人形の名を名乗った娘(後編) ◆9igSMi5T1Q



【エレオノール編】

 消防車を運転しながらエレオノールは、自分の頭が澄み渡っていくのを感じた。
 古井戸での記憶が、今まで以上にエレオノールの人形認識を加速させている。

「先生、あなたのおかげで私は本当に目指すものを見つけることが出来ました」

 この街に来てから、まだ一日も経っていないが、エレオノールは既に数回目的を変更している。
 今にして思えば、目的が何度も変わってしまったのはギイの言う自分の役割を見つけていなかったからだ。
 だが、もう違う。
 暗いイドの底から、エレオノールの意識にははっきりとした目的が浮かんできている。
 ふと、消防車から外を見る。
 平均的な日本の家々が並ぶ。
 地上8階程のビルや、ごく普通のビデオショップ。
 日本での生活が長いエレオノールにとってはありふれた風景。
 そんな風景の真上、既に青白い点群だけが支配する黒幕となった空。
 そこを見て、エレオノールは思う。

「雨が降りそうだな……」

 はっきりと見えないのだが、何となしにそう思った。
 そして、エレオノールは思考を続ける。

「先生、私はこれから加藤鳴海に会いに行こうと思います。けれど……」

 目的とは違って、エレオノールには全く変わらないものがある。
 この会場に放り込まれてから、終始一貫しているものが二つある。
 それは、ここで勝ち残らなければならないという事と、勝ち残る戦力が不足しているという事だ。

「今の私が向かっても鳴海を取り巻く者たちに勝てるとは思えません」

 エレオノールは最初、しろがねである自分は圧倒的強者だろうと思っていた。
 身体能力の高さ。とりわけ、回復力やタフさにおいて、しろがねの右に出るものなどいない。
 そう思っていた。
 だから、この場で自分が負けることなど想像もしていなかった。
 特に、才賀勝からオリンピアを手に入れたときはそうだ。
 誰かを守るには不十分だったかもしれない。
 けれど、自分が生き残るには十分すぎる戦力だろう。
 それが、当時のエレオノールが感じた素直な感想だ。
 だが、実態は違った。
 人形を持っても、オリンピアを持っても、しろがねの身体能力があっても。
 未だ殺害数ゼロ。
 隻眼の老人にまで遅れを取ってしまう有様。
 あの頃のエレオノールが想像もしていなかった醜態。
 そう。
 この数時間で、現実はエレオノールにまざまざと見せ付けていたのだ。
 彼女自身の戦力の無さを。
 このまま、同じ事を続けていたら、いずれ殺されることは明白。
 思えば、今までのエレオノールはほとんど工夫も無く、馬鹿正直に攻撃するだけだった。
 不意打ちに近いことなら、初老の男に対して行った。
 だが、拙速すぎた。
 一瞬、背後を取れただけなのに、すぐに攻撃してしまった。
 あのまま無害を装っていれば男も油断していたかもしれないのに。
 拙速すぎる攻撃が、殺害の機会を逸しさせた。

「私は思うのです。今のままでは、鳴海を笑わせることが出来ないと……」

 やはり、武器。戦力。何よりもそれが欲しい。
 けれどだ。
 既に死合開始から半分の人間が消えている。
 この状況だと、生き残っている人間のほとんどが強者であろう。
 そして、強者でない人間には、それなりの護衛者がついていると考えるべきだ。
 つまり、武器を誰かから奪う場合は、命がけの行為になることを覚悟すべきなのだ。
 別の手段として、武器をそこらの民家から徴収するという手もある。
 だが、正直な話、どう見ても一般的な日本のこの街に、まともな武器があるとは思えない。
 包丁の一本もあればいいところだろう。そんな物、あった所で人形より劣る。
 つまり、このままでは戦力不足によりエレオノールは目的を叶えられない訳だ。

「攻め手を変えなければ……私は鳴海を笑わせられません」

 だが、だからと言って名案が浮かぶ由もない。
 エレオノールは自然とハンドルを北から逃げるようにきって行った。
 暗くなった空が微妙な湿気を帯びている。
 殺し合いで勝ち抜く手段も分からないまま、エレオノールには何故かそんなことだけが分かった。


 消防車を南に向けて走らせていると、一組の男女が目に入る。
 仲間同士か。どう見ても、殺し合いには乗っていないだろう。
 エレオノールは一瞬のうちにそう判断する。そして決意する、殺さねばならないと。
 今、エレオノールが持つ武器は強いて言えば消防車一台。
 相手は歩行者である。このまま、ひき殺してもいい。
 そう思い、エレオノールが相手を見た瞬間。
 目のつぶれた男から、妙な威圧感を感じた。

(警戒しているのか……)

 まさか車越しに殺意が感づかれたとでも言うのだろうか。
 いや、幾らなんでも、そこまで鋭い相手ではあるまい。
 しかし、よく見るとあの体格。潰れた目とは裏腹に鍛え上げられた四肢。
 消防車を跳ね返せるほどの身体能力を持っているとは考えにくいが、前例がある。
 ここは拙速よりも巧遅を選ぶべきだ。
 エレオノールは、様々な可能性と過去の事例を考慮に入れた上で結論を出す。
 ゆっくりと消防車を停止させ、彼らの近くで止める。
 そして、消防車からおりる。
 肩から先の露出した服装で、両の手を相手から見えるように若干体の前へと持っていく。
 武器はない。攻撃の意思もない。
 それを表現するための行動だ。
 盲目の男は、それを感じ取ったらしく一瞬警戒心を薄めた。
 しかし……この男。目が潰れていると言うのに、気配ひとつで色々な事を察知するらしい。
 まともに闘っては危険だな。
「何の用だ?」
「こんなところで男女2人腕を組んでいたら、気にもなるだろう」

 本音を言えば、別に男女が何していようと興味を持つエレオノールではない。
 素直に殺しに来ましたとは言えないので、お茶を濁したまでだ。

「用がないのなら、俺たちは先に行く」

 いや、用ならある。言えないだけだ。
 とりあえず、無難に仲間探しをしているとでも言っておくか。

「用ならある。先ほどの放送で、私は同行者を失ってしまってね……
誰か一緒に行動できる人を探していたのだ」
「すまないが、今は先を急いでいる。仲間探しなら他を当たってくれ」
「そうか……」

 同行していれば、隙を見せるかもしれないと期待したが甘かったようだな。
 武器を手に入れてから、正攻法で殺すとするか……

「いや待て、もし良かったら、お前の車に俺たちを乗せてくれないか?」

 車に? これはチャンスかもな。

「……あぁ、構わない。助手席に2人座ってもらうがな」

 今現在、助手席にはオリンピアが座っている。これを後部座席に移動させて、2人を助手席に移せば問題ないだろう。
 まぁ、日の落ちた時間帯に腕を組んで歩いている2人だ。助手席に相乗りさせても、文句は言うまい。
 近くにおいておけば、殺す隙も窺えるし、助手席は戦闘開始にうってつけの場所のようにも思える。
 最悪のケースでも、自分ごとビルにでも突撃すれば、耐久力差でしろがねが勝つ。

「まずは、貴方から乗ってもらおう」

 エレオノールは盲目の男の手をとって、助手席へと誘導する。
 半ば予想していたことだが、男は掌まで筋肉に覆われている。
 肉厚な節々に加え、ゆっくりと脈動する血液。
 体温は人のそれでありながら、マグマのごとき力強さを持つ。
 これを相手にまともに闘ってはいけない。それでは同じ愚を繰り返すことになる。

「次は貴女だ」

 今度は、頭部に怪我を負った少女の手をとる。
 こちらは、何とでも殺しようがありそうだが、殺した後が厄介だ。
 どう見ても男とそれなりの関係にある。
 ここは素直に車に乗せてやろう。チャンスはまだあるはずだ。
 掴んだ手を、恋人の方へ渡す。
 男が掴んだ手をゆっくり持ち上げる……そのときだ。
 少女の瞳が光を失い、その体が力なく男の手にぶら下がる。

(何があった?)

 事態が掴めぬまま、エレオノールは一瞬何も出来ずに硬直してしまった。
 そして、気が付けば助手席から飛び降りた男が、少女を抱きかかえていた。
 その一瞬の動きに、エレオノールは驚きながらも気を落ち着かせて、男に問いかける。
「一体、何だ?」
「ただの貧血だろう」

 男は特にエレオノールを疑っていないようだ。
 実際何もしていないのだから疑われても困るが、ここは心底ほっとする。

「今すぐ彼女を連れて病院にいきたい、すまないがすぐに車を出してくれ」
「いや、病院に行ったところで治療道具があるかどうかは怪しい。それに同じ理由で良からぬ輩が集まっているかも知れんしな」
「病院には、俺たちの仲間がいる」
「確実にいると言えるのか?」
「それは言えん。だが、神楽はハッキリ病院へ向かうと告げたのだ」
「その神楽という人物は、何の目的で病院に向かった。今もその目的は生きているのか」
「それは……」
「目的がなくなっている可能性があるのなら、神楽が病院にいる可能性は低かろう。
それに、少女や我々のためにも、とりあえず暖かい食事を取りたい。そこらの民家にでも入ろうじゃないか」

 エレオノールは自分でも強引な理由だと思いながら、病院行きを否定してみる。
 単純な話、病院に鳴海や赤木がいないとも限らないからだ。
 彼らに会うのは、鳴海を笑わせる計画が立ってから、すなわち戦力が増強できてからだ。
 今すぐ行くのは非常に不味い。

「単なる貧血なんだろう? 見たところ頭部の出血は既に治療済みだし、出来ることと言えば滋養を取るぐらいだろう。
その娘のことを思うのなら、今は食事と睡眠が第一だ」
「……そのようだな、スマン恩に着る」
「気にしなくても構わない。私は同行者が欲しかったのだから」


 妙な成り行きで、エレオノールは盲目の男と恋人の少女を連れて小さな平屋作りの民家に入った。
 サーカス暮らしの長かったエレオノールにとっては、金持ちの家より三流階級の家の方が居心地がいい。
 そんな理由があってこの家を選んだ。
 民家の入り口には鍵が掛かっており、入る際には道路から見えない裏手の窓から侵入した。
 先にエレオノールが入り、入り口のドアを開けて2人を迎え入れる。
 そして、その後は赤い髪をした少女を布団の上に寝かしつけた。
 ありがとう、と男が呟いた。気にすることはない、とエレオノールは答えた。

 民家は小さな台所と、六畳間、そしてこれまた小さな脱衣所が付いた風呂、最後にトイレという非常に簡素な構成で出来ていた。
 トイレと脱衣所が繋がっているあたり、衛生面でかなりの問題を感じさせる民家だ。
 これが日本のホテルなら納得がいくのだが、民家だからよほどの貧乏屋敷らしいことが伺える。

「冷蔵庫にかぼちゃとほうれん草、そして卵があった。これで十分食べられるものが作れるな」

 本来なら、毒物の一つでもあると嬉しいのだが、生憎とそんな気の利いたものはない。
 素直に料理しよう。しかし……

(全く、私は何をやっているのだ……)

 自分に力が無いことは既に自覚した。
 このまま、あの男に攻め入っても、勝ち目はないだろう。
 それは分かる。
 だから、こうして素直に料理をしている。
 それに、下手な嘘をついて共に周囲の人間を殺しに掛かることも出来ない。
 嘘がばれた時の信頼低下が、どれほど厳しいものかは才賀勝に教えられた。
 だから、込み入った策略を組んで、共闘することも難しい。
 数時間一緒にいて、殺す機会が無ければ適当なことを言って離れるべきか。
 それとも、共にいて守ってもらうべきか。正直悩ましい。
 本当に、何をやったらいいのか分からない。
 殺しあうことが、こんなにも難しい事だったなんて、エレオノールは今まで90年間全く知らなかった。

(それでも、チャンスはあるはずなんだ……)

 じっと機会をうかがいながら、エレオノールは素直に料理を開始した。

「そう言えばまだ、名前を聞いてなかったな。私の名はエレオノール、貴方たちの名は?」
「俺の名はケンシロウ、ケンと呼んでくれ。そしてこの娘の名はキュルケ」

 エレオノールはほうれん草をそのまま鍋に入れて、水に浸す。そして、火にかける。

「ケンシロウ、ケンか……察するに日本人かな?」
「そうなるだろう……だが、俺の生まれたところに国はない」
「国はないだと、どういうことだ?」

 会話をしながら、かぼちゃを一口大に切る。
 この時、包丁を見つけたが、とても武器には使えない。
 刃渡りが日本刀などの武器に比べ圧倒的に短い日用品。
 殺すべき相手は、筋肉の権化とも言うべきケンシロウ。
 無茶はやめておこう。と、冷静にエレオノールは料理を続ける。

「1990年代に起こった核戦争で、文明が滅んだからだ。俺たちの住んでいた場所は、
かつて関東平野と呼ばれていたのだが、今はもうただの荒地だ」

 一口大にきったかぼちゃを、みりん醤油に頭が出るぐらい浸す。
 味付けに、軽く砂糖をまぶして、これも火にかける。

「1990年代に核戦争……聞いたことが無いな。1940年代の広島、長崎なら知っているがな。
私の知る限り核が戦争に使われたのは、あの時だけのはずだ」
「そんなはずはない。あの時代、日本を含めた多くの国が核の被害にあったはずだ。
事実、俺の義兄も一人放射能が原因で病に敗れている」

(まともな男かと思えば、おかしな事を……)

 普段のエレオノールなら、そう思って相手にもしなかっただろう。
 だが、彼女は数時間前才賀勝より聞かされていたことがある。

───この殺し合いの参加者はそれぞれ時間軸上の違う点か、もしくは並行世界間を移動して……

 あの時は、馬鹿な子供の戯言ぐらいにしか思っていなかったが……
 今は同じように、狂ったことを言う大人がいる。
 実年齢で言えば、エレオノールに比べ子供のようなケンシロウだが、それでも立派な成人だ。
 己の空想を口に出して言うなどと、馬鹿げた真似はしないだろう。
 とすると、あの時の勝の言葉は真実だったと言うわけか。

「なるほど、そう言えば私の仲間で……もう殺されてしまったが、面白いことを言っていた少年がいる」
「何だ?」
「この場にいる人間たちは違う時代から、あるいは違う世界から集められてきたのだと」
「何だと……」

 そう考えると、確かに辻褄が合う。
 そもそも、自分たちしろがねより強い人間がゴロゴロ転がっているあたりからして、この街はおかしかった。
 エレオノールは、支給品の缶飯とツナ缶を開けながら考えを続ける。
 それに、才賀勝がオリンピアを操れた理由。
 あれは単に、彼が人形繰りを覚えてから、ここに連れて来られただけの話ではないのか。
 恐らく、人形繰りを教えたのは自分か、勝の言うとおりギイ先生なのだろう、そう考えると筋が通る。
 あの少年が、最初馴れ馴れしく抱きつこうとしたことも、それで説明が付く。
 彼のいた時代の自分は、本当に彼を守っていたわけだ。
 なるほど。確かに、これで納得が出来るな。

「俺の方にも心当たりがある」

 缶飯に卵を割りいれ、ときながらケンシロウの言葉に耳を傾ける。

「俺の一番上の義兄、ラオウが使えたはずの技を忘れていたのだ。
だが、それも違う時代から連れて来られたと考えれば説明が付く」

 フライパンに油をひき、強火で熱する。

「なるほど……どうやら、この仮説は間違いなさそうだな」
「そのようだな」
「しかし、出来れば、別の方法で集めて欲しかったものだ……違う時代、違う世界。まるで全能の神ではないか」
「だが、別の方法だと説明が付かん。少し前に、キュルケと共に首輪制限の考察をしていたのだが……
それも、違うだろうしな」
「首輪制限、何だそれは?」
 十分熱したフライパンの上に、先ほど作った卵ご飯を入れる。
 強い火力で、一気にご飯をいためる。

「この会場では、俺たちの力が何ものかによって制限されている。そして、その制限の源が首輪と言うわけだ」
「制限だと?」
「あぁ、簡単に言えば普段通りの力が出せないと言うことだな。
恐らく、殺し合いにおける力量差を埋めるためのハンデだと、俺たちは推測している」

 そんな事があったのか、とエレオノールは初めて気づく。
 もしかしたら、自分の回復力も制限されているかもしれないな。
 だとしたら、これからの闘いは一層気をつけなければならない。

「しかし、その根源が首輪だと言うのはなぜだ」

 卵ご飯を米一粒一粒がバラけるまで、強火で十分にいためる。
 おおよそ、大丈夫だと思った時点で醤油を軽くたらして味を調える。
 最後に、ツナ缶の中身を焼き飯に追加する。

「それはな……」

 ケンシロウの言葉を聴きながら、茹で上がったほうれん草を水でさっと洗う。
 ほうれん草の根元を切り捨て、残った部分を食べやすいサイズに切り分けていく。

「俺が受け継いだ一子相伝の拳、北斗神拳を使って調べたのだが……」

 耳を傾けながら、エレオノールはケンシロウの話に不可解な点があることに気づく。
 どうやら、ケンシロウは秘孔を突いて、制限の謎を解いたらしい。
 北斗神拳とは、人体について、それなりのことを調べるのも可能なのだろう。
 それはいい。そして、それがこの場において制限されていると言うこともいい。
 しかし、そうだとすると納得できないことがある。
 彼の話を聞き終えて、エレオノールは思った疑問を、率直にぶつける。

「しかし……北斗神拳で調べたと言うのなら、かえって不自然ではないか?」
「それはどういうことだ?」
「いや、些細な事なのだが……」

 晩御飯を皿に盛り付け、エレオノールはケンシロウの方を振り返る。
 ちょうど時を同じくして、布団で眠っていたキュルケが目を覚ました。
 彼女は目が覚め、状況を確認してすぐ涙を流しながらエレオノールに礼を述べた。
 エレオノールは、どうでもいいと言わんばかりの態度で「当然のことをしたまでだ」と答えた。


(全く、私は何をやっているのだ……)

 確かに、敵を殺すことが出来ない。
 それは自覚している。だからと言って流されるままに夕飯まで作ってしまうとは本当に情けない。
 しかし……
 料理をしているときは気づかなかったが、ケンシロウという男。本当に隙がない。
 盲目のはずなのに、彼はエレオノールの方を注視している。目が無いのに、見ているとは妙な話だが、確かに感じるのだ。
 彼の意識が油断無くこちらに向けられていることを。

(無理に殺しにいかなかったのは、正解なのだが……だからと言って何もしないのもストレスが溜まるな)

 一体どうしたらいいのか。エレオノールには、その答えが全く出てこない。
 三人分の食事をちゃぶ台に乗せる。そして、食事前に行儀が悪いと思ったが移動する。
 ケンシロウの隙の無さと若干の焦りから、エレオノールはトイレに入った。

(さてと、どうする……)

 これ以上、彼らと行動を共にしていても得るものは何も無い。
 殺す機会を窺って、一緒にいるわけだが隙の一つも無い男が一緒では、女の方を殺すことも出来やしない。
 実力から言って、男は無理でも女は何とかしたいのだが……
 たとえ殺せたとしても、下手にやれば男の怒りを買ってアウトだ。

(本当に難しいな……自動人形を相手にしていた方がまだマシだ……)

 だが、難しいからこそ達成感がある。
 才賀勝を守るよりも、人間になれるという確かな実感がわいてくる。
 もちろん、この達成感と人間化には何の関連も無い。
 そんな事は百も承知なのだが、機械仕掛けの神もきっと、難しい試練を子供たちに与えるのだろう。
 そう思えば、やはり、これこそが人間への道なのだろう。
 しかし、それはそうと……

(ここの家は不衛生だな)

 トイレと脱衣所が一緒になっているホテルのような形式。
 脱衣所の先には、お風呂があるわけだが、このような形式では入る気が起きない。

(大体……いや、待てよ。これって……)

 何かが閃いた気がする。エレオノールは周囲を探して、あるアイテムを探す。
 ここが脱衣所ならあるはずだ。アレがある可能性は極めて高い。



 脱衣所から出たエレオノールは、ちゃぶ台の前に座り2人と共に晩御飯をとることにした。
 殺す目処がついたことで、少しほっとする。
 だが、今はまだ油断できない。
 全身全霊をかけて、2人の隙を突く必要がある。そのことは何も変わらないのだ。

「でだ、先ほどのケンの話では秘孔の効きが弱くなったこと、身体能力が低下したこと、キュルケの魔法が弱くなったこと等から、
制限の存在が明らかになり、秘孔を自分の体に突くことで制限が首輪によるものだと分かったわけだな?」

 ごく自然に、先ほどの話の続きを振る。
 首輪の話など、至極どうでもいいことなのだが、真剣に考えている振りをすれば、彼らも気を許すだろう。
 そう考えて、どうでもいい首輪の話にも真剣になってみる。

「あぁ、そうだ。加えて言えば、キュルケの魔法にも制限の強弱があり、それも決め手となった」
「錬金よ、ある物体を別の物体に変化させることが出来るわ。魔法としては初歩の部類なんだけどね」
「なるほど……だとすると不自然だな」

 本音を言えば、少ない証拠から出した2人の結論に不自然なところは無い。
 というより、この時点では中々良く考えられた考察と言えるだろう。
 しかし安直に、貴方たちは良く考えてますね、というよりはこちらも真剣さをアピールした方が得という物だ。

「2人とも覚えているか、私たちが最初に集められた場所で赤毛の男が暴れだした時のことだ。
あの時、光成と呼ばれた老人は確かに言った、『首じゃ、首を見ろ』とな」
「それこそ、首輪が制限の根源だと言う動かぬ証拠だろう」
「いや、私はあれを罠だと思っている。そもそも、制限と言うものは我々を押さえつけるために必要不可欠なもののはずだ。
この事は、あの場で赤毛の男、確か勇次郎だったか、彼が暴れたことを思い出してみても分かるだろう。
そこで考えてもらいたい。あの老人にとって、保身の要とも言うべき制限の内容を、そう簡単に明かすだろうか?」

 こじつけもいい所だな。自分ではそう思う。
 なら逆に、首輪以外の何が制限を行っているのだと聞き返したい。

「そりゃ、確かに不自然だとは思うけど、でもケンが秘孔でちゃんと確かめたんだから、間違いないわよ」
「いや、実は私にとってはその話こそ、これが罠だと断定した根拠なんだよ」

 言葉を返しながら、食事を取りながら、エレオノールはケンシロウを見やる。
 厚い胸板は、女性のそれよりもはるかに大きい。
 太い腕は、女の足ほどもありそうだ。
 潰れた瞳からは、見えないがオーラのようなものがありありと感じられ、近くにいるとほんのわずかな動きも気取られかねない。
 しかし、隙は生じる。必ず、生じる。信じろ、チャンスは来るはずなんだ。

「どういうことだ?」
「いいか、ケンの秘孔は『何か』によって制限されている。そして、ケンは秘孔によってその『何か』を分析した。
この話はおかしいだろう、仮に私があの老人の立場で制限をかけたのなら、秘孔では分からないように制限をかけると思うがな」

 もちろん、これは単にあの老人が無用心だったとか、制限はそんなに都合よくかけられないからで説明がつく。
 まぁ、証拠が少ない現状なら、通ると思われる反論なのだが。

「言われてみれば……」

 ケンシロウが渋々頷く。無難な反応だろうな。
 証拠の無い状況では、どちらが正しいかなど、水掛け論でしかない。
 エレオノールが言った言葉も、あくまで一つの可能性を提示しているだけに過ぎないのだから、彼は頷いて話を先に進めようと思うだろう。
 どちらが正しいかは、実際に首輪を解析するなり、あの老人を脅迫するなりすればいい。
 もっとも、そんなことは無意味なのだけれど。

「そんなはず無いわ。そうだとしたら錬金はなぜ制限されてるの。これも罠なのかしら」
「いや、違う。貴女の錬金は物質変換の魔法だと言ったな。つまり、首輪に限らずどんなものに対しても脅威となりうるわけだ。
戦闘時には相手の武器を無力化させることが出来るし、そんなことをしなくても、脳みそをかぼちゃにでも変えてしまえば、必殺の魔法になる」

 偶然、目の前にあったかぼちゃを例にとって、少女に反論する。
 少女が魔法世界からの住人でなければ、ここで悲鳴でも上げていたところか。
 ちなみに、この反論だけはエレオノールも本気でやっている。
 大体、物質変換の魔法など都合よく使われてたまるか。何でもありの世界ではないか。

「人体に錬金は効かないわ」
「だが機械になら効くのだろう? つまり、首輪以外のものが制限をかけている場合も、やはり貴方たちの考察と同じことが言えるわけだ」
「……そ、それは……」

 言葉に詰まるキュルケを見て、エレオノールはやりすぎたか、と感じる。
 目的は、首輪の考察ではなくケンシロウの隙を窺うこと。いや、信頼させて隙を作ること。
 反論をやりすぎて、逆に不快感を与えては元も子もない。

「あれだけ、あれだけ考えたのに……」
「まだ、俺たちの考察が間違ったと決まったわけじゃない」

 自分たちの考察が間違っていると勘違いしたのか、キュルケは明らかな落胆を見せる。
 ケンシロウはそんなキュルケを察してか、彼女の肩に手をやり慰めの言葉をかける。

「フフッ……、そんな顔をするな。貴方たちの考察は素晴らしいものだと思うぞ。
そこまで考えてくれたからこそ、私も刺激されて考えが出てきたわけだしな」
「……そうね……」
「それに頭を使ったら、意識もしっかりしてきただろう?」

 せっかく、料理までして、ほんの少し築き上げた信頼をここで壊すわけにはいかない。
 エレオノールは、サーカスで身に着けた作り物の笑顔をほんの少しだけ浮かべて、優しいお姉さんを演出する。
 シルカシェン(サーカスの人)として身に着けた技能さえも殺しに利用する。
 もう何だってやる。人間になるためだ。

 先ほど、脱衣所で考えた作戦を思い出す。キュルケを殺すために立案した強引な策だ。
 失敗したときのリスクを考えれば、やらない方がマシかもしれない。だが……

(いい加減、ストレスも限界だな)

 殺せない相手だからと言って、何もしないままハイさよなら、では情けなさ過ぎる。
 自動人形破壊者として、エレオノールは通常の人間を上回る身体能力を持っているのだ。
 殺す。一度のチャンスを積極的に生かし、殺す。
 彼女は、そんなことを考えつつ食事を進める。
 これを食べ終わったら、キュルケを誘い込む。今の彼女は、自分に少しとは言え恩を感じているはずだ。
 この状態を生かさない手は無いのだ。今なら、彼女は強引なお願いでも聞いてくれるはずだ。


 食事が終わり、3人で病院の方へ移動を開始する。
 今ここが最後のチャンスだ。キュルケとケンシロウを離して、確実に殺しきる。
 ケンシロウの前では、隙も多く出そうにない。

「では、神楽の下へ行くとするか……」
「そうね急ぎましょう。あの子も心配だし……」

 ケンシロウとキュルケが、そんな事を言うが、ここで素直に行かせることは出来ない。
 エレオノールは、自分に支給された道具を思い出す。この場で、キュルケだけを連れ出すのには、あの支給品を使うしかない。

「少し待って欲しい。休憩してもキュルケの顔色は優れないだろ? 神楽も心配するぞ」
「……そりゃ、そうだけど」
「幸い私はメイク道具を持っている、と言っても道化師用の特殊メイクだがな」

 武器に使えないと思っていたサーカス用のメイク道具。
 これを使って、キュルケを脱衣所へと連れ込む。
 キュルケも、こちらの意図を理解したらしく、共に洗面所へと移動を開始する。
 ちなみに、ここで若干苦しい言い訳になるが、

「これはサーカスで使う特殊メイクだから。普段女性が見るものとは使い勝手がだいぶ違うのだ」

 などと言っておいた。ただメイクするだけなら、一人でも出来ると言い出しかねないからな。
 もちろん、サーカス用の道具は映画の特殊メイクとは違うのだから、一人で使用することも可能だ。
 脱衣所に入ると、先ほど武器をしまいこんだ引き出しの位置を確認する。
 キュルケを鏡の前に立たせ、自分は「特殊メイクは人にしてもらわないと無理」と言い訳をして、鏡と彼女の前に立つ。
 ここでも、一つ笑顔を見せておく。本当に、サーカス暮らしは役に立つ。
 一瞬の隙を突いて、キュルケの背中側にある引き出しから、剃刀を取り出す。
 それを右手に持ち、鏡を見つめる彼女の視界に入らないよう、腰の辺りに隠しておく。
 そして、左手でメイク道具を持ち上げる。

(ここだ注意深く行け)

 左手に持っているメイク道具を、ポロリと落とす。
 キュルケの目が、それを追いかける。

「すまない、拾ってくれ」

 追い討ちをかけるように、彼女の意識をメイク道具へと集中させる。
 そして、キュルケが身をかがめたその瞬間。
 エレオノールは、剃刀を彼女の頚静脈に向けて振り下ろした。
 剃刀が、キュルケの首を引き裂いたことを確認する。
 頚静脈から流れ出た血の幾分かは、彼女の気管を通り、肺まで流れ込む。
 呼吸も、発声も出来ないまま、彼女は死ぬだけだ。
 だが、悠長に確認することも出来ない。外にはケンシロウが控えている。

 エレオノールはケンシロウと戦うことなど出来ないと判断して、そのまま風呂場の窓を破壊して逃げ出した。


 神楽の下に行く前に、女性2人でメイクをするという。
 荒廃した世を当たり前に思っていたケンシロウにとって、メイクとは珍しい発想であった。
 メイクにどのぐらいの時間がかかるのか、一体どんな風に変わるのか。
 戦争前ならともかく、今の彼にそんな知識はない。

(懐かしいな……)

 女性が女性らしくあった時代を思い出す。
 エレオノールと出会って、少しだけキュルケが元気になったように思える。
 そう考えると、彼女と出会ったのは運が良かった。元気なキュルケを見ると神楽も安心するだろうし……

 そう言えば、神楽は元気にしているだろうか。
 あの娘がそう簡単に死ぬとも思えないが、ジャギさえ死んだ空間である。油断できない。
 いくら神楽が強いと言ってもラオウやDIOに襲われれば、それまでだ。
 出来る限り早く合流しなければならない……キュルケのために、神楽のために。

 そんな事を思っていると、脱衣所のほうからガラスの割れる音が聞こえてくる。

「何があった!!」

 女性2人でいる脱衣所。だがしかし、破裂音を聞いてはじっとしていられない。
 部屋の中に、強引に割ってはいるケンシロウ。
 そこには、首から血を流し続けるキュルケの姿があった。

「ま、まさか……」

 エレオノールの姿はない。
 一瞬、困惑するが、直ぐに結論を出す。
 間違いなく、エレオノールが手を下したのだ。
 破られた窓から、彼女を追いかけようとケンシロウは動く。
 だが、それをキュルケが遮った。
 弱々しい力で。それでも確実に、ケンシロウの足を掴むキュルケ。
 振りほどこうと思えば、一瞬で振りほどける赤ん坊のごとき力。
 だが、ケンシロウにとっては何よりも強い。

「………フゥ…………ハッハ……」

 キュルケの口から、と言うより切り裂かれた首から風音が聞こえる。
 もはや彼女は、声を出すこともままならぬらしい。
 だが、それでもケンシロウはキュルケの意思を感じることが出来た。

「キュルケ………すまない………」

 優しく肩を抱き寄せる。

「ハァ……ヒュッ………」

 声にならないキュルケの意思。だが、ケンシロウには伝わる。
 そばにいて欲しい。キュルケは確かにそういっているのだ。
 抱きしめた腕に力を込める。
 キュルケは、そんなケンシロウに一瞬だけ腕を回して抱き返した。
 その体は、ほんのりと微熱を帯びていた。

【キュルケ@ゼロの使い魔 死亡確認】
【残り28人】


【D-4 北東の民家。一日目 夜中】

【ケンシロウ@北斗の拳】
[状態]:カズマのシェルブリット一発分のダメージ有り(痩せ我慢は必要だが、行動制限は無い)全身各所に打撲傷
    キング・クリムゾンにより肩に裂傷 両目損失。吐き気はほぼ、おさまりました(気合で我慢できる程度)
[装備]:
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム(1~3、本人確認済み)
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない、乗った相手には容赦しない。
1:キュルケを埋葬する。
2:エレオノールを捜索、事と次第によれば殺害。(ただし、女なので手加減の可能性アリ)
3:アミバを捜索、事と次第によれば殺害。
4:ラオウ・勇次郎他殺し合いに乗った参加者を倒す。
5:助けられる人はできるだけ助ける。
6:乗ってない人間に独歩・アミバ・ラオウ・勇次郎・エレオノールの情報を伝える。
[備考]
※参戦時期はラオウとの最終戦後です。
※ラオウ・勇次郎・DIO・ケンシロウの全開バトルをその目で見ました 。
※秘孔の制限に気付きました。
※ラオウが無想転生を使えないことに気付きました。(ラオウは自分より過去の時代から連れて来られたと思っています)
※民家の前に消防車が止まっています。
※オリンピアが懸糸の切れた状態で消防車の助手席の後ろに座っています。


<首輪についての考察と知識>
※首輪から出ている力によって秘孔や錬金が制限されていることに気付きました。
首輪の内部に力を発生させる装置が搭載されていると思っています。

<DIOの能力について>
※瞬間的に普段の数百倍の速度で動く能力だと思っています(サイボーグ009の加速装置のイメージ)

 エレオノールはあらん限りの力を尽くして、民家から逃走する。
 風呂の窓から抜け出した後は、まっすぐ。隣家の屋根に蹴上がり、屋根伝いに道路まで駆け出す。
 道路に出た後も、油断せずに走り、出来るだけケンシロウのいる民家から遠ざかろうとする。
 ケンシロウに追いつかれたらアウト。
 今の彼女には、そのことがはっきりと分かっている。だからこその逃走だ。

 数分、走りきり。安全だと判断したところで止まる。
 後ろを振り返るが、誰も来ていない。

(やったな……)

 まだ、たったの一人であるが、確かに殺した。
 その事に生まれて初めての達成感を覚える。
 そして、ケンシロウが追ってこないことに大きな安堵も。

(自動人形より、やはり疲れる)

 こんな戦闘をしたことなど、今までに一度も無い。
 自分より圧倒的な強者が監視する中での戦闘。
 90年目にして初めて経験する、いけない出来事。
 この出来事により、消防車という足を失ったが、仕方ない。
 人間になるために、必要な行動だったと思えば諦めがつく。

 夜空の下。街灯の明かりだけが照らすその中を、エレオノールは歩く。
 不意に、初めて殺した少女、キュルケの言葉が思い出された。

~・~・~

「ねぇ、話は変わるけど、私の親友にさ。タバサって娘がいてね。ちょっとエレオノールに似てるのよ」
「ほう……」
「あまり、笑わない子でね。エレオノール………みたいに……無表情でさ……」

 キュルケは、言葉を詰まらせながら話す。
 そう言えば、先ほどの放送でタバサという名前が流れたような気がする。
 どうでもいい名前なので、はっきりとは覚えていないが、それでもキュルケの態度からしてそうなのだろう。

「私に似ている、その娘も人形なのか?」

 エレオノールはほんの少し興味を持った。
 同じ人間で、自分と似たような境遇の者がいるというのなら、そこにも人間になるヒントがあるかもしれないからだ。

「ううん、あの娘は人形とは言われていなかった。でもね……無表情なままで喋る所なんて本当にそっくり。
……………………駄目ね、こんな事、思い出しちゃ」

 言葉が詰まることはなくなったが、キュルケは代わりに涙を流している。
 よほど大切な友人だったのだろう。

「そうそう、人形って言えばね。あの娘の名前『タバサ』ってのは、本当は、彼女が幼い頃に買ってもらった人形の名前らしいのよ。
色々事情があって、自分の名前を名乗れなくなって………それで、幼いのに人形って……」
「キュルケ……」

 ケンシロウが、キュルケの手を掴み語りかける。
 優しい表情で、キュルケのほうを向く。ただそれだけで、キュルケは大きく泣き崩れてしまった。

「大切な友人だったのだな……」

 エレオノールはたった一言だけ、そう呟いた。

~・~・~

「ふん、人形の名を名乗る娘か……」

 そう言えば、自分はエレオノールと名乗っている。
 この名は、素晴らしい名だ。正二おじい様に頂いた無二の名前。
 だが。これは……

「エレオノールとは、人間に渡した名だったな……」

 下らない事かもしれない。
 だが、今の自分は人間ではなく人形。
 この事は紛れも無い事実なのである。とすれば、その自分がエレオノールを名乗って良いのだろうか……

「正二おじい様……あなたの下さった名前は素晴らしい名前です。
エレオノールとは、私にとって宝物です」

 だが、だからこそ。

「ですが、人形である今の私に、この名は重過ぎます。
いつか人間になるその日まで、どうかこの名を捨てることをお許しください」

 そうなのだ。
 繰り返すが、今の自分は人間ではなく人形。
 とすれば、タバサとか言う娘のように自分に相応しい名を考えるべきだ。
 機械仕掛けの神に支配される現状に相応しい名。
 それを名乗り、その神の支配を逃れた後に、再びエレオノールを名乗る。
 分相応と言うものをエレオノールは知ったのだ。
 そして、新しい名前は既に考えている。

「機械仕掛けの神よ、貴方が作りたもうた生命は私を除き唯一つ。自動人形のみ。
であれば、私の名乗る名は決まっている……」

 そう、あれしかない。

「私の名は、フランシーヌだ」


 こうして彼女は、新しい名前を夜空に向かい呟いた。
 空からは、雨粒がほんの少しだけ、落ちてきた。


【D-4 南部(路上)/1日目 夜中】

【才賀エレオノール@からくりサーカス】
[状態]:精神不安定
[装備]:なし
[道具]:青汁DX@武装錬金、ピエロの衣装@からくりサーカス、支給品一式
[思考・状況]
基本:加藤鳴海以外を皆殺し
1:人形以上に強力な武器が欲しい。
2:殺戮を繰り返せば、ナルミは笑ってくれるはずだ……。
3:強い者とは無理に戦わない。
[備考]
※参戦時期は1巻。才賀勝と出会う前です。
※夢の内容はハッキリと覚えていますが、あまり意識していません。
※エレオノールが着ている服は原作42巻の表紙のものと同じです
※ギイと鳴海の関係に疑問を感じています。
※メイクは落としました
※フランシーヌの記憶を断片的に取得しています。
※「願いを叶える権利」は嘘だと思っています。
※制限についての知識を得ましたが、細かいことはどうでもいいと思っています。
※ケンシロウとキュルケを恋人同士だと思っています。


189:――の記憶 投下順 191:男とアルター
189:――の記憶 時系列順 191:男とアルター
180:真夜中のサーカス 才賀エレオノール 193:求めたものは
184:風前の灯火 ケンシロウ 192:炎の記憶
184:風前の灯火 キュルケ 死亡