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※定時王改め監獄王の女体化注意
※カミナ生存のまま第3部以降にまで突入した捏造並行世界注意
(よって一部地名やイベントの発生するタイミングなどが違います)
※シモンさん変な子になってるっていうか浮気中なのでシモニア純愛派の人特に注意
※時間計算が無茶苦茶ですが深く考えないよう注意
※総合的にバカ話注意

以上に地雷臭をお感じの方はくれぐれもお読みにならないことをお奨めします。


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新都・ダイグレンシティはその至るところを黒煙に覆われ、または炎の色に染め上げられている。
人類が千年の空白を経て再び地上に築き上げた文明の地も、今や死と破壊の嵐に蹂躙され尽くした瓦礫の山が半ばといった有様だ。

今も上空で乱戦状態にあるガンメンとムガン、地上に残された人々を守ることを選んだ螺旋族の戦士と、この地に生ける者をすべて絶やさんとする心無き反螺旋の尖兵。
彼らの放つ熱線の、実体弾の、剣戟の打ち交わされる中を白銀の巨大な箱舟がゆっくりと離翔して行く。

絶望に押し包まれようとする大地を捨て、絶望の待ち受ける天に向かい。

 >>>

「……やったな、ロシウ」

薄暗い牢獄の中で、小さな明り取りの窓を射た白銀の光に目を眇めながら一人の青年が呟いた。
ただ穏やかな、飛び立つ者の前途を本心から祈るような声音で。

「つまらんな、こんな形でお前の最期を見るとは」

その感慨に水を差すよう、微かに棘のある女の声が壁の向こうから投げつけられる。

「俺ならいい……他の連中が生き残れるなら、それで」

絶望も、さりとて楽観もしていない凪いだ口調で紡がれる言葉に、今度は応えは返らなかった。
その代わり、互いを隔てるコンクリートの壁を強く蹴りつけるような音が響く。そしてそれに重なるよう、何かの軋む音、飛散した細かな破片が床を打つ音。

「うわっ、マジかよ!?」

これまで直撃こそあまり無かったものの、建物至近にはムガンの攻撃の流れ弾とでも言うべき余波も来ていてその衝撃がそこらの壁に散々ヒビを走らせているのはシモンにも解っていた。
刑務所の外壁は脱獄などを防ぐために特別厚く造ってあるから多少破損したところで未だ堅牢さは失われていないが、建物内部をこまごまと仕切る壁には実はそれほど手がかかっていない。かつては散々地面を掘っていた経験から、多少の力を加えればこの懲罰房のセルとセルを隔てる壁くらいなら崩せるだろうとは踏んでいた――まあ、あくまでも昔のように手回しドリルでも持っていれば、という前提の上で。

だが隣のセルにいるのは獣人だ。それも、世が世なら指揮官クラスの上級獣人、生まれついて飛び抜けた強靭さと身体能力の高さを具えているタイプでしかも不死身の再生力まで後天的に付加されている。
女の姿をしてはいてもそこらの人間の男を束にしたよりは断然強い。そうでなければこのリンカーネ刑務所でただ一人の女囚――まだ重犯罪者というもの自体がそれほど多くないせいで女子刑務所とかいうものは作られていない――として男の囚人たちの只中に放り込まれていながら今まで無事でいられた、どころか閉鎖したコミュニティの中での実力者として一目置かれる存在になっていよう筈もなかった。

ミシミシ、メキメキとひどい音を立てて壁面の構造材がどんどんヒビを広げられ、次第にその接触面を歪められていく。
ばらばらと飛び散るコンクリート片を避けるよう、反対側の壁に逃れたシモンの目の前でついに隣房とを隔てていた壁に人の頭ほどの穴が開き、そこから囚人服のボトムを纏った足がぬっと突き出した。

「…無茶するなあ、ヴィラル」

「7年前のお前らほどじゃない」

更に蹴りを連ねてふた周りほど大きくした穴から、肩を越すほどの金髪を煩わしげに揺らしながら獣人の女が現れた。
両手首を縛める手枷は付けたままだったが、囚人の右足をセルに繋ぎ止めていたはずの足枷はどうやったものか引きちぎられている。

俺、よくこんな怪力女と殴り合いのケンカしたなあと思わず遠い目になったシモンはあの時、横から割って入ったせいで自分と彼女の渾身のパンチを顔の両側で受け止める羽目になった鳥型獣人に今更ながらに心からの同情を覚えた。

「……だが、今はただの苛つかせてくれる猿だ」

目の前に迫ってきた手枷で繋がれたままの両手、人の男よりも二回りほど大きい、鋭い爪を生やした手がシモンの囚人服の胸ぐらを掴み上げ、そのまま背後の壁に押し付ける。
僅かに息が詰まって小さく咳き込むも喉元を締め上げる力は一向に弛まない。

「な…んだよ、風呂場の続きか…?」

「……ふん、確かに殴ってやろうかとは思ったがその気が失せた。お前のような惨めな愚か者など、そうしてやるだけの価値もない」

嘲りよりはどこか同情するような色を乗せて、女獣人の金色の目が至近距離から覗き込んでいる。
その近さに仄かな既視感を覚える間もなく、吊し上げる腕の力がふいに抜けて布地を掴む指が放された。壁に押し付けられた背はそのままずるずると滑り下りて、壁際の床にぺたりと尻餅をつく形になる。

「……俺、そんなに惨めかな……」

「ああ、惨めだとも。人間を地上に解放した英雄だなどと祭り上げられておきながら、いざとなれば簡単に切り捨てられる道化に過ぎなかったというわけだ。こんな事になるなら大人しく穴蔵に籠もって生きていれば良かったものを、あの大馬鹿に付き合わされたばかりにとんだ災難だな? 裸猿」

「あの大馬鹿」と口にした瞬間、覗き込んできている挑みかかるような眼が僅かに表情を曇らせたのをシモンは見て取った。
言うところの「大馬鹿」へ対するこの女獣人の感情が、かつて敵同士だった子供の頃にそう思っていたような、ただの敵愾心や復讐心という言葉に収まるものでない事は今の自分にならなんとなく判る。
単なる敵意ではなく、かといって安直な恋愛感情とかいうようなものでもなく、今もなおそこに蟠り続けているのは何やら明確に線を引きづらい入り組んだ執着だ。

7年前、彼女の関与しないところで身を損ない、グレンから、戦いの舞台から降りた彼へ、そしてその不在を告げた自分へと叩きつけられた激しい怒りと失望を今でも鮮明に憶えている。

「…まだ、兄貴のこと許してないのか?」

「知ったことか……己で売った喧嘩の決着も付けずに消え失せるような男など」

問いに答えたのは吐き捨てるような、苦り切った口調だったが、どこか愛惜するような色が微かに揺れる声音の端に乗っていると感じられるのは思い過ごしだろうか。
考えてみれば自分だって、あの人に対する気持ちの整理はまだ完全についているとは言い難いのだ──と、一瞬己の内側へ落ち込みかけた意識をはっと浮上させたその目の前で、見下ろしてきている獣人の右足がいきなり振り上げられた。

蹴られるのかと思い、しかしどう反応すればいいのか決めかねて、ただぼんやりと薄暗がりの中に光る金色の目を見上げる。
鋭く空気を裂く音、そして金属の軋む耳障りな破砕音。

自分の足を牢獄に繋いでいた鎖がもの凄い勢いで踏み下ろされた踵に砕かれ、寸断されている様を横目に見、刑務所の対獣人用拘束具はもう少し強度計算をし直す必要があるんじゃないかな、と些か見当外れな事をシモンは考えた。

 >>>

まだ日中だというのに薄暗い牢獄の中、背中に感じる冷たい壁。
窓の中、四角く切り取られた小さな空を埋め尽くすように落ちてくる月。
誰もいない。自分と、今目の前に膝をついて覗き込んできているこの女以外は。

すい、と頬を撫で上げられる感触。
獣人の大きな手、鋭い爪を生やした指がそっと、顎から頬へと顔の輪郭をなぞっている。
自分でも薄々、馬鹿みたいな顔をしているのだろうとは思っている、ぽかんと見上げる表情の中で薄く半開きにされた口元に親指の腹が触れて、唇の端から端までをつうっと辿った。

「──慰めてやろうか」

「え…?」

窓からの僅かな明かりを弾いてじっとこちらを凝視している金色の目がきらりと光り、吊り上がった口の端から覗く鋭い牙が奇妙に白く浮き上がって見える。
手枷で縛められている大きな手が顔から首筋、胸から腹へと滑り降りていった先で、膝を開いて座り込んでいたため無防備だった股間にさわりと触れた。

「なっ…に、する………」

「慰めてやろうと言っている。己の掴み取った世界に裏切られ、愛した女に去られ、仲間からも見捨てられてこんな所で独り寂しく死んでいく哀れな裸猿をな」

「……独りでって、お前は月が落ちてきても生きてるつもりなのかよ」

「さあな。もしかすればこの身の再生力が追いつかないほど一瞬で消し飛ばされるかもしれないし、ぎりぎり死なないまましばらく業火に焼かれ続ける羽目になるかもしれん。まあいずれにしろお前は確実に死ぬのだから、冥土の土産に少々気持ち良くさせてやろうというわけだ」

言いたいことだけ言うと、鋭い爪を生やした大きな手が囚人服のボトムの前を引き下げてシモンの男性自身を引っ張り出す。
指の腹だけを当てるようにしてやわやわと揉まれ、緩く上下に幾度か擦られると萎えるべきか猛るべきか決めかねていたような雄も僅かに硬さを持ち始めた。
あの爪で引っかかれたらかなり痛そうだとか考える度に少し気が削がれはするものの、力を加減して精一杯優しく触ってくれてはいるのだろう相手の気遣いに、何となく胸の底が暖かくなってきた気もする。ついでに下半身も。

「…って、えっ!? ちょ、待っ……!」

自分の両脚の間に屈み込んだ女性が半勃ちの陰茎に手を添えながら口を開く、それは勿論これから「口でしてくれる」つもりだろうということは解る。理屈では解っている。
しかし性的な興奮よりも先に思わずぞっと背筋が冷たくなってしまうのは、ひとえに彼女の口の中にずらりと並んだ鋸の刃みたいに鋭く尖った牙のせいだ。男の弱点が今からあの中に――とか思うと、つい腰が退けてダッシュで逃げ出したくなる気持ちを抑えられない。

「…ガタガタ動くな…歯が当たるぞ」

そう言われるとぴたりと大人しくならざるを得ない。心なしか握られた竿の下で嚢がキュッと縮み上がったような感覚。

「………な…慰めて、くれる、んだよな……?」

「なんだ、苛めて欲しいのか? 別にそれでも構わんが」

言葉の最後に、ぬろりと温かく濡れたものが先端を撫でる感触が重なった。驚いて落とした視線の先で、ピンク色の舌がちろちろと自分のモノの表面を動いている。括れから先をじっくりと舐め回され、鈴口にキスをした唇に軽く吸い立てられて、ついつい呼吸が喉に詰まる。

「んっ……!」

うっかり高い声を出してしまったのを聴かれてないだろうかと慌てて下を見るが、ヴィラルの顔は落ちかかった前髪で隠れて表情がよく見えない。ただ、すっと通った鼻筋と、緩く開いた口から突き出された舌だけがその合間に見えていて、それが今も自分の分身に擦りつけられるよう上下に動いている。
嚢との境目から雁首まで、ビロードのような舌の表面で裏筋をねっとり撫で上げられる心地に思わず内腿が震えた。
止めてほしいのか、それとも続けて欲しいのか。自分でも判らないままに、おろおろと相手の頭に置かれた両手は雁首の縁を舌先でこそげられる感触にびくりと震え、金色の長い髪が絡んだ指を思わず強く握りしめていた。

「ふふん、女に逃げられて3週間も経つとだいぶ溜まってるのか?」

結局、頭で何を考えていても体は素直なもので、既にじわりと滲み出し始めていた先走りを指先に絡め取り、茎全体に塗り拡げるように手を動かしながら、女獣人が脚の間から些か人の悪い笑みを浮かべて見上げている。
だらだら噴き零れる液体はなおも量を増し、上下に扱き続けている手と自身の間で潤滑剤代わりとなってぐちゅぐちゅと浅ましい音を立て始めた。いよいよ下半身に血が集まって重くなるような感じ。
後から後から垂れ落ちるそれを拭い取ろうとでもするかのように、尖らされた舌の先がゆっくりと形を辿って表面を這う。
歯を当てないように気をつけているのか動きは相当にぎこちないところもあるが、それでも、いやむしろその気遣わしげな仕草が却って劣情を掻き立ててくる。
握られた手の中で見るからに大きく硬く張り詰めたモノが、限界の近い事をずきずきと疼いて訴え出した。

「…ッ! ヴィラル!!」

肩を掴んで脚の間に顔を埋めていた相手を強引に上向かせ、手枷が邪魔だなと思いながらも力任せに体を引き寄せる。
反動で後ろに倒れた自分の頭が壁にごつんとぶつかり、次いで上体が密着した。これ以上ないほどに近付いた顔の中で、金色の目が急な動きに戸惑ったような色を湛えてゆるりと瞬く。

「な、んだシモ……ンッ!?」

有無を言わせずに唇を奪う。
手枷で不自由な腕を相手の頭に引っ掛けるようにして押さえ込み、何度も角度を変えて唇を重ね、僅かに開いた隙間に舌をねじ込む。
自分の体液の味がするのはこの際仕方がない。ともかく尖った歯で舌を切らないよう注意しながら慎重に口腔内を攻略する。
一方的にこちらを弄んでいた時とは一転して、どことなく逃げかかっている女の舌を絡めとり、表面を擦り合わせて唾液の鳴る音を殊更大きく立ててやると抱きかかえた頭が嫌々をするように小さく捩られた。

「ん…っ、ふぅ、ぁ……ぷ!」

最後にちゅうっと一際大きく吸い上げてから口を解放すれば、涎の糸が互いの間に引く。口元から顎まで垂れ落ちたそれを唇で拭ってやれば、目の前の顔はすっかりと上気して朱を刷いていた。
慰めてやるとか言って仕掛けてきた割にはあまりその手のことに慣れていなさそうな様子を見て取るや攻守交替――首に回した腕に再度力を込めてこつりと額を突き合わせ、口の端を引き上げて笑ってみせる。ちょっとだけ兄貴の真似。

「言っとくけど俺だって一応、もう子供じゃないんだぜ?」

「……確かに、子供とは言い難いな、これは」

薄らと目元を染めて困ったような視線を追うと、相手の太腿にぐいぐいと押し付けられている力いっぱい起立したままのソレ。
思ったよりも時と場所を選ばない自分の下半身に苦笑いしながら、この何年かで異性に対する駆け引きというものを身に付けた青年は上目遣いで随分と年上のはずの女性に伺いを立てた。

「…で、あのさ、続きはしてもらってもいいのかな」

 >>>

「これ、脱がしていい?」

「…勝手にしろ」

両手首をがっちり固定している手枷が邪魔で自分の服を脱ぐのは難しい、ならば――と、どことなく間抜けさの漂う脱がしっこが始まった時点でヴィラルはかなりの後悔を覚えていた。
不自由な両腕でどうやって自分の服を脱がそうか真剣に試行錯誤しているシモンを見ていると、先ほどまでは確かにあったはずの憐憫の情とでも言うべきものがどこかへ流れ去ってしまった感もある。
だいたい慰めてやると言ったのはこちらの方なのに、強引にキスされた辺りからどうにも向こうのペースに乗せられてしまったような気がするのも微妙に不愉快だ。確かにいまや図体は自分と並んで遜色ないほどにでかくはなっているにせよ、ほんの数年前までほんの棒っきれの如き貧相な子供だったくせに――

「おい、何をしている、何を!」

「あ、ごめん、首で引っかかった」

くすんだピンクと白の縞々という、お世辞にも褒められたセンスではない――そもそもこれも懲罰の一部なのだからセンスは必要ない――囚人服の上を脱がそうとして、ハイネックの首周りが上手く頭から抜けなかったのか無理矢理引っ張られてちょっと苦しい。
更に重ねて文句を言おうとしたところで、ようやく襟からすぽん、という感じに頭が抜けた。
脱げた服は両手首の手枷のところでそれ以上先へ行く事ができずにくしゃりとわだかまる。丁度手枷が影に隠れて、なんだか脱げた服で手首を縛られているようなそんな錯覚。

「ブラ外していい?」

そう訊きながら既に背中側に回ったシモンの手が下着の留め具を外している。ぷつりと締め付けの緩む開放感と共に、カップによる固定を失った形のいい乳房が重力に従ってたゆんと揺れた。

「下も脱がしていい?」

「同意を得る前に手を動かすくらいならわざわざ訊くな!」

一応訊いておけば同意を得たと言い訳できるとでもいうつもりか、このエロ小僧め――とか思っている間にも実際するすると囚人服のボトムが下着もろとも剥がされて行く。白のぴったりしたパンツというかレギンスの上からグレーのチャップスが被さっているという妙に面倒な構造だというのに、自由度の低い両手でよくもそんな手際よく脱がせるものだ、と半ば感心しながら半ば呆れているところに。

「これ、穿かせていい?」

「――――え?」

戸惑いの目で見返す先で、シモンの手が先ほど剥ぎ取った囚人服のボトム――のうちのチャップスだけを持ってひらひらさせている。
今いったい何を提案されたのかさっぱり解らない。言葉の意味は解るが意図するところが全然解らない。

「穿くって……これだけを、か……?」

「うん」

ブラもショーツも脱いだ全裸(一応トップスが手首に引っかかってはいるが)にチャップスだけ着用。
この世界にプレイボーイ誌は存在しないが、あれば「プレイメイトのピンナップかよ!」とツッコめる格好だ。

「……お前は良識とかいう意味ではまともな方の部類だと思っていたが……案外カミナに負けず劣らずおかしい奴だな……」

「そう?」

いや、なぜそこで嬉しそうに相好を崩す。
「えへっ」とオノマトペが付きそうな笑顔はぐっと表情を幼くして、かつての少年時代を思い起こさせたり可愛いと形容できなくもなかったりするかもしれないが要求している内容のアレさをカバーするにはまだちょっと足りなかった。

 >>>

「………………」

――予想以上に恥ずかしい。

しばしの葛藤の後、結局押し切られて身に着けてしまったそれは、先ほどまで他の服と重ねて着ていた時とはがらりと印象を変えて下肢を包んでいた。
爪先から膝上までを覆った硬めの布地は腿の辺りで大きく切れ込んで、脚の外側面だけを通って腰のベルトに繋がっている。
要するに、下半身をほぼ隠していながら下腹部と股間だけが丸出しという間抜けさ極まる状態。ついでに後ろから見ればたぶん尻も丸出し。そして言うまでもないが上半身は裸。
そんな「これなんて罰ゲーム!?」みたいな格好で、その上今のこの体勢ときては。

「だって、普通の姿勢じゃ手枷が邪魔でやりにくそうだろ? これならヴィラルが動けば済むし」

「わ、私だけがか!?」

仰臥した男の体に跨った、所謂騎乗位というソレで――自分だけ動けと?

「冥土の土産をくれるんじゃなかったのかよー」

「そこで恨めしげな顔をするな! 人の言質を取るな! ううっ、くそ、卑怯な奴だ――」

それは単に自分で墓穴を掘っただけとも言う。
ともあれ、目を閉じて頭の中で「餞別、餞別」と唱えたヴィラルはシモンの腹の上に手枷と服でまとめられたままの両手をつき、今なお隆々と天を衝いている一物を咥え込んだ腰をゆっくりと浮かした。

「んっ…く、ぅ………」

膨れ上がり、大きく張り出した笠と括れの部分に浮き上がる血管で内壁をこそげられて、薄く開いた口からは思わず鼻に掛かったような声が漏れる。
体重を掛けた膝ががくがくと震えて持ち上がりきる寸前でふっと落ち、その勢いで再度呑み込まされた肉棒はより深く体内を抉って腹の奥の行き止まりを小突いた。

「ぁうっ!」

下腹から脳天まで突き抜けるような衝撃に、思わず仰け反った頭が振られるのにつれて肩の下まである金色の髪がぱさりと踊る。
身を捩る動きは体の中にある質量と感触をいっそうまざまざと実感させるばかりで、ふるりと震えた肌、チャップスから露出した内腿と尻たぶが、下に横たわる男の腰に悩ましげに擦り付けられた。

「うわ、すご……中、ぬるぬるして、すごいきつく締め付けてきてる……まだ全然動いてないのに…」

「い、言うなっ……!」

既に全く余裕のない態度で否と頭を振る度に金髪が宙に揺れ、つられて白く豊かな胸乳も弾む様子を見上げながら、シモンの中である種の悪戯心──ささやかな嗜虐心と言った方が正解か──が頭をもたげる。

「あ……もしかして、恥ずかしいって思うだけで感じてる、とか?」

指摘され、頭頂部から流れ落ちた髪の合間に覗く白い顔が如実に、少し尖った耳のふちまでみるみる真っ赤に染まる。
どう見ても図星としか思えない反応を返しながらも口では慌てて否定の言葉。

「そ、そ、そ……んな、訳…っ、あるかぁ……っ……ふぁっ!?」

いきなり腰を跳ねさせるように突き上げられて、再び仰け反った女の口からは明らかに艶を帯びた声がこぼれ出した。
続けて二度、三度と腰を揺すれば小刻みに声が上がり、結合部ではなおも硬さを増した雄肉に掻き回される粘膜がいよいよと溢れ出す淫液を絡めてぐちぐちと卑猥な音を奏でだす。

「……こっからだと繋がってるとこが丸見えだけど、やっぱりその格好、すごくやらしいな……」

半分くらいは相手の羞恥を煽るために言っているものの、残る半分では本当にそう思う。そこだけ切り抜かれていることで一層強調される女の秘部は下手に全部脱いでいるよりもかなり淫猥で扇情的だ。

「だ…っ、誰がこんな格好を、させたと…思って……っ! っぁ、き、貴様は変態、だ…っ………んんッ!!」

必死に罵倒しながらも完璧涙目になっている表情は、普段の強面ぶりとのギャップも相まって何だか妙に可愛い。
その上、言葉で、動きで、苛めれば苛めるほどに体の内側は締め付けを強くして、潤みきった温かい肉襞で咥え込んだものを撫で回すよう包み込んでくる。
さっきから相手を弄る事にばかり傾注していたせいですっかり意識の外になっていたが、さんざん昂らされてガチガチに硬くなった己の分身はもはやとっくに限界だった。

「…ごめん!」

手枷で縛められた腕をいっぱいに伸ばして相手の上体を引き寄せ、反作用で自分の上体を浮き上がらせながら全身を横向きに捻るように倒れて姿勢を入れ替える。
一転して床に押し付けた女の上にのし掛かる体勢になり、叩き付けるように腰を前後させれば一際高い、すすり泣きのような悲鳴のような、しかしどこか甘い声が上がって、宙を掻いた両脚が男の腰に絡み付いた。
押し付けるようなキスを受け止めた唇はねじ込まれる舌を迎え入れてすんなりと開かれ、自分からも舌を差し出し絡め合い、下半身から響くものに負けないくらいの水音を立てながら唾液を混ぜ合わせる。
肌と肌が限界まで密着し合い、蕩けた肉壺へぎっちり隙間無く埋め込まれた怒張がぶるりと身を震わせ――とうとう決壊した。

「…ッ、――――――――!!」

どくり、どくりと音が聞こえるかと思う程の勢いで精を迸らせる男根を、ほぼ同時に達したらしい女の内襞は丹念に搾り取るよう小刻みな収縮で締め付ける。

「……っく、は………ありがとな…ヴィラル……」

ぞくぞくと跳ねる身体を腕の輪の中に抱き締めて耳元に囁けば、肩口に押し付けられた顔から低くくぐもった、絶え入るような声があえかに漏れ聞こえた。咄嗟に声を抑えようとでもしたのか肩から鎖骨の辺りに鋭い歯が当たる感触がちくりと肌を刺しはしたものの、全身を充たす爛れた微熱に巻かれてさしたる痛みとも感じられない。
ゆっくりと腰を退けば、絶頂の余韻か二、三度ひくついた粘膜が引き抜かれていくものへ名残を惜しむよう絡んで、隙間からとろりとこぼれた白濁が尻の谷合を伝って床へと滴り落ちた。

未だ荒い呼吸を繰り返しながら大きく上下している白い胸へ頭を預けるよう凭れたシモンはひとつ深い息を吐き、気怠い余韻を貪ろうと──

 >>>

「絶望しました」

「わぁっ!?」

牢屋の鉄格子の向こうから、幾何学的な発光ラインの走る漆黒のボディスーツに身を包んだアンチスパイラル・メッセンジャー・ニア、通称黒ニアが石の彫像のような無表情で、しかしなぜか全身から怒りとも悲しみともつかないオーラのようなものを立ちのぼらせつつこちらを覗き込んでいる。
鉄格子にかけたたおやかな手にはそれほど力が籠もっているようにも見えないのに、どういうわけかその辺りからミシミシメキメキと耐久強度の限界に達した金属が上げる悲鳴じみた音が低く響いていた。

「え…、いや、ニア、これはその、えーと、じゃなくてなんでここに!?」

一瞬固まったのち、慌てて体を起こそうとして手枷で縛められた腕では上手く行かず、どてっと床に崩れたところからごろり横向きに一回転して、這うように鉄格子まで近付いたシモンが3週間前まで恋人だった女を振り仰ぐ。
見上げる、おろおろと戸惑うような視線と宙でぶつかり、絡み合うのは見下ろしてくる、蔑むような冷たい視線。

「絶望した! ぶっちゃけ月が落下したら地下シェルターなんて全部木っ端微塵だしヨタヨタ宇宙に出て行ったアークグレンだって待ち伏せされてるから人類全滅は回避できないってバラして絶対的絶望を与えようと思って来たらこんな非常事態にも関わらず金髪プレイメイトもどきと乳繰り合ってるシモンに絶望した!!」

「ちょ、ニア、誤解……じゃないけど誤解的な何かだよ! ていうか今サラッとすごく重要な事言わなかったか!? 月が落ちてきたらどうなるって!?」

「シモンのばか! もう知らない!!」

例のごとく分解テレポートして消える寸前のニアの表情や口調はどう見てもかつてのニアのものだったなあ、やっぱり本当のニアは消えてなんかいないんじゃないだろうか――などと、彼女が消失した空間を呆然と凝視しながら半分現実逃避っぽいことを考えていたシモンの眉間にゴリッと何やら硬いものが押し当てられる。
えーと、何だっけこれ、そうそう、ヨーコの超伝導ライフルの――

「誤解的な何かってなあに? シモン。あと逃げた女を追いかける時は服くらいちゃんと直しなさいよ」

「……ソウデスネ」

どうせ死ぬんだしと思って据え膳を食った途端に姿を消していた婚約者と数年前から音信不通だった初恋の女性に現場を押さえられるとはなんという怖ろしい罠。

「こ、これがアンチスパイラルの絶対的絶望……?」

「いや、そこまでアンチスパイラルのせいにするのはどうかと思うが」

目の前で繰り広げられた「アホ丸出し」としか形容しようのない修羅場に、一応自分も当事者の内ではある事を棚に上げたヴィラルがげんなりした表情ながらも律儀にツッコミを入れた。
シモンの背後に見知った顔を――彼女の認識上では友好的な間柄ではなかったが少なくとも知人ではある――認めたヨーコの目が丸く見開かれ、次の瞬間、その服装にというか服装だったものからの引き算ぶりに今度はぽかんと口が開いてそのまま塞がらなくなる。

「やだ、ヴィラルじゃない、何でここいるの!? っつーか服着なさいよ何その格好バカみたい!」

「す、好きでこんな格好をした訳があるかッッ!! そもそも貴様らがこいつの育て方を誤るから――」

「異常性癖を人のせいにしないでよね! 大体あんた前はカミナカミナとかしつこかったくせに――」

「ちょっと待ってくれ二人とも、今はそんな事を言ってる場合じゃ──」

「うっさいわね、下半身節操無しは黙ってなさい!!」
「やかましい、エロ小猿の分際で口を挟むな!!」

鉄格子を挟んで、突如険悪な雰囲気で睨み合う女性二人を制止しようするも、双方から容赦なくバッサリ斬って捨てられたシモンがへたりと床に頽れる。
頭上に飛び交い始めた言葉の銃弾を自己防衛のためややフィルタリングを掛けた耳に遠く聴きながら、地上最強の螺旋力を持つはずの男は自分の死刑判決が宣告された時にも吐かなかった弱音をヨレヨレと脳裏に浮かべていた。

「た…っ、助けて、兄貴……!!」

 >>>

「おうおうおうおうッ! アンチ何とかとやら、大グレン団の元鬼リーダーが帰って来たからにゃあここで好き勝手は、あ、させねえぜっ――」

「遅ぇよカミナ、ムガンはあらかた片付けちまったぜー? そもそもグレンもねえのに無茶すんな」

弟分の窮地を知り、地球のほぼ裏側から約3週間近くかけて(大半は徒歩で)帰還した元鬼リーダーを待っていたのはキングキタンの外部スピーカーから響く、すげなくも数年間の空白を感じさせるところのない気安さを帯びた言葉だった。
気の抜けた声で「あ、そう」と呟いたカミナは鞘に収めた刀を肩に担ぎ直し、空の片袖を翻しながらやれやれといった様子で周囲に築かれた瓦礫の山を見渡す。

「シモンはどうした?」

「今リンカーネまで迎えに行くとこだよ。ヨーコが先行してるはずだが何かで手間取ってんのか出てきやしねー」

「ふーん?」


――15分後。
いつまで経っても出てこないヨーコ達を心配し、とりあえず他の面子は外に残して刑務所内に足を踏み入れたカミナとキタンの目の前に展開している光景は彼らの想定の範囲のものすごく斜め上だった。

「…えーと、何だこのイイ眺めなんだか怖ぇえんだかわかんねー光景」

どういう訳か既に半開きの鉄格子を挟んで肌も露わな女二人が世にも見苦しいキャットファイトを繰り広げている。
そして、少し遅れて目に入る、その足元付近にちんまりと蹲っている後ろ姿。

「おーい、シモーン! 何だこの有様はァ!?」

「はぁぁぁぁん兄貴――――――っ!!」

はっと顔を上げ、ピンチに颯爽と現れた王子様を迎えるようなシモンの声に、頭上でギリギリと掴み合っていた女性陣の意識が新たな闖入者の立つ通路入り口へと向けられる。
ポニーテールは些か乱れ、ファイアーパターンの革ジャケットが半分ほど脱げかかってビキニトップの肩紐も片側ずり落ちているヨーコと、辛うじて囚人服のボトムは元通り装着したものの上半身は露出したままのヴィラルが殆ど同じタイミングでぐりんと振り向き、柳眉も眦も吊り上げながらほぼ同時に口を開いた。

「丁度いいわ、カミナあんたもちょっとそこに座んなさい!」
「そうだ、貴様には言いたい事が山ほどあるッ!!」

「え? いや、その前に月とかどうにかしなくていいのか……」

「いいから座りなさい! はい正座!!」

「で、でもさっきニアがアークグレンが待ち伏せされてるとかって……」

「シモンももう少し反省の色ってものを見せなさい! 全くあんた達兄弟は(省略されました。全部読むにはヨマコ先生のはちみつ授業と書き込んでも表示されません)

 >>>

『諦めるなロシウ!』

「まさか、シモンさんっ!?」

アークグレンの通信回線を劈き、敗色に覆われかけていた艦橋内の空気を震わせ一変させた声に、今しも絶望と諦観に折られそうになっていた背を伸ばしロシウは顔を上げた。

『諦めたらそこで終わりだ! 忘れたのか? このドリルが天を衝くドリルだって事を!』

高らかな宣言通り、深紅の機体から放たれ虚空を貫く衝撃波が艦の周辺を包囲していた無数の小型ムガンを爆散させ、それまでアークグレンを呑み込もうとしていた死の水位を見る間に下げていく様に、ロシウの胸中には疑いようもない安堵と歓喜が、そして同時に己の犯した誤りをこれ以上ない形で突き付けられた悔しさが同時に渦巻いて疲労の色が濃い顔のおもてに引きつった泣き笑いのような表情を貼り付ける。
艦長席のコンソール脇に小さく開いたグレンラガンからの通信ウィンドウの中で操縦桿を握るシモンの表情には屈託も、やはり己が正しいのだと誇示するような色すら微塵ほども無く、囚人服と刑務官の官給品だろうか素っ気のないアンダーウェアに身を包みながらもその顔はただただ目の前の壁を突き破ることだけを目指して力強い、かつて共に肩を並べて戦えることがひたすら誇らしかったヒーローの姿そのままだった。

ああ、敵わないなあ、あの人には、結局。
普段の仕事がまるっきり駄目でも、どんなに総司令らしくない格好をしていても、肩に歯形が付いていてもいざという時には本当に頼りに出来て格好いいんだ────え、歯形?

俄に眉根を顰めたロシウはもう一度まじまじと通信ウィンドウを凝視し、回線の向こうから聴こえてくるそれは命令かとかいいやおねだりだとかいう微妙な空気感漂う会話にいきなりどっと重さを増したような頭を振り──
とりあえず上げた視線の先にいたキノンに螺旋力シールドの残り耐久限界を訊いた。


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