Don’t stop Don’t give up

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mangaroyale

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Don’t stop Don’t give up ◆L9juq0uMuo



夕焼けを背景に、自分の無力感からうつむく一人の少年と、それを見るだけしかできない三人の男。
その声が聞こえたのは、服部が少年、江戸川コナンに話しかけようとしたその時だった。

『カクゴォォォォ!!』

北の方角から聞こえるルイズの叫び。
その声を聞いたコナンはまだルイズが生きている事を知り、咄嗟に体が彼女の声のする方向へと向かおうとする。

『わたしを殺したのは、銀髪銀目の、顔に傷がある娘よ!!!』

『わたしを殺した』、それはつまり彼女は今、死に行く身だという事である。
その事実にコナン達の心が絶望に染まる。

『だけど彼女を許して、そして救ってあげて!! お願い、カクゴォォォォォォ!! みんなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

この殺し合いの場で自分と同じ境遇になりながら道を違えた女性を救う為、自らの命を顧みず、持てる力を振り絞った少女の叫び。
その思い、その覚悟は、奇跡的にも一区画も離れた反逆者達に確かに伝わった。
そして、その言葉を最後にルイズの声は聞こえなくなった。それはつまり、彼女が帰らぬ人となった事を意味していた。
それを理解したコナンが地に蹲るようにして伏した。
――また、間に合わなかった。
服部達の心にもまた絶望と悔恨に支配された。
やり場の無い怒りから、劉鳳の拳が壁を力強く殴る。

ややあして服部が口を開いた。

「……行こか、ルイズ言う嬢ちゃんの事、埋めたらなあかんしな。それに、できるなら最後の願いも無碍にはできんやろ」

平次の呟きに、アミバと劉鳳は沈黙で肯定する。
三人共にやりきれない表情をしている。
しかし、コナンだけは伏したまま動こうとはしない。

「おい、何してんねや坊主。お前もはよ……」
「俺は、行けない」

弱々しく、それでいてはっきりとした口調でコナンが断る。

「なに阿呆抜かしとんねん、ええからとっとと……」
「行けねぇって言ってんだろ!」

夕焼けの住宅街にコナンの叫びが響く。

「……何もできなかった……」

ぽつりとコナンが呟く。
地に蹲っている事からその表情は読めない物の、その語気は、後悔や無力感、悔しさ、自責等の感情に満ちていた。

「病院の時も、マリアさんが殺された時も、新八さんが俺達を逃がすために残ってくれた時も、そして今も。俺は、何もできなかった」

泣いていた。口では色々と言いながらも、結局何もする事ができず、犠牲者だけを出してしまった不甲斐ない自分に対して、無力な自分に対してコナンは泣いていた。

「俺は探偵失格だ。俺はもう、一歩も前に歩けない」

挫折が、絶望が、コナンの体を縛り付けて離さない。
それを平次はおとなしく聞いている。逆光のせいで彼の表情は読み取れない。

「だから俺の事は……」
「馬鹿たれが」

コナンの弱音を服部が切り捨てる。

「おい、服部! いくらなんでもそれは……」
「あんたは黙っといてくれへんか、これはオレとこいつの問題や。それに、今のこいつは馬鹿以外の何者でもないわ」

傷ついた少年に対する暴言を咎めようとした劉鳳を黙らせ、服部はコナンへと厳しい表情を見せる。

「なん……だと?」

ロクに事情も知らない癖に自分を馬鹿と決め付ける服部に対し、怒りが湧き、コナンが服部に詰め寄りくってかかる。

「ふざけるんじゃねぇ! たった今来たテメェに何で馬鹿にされなきゃいけねぇんだ!! 俺は何もできなかった、助けを呼ぶくらいで後は逃げる事しかできなかった! その挙句に俺を助けてルイズは死んじまったんだ!
俺は探偵として、一人の人間として、どうする事もできなかったんだ!! それを……それを……」

コナンは涙と共に自らの激情を叩きつける。
それに対して服部は何も言わず、動ずる様子もなく、ただ、コナンの事を見ている。

「テメェに俺の何がわかるっていうんだっ!!」

夕焼けにコナンが吼えた。自分の無力を嘆き、目の前で行われた凶行を止める事ができなかった事を悔やみ、コナンが吼えた。


「わからんなぁ」

沈黙を保っていた服部が静かに、しかし、はっきりとコナンに告げる。

「わかりたくもねぇよ、だから言うてここで挫折するような阿呆の気持ちなんてな」

コナンを見据え、服部は続ける。

「オレらもな、仲間が一人、逝ってもうたんや。……タバサ言うてな、お前が言うてたルイズの友達や」

彼女と初めて遭遇した事、バイクを組み立てた事、二人でバイクに乗ったこと。
この殺し合いでの彼女との出来事が服部の脳裏に次々と浮かぶ。

「オレかてお前と同じや、あいつが死んだ戦いで、ロクに何もでけへんかった」

銃を前に体が竦んでいた、死の恐怖に怯えていた。
服部の表情もまた、悔しそうに歪んでいた。

「せやけど、オレは止まらんぞ。止まってたまるか! ここで止まったらタバサの奴は無駄死にや、せやからオレは絶対に止まらんぞ! お前かてそうや、ここでお前が止まったらお前を助けたルイズの行為は、命をかけた行為は無駄になる!
お前はそれでええんか? 探偵として、一人の人間として何もでけへんかった、だから言うて、お前はこれから助けられるかもしれん命も、命をかけた奴の行為も全部棒に振ってええ言うんか!? オレはそんなん御免や、お前はどうや? 答えろ!!!」

夕焼けに服部が吼える。無力を嘆き、悔いながらも諦めずに前へと進もうとする青年は、好敵手と定めた友に吼える。
対するコナンの表情は俯いている為に確認できない。

「そう、だな」

コナンが顔を上げる。その瞳は先ほどとは違い覇気に、決意に満ちていた。

「あいつの為にも、ここで止まれねぇ。……探偵が諦めたら、そこでおしまいだよな」

そう言って笑うコナンに対し、服部もまた笑顔を浮かべる。

「ようやっといつものお前に戻ったな」
「すまねぇ、迷惑かけちまって」
「ええって、ええって、気にせんとき。お前がそんな調子じゃあこっちも調子狂うよって」

申し訳無さそうに顔をうつむかせるコナンの頭を、服部がぽんぽんと叩き、劉鳳とアミバの方を向く。

「すまんなぁ劉鳳はん、アミバはん、時間とらせてもうて」
「いや、構わん」
「俺もだ、こんなところに子供を一人で置いていく訳にもいかないからな」

劉鳳、アミバ共に、一人の少年がこの殺し合いの場で立ち直った事に安堵していた。
彼らもまた、またも間に合わなかった事を悔いていた。
しかし、彼らも止まる事は選ばない。
服部の言う通り、タバサの死を、助けられる筈の命を棒に振る訳にはいかない。
何より、一人の男から受け継いだ『反逆』が、自らの心に燃える『正義』が、彼らがここで立ち止まる事を良しとしなかった。

コナンは今日この時までに出会った人々を思い出す。
毛利小五郎、灰原哀、志村新八、マリア、吉良吉影、坂田銀時、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ヴァリエール、葉隠覚悟、神楽。
まだ生きている者もいれば、既に命を失った者もいる。
彼らの死を無駄にしない為にも、まだ生きている彼らと共にこの殺し合いから脱出する為にも、こんなところで止まる訳にはいかない。

(そうだ、俺はこんなところで止まるわけにはいかねえんだ。諦める訳にはいかねえんだ。
覚悟は決めた。何があっても、何があっても俺は、この殺し合いを止めて見せる!!)

コナンの脳裏にルイズの最後の願いが響く。

(俺に何ができるかはわからねえ、でも、お前の願い、俺が必ず叶えてみせるからな!)

新たな決意を胸に、コナンは空を見上げた。
夕日は沈みかけ、これからの彼らを暗示するかのように暗闇が迫ってくる。
しかし、その中にあってもまだ光るものがあった。
まるで闇にも屈さぬ一筋の希望のように、一番星が迫りくる闇の中、きらりと光っていた。


【江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:全身打撲。左肩脱臼。疲労大。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、スーパーエイジャ@ジョジョの奇妙な冒険、鷲巣麻雀セット@アカギ
[思考] 基本:仲間を集める。
1:新たな決意、ルイズを埋葬しに行く。
2:ルイズの最後の願いを叶えたい。
3:ルイズを守れなかったことと殺人を止められなかったことに後悔。
4:覚悟さん達と合流
5:ゲームからの脱出
6:ジグマールを警戒
[備考]
※メガネ、蝶ネクタイ、シューズは全て何の効力もない普通のグッズを装備しています。
※自分達の世界以外の人間が連れてこられていると薄々感づきました。これから、証拠を集めて、この仮説を確認しようとしています。
※川田、ヒナギク、つかさの情報を手に入れました。
※ヌンチャク、バラバラになったシャンゼリオンのDVDは近くに放置されています。

【劉鳳@スクライド】
[状態]:疲労中、全身に小程度のダメージ、左肩と腹部にダメージ中、右拳骨折(包帯が巻いてある)、核鉄で治癒中
[装備]:ニアデスハピネス@武装錬金(核鉄状態)
[道具]:支給品一式、4色ボールペン、色々と記入された名簿、スタングレネード×2 、タバサの眼鏡
     タバサのデイパック(内容は液体窒素(一瓶、紙状態)、支給品一式 、色々と記入された名簿)
[思考・状況]
1:ルイズを埋葬しに行く
2:ルイズの最後の願いについてどうするか。
3:防人と合流、タバサのことを知らせる。
4:悪(主催者・ジグマール・DIO・アーカード・村雨)は断罪、弱者(シェリス、キュルケ)は保護。
5:シェリス・防人の知り合い・桐山の知り合い・核鉄を探す。
6:シェリスに事の真相を聞きだす。
[備考]
※絶影にかけられた制限に気付きました。
※桐山・防人・服部・タバサと情報交換しました。
※平次の策に乗る気はありません。
※タバサの遺体を抱え、制服の袖の部分がタバサの血で濡れています。
※E-6にタバサを埋葬しました。ネクロノミコンはそこに置いてあります。
※銀髪銀眼の顔に傷のある人物が殺し合いに乗った事を知りました。

【アミバ@北斗の拳】
[状態]:健康、疲労小、強い決意、今までの自分に強い自己嫌悪(多少軽減)
[装備]:ジャギのショットガン@北斗の拳(弾は装填されていない)、携帯電話 、
[道具]:支給品一式(×3)(一食分消費済み)
     綾崎ハヤテ御用達ママチャリ@ハヤテのごとく、ノートパソコン@BATTLE ROYALE(これら三つは未開封)
     ギーシュの造花@ゼロの使い魔、神楽の仕込み傘(強化型)@銀魂 、
     スティッキィ・フィンガーズのDISC@ジョジョの奇妙な冒険、空条承太郎の記憶DISC@ジョジョの奇妙な冒険
[思考・状況]
基本:ゲームの破壊、主催者の殺害。
1:ルイズを埋葬しに行く
2:ルイズの最後の願いについてはどうするか。
3:病院へ向かい、防人と合流。
4:ゲームに乗っていない人物と協力する。
5:ゲームに乗った人物と遭遇した場合説得を試みて駄目なら殺害する。
6:ケンシロウとラオウには出来れば会いたくないがいざとなったら闘う覚悟はある。
7:服部の策に乗り、脱出をネタに仲間を募る(一時的に保留)。
[備考]
※参戦時期はケンシロウに殺された直後です。
※『スティッキィ・フィンガーズのDISC@ジョジョの奇妙な冒険』の説明書は存在しません。
※服部・タバサと情報交換をしました。
※スティッキィ・フィンガーズのDISC、空条承太郎の記憶DISCに興味を持っています。
※銀髪銀眼の顔に傷のある人物が殺し合いに乗った事を知りました。

【服部平次@名探偵コナン】
[状態]:健康。両頬が腫れている
[装備]:スーパー光線銃@スクライド、ハート様気絶用棍棒@北斗の拳 、バイクCB1000(現地調達品)
[道具]:首輪、「ざわ……ざわ……」とかかれた紙@アカギ(裏面をメモ代わりにしている)、支給品一式 、色々と記入された名簿。ノート数冊
     才人のデイパック(内容は支給品一式、バヨネット×2@HELLSING、
     紫外線照射装置@ジョジョの奇妙な冒険(残り使用回数一回)未確認)
[思考・状況]
基本:江戸川コナンよりも早く首輪のトリックを解除する。
1:ルイズを埋葬しに行く
2:ルイズの最後の願いについてはどうするか。
3:病院へ向かい、防人と合流。
4:シェリスを発見し、真実を明らかにする。
5:自分自身にバトルロワイアル脱出の能力があると偽り、仲間を集める(一時的に保留)
[備考]
※劉鳳と情報交換を行い、シェリスの名前を知りました。
※劉鳳、アミバ、タバサの事は全面的に信用しています。
※自分自身にバトルロワイアル脱出の特殊能力があると偽るつもりです。
※バトルロワイアル脱出の特殊能力は10人集まらないと発動しません。(現時点での服部設定)
※脱出作戦を行うかはどうかは考え中。
※銀髪銀眼の人物が殺し合いに乗った事を知りました

[共通備考]
※劉鳳、服部、アーカードの持つ名簿には以下の内容が記載されています。
 名簿に青い丸印が付けられているのは、カズマ・劉鳳・シェリス・桐山・杉村・三村・川田・才人・
 ルイズ・防人・カズキ・斗貴子・タバサ・キュルケ・コナン・服部 ・灰原
 赤い丸印が付けられているのは、ジグマール・DIO・アーカード・散・村雨
 緑色の丸印が付けられているのは、蝶野


169:ホワイトスネイク-介入者 投下順 171:十九九九九九九~史上最大の同い年~
169:ホワイトスネイク-介入者 時系列順 171:十九九九九九九~史上最大の同い年~
163:二人の女、二人の愛 江戸川コナン 177:今夜月の見える丘で
163:二人の女、二人の愛 劉鳳 177:今夜月の見える丘で
163:二人の女、二人の愛 アミバ 177:今夜月の見える丘で
163:二人の女、二人の愛 服部平次 177:今夜月の見える丘で



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