オーガ=範馬勇次郎

最終更新:

mangaroyale

- view
だれでも歓迎! 編集

オーガ=範馬勇次郎 ◆d4asqdtPw2


市役所とは地方自治の中枢にしてその地域を代表するいわば『顔』である。
だからその外観は立派に、出来るだけ雄雄しく見えるように建てられている。
それは素直に言ってしまえば、その地域の住民や他所の者への見栄である。

殺人ゲームの会場であるこの街もその例に漏れず立派な『顔』を備えていた。

住民など皆無であるにもかかわらず。


「へぇ……。これが『しやく所』というものかぁ~」
闇に包まれた街に君臨する真っ白な建物を前にして、思わず感嘆の言葉が漏れる。
21世紀の建造物を見るのが初めてな新八にしてみれば、市役所との出会いは大変な感動なのだろう。
自らの故郷に存在する、宇宙に飛び立つための巨大なターミナルに匹敵するほどの迫力に少年はメガネの奥の瞳を輝かせる。

その様子を見つめているのはもう一人のメガネの少年、もっともこちらは新八よりもずっと幼いが。
(市役所を知らないだと? ……志村新八、名前からして明らかに日本人だよな。まさか……偽名か?)
江戸川コナンは考える。もし新八が外国育ちだとしても市役所なるものは存在するだろう。
それに彼は和服を着ているのだ。年相応でないにしろその見てくれは日本人そのものだった。
それらの情報を総合すると、彼が過去の日本からタイムスリップしてきたとしか思えない。
しかし、非現実的なものを信じない、信じたくないコナンにとってそれは有り得ないことだ。
百歩譲って志村新八が何らかの方法で過去の日本から来たのだとしよう。
だが彼は出会ってから今までずっと、明らかに現代語を喋っている。
市役所すらない時代に『ハンバーガー』などと言う外国文化の代表格たる物なんかあるはずがない。
とはいえ彼に自分を騙している様子はないし、彼に問いただしてみるのが最も早く、確実な方法だろう。

「ねぇ、新八お兄ちゃん」
もっとも自分は新八に、自らの年齢や名前に至る全てを偽っているのだが。
「ん? なんだいコナ……」

コナンの呼びかけに振り返った新八の声は、夜空の花火が撒き散らした破裂音に見事にかき消されることとなった。


それからしばらく、うろたえる新八をよそにコナンは先ほどの花火についての考えを纏めていた。
「コナン君……大丈夫?」
さっきまで不安そうに辺りを警戒していた新八が心配そうに話しかける。
「新八さん、早くここを離れた方がいい。さっきの花火をあげた人物は恐らく……危険人物の可能性が高い」
考えを纏め上げたのか、コナンは新八の方へ向き直り、先ほどまでとはまったく違う口調で言い放った。
新八の顔が見る見るうちに青ざめていくが、構わずコナンは続ける。
「勿論、多くの人を集めてゲームの中止を訴えたい人物という可能性もある。
 しかしこの状況で不特定多数の人物を、しかもこんな警戒される方法で呼ぶなんてまともな人間がするはずがない。
 大方、ゲームに乗った人間が手っ取り早く獲物を集める為に……あれは!」

しかし、コナンの推理が最後まで披露されることはなかった。
いきなりコナンが硬直したのを不振に思った新八が彼の視線の先へ、つまり自分の後ろへその目を向け――絶望した。

花火が上がったまさにその方向から現れたのは、おそらくコナンの中では最も出会ってはいけないとしていた人物――範馬勇次郎であった。
危険人物が近くにいる、などというこの状況でコナンが冷静に推理を続けていられたのは、コナンには自信があったからだ。
誰が来たとしても見晴らしのいいこの地であれば目視した瞬間に逃げれば追いつかれる事はない、といった確かな自信が。

しかし新八もコナンも一向に逃げる素振りは見せない。
今はお互いに相手を確認しているとはいえ、その距離はまだ100メートルはある。
それだけ離れているにも関わらず、その男の垂れ流す迫力は二人を縛り付けるのには十分すぎるものだ。
そうこうしてるうちに双方の距離は縮まっていき、遂に二人の少年は勇次郎と1メートルを隔てて対峙することとなった。
それでもコナンは極度のプレッシャーと戦い、あまりにも巨大な男を見上げる。

目が合った瞬間、男の拳が自分の真上から振り下ろされ鮮血が勢いよく噴き出す。
男が拳を退けると、そこには江戸川コナンだったモノがミンチになって散乱していた。

そこまで強制的にイメージさせられた所でコナンは我に帰った。
異常なまでに鍛え上げられた推理力が嫌でも自分が辿るべき結末を鮮明に表す。
これでは策を練ることすらままならない。

男の視線は未だコナンを捕らえていたが、僅かながらその眼に変化が訪れるのをコナンは感じた。
張り詰めた空気の中で男がやっと口を開く。
「己を偽っているようだな。己の実力を。だがそれでも俺を楽しませるには程遠い」
おそらくはコナンの正体について言っているのであろう。
それを見破ったにも関わらず明らかにつまらなそうな顔の勇次郎は、新八に目もくれることなく元来た道を帰っていった。


範馬勇次郎を見送った二人は、彼の残した恐怖と疲労感によって全く動けないでいた。
しかしここは殺し合いの会場。呆けていてはいつ殺されてもおかしくはない。
コナンはくたびれた心を奮い正してこれからどうすべきかを考える。
「新八さん。さっきの花火は間違いなくあの男の仕業だ」
「え? ……うん。そうだね」
突然の呼びかけに新八も我に帰って答える。あの男の来た方角から考えてもそうとしか考えられない。
「新八さんも見たと思うけど、あの男、範馬勇次郎はこのゲームの開始直前に光成という爺さんに食ってかかった人間だ。
 そのときの会話からして二人は知り合いだ。それもかなり長い縁らしい」
「多分そうだね。でも、それがどうかしたのかい?」
新八はコナンの示す断片的な情報からは彼の真意が見抜けないでいた。
それでもコナンは焦ることなく自らの推理を伝える。
「つまり主催者の爺さんは範馬勇次郎の強さも性格も知っているということだ。
 おそらく主催者側はあの男をこの殺し合いの主役として考えているはずだ。その男がこの地図で見ると真ん中に位置する場所に配置されている。
 偶然とも考えられなくはない。が、俺の見立てではこれは作為的なものだという可能性が高い。これが何を意味しているか分かるか?」
「確かに……知り合い同士で協力されたら殺し合いが上手く進まない、いや、もしかしたらゲームを崩壊してしまうかもしれないもんね」
新八は目の前の少年に違和感を感じるどころか素直に感心していた。
あの鬼のような男に出会った恐怖も消えないうちに立ち直り、それどころかその最悪の邂逅からも情報を見つけ出す。
ただ脅えていた自分とは違う。自分より遥かに幼い少年はあのとき確かに戦っていたのだ。

「じゃあここでもう一つ質問。もし新八さんがこの地図の隅っこにたった一人で配置されたらどうする?」

再び呆けている自分に突きつけられた第二の疑問。新八は目をくるくるさせてうろたえる。
「えっと……取り合えず禁止エリアが怖いし、誰かに会いたいだろうから、真ん中に向かうかな……――なるほど!」
コナンの思惑が汲み取れたのだろう。新八が大きく目を見開いてポンと手を叩いた。
「その通り! 禁止エリアに囲まれている以上、一人で行動する人間は無意識にでもマップの中心に集まってくることになる。
 もちろん既に誰かと行動を共にしている人や、誰とも会いたくないって人はその限りではないんだけど。
 ただここで問題なのは、一人で行動している人間はゲームに乗っている可能性が高いってことだ」
推理をすることが楽しいのか、コナンの喋り方が次第に明るくなっていく。
「え……じゃあここで待っていたとしてもさっきみたいな危険に出くわすだけじゃないのかい?」
「そう。だから俺は病院へ行こうと思ってる。病院へ向かうのは傷ついた人間を助けようとする人間がほとんどだ。
 一人でいるときに怪我をしたならその場から動かないのが得策だし、殺し合いに乗った人間が、誰かの救助をするなんて考えられないだろ?
 もう立てるよな。さぁ行くぞ」
そう言うなりコナンが立ち上がって歩き出す。
「ちょ……ちょっと待ってよ」
あわてて新八も立ち上がる。範馬勇次郎に与えられた疲労は移動には支障ないほど回復していた。
コナンを追って走り出す直前にもう一度振り返る。
範馬勇次郎という暴君と出会ってしまったからだろう、新八の目には街の主のはずの市役所がひどく小さく見えた。

【D-3 路上 1日目 早朝】
【チーム・ザ・メガネ】
【志村新八@銀魂】
[状態]:健康 疲労(小)
[装備]:大阪名物ハリセンちょっぷ
[道具]:基本支給品、陵桜学園高等部のセーラー服@らき☆すた
[思考]基本:コナン君と行動して、仲間を集める。
1:コナンくんと病院へ向かう。
2:銀さんと神楽ちゃん、桂さん、コナン君の知り合い(灰原哀、毛利小五郎、服部平次)と合流する。
3:ゲームからの脱出

【江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:健康 疲労(小)
[装備]:ヌンチャク@北斗の拳
[道具]:基本支給品、スーパーエイジャ@ジョジョの奇妙な冒険、鷲巣麻雀セット@アカギ
[思考] 基本:新八と行動して、仲間を集める。
1:病院へ向かう。
2:灰原哀、毛利小五郎、服部平次、新八の知り合い(坂田銀時、神楽、桂小太郎)と合流する。
3:ゲームからの脱出
[備考1]:メガネ、蝶ネクタイ、シューズは全て何の効力もない普通のグッズを装備しています。
[備考2]:自分達の世界以外の人間が連れてこられていると薄々感づきました。

【コナンの考察】

知り合いは分散するように配置されている可能性が高い
マップ中心に人が集まる可能性が高い(特にマーダーが多い)


コナンたちが再び歩き出したのとほぼ同時刻、
打ち上げ花火の発射地点に範馬勇次郎は戻ってきていた。
だがその顔は明らかに不愉快という感情を宿している。
無理もない。花火をあげてしばらくしてやっとのこと見つけたのが、獲物とすら呼べない雑魚二匹なのだから。
この絶好の舞台にも関わらず、全く自分は料理にありつけていない。

オーガは確実に飢えていた。

辺りを見渡し誰もいないことを確かめると、地上最強の男はまたどこかへ向かって歩き出した。

【D-4 ?? 一日目 早朝】
【範馬勇次郎@グラップラー刃牙】
[状態]健康 闘争に飢えている
[装備]ライター
[道具]打ち上げ花火3発
[思考] 基本:闘争を楽しみつつ優勝し主催者を殺す
1:花火に引き寄せられた参加者を探し、戦うに値する参加者ならば戦う
2:D-4に隣接するどこかのエリアに捜索に向かいました。(どこかは任せます)
3:首輪を外したい
4:新八、コナンに興味はない
(備考) デイパックと二枚の紙(日本刀と自転車)は消防署内に放置しています


041:ふたりはスカーフェイス 投下順 043:マリアさんが見られてる
040:零式防衛術外伝 すごいよ!!散さん 時系列順 043:マリアさんが見られてる
020:MEGANE×GANEME 志村新八 094:仮説
020:MEGANE×GANEME 江戸川コナン 094:仮説
017:トラップ発動! 範馬勇次郎 051:鬼と戦士と喧嘩師



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー