不死王、一人 ◆L9juq0uMuo
「ゲェハハハハハ!」
狂った笑い声をあげる神父が浮かんで消えた。
「マスター!」
自分を畏怖し、また、慕っていた半端物の従僕が浮かんで消えた。
民家に寝転がるアーカードの顔はどこかもの物悲しそうであった。
それは殺されてもいいと思った好敵手に向けられた物か、自分を慕う従僕に向けられた物か、その両方に向けた物か、それは彼本人にしかわからない。
ただ彼はもの物悲しそうに天井を睨んでいた。
民家に寝転がるアーカードの顔はどこかもの物悲しそうであった。
それは殺されてもいいと思った好敵手に向けられた物か、自分を慕う従僕に向けられた物か、その両方に向けた物か、それは彼本人にしかわからない。
ただ彼はもの物悲しそうに天井を睨んでいた。
「……?」
ふと気づくと、アーカードは暗い闇の中にいた。
光一つ無い暗闇の中、アーカードは辺りを見回す。
光一つ無い暗闇の中、アーカードは辺りを見回す。
「――ようこそ、男の世界へ」
突然聞こえたその声にアーカードが振り向く。
そこには青いツナギを着たおっさんが立っていた。
そこには青いツナギを着たおっさんが立っていた。
「自己紹介が遅れたな。俺は君の持っているフェイファー ツェリザカの精だ。ところで――」
そこで男は一息つき、アーカードを曇り一つ無い真っ直ぐな瞳で見つめる。
「 や ら な い か ? 」
そう言いながらツナギのホックを下げ、股間のフェイファー ツェリザカを露出させる男に対し、アーカードは問答無用で手元にあるツェリザカを向ける。
「生憎と俺を殺したところでこのハッテン場からは逃げられないぞ? さぁ、俺と共に目くるめく薔薇の花咲き乱れる世界へ――アッー!」
その瞬間、ツェリザカの精の腹部から一本腕が生え、そしてその腕が引き抜かれた。
「マスターに何してんのよこの変態!」
「しーましぇーん!」
「しーましぇーん!」
その腕の主、セラス・ヴィクトリアの一喝にそう一言返して、血を撒き散らせながらツェリザカの精は地に伏した。
「ふー、まったく、どうしてこう銃の精っていうのはこんな変人ばかり……」
「婦警」
「婦警」
拳に付着した血を払いながらぶつぶつ呟いているセラスにアーカードは呼びかける。
主の呼びかけ、「は、はい!」と慌てて答え、セラスが向き直る。
そして沈黙。
主の呼びかけ、「は、はい!」と慌てて答え、セラスが向き直る。
そして沈黙。
「すいません……、死んじゃいました」
申し訳無さそうに頭を垂れるセラスを見下ろしながら、アーカードは口を開く
「この半端物め、開始早々死ぬとはそれでも私の従僕か、婦警」
射抜くような視線にセラスは萎縮する。
「……それで、何の用だ。私にこの殺し合いに乗っていない輩は見逃せとでも言いに来たのか?」
図星だったのか、アーカードの問いに、セラスはばつの悪そうな顔になり、視線が宙を彷徨う。
「駄目……ですか?」
「当然だ」
「当然だ」
セラスの質問にアーカードは即答する。
「ここは戦場で私は全てを屠る為にここに呼ばれた化け物だ。ならば私は自らが命じるままに老若男女を問わず全てを打ち滅ぼすまでだ」
気づけばアーカードの口は三日月の様に歪んでいた。
「そもそもだ、この闘争に乗らなかった所でどうする?主催者に反抗するのであれば私一人くらい屠れなければ話にはならない。違うか?」
「で、でも……」
「で、でも……」
セラスにはアーカードの言っている事は理解できる。
実際自分やアンデルセン、アーカード、そして自分と闘った美形のような人間の範疇外のような奴等を一同に介しこんなことを始めているのだ。首謀者の力量も推して測るべきである。
その首謀者と対抗するというのなら確かに自分の主を倒せるくらいで無ければ太刀打ちできないかもしれない。
しかし、それでもセラスは主が無抵抗の平凡な一般人も手にかける事に抵抗があった。
そして何より、自分の主に死んで欲しくはなかった。
実際自分やアンデルセン、アーカード、そして自分と闘った美形のような人間の範疇外のような奴等を一同に介しこんなことを始めているのだ。首謀者の力量も推して測るべきである。
その首謀者と対抗するというのなら確かに自分の主を倒せるくらいで無ければ太刀打ちできないかもしれない。
しかし、それでもセラスは主が無抵抗の平凡な一般人も手にかける事に抵抗があった。
そして何より、自分の主に死んで欲しくはなかった。
「……まあいい、お前が何を言ったところで私がやることは変わらん。言いたい事が無いのであれば私は行かせてもらうぞ」
「あ、ま、待ってください!」
「あ、ま、待ってください!」
何処かへ去ろうとしたアーカードをセラスが呼び止める。
「最後に、最後に一つだけ」
そう言ってセラスは大きく深呼吸をする。
「死なないでください」
ジッとアーカードを見つめ、セラスは続ける。
「死なないでください。マスターが乗っていない人を殺すのには抵抗がありますけど……、それでもマスターが死ぬのはもっと嫌です」
その言葉にアーカードは呆気にとられた表情を浮かべた。
そしてその顔は柔らかな微笑へと変わり、そのままいつもの笑顔へと変化する。
そしてその顔は柔らかな微笑へと変わり、そのままいつもの笑顔へと変化する。
「当然だ、私を誰だと思っている」
「はは、ですよねぇ」
「はは、ですよねぇ」
苦笑するセラスを尻目に、アーカードは何処かへと歩いていく。
ふと、アーカードが足を止め、首だけをセラスへと向ける。
ふと、アーカードが足を止め、首だけをセラスへと向ける。
「去らばだ、セラス・ヴィクトリア」
そう一言いい、アーカードはまた歩き始める。
自分を婦警ではなく本名で呼んだ主にセラスは一瞬目を丸くし、そして笑顔を浮かべる。
自分を婦警ではなく本名で呼んだ主にセラスは一瞬目を丸くし、そして笑顔を浮かべる。
「さようなら、マスター」
その声を最後にアーカードの意識は覚醒した。気づけばそこは自分が先程まで寝転がっていた民家の中だった。
「夢か……、私が夢を見るとはな」
そう呟きながらアーカードは自分の状態を確認する。
体の傷はほとんどが癒えており、陽光の元行動をするのには支障はなさそうだ。
次に現在の時刻を確認する。デイパックの時計は午前10時を指している。
体の傷はほとんどが癒えており、陽光の元行動をするのには支障はなさそうだ。
次に現在の時刻を確認する。デイパックの時計は午前10時を指している。
「では闘争を開始するか。DIOよ、スタンド使いの少女よ、そして数多の参加者よ。さあ――」
アーカードの口が喜悦に歪み三日月を形作る。
「私を打ち滅ぼしてみるがいい」
彼は征く。殺し、打ち倒し、朽ち果てさせる為に。
彼は征く。殺され、打ち倒され、朽ち果たされる為に。
――バトルロワイアル1日目AM10:00、王立国教騎士団『ヘルシング』所属、吸血鬼アーカード、再出撃確認――
彼は征く。殺され、打ち倒され、朽ち果たされる為に。
――バトルロワイアル1日目AM10:00、王立国教騎士団『ヘルシング』所属、吸血鬼アーカード、再出撃確認――
【A-5 中部 民家内/1日目 午前(10時)】
【アーカード@HELLSING】
[状態]頭部にダメージ小 全身に軽度の打撲、ダメージ小(自然治癒中) 疲労 全身に軽度の火傷
[装備]フェイファー ツェリザカ(2/5)
[道具]支給品一式 フェイファー ツェリザカの予備弾30
[思考]
基本:殺し合いを楽しむ
1:満足させてくれる者を探し闘争を楽しむ。
2:DIO、柊かがみとも再度闘争を楽しむ。
[備考]
※参戦時期は原作5巻開始時です 。セラスの死を感じ取りました。
※首輪は外れていますが、心臓部に同様の爆弾あり。本人が気付いているかは不明。
※DIOの記憶を読み取り、ジョセフと承太郎及びスタンドの存在を認識しました。
※柊かがみをスタンド使いと認識しました。
【アーカード@HELLSING】
[状態]頭部にダメージ小 全身に軽度の打撲、ダメージ小(自然治癒中) 疲労 全身に軽度の火傷
[装備]フェイファー ツェリザカ(2/5)
[道具]支給品一式 フェイファー ツェリザカの予備弾30
[思考]
基本:殺し合いを楽しむ
1:満足させてくれる者を探し闘争を楽しむ。
2:DIO、柊かがみとも再度闘争を楽しむ。
[備考]
※参戦時期は原作5巻開始時です 。セラスの死を感じ取りました。
※首輪は外れていますが、心臓部に同様の爆弾あり。本人が気付いているかは不明。
※DIOの記憶を読み取り、ジョセフと承太郎及びスタンドの存在を認識しました。
※柊かがみをスタンド使いと認識しました。
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