MEGANE×GANEME ◆BRxsUzTn5A


「どうしてこんなことになっちゃったんだろう……」
まだ夜も明けぬ暗闇の小さな道を一人、メガネをかけた少年が歩いていた。
彼の名は志村新八。ツッコミ以外は非常に地味な少年である。
だが、彼が元いた世界では何だかんだでツッコミ役はまれなため、重要と言っちゃあ、重要である。

新八は先ほどからの異常な状況に不安と恐怖を隠しきれないでいた。
いつものように万屋で寝ぼけ眼の目をこすりながら布団から起床し、残り少ない食べ物を神楽が食い漁ろうとしているのを必死で止めたり、
銀さんに今までの給料を請求しようと試みて、またその事をうやむやにされてしまうただ働きの万屋家業の一日が始まるはずだった。

しかし、今回は違っていた。
真っ暗な部屋の中で殺しあいをやれと言った謎の老人。それに食ってかかる赤髪の大男、それに対峙する黒い鎧の大男。
そして突如、爆散し、まだ生暖かい鮮血を部屋中にぶちまけられたメイド服の女の子。
巷で流行りのメイドロボット好きな新八でもこの光景を見た瞬間、あと寸手の所で食べた物が喉元まで到達したほどだった。

「そうか……」
新八は立て続けに起こった超常現象に対してな一つの考えを見出した。
「これは夢だ、きっと夢だ! 昨日の夜だってお通ちゃんの出演した番組の録画の編集を夜遅くまでしていて体が疲れていたじゃないか。
それが夢だという証拠! 起きろ!! 目を覚ませ、志村新八!」
新八は自分の頬をつねったり、何回も頭を叩いたり、何回も自分に鼻フックデストロイヤーの刑をかまし、この悪い夢から逃れようとした。
しかし、新八はそれが大間違いだったことに気づく。
気が動転していたため、鼻フックデストロイヤーの刑が自分自身でやってもあまりダメージがないことに気づかなかったことではない。
いくら頬をつねっても、頭をボカスカ叩いてみても、鼻に指を入れて自分で釣ろうとしても、痛みは新八にこれは現実なのだということを知らせてくる。
そして、いつのまにか背中にしょってあったバッグの重みが“それ”を決定的なものにした。

新八はデイバッグの中から、名前が連ねられている名簿に目を通し、知り合いがいないか確認する。
「銀さんと神楽ちゃんの名前が載ってる……それに桂さんまで!」

今後の行動方針は決まった。銀さんと神楽ちゃん、最悪の場合は桂さんと合流してこのゲームから脱出する。
銀さんや神楽ちゃんはそんな簡単にやられるわけがないし、このゲームに反対してここから脱出する手段を探しているはずだ。
桂さんは………多少の不安要素はあるものの、いざとなったら頼りになる人だ。合流しても問題はない……と思う。
新八はここに連れてこられた仲間のことを思いながら、デイバッグを探る。何か身を守れるものが入っていたらいいなぁ、と淡い期待をよせながら。
すると、新八の手は細長い“何か”をつかむことに成功した。しめた!と思った新八はそれを引き上げると……
「え……?」
新八が手に持っていたのは取っては赤、それ以外は真っ白な紙でできたもの、何の変哲もないハリセンであった。

何コレ。何なのコレ。確かに僕はツッコミ役ですよ。それは認めます。だけどハリセンは無いんじゃないの?せめて木刀くらい支給するべきじゃないのフツー。
これでどう戦えと申しておるのですか。これって新手のイジメ?

いきなりハズレを引いた新八はため息をつき、己の運のなさを悔やむ。
気を取り直して、新八はもう一つの支給品を探すため、新八は再びバッグの中に手をつっこんだ。
「今度はマシな支給品が出ますように……」

新八が再びバッグの中を探ると……出てきたのは赤と白を基調としたセーラー服であった。

セ、セーラー服ゥゥゥゥ!!? なにゆえセーラー服? 確かに僕はアイドルオタクでセーラー服着たお通ちゃんも悪くないな……ってそんなこと考えてる場合じゃない!
しかも貼り付けてある説明書きが何で「もってけ!セーラー服」なんですか。こんな曖昧3センチな説明しても分かるわけねぇじゃねーかァァァァ!!

またもやハズレの支給品をつかまされた新八は心の中でグチをこぼしたが、結局バッグの中にしまっておくことにした。
「最後の一つに望みをかけるしかないのか……」
新八は最後の一つに全ての期待をかける。
そして、中からでてきたのは――――
「………紙袋?」

「こんな道具じゃダメだ。危険そうだけど、他の誰かとチームを組むしかないのかな?でも、そんな簡単に目の前に現れるわけないよなぁ~……」
新八はそう呟きながら下げていた首持ちあげ、正面を見る。
すると、何時のまにやら向こうから何者かがこっちへ向かってくるのが見えた。
「ホントに来ちゃったァ~~~! 何このありがちな展開ィ!!」
待てよ、ひょっとしたらこのゲームに乗っている人かもしれない。と一種の最悪の展開を考えた新八は逃げ出そうとも考えたが
こちらへ来る陰がだんだんとはっきりするにつれて新八の警戒は少しずつ緩んでいった。
新八の前に現れたのは新八よりも小さい、小学生くらいのメガネをかけた少年であった。

2人のメガネ少年はしばらく顔を見合わせ、互いの様子をうかがっていた。
数分間たち、まず最初に口を開いたのは小さなメガネ少年の方だった。
「お兄ちゃん、ゲームにのってるの?」
「ううん、僕はこのゲームから脱出しようと思ってる」
新八は穏やかな口調で現れたメガネ少年の問いに答える。
「そうなの? 良かった~!一人じゃ心細かったんだもん」
小さなメガネ少年はホッと胸を撫で下ろす様子を見せた。
「そうだ! この紙袋の中に入っているヤツを食べない?多分ハンバーガーか何かだと思うから……」
と、新八は逆さにした紙袋の口を開け、紙袋から出てきた中身を見ると、新八の血の気がサーッとひいた。彼の体から冷や汗が吹き出してくる。
中から出てきたのはハンバーガーでもなく、テリヤキチキンサンドでもなかった。手の上に「手」をつかんでいたのだから。
「う……うわあああああ!!」
新八は思わず「手」を地面に落とした。
それは指に赤いマニキュアをつけ、ほっそりとした手には細かく小さなしわがはしっていた。
紙袋の中に入っていたのは女性の手だったのだ。
「え………あの………その……」
予想外な展開にもはや新八はツッコむことすらままならなかった。
恐る恐る小さなメガネ少年の方を見ると、案の定新八をいぶかしげな顔で見ていた。
もしかしたら僕のことを疑っているのかもしれない。誤解を解かなきゃ……
新八は誤解を解くためにどう弁明するべきか頭の中で必死に考える。だが、今までの惨劇や、「手」のことが頭に強く焼きつき、言葉がなかなか出て来ない。
「こ、これは……たまたま、入っていただけなんだ……」
(何言ってんだァ~~!志村新八ィ! こんなこと言っちゃ余計疑われるだろォォォ~~!!)

新八は心の中で自分の発言の失敗を悔やむ。
ああ、こんな時銀さんだったら自慢の口八丁で相手をうまく丸め込むんだろうな……。向こうの子供もまだ僕のことを怪しんでそうな顔だし、一体どうしたらいいんだろう……

「……ねぇ」
「え……な、何?」
「もしかしてお兄ちゃんのそれって……」
メガネの少年は新八の方に歩み寄ってきた。きっと僕を殺人者と疑っているんだ……あのバッグの何かで僕を……。
どうする……このままじゃやられる。どうする……。

少年が新八の目の前まで迫ろうとした時、とっさに新八は正座し、地面に頭をこすりつけた。
「ご…ごめん!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
新八はどうしたらいいのか分からなかった。ただ、相手に背を向けて逃げるより何とかこの場を何とか切り抜けなければという思いだけが暴走していた。

「いいや、お前が謝る必要はねーよ」
少年はさっきまでとは違う口調で新八に話しかける。
「え……?」
「この手をは間違いなく女の人の手。だが、手の体温すっかり冷え切っている上に、切り取られた中の血が乾ききっている。もし俺が出会う前にすぐに犯行したならば
少しは体温が残ってて、血もベットリと粘着性があるしな。それにそんな短時間に死体を隠して、その紙袋に手だけを切り取って入れる余裕なんてないに等しい」
先ほどとはうってかわり、「手」の分析をする少年を見て新八は顔を開け、口をポカーンを開けた後、こう言った。
「君って……もしかして推理オタク?」
「あ!これは……おじさんの真似なの」
少年の顔が一瞬、動揺したように見えたが、先ほどの推理にあっけに取られていた新八は気づくことはなかった。
「おじさん……?」
「この名簿にのってある毛利小五郎って人なの。おじさんはね、数々の事件を解決してるすごい名探偵なんだよ」

こうして僕、志村新八は江戸川コナンくんと名乗る少年と支給品やお互いの知り合いなどの情報交換をすることになった。
コナン君の支給品はヌンチャクと、奇妙な赤い宝石、そして透明な麻雀牌と碁盤の3つだった。彼もいい支給品には恵まれなかったらしい。
僕は銀さん達を見たかと尋ねたけど、コナン君は首を横に振った。やっぱりそう簡単には見つからないか。
それから、コナンくんも知り合いを捜しているようで、先ほどのすごい名探偵という毛利小五郎さん、灰原哀ちゃん、服部平次さん。
3人ともそれなりに信頼できるとのことだった。

一通り情報交換が終わった後、コナンは後ろの方にある紙袋を見る。
「あの手はそのままにしておくの?」
「うん、あの手は見るだけでも気味が悪いしね」
ほんの少し、新八は路上の傍らに置き去りにされた紙袋に目線をやる。
「じゃあ、行こうか。早く小五郎さんたちや銀さん達を捜さないといけないからね」
「…………。」

 * * *
コナン……いや、高校生探偵 工藤新一は一人、その場で佇み今までの情報を元に考察する。

あの名簿には蘭の名前は載ってなかった……この殺し合いの場にいないと見ていい。
だが、まだ予断はできない。俺の他に灰原、服部、おっちゃんがいる。
服部はそう簡単には死にはしないが、問題は他の2人だ。
新八には嘘を言っちまったが、特におっちゃんは俺がいないと名推理というより、迷推理しかできないしな。
最も俺の探偵グッズも全部取られちまってるし、今まで事件のように推理を進めることは不可能だが……。
灰原も心配だ。すぐに迎えに行ってやらないとな。このままじっとしている奴じゃねぇ。
それにしても何で俺達3人がこのゲームに巻き込まれた?黒の組織に俺の正体がばれたのか?
いや、それは考えられない。それなら俺ら4人以外にも蘭や光彦たちも連れてくるはずだし
こんな回りくどい殺しあいをせずにその場で殺すこともできたはずだ。
あの暗い部屋の顛末を見ると、殺し合いゲームに黒服の奴らの存在は確認できなかった。

黒の組織がここには介入していない。となると、今ここで俺の正体を明かしてもいいんじゃないか?
この殺伐とした状況では秘密を隠している奴にまず不信の目が向けられる。
今は問題なく切り抜けてるが、このまま都合よく自分を小学生の江戸川コナンと偽われるのか?
どうする、新八や他の奴らに俺の正体を明かすか……?

どうする、工藤新一?

 * * *

「コナン君、一人でずっと立ってどうしたの?」
新八は後ろを振り向き、彼から少し離れた距離で立っているコナンを呼ぶ。
「へ?あ……な、何でもないよ」
「早く行かなきゃみんなと会えないぞ」
「ごめんなさい。今行くから!」

こうして2人のメガネ少年は暗闇の中を歩いていった。
だが、2人は知らない―――置き去りにしていった「手」に持ち主がいることを―――
その「手」の持ち主が平和を望む冷酷な殺人鬼がいることを―――

果たして2人のメガネ少年に夜明けの朝日は来るのであろうか。


【E-3/路上/1日目/深夜】
【チーム・ザ・メガネ】
【志村新八@銀魂】
[状態]:健康、自傷したためちょっぴり顔と頭が痛い。
[装備]:大阪名物ハリセンちょっぷ
[道具]:基本支給品、陵桜学園高等部のセーラー服@らき☆すた
[思考]:
基本:コナン君と行動して、仲間を集める。
1:コナンくんを守る。
2:銀さんと神楽ちゃん、桂さん、コナン君の知り合い(灰原哀、毛利小五郎、服部平次)と合流する。
3:ゲームからの脱出

【江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:健康
[装備]:ヌンチャク@北斗の拳
[道具]:基本支給品、スーパーエイジャ@ジョジョの奇妙な冒険、鷲巣麻雀セット@アカギ
[思考]:
基本:新八と行動して、仲間を集める。
1:灰原哀、毛利小五郎、服部平次、新八の知り合い(坂田銀時、神楽、桂小太郎)と合流する。
2:自分の正体を明かすべきか…どうする?
3:ゲームからの脱出
[備考1]:メガネ、蝶ネクタイ、シューズは全て何の効力もない普通のグッズを装備しています。
[備考2]:自分達の世界以外の人間が連れてこられていると薄々感づきました。


[備考]:E-3に美那子さんの手が入ったサンジェルマンの紙袋が放置されました。


019:月光下 投下順 021:その男、反逆者につき
019:月光下 時系列順 021:その男、反逆者につき
初登場 志村新八 042:オーガ=範馬勇次郎
初登場 江戸川コナン 042:オーガ=範馬勇次郎