妊娠・空想・甘い夢。ちょびかしカワイソスな三拍子。甘い夢のヴィラル一家は皆性転換しています。
間違った知識をry
間違った知識をry
<///]------------------------------ドリドリ------------------------------
「私は、妊娠しているのかもしれない」
ヴィラルが重い口を開き、「触っても?」と言うリーロンに頷いて上着の裾を捲り上げた。
傷だらけではあるが女性的なラインに加えて、確かにヴィラルが言ったように腹もぽっこりと膨れている。
「この体で妊娠などと、有り得ないことだとは私が一番知っているが…」
「…そうね。貴方が自覚しているのならそれでいいの。生理はちゃんと毎月来てる?」
卓上のカルテに記入しながら、リーロンも彼女が獣人であることを理解した上で問うた。二人はかなり長い付き合いになるが、未だに慣れないリーロンのやり方にヴィラルは背筋を凍らせながら答えた。
「アンチスパイラルとの戦いから…来ていない」
「性交渉の経験は?」
「なっ!?」
一瞬にして赤面するヴィラルを宥めるようにして涼しい笑顔のままリーロンは続ける。
「やり方はわかる?」
「…そこまで馬鹿ではない。獣のように互いを貪り、子供を作るんだろう」
頬に手を当て熱い視線を送るリーロンを無視して、そっぽを向いてそっけなく答えた。
「その通りよ。交わらないと子供は作れないわ。交わるといっても、母体の中で精子と卵子が熱く情熱的に合体すればいいの」
言いながら自らを抱きしめて身体をくねくねとするリーロンに一つ咳払いをして、
「回りくどい話はいい。その、性交渉をしていない私が、いや、そもそも妊娠する事のない私の身体には何が起きている?」
張りのある腹部は肥満で片づけられない状態で、その身体の持ち主であるヴィラル自身さえ原因が分からないまま――思い付くものの有り得ないと判断し――リーロンの答えを待った。
「…アタシが診る限りは、貴方は魔法に掛かってしまったのよ」
「魔法?」と気の抜けた声が口を衝いて出て、「そんなわけがあるか」と至極まともな突っ込みを入れる。
「そうねぇ、魔法と言っても、恋の魔法の方かしら?子供が欲しいと思ったことはある?」
「こんな身体だ。無いわけがないだろう。…私は多元宇宙に囚われた時に、夢を見た」
優しい夫と可愛い子供。戦いのない平和な日々。女性らしい綺麗な服を身に纏っているのは自分だった。
そんな覚めることのない夢から覚めることを選んだ。母体となれぬ体を持っていながら、意識のどこかで幸せな家庭を築くことを望んでいたのだろう、甘い夢から。
「日に日に大きくなっている。本当に私の中に命が宿っているのではないかと思う時もある」
口ではこの状態を否定しているが、腹部をさするヴィラルの表情はまるで本当の妊婦のように優しく慈愛に満ちていた。リーロンはその様子に一瞬だけ悲しげな顔をして、『獣人』とラベルの貼られたファイルを開いてとある項目を指差した。
「この状態には名前があるの。元は人に起こるものだったけど、人と獣が共生することで獣人にもその現象が起こるようになったの。原因の一つが、人から愛を教えて貰ったからなのよ」
「愛…」
拍子抜けする原因に口を噤んで、かつての上司であるチミルフとアディーネを思い出した。愛の形の一つが性交、そして子供を作り、産むことなのだろう。子を成すことは叶わない身体ではあったが、二人の間にあったのは友情ではなく愛であると今なら理解できる。
「想像妊娠と言ってね、その名の通り妊娠したと思い込むことで妊婦さんと同じ状態になったり、体の状態が変わっちゃうのよ。人間のオンナ、まれにオトコもなっちゃうわ。だから獣人もそう」
「つまり私は想像で妊娠したと?」
結論を口にする事で何らかの否定をして欲しかったのだが、やはりリーロンは首を縦に振ることで肯定した。揺るぎようのない事実であることに、ヴィラルは自らの下腹部を見下ろした。
「だから貴方のお腹に宿っているのは、…夢。深夜を告げる鐘が鳴れば魔法は解けてしまうのよ」
膨れた腹の中には何もないのだと認めようとした。見えないものに見えるものが犯されている、その事実を否定して。
「夢を見るなとは言わないわ。夢は優しいから甘えてしまうのは仕方のないことだものね」
「そうか」
ただそれだけ答えて、宿主を蝕む空っぽの夢に別れを告げることにした。
ヴィラルが重い口を開き、「触っても?」と言うリーロンに頷いて上着の裾を捲り上げた。
傷だらけではあるが女性的なラインに加えて、確かにヴィラルが言ったように腹もぽっこりと膨れている。
「この体で妊娠などと、有り得ないことだとは私が一番知っているが…」
「…そうね。貴方が自覚しているのならそれでいいの。生理はちゃんと毎月来てる?」
卓上のカルテに記入しながら、リーロンも彼女が獣人であることを理解した上で問うた。二人はかなり長い付き合いになるが、未だに慣れないリーロンのやり方にヴィラルは背筋を凍らせながら答えた。
「アンチスパイラルとの戦いから…来ていない」
「性交渉の経験は?」
「なっ!?」
一瞬にして赤面するヴィラルを宥めるようにして涼しい笑顔のままリーロンは続ける。
「やり方はわかる?」
「…そこまで馬鹿ではない。獣のように互いを貪り、子供を作るんだろう」
頬に手を当て熱い視線を送るリーロンを無視して、そっぽを向いてそっけなく答えた。
「その通りよ。交わらないと子供は作れないわ。交わるといっても、母体の中で精子と卵子が熱く情熱的に合体すればいいの」
言いながら自らを抱きしめて身体をくねくねとするリーロンに一つ咳払いをして、
「回りくどい話はいい。その、性交渉をしていない私が、いや、そもそも妊娠する事のない私の身体には何が起きている?」
張りのある腹部は肥満で片づけられない状態で、その身体の持ち主であるヴィラル自身さえ原因が分からないまま――思い付くものの有り得ないと判断し――リーロンの答えを待った。
「…アタシが診る限りは、貴方は魔法に掛かってしまったのよ」
「魔法?」と気の抜けた声が口を衝いて出て、「そんなわけがあるか」と至極まともな突っ込みを入れる。
「そうねぇ、魔法と言っても、恋の魔法の方かしら?子供が欲しいと思ったことはある?」
「こんな身体だ。無いわけがないだろう。…私は多元宇宙に囚われた時に、夢を見た」
優しい夫と可愛い子供。戦いのない平和な日々。女性らしい綺麗な服を身に纏っているのは自分だった。
そんな覚めることのない夢から覚めることを選んだ。母体となれぬ体を持っていながら、意識のどこかで幸せな家庭を築くことを望んでいたのだろう、甘い夢から。
「日に日に大きくなっている。本当に私の中に命が宿っているのではないかと思う時もある」
口ではこの状態を否定しているが、腹部をさするヴィラルの表情はまるで本当の妊婦のように優しく慈愛に満ちていた。リーロンはその様子に一瞬だけ悲しげな顔をして、『獣人』とラベルの貼られたファイルを開いてとある項目を指差した。
「この状態には名前があるの。元は人に起こるものだったけど、人と獣が共生することで獣人にもその現象が起こるようになったの。原因の一つが、人から愛を教えて貰ったからなのよ」
「愛…」
拍子抜けする原因に口を噤んで、かつての上司であるチミルフとアディーネを思い出した。愛の形の一つが性交、そして子供を作り、産むことなのだろう。子を成すことは叶わない身体ではあったが、二人の間にあったのは友情ではなく愛であると今なら理解できる。
「想像妊娠と言ってね、その名の通り妊娠したと思い込むことで妊婦さんと同じ状態になったり、体の状態が変わっちゃうのよ。人間のオンナ、まれにオトコもなっちゃうわ。だから獣人もそう」
「つまり私は想像で妊娠したと?」
結論を口にする事で何らかの否定をして欲しかったのだが、やはりリーロンは首を縦に振ることで肯定した。揺るぎようのない事実であることに、ヴィラルは自らの下腹部を見下ろした。
「だから貴方のお腹に宿っているのは、…夢。深夜を告げる鐘が鳴れば魔法は解けてしまうのよ」
膨れた腹の中には何もないのだと認めようとした。見えないものに見えるものが犯されている、その事実を否定して。
「夢を見るなとは言わないわ。夢は優しいから甘えてしまうのは仕方のないことだものね」
「そうか」
ただそれだけ答えて、宿主を蝕む空っぽの夢に別れを告げることにした。
「目を閉じて想像して」
診察台に寝かされ、言われるがまま目を閉じる。明かりも落とされ、ぼんやりとしたランプに切り替えられた。香が焚かれたのか花のような良い香りが漂い、リーロンの男性にしては高く女性にしては低い、甘い声が耳を打つ。
――貴方はベッドの上で生まれてきたばかりの赤ちゃんを抱いてるわ。とても可愛くて元気な子。
あの時見た夢をそのまま想像した。腕の中で眠る温かな子供。手は小さいながらもぎゅっと丸められている。傷つけてはいけないと、長く伸ばしていた爪はなだらかな曲線に切り揃え、それでも命を傷つけないように慎重に触れる。小さな指がしっかりと握り返してくるのが愛おしい。
――貴方のお腹はどうなってる?
意識を集中させずとも、そこがどうなっているかは分かった。腕の中の赤子、確かな熱、見下ろした腹部は、
「膨らんで、いなかった」
「…それでいいの。想像は想像で打ち消せばいいの。貴方が妊娠していないと認識することで、貴方の世界は分岐するのよ」
来たときよりも小さくなった気がする腹部を撫で、貴重な時間を割いてくれたリーロンに礼を言い別れを告げた。
「だから夢の中の貴方を見返せるよう、幸せになりなさい」
小さく呟いたリーロンの言葉は、果たしてヴィラルに届いただろうか。
診察台に寝かされ、言われるがまま目を閉じる。明かりも落とされ、ぼんやりとしたランプに切り替えられた。香が焚かれたのか花のような良い香りが漂い、リーロンの男性にしては高く女性にしては低い、甘い声が耳を打つ。
――貴方はベッドの上で生まれてきたばかりの赤ちゃんを抱いてるわ。とても可愛くて元気な子。
あの時見た夢をそのまま想像した。腕の中で眠る温かな子供。手は小さいながらもぎゅっと丸められている。傷つけてはいけないと、長く伸ばしていた爪はなだらかな曲線に切り揃え、それでも命を傷つけないように慎重に触れる。小さな指がしっかりと握り返してくるのが愛おしい。
――貴方のお腹はどうなってる?
意識を集中させずとも、そこがどうなっているかは分かった。腕の中の赤子、確かな熱、見下ろした腹部は、
「膨らんで、いなかった」
「…それでいいの。想像は想像で打ち消せばいいの。貴方が妊娠していないと認識することで、貴方の世界は分岐するのよ」
来たときよりも小さくなった気がする腹部を撫で、貴重な時間を割いてくれたリーロンに礼を言い別れを告げた。
「だから夢の中の貴方を見返せるよう、幸せになりなさい」
小さく呟いたリーロンの言葉は、果たしてヴィラルに届いただろうか。
この翌日には超銀河ダイグレンにいつもの姿のヴィラルが居り、勤務中にうつらうつらと舟を漕ぐクルー達の尻を勇ましく蹴飛ばして「気合が足りない!」と叱咤し、そんな彼女を見てシベラを始めとする女性クルーたちはほっと胸を撫で下ろした。同時刻この星のどこかで一人の穴掘りが盛大なクシャミをして、それをきっかけに「そうだ、カミナシティ行こう」と決心した獣人の男が微笑んだりするのだが、それはまた別の話である。
------------------------------ドリドリ------------------------------[///>
嫁性転換したらまんまエルフやんけとか言わない
だからヴィラ子に弓の使い方教えてもらえ性的に
だからヴィラ子に弓の使い方教えてもらえ性的に