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※定時王女体化注意
※キャラの性格別人化注意
※カミナ生存のまま9話以降に突入した捏造並行世界注意
※アディーネ様オチ要員注意
※エロありません注意

以上に地雷臭をお感じの方はくれぐれもお読みにならないことをお奨めします。


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〔Bパート01よりつづき〕

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艦長室前の通路からは動かずに、もそもそと衣服を身に着けながら千切れて半分ほどの長さになったサラシはいっそ解いてしまうべきか、このままにしておくべきかと思案していたシモンが視線に気付いてはっと顔を上げれば、頭の上にブータを乗せたニアがしげしげとこっちを眺めていた。

「あ…あんまり見ないで」

どぎまぎと染まった顔をあまり見られないよう、ゴーグルを頭の後ろで留める腕に半ば隠れるようにしてシモンはひどく気まずい心持ちで俯く。
ヴィラルに襲われたりニアに下着一丁の格好を見られたり、今日はいったい何の厄日なんだろう。

「シモン、首のところに怪我をしています」

言われて、そういえばと思い出した。自分がダイグレンの艦長だと言ったら獣人の爪が食い込んできた場所だ。そっと指先で触れて、乾きかけの血の感触に少し顔を顰める。

「そんなに深い傷じゃないから平気だよ…あとで、医務室行くし」

こんな傷よりも、意識に乗せたら再びくすぶり始めた胸のつかえの方が痛い。
敵からも、味方からも自分では足りない、その立ち位置に相応しくないと思われているのだ。何よりも、自分が一番そう思っている。
大きく肺から吐き出した息が、知らず憂鬱そうな響きを帯びた。

「シモン、シモンが艦長さんなのは、シモンがすごいからです」

「ふぇ?」

そんな気分をひっくり返すような突然のニアの言葉に、面食らって変な声が出た。
あたかも心を読まれたようなタイミングもさることながら、すごいって、何が?

「アニキさんが言ってました、シモンはすごいって事をみんなにもシモンにも知ってほしいって。シモンは強くていつでもみんなを助けてくれて、見たこともないものを見せてくれるって。シモンがいないと死んじゃうって」

「……ちょ、なに…それ、本当に兄貴がそんな事言ったの……?」

一度にそう言われてもちっとも現実感が湧かない。凄いのも、強いのも、皆を助けるのも、それまで見たこともないようなものを見せてくれるのもそれは全部カミナの方なのに。
だいたい死んじゃうって何。兄貴そんな事言わない絶対。

「ええ! アニキさんと私はおそろいなのです。シモンのことが大好きだから」

嘘だ、ぜったい嘘。
ひどい目に遭ったばかりのおれを慰めようとしてそんな、とんでもない事。
でもニアは嘘なんかつくような子じゃない。ていうか多分、嘘をつくなんて事を知らない。
だけどそれじゃあ、本当のことを言ってる、わけで。
胸の方から何かあったかいものがせり上がってくる。首を通って頭のてっぺんまでいっぱいになる。
顔が熱い。

耳のふちまで真っ赤になったシモンの足がよたよたと後退り、すぐ後ろにあった艦長室のドアに背中がついた。
その途端、金属の板一枚を隔てた部屋の中から何と形容していいか解らない、しかしひどく切迫したような女のひとの声が聴こえてきて、慌ててそこから飛び退く。
兄貴、本当にケンカをしてるのかな。全然そんな感じしないんだけど。

「あ、あのさニア、もう遅いから部屋まで送ってくよ!」

これ以上、ニア共々この辺に居ない方が良さそうな気がする。
そんな直感に促されるまま、シモンはニアの手を取って通路を駆け出した。

 >>>

あの後、ニアの部屋の前でも少し話していたら結構時間が経ってしまった。
兄貴はどうしただろう、今日のヴィラルはどう見ても普通じゃなかったし、何か危ないことになってなければいいんだけど。

慌ただしい足取りで廊下を戻ってきたシモンの目の前、計ったようなタイミングで艦長室のドアが開く。

「あ、兄貴!?」

「おう、シモン、ニアはどしたい」

「部屋まで送ってきたけど……って兄貴どうしたのそれ!? 大丈夫!?」

戸口からのっそり顔を出したカミナはと言えば、全身汗だくで髪は乱れ放題、心なしか疲労の色が濃い顔、加えて肩から上腕、背中にかけてやたらめったらに付いた引っ掻き傷が元からの刺青と相まって赤青2色の縞模様と言った感じの何やらものすごい有り様。

「ああ、コレはまあ名誉の負傷っつーか…うん、まあアレだ」

薄暗い、今はもうすっかりと静まり返った部屋の中へちらりと投げられた視線がシモンの顔の上に戻り、次の瞬間、無駄に爽やかな笑顔を伴って前へ突き出された手がビシッと親指を立てた。

「ちーっとばかし搾り取られはしたが最終的には勝ったぜ!」

こういう事って勝ったり負けたりとか言うんだろうか。いやそれよりも、こんなところで背中を向けてても大丈夫なんだろうかとカミナの向こうに部屋の中を窺えば、ベッドの上にはおおむね人ひとり分のシーツの盛り上がりがひっそりと、身動き一つもせずに横たわっている。気のせいか寝息らしき音も聞こえない。

「……寝てるの、あれ?」

「あー、ヤってる最中になんかいきなりバタッとオチてその後何しても起きねえっつーか……気絶するほど繊細なタマって気もしねえんだが、いまいちよくわからねえ。まあ、一応よく見りゃ細々とだが息はしてるし脈もあるから放っときゃそのうち起きるだろうけどよ」

随分とあけすけかつ大雑把すぎる説明で流石に少々赤面しつつ、兄貴って時々ひとの体力とか考えないで何かするよねと口の中で呟いたシモンはさし当たって今後についての疑問を口にした。

「…それで、この後どうするの?」

「ん、まぁずっと艦の中に置いとくわけにも行かねえから、味方んとこに突っ返してやるしかねえだろ。どうせ昼間の目玉ガンメンがそのうち回収しに来るはずだ。何つったっけ? ほれ、あの怖ぇー顔の女」

「アディーネ、ってニアは呼んでたよ」

「そのお出迎えが来るまでリーロンに頼んでここは閉めきっとけ。天井の穴も塞いどかなきゃな」

「うん、でも、ロンさんに何て説明すれば……」

「男には言い訳無用! 襲ってきたモンを迎え撃って何の後ろめたいことがあらぁな!」

握った拳で自分の胸をどん、と叩き、自信満々に胸を反らす兄貴分を見上げながらシモンはそれでも心配を禁じ得なかった。
ロンさんはそれで解ってくれるかもしれないけど、ヨーコに知られたらもはやお団子弾じゃ済まないような気がする。下手すると本気で尻から鉛弾をぶっ込んで鼻から出されたりするかもしれない。

とりあえず艦の内線でリーロンを呼び出しつつ、シモンは今夜のブリッジ当直にヨーコが入っていないことをだいぶ真剣に祈った。

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『アディーネ様、前方にダイガンザンです、迎撃体勢!』

ブリッジから報告されるまでもなくその画像はセイルーンのコクピット内スクリーンにも既に映し出されている。荒野の真ん中にでんと鎮座している地上移動要塞ダイガンの巨体と、その舳先に腕組みをして立っている紅いガンメン。

「ちっ、グレンラガン……ヴィラルの奴、し損じたね」

舌打ちをしたアディーネの正面で通信画面が開く。何故か送受信対象を限定したクローズド回線だ。

『おうおうッ! アディーネとか言うおばはん、ちょっと話があるからサシで来い!』

画面の中で青い髪に紅いド派手なサングラス、同じく紅いマントの襟を立てた若い男が右手の中指を立てる品のないポーズで挑発する。失礼を軽く通り越した物言いにこめかみの辺りで血管が何本か切れる音を幻聴しながら、アディーネは乗機の足をダイガンカイの甲板上に踏み出させた。

「出るよ! お前らは全艦攻撃準備態勢で待機、指示があるまで手ェ出すんじゃないよ」

部下に指示を飛ばすや否や、甲殻を鎧った蝶にも似た白い機体は船体を蹴って宙に飛ぶ。
眼下、荒涼とした大地の上にぽつんと紅い染みのような一点。その紅に向かい空中から鞭を振り下ろす。余裕で躱した標的の腕から弾体の射出。翼を煽って避けつつ地上へ肉薄、再び繰り出した鞭は相手の右腕に巻き付く。対峙。

「お前がカミナとかいう若造かい。どうやらうちの飼い犬は役立たずだったようだけど、ここであたしに殺されるんならどのみち同じだね」

『役立たずとか言うなよ、結構頑張ってたぜ』

ぬけぬけと、という表現の似つかわしい態度の男が画面の中ですっと片手を挙げる。顔の前で真っ直ぐに掌を立てたハンドサイン。

『いやホント、ごちそうさまでした』

「ナメてんのかいこのガキ!」

鞭を手繰り、その絡みついた腕をもぎ取ってやろうとトリガーに力を籠めるも向こう側から同様に引っ張り返されて力が拮抗する。画面の中のアホっぽい若造はまだ右手を顔の前で立てるふざけたポーズのままだ。ちょっと待て、どうやって操縦している?

『うわっ、ここは…!? …っな、ななな、何のつもりだ、貴様ッ!』

突然通信に割り込んできた(ように聞こえた)女の声と同時に、画面の中でフレーム外からにゅっと伸びたやたらに大きな手が男の顎を下から押し上げた。その弾みでサングラスが落ち、意外と愛嬌のあるタレ目がちの顔立ちが露わになる。ついでに今までマントの襟で隠れていたが、何故か左の頬にくっきりとした手形。

『あでででで、狭い中で暴れんじゃねえよ! もう少し寝てろ!』

『ふざけるな! 何故私をこんなところに────ッあ、アディーネ様ッッ!?』

近すぎるレンジから叛乱分子の親玉とぎゅうぎゅう取っ組み合っていたヴィラルが繋がりっぱなしの通信画面に気付いてさーっと顔色を無くす。
どうやら今までずっと、横抱きの姿勢で男の膝の上に抱えられていたらしい。つまるところ、右も左も操縦桿は手放し状態というわけだったがそんなことはさておきアディーネの怒りの矛先は画面の向こうで背後から羽交い締めにされてじたばたしている部下に向かった。

「ヴィラル! なんだいお前、そのザマは!」

『アディーネ様、お気を付け下さい! 上の顔にもう一人操縦者がっ『『シモン! 話が済むまで押さえ込んどけ!!』

がくんと機体が揺れ、自分の操縦によらずじりじり前へと引っ張られて行く体感。グレンラガンが鞭を腕に巻き取る形で手繰り寄せている。咄嗟に鞭を切り離して飛び退こうとした時には既にセイルーンの両腕ががっちりと掴まれた後だった。モニタに左脚部異常のサイン、見下ろせば膝裏に脚を引っかけるようにして片脚を極められている。硬い音を立てて、近付きすぎた機体の正面装甲同士がぶつかった。

「くッ! 何のつもりだい!?」

『ハッチを開けろぃ、サソリ女!』

同時に通信画面が消え、前面にフル展開するスクリーンの中でグレンラガンの腹の顔がぱくりと口を開くのが見えた。相手のペースに乗せられるのは業腹だったが、つい何をする気か好奇心に負けて自機のハッチも開く。流れ込む乾いた外気に髪と衣服の裾が踊った。

目の前に紅と白の2色が翻る。
紅いマントを風に煽られながら、ハッチの縁に足をかけていた青髪の男が両腕に抱えていたものをぽいっと放った。思わず受け止めてからその正体に気が付く。裸体に申し訳程度の白いシーツを巻き付けただけの獣人の女。

「うちの艦に置いとくと色々面倒そうなんでな、そいつは返す」

「貴っ…様、バカにしてンのかい!?」

「いやぁ、一人で乗り込んでくる度胸は買うんだけどよ、その大将どう転んでも色仕掛け向きじゃねえから俺が一方的にイジメてるみてえでなんかスッキリしねえんだわ気持ち的には」

次があるならやっぱ切った張ったの方で頼まあ、と言い残して軽く手を挙げた人間の男は閉じるハッチの中へ姿を消す。同時に両腕と左脚の自由を奪っていた紅いガンメンの手足も解けて、急に解放されたセイルーンはオートバランスで数歩後ろによろめいた。

「………………」

ハッチを閉じたセイルーンのコクピットの中で、狭い床面にどさりと放り出されたヴィラルは恐る恐るアディーネの顔を見上げる。
顔を見るまでもなく、ぎりぎりという歯ぎしりの音で次に自分がどういう目に遭うのかは概ね解っているのだが、それでもつい見ずにはいられなかった。うわあ凄い形相。

「…った、タダ喰いされた挙げ句に情けまで掛けられてこの役立たず! ボケ! クズ!!」

「に゛ゃ──────────────────────っ!!!」

 >>>

その日の夕方、海上のダイガンカイ内、アディーネの私室からは凄まじいお仕置きプレイの音声が響き渡りまくっていたが、色々とものを弁えている配下の乗組員達は皆一様に何も聞かなかったことにしたという。


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