反逆ノススメ ◆uiAEn7XS/.


夜明け――

この殺戮の街に放り出された者達は、登る太陽を見てどんな思いを抱くだろうか。
暗闇の恐怖から解き放たれて安堵のため息をつくのか。
それとも誰かを殺す事を考えていて、明るくなったら殺しにくくなると舌打ちするだろうか。
アミバはそのどちらでもなく、太陽を一瞬たりとも見上げることなく、うずくまりながら怯え、絶望していた。
ケンシロウが去った後、アミバはそこから近くの民家に気絶したカズマを運び入れた。
そして靴を履かせたままベッドに乗せてからすでに数時間、ケンシロウの言い付けを守るため、まるで番犬の様にそばの床に座り込んでいる。
頭にあるのは約束を守れなければ殺されるという恐怖。
そして自分自身の全てを否定され、それを自分でも認めざるをえないという無力感と絶望感のみだった。
「おい」
「――ひいっ!」
だから自分のすぐ近くにも関わらず、カズマが目を覚ました事にすら気付かなかった。
「そんなに驚くこたねえだろ……なあ、ここぁどこだよ?あの野郎はどこいった?」
傷が痛むのか、顔をしかめつつも呆れたような声をあげるカズマ。
「あ、あの男?ケンシロウか、あ、あいつは数時間前に何処かに行ったよ……」
「あぁ?どーゆーこったよ?」
それからアミバはカズマに説明した。
あの後カズマがずっと気絶していたこと。
自分を見逃してくれた代わりに、カズマが目を覚ますまで番を言いつけられたこと。
そしてこの民家に運び入れ、今まで見張っていたこと。
「……なるほどね。で、アミバさんよ、あいつはどの方向に向かったんだ?」
「き、北の方に歩いていった……」
「北だな?オーケー。一応世話ンなったからあんたにこいつをやるよ」
カズマはそう言って自分の荷物から六角形の金属片、番傘、造花を取り出し、説明書らしき紙片と一緒に無造作に放り投げた。
「な、何をする気なんだ……そ、そうかケンシロウと一緒に行けば滅多なことでは殺されたりはしないよな。なあ、お、俺も一緒に行かせてくれるよう、あいつに頼んで…」
「ちげーよ。何ぬかしてやがんだ?ボコられたまんまで黙ってられねーだろ」
「ま、まさかまたケンシロウに挑む気か!?ほとんど刃が立たなかったのに!?」
その瞬間、カズマの眼がギラリと危険な光を帯びた。
「ひ、い、いやお前が弱いとかではなく……」

「……そうさ。俺はあの野郎に完璧に敗北した!だからこそだ!
俺はケンシロウに勝てない――その現実に俺は反逆する!!!!」

理解不能だ。
愚かという以外にない。
つまらない意地で命を捨てる事になるかもしれないというのに。
「馬鹿な――」
思わず口をついてしまった。
「馬鹿だと?」
「あ、いや、その――」
ここは何か適当にフォローをいれるべきなのだろう。アミバにもそれは分かっていた。
だが――どうしても聞きたいと思ったのだ。
「そ、そうだ!なぜ勝ち目のない相手に戦いを挑む!?
今度もケンシロウが見逃してくれるとは限らんじゃないか!
死ぬかもしれないんだぞ!意地よりも命が大事だろう!」
――言ってしまった。
目の前の男はゆっくりと眼を閉じる。
そして一瞬後、射るような視線と共にアミバに答えを叩きつけた。
「……それはすでに決まったことなのか?違うだろ?
――やってみねーとわかんねーだろうがッ!!!!」
言い返せない。
すさまじいカズマの迫力――いやそれ以前の問題。
アミバには返すべき自分の言葉が、自分の信念が無かった。
「う……」
「……それにな。今、『意地よりも命が大事』って言ったよな?」
カズマはわずかに目を細める。
その眼の奥に映るのは、怒り、嘲りとかそういったものとは違う何かであるように思えた。

「死ぬまで意地も張れずにずっと生きていくってのは多分――――辛いぜ?」

その通りだった。
ケンシロウに命乞いをしてから数時間しか経っていない。
だがその間、自分の情けなさを嘆き、自分の力の無さを恨んだ時間は、とてもとても辛いものだった。
そんな思いを抱えてずっと生きていかねばならない。
いやそれ以前にこの街で最悪、ラオウなどに見つかってしまったら、このまま無様に死ぬしかない。
そんなのは嫌だ。
だがいったいどうすればいい……?

「じゃあな。ああ、人殺しをしないって約束は守れよ。破ったら分かってんだろうな?」
一睨みして念を押す。
アミバが慌てて頷くのを見届けるが早いか、カズマは背を向けて玄関から表へ出るべく歩き出した。
「あ、あ、ま、待ってくれ――」
カズマがよこしたいくつかの支給品を急いで拾い上げ、その後を追う。
アミバには明確な目的があって、そうしようと思ったわけではない。
一人になれば否が応でも向き合わなければならない混乱、不安、恐怖――ただそれらの感情から目を逸らしたかっただけだ。
だがカズマの中にある、アミバ自身には無いもの。
それに惹きつけられたという要素もあるのかもしれない。
本人は気付いていないにしても。

玄関のドアをカズマが勢い良く開けると、太陽の光が二人の視界に飛び込んできた。
思わず目を細める二人。
そんな時だった。


――時計の針が六時ちょうどを指したのは。


【F-7 道路 一日目 早朝(放送直前)】

【カズマ@スクライド】
{状態}胴体前面と顎に複数の打撲アリ
{装備}無し
{道具}支給品一式、
{思考}
1:ケンシロウを追いかけてリターンマッチ
2:まどろっこしいのは苦手なので基本的には単独行動
3:悪党は全力で殴る
基本行動方針:
バトルロワイアルに反逆する
参戦時期:
対アルター仙人戦後、ハイブリット覚醒前(原作4巻)
※進化の言葉“s.CRY.ed”をすでに刻んでいます。


【アミバ@北斗の拳】
[状態]:身体健康なるも心身喪失気味
[装備]:
[道具]:支給品一式(×2)(一食分消費済み)携帯電話、綾崎ハヤテ御用達ママチャリ@ハヤテのごとく、ノートパソコン@BATTLE ROYALE(これら三つは未開封)
    ギーシュの造花@ゼロの使い魔、神楽の仕込み傘(強化型)@銀魂、核鉄(ニアデスハピネス)@武装錬金(これらは説明書未読)
[思考・状況]
基本:カズマやケンシロウに殺されるので、人殺しはしない。
1:とりあえずカズマについていく。
[備考]
※参戦時期はケンシロウに殺された直後です


064:闇と嘯く 投下順 066:葉隠散には夢がある
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039:北斗神拳の恐怖 カズマ 085:Drastic Soul
039:北斗神拳の恐怖 アミバ 085:Drastic Soul