなが喜んでくれる、
みんなを守れたら美琴が喜んでくれる。そうだと俺は信じてる。
臭いセリフかもしれないが愛する美琴のために俺は動く!
美琴の笑顔が見たいから!泣き顔なんて見たくねえ!この言葉に嘘はない!
だから俺は美琴を愛すると誓う!まだ文句があるなら頭にでも噛み付いて来やがれ!」

一瞬静まり返る会場。そしてじわじわと拍手がなり始め、最後にはスタンディングオペーションとなった。
「コホン、上条当麻、一応式だからこっちを向いて言ってくれないかい?」
ステイルがイライラしたように訪ねた。
「はっ!俺は何をしたんだ?美琴、俺は?」
美琴は嬉しすぎて今にも倒れそうだったが何とか立て直せた。
「・・・生中継を録画してるから後で自分が言った恥ずかしい内容を確認して。
私があ、あんな事言える訳ないじゃない!」
「しまった、興奮しすぎて何を口に出したか全く覚えてない・・・不幸だ」
上条は泣きそうな声でステイルに誓いますと宣言した。
「では御坂美琴、汝は上条当麻を愛する事を誓うか?」
「も、もちろんよ!誰に言われても気持ちは変わらないわ・・・・じゃなくて
・・・ち、ち、ちちちちちちちち誓います!」
会場から少し笑い声が聞こえ、それに美琴は顔を一段と赤くした。
「それでは、誓いの証として口吻をしなさい。」
「き、キス!?こんな大勢の前で?」
「何を今更驚いてんだ?そういうのが普通じゃないのかステイル?」
「事前に夫婦に聞いておくものなんだが僕は代役なので。ま、君は何て事なさそうだからやっちゃえよ。」
「お前、俺をおちょくってないか?」
「ちょっと!私を忘れるな!するなら早くして!私からする勇気なんてないんだから!」
「やれやれ、相変わらずツンデレですな姫は。そんな美琴が大好きだぞ。」
「・・・私も。これからもよろしくね。」
二人は口吻を交わした。再び拍手が鳴り響いた。

そして歓声の中悲鳴にも似た声もちらほらと聞こえた。

式も一通り終わり、上条と美琴以外の全員は会場を出た。これから女性達の待っていた
イベント、ブーケトスが始まる。
「ちょっと当麻!これブーケと言うより花束じゃない!」
「お前みたいに器が大きい感じでいいだろ?これも舞夏が協力して準備してくれたんだよ」
上条が美琴に渡したブーケは確かにお祝いで送る時に見るような大きさの花束だった。
舞夏のセンスで白い薔薇をメインにしたブーケである。

会場の外は新たな夫婦が早く出てこないかと待っている。ただブーケを手に入れるために
残っている女性が先頭を占めているのだが。
「お姉様の投げたブーケは必ず黒子が手にしてみせますの!ウヘへへへ」
「私だってほしいです白井さん!御坂さんが投げるブーケには絶対ご利益がありますから。」
「非科学的な発想だね初春。でも、確かにあのブーケは欲しい・・・」
この三人を良い例に他の女性達も「あの御坂美琴の投げるブーケはどうしても手に入れたい」と思っているのだ。

入り口に上条夫妻が登場した。二人は大きな歓声に包まれ笑顔で声援に応える。
「お姉様!早くそのブーケを黒子にお渡しくださいまし!」
「あげる物じゃないのよ?能力使わないで自力で手に入れなさい!」
美琴は観衆に背を向けてブーケを空高く投げた。
宙に舞うと同時に白井、初春、佐天、御坂妹、打ち止め、神裂、五和、小萌、黄美川などの女性がブーケに向かって一斉に飛びかかった。
しかしこの中の女性陣で誰もブーケを手にする事はなかった。
小さな三毛猫が猫には大きすぎるブーケをジャンプして口で掴みとった。
地面に着地するとブーケを引きずらないように持ち運んで行った。三毛猫がブーケを運んだ
先には白い修道服を着た銀髪の少女、昔と比べると大人に成長したインデックスが立っていた。
「わあ、スフィンクスこのブーケ私にくれるの?ありがとう!」
このような出来事をみんなより少し上の位置で見ていた上条と美琴は驚いていた。
「当麻、インデックスに渡って嬉しいんじゃない?」
「ん?まあな。まさか能力でインデックスに行くようにしたのか?」
「私にそんな能力ないわよ。普通に投げたらあの猫が捕ってインデックスに渡しただけ。
黒子が瞬間移動で奪うと思っていたんだけど、これって運命よね。」
「ああ。それにしても美琴、やけに嬉しそうだな?」
「当麻が嬉しい事は私も嬉しいんだよ。」
「はは・・口調がインデックスみたいになってるぞ」

翌日、新聞やテレビのニュースでは上条と美琴の話題で持ちきりでいた。
どの新聞も上条と美琴のキスをでかでかと一面に載せ、テレビでは上条の宣誓からキスまでの一連の出来事を何度も流していた。
新婚の二人はソファで隣同士に座り、美琴は片手に新聞、テレビのリモコンを持っている。

「どう?当麻はこんな事言ってたのよ。改めて聞いてるとホントにこっちが恥ずかしいわ。」
「もうテレビは消してくださいお願いします~!」
「何言ってんのよ。どのテレビ局がどのように放送したのか全てチェックしないと。
もちろん全部録画の予約はしてるからね。」
「やめろおぉ!もういっそのこと殺してくれ!俺はもう外を歩けない!」
上条は恥ずかしさのあまりに顔を伏せた。そこに美琴が体を近づけた。
「アンタはまだ死んだらダ~メ。私とその周りを守るんでしょ?」
「その言葉に嘘はありませんが今は言わないでください。恥ずかしすぎます・・・」
「クス、でも愛するための行動ってそれだけじゃ物足りないかも・・・」
「一体どうすればよろしいでせうか・・・」
「いつまで経っても当麻は鈍感なのね。子供が欲しいと思わない?」
「っ――――!!」
「まだ夫婦として始まったばかりよ。新しい家族を築かないとね。よろしくね、あ・な・た☆」
「お、お、お、お前には敵わないよ・・・何ていうか、幸せだ。」


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