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一歩進んで」(2013/02/10 (日) 13:30:48) の最新版変更点

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**一歩進んで ◆WXWUmT8KJE  昼も近くなり、天に燦々と輝く太陽が街を照らしている。  レンタルビデオ店、本屋、スーパー、パブなどが並び、こんな状況でなければ賑わうのだろう。  百九十五センチのイギリス人に背負われる少女、柊かがみにとっては、人がいない不気味な現状に感謝をしていた。  誰もが人がいないことに疑問を示し、あるものはこの舞台を考察、あるものは無力さと静かさに脅えている。  そんな彼らが、かがみの感情を知り、最初は疑問を示すのだろう。  その疑問は柊かがみの姿を見れば、万人が納得する。もっとも、そんな状況が起これば、かがみは羞恥で死にたくなるのだろうが。  ここまでもったいぶってすまない。現在のかがみの姿は、上半身裸に下半身はタイツと言う、痴女と言っていい格好だ。  かがみの肢体は自分の格好に対する羞恥と服が見つからない焦りで、白い肌をしっとりと汗で濡らしている。  はかない印象を与える細く白い腕は背負う男の首にかけ、程よく肉がついている太ももをがっしりつかまれている。  二つに結ぶ長い髪は背負っている長身の男、ジョセフ・ジョースターが走るたびに上下に揺れている。  多くもなく少なくもない、標準的な女子高校生としては形の整っている乳房を背に感じても、ジョセフが動揺する様子はまったくない。  外国人である彼にとっては、日本人では標準サイズに入るかがみの乳房でも小さい部類に入るのだろう。  先ほどの会話を思い出し、かがみはムッとする。  思わず彼の肉をつねろうかと考えたくらいだ。しかし、かがみはジョセフの鍛えられた肉体には体脂肪率が一桁だろうなと思い、余計にへこむ結果になっただけだった。 「かがみん、さっきから黙ってどうした? 胸が小さいこと気にしてんのか? だったらいい話があるぜ。AAカップがCカップになる不思議な下着もあるんだ、世の中」 「その呼び方やめて……てか、寄せてあげるブラじゃない」 「気になさんなって。なんなら、か・がーみんって呼ぼうか?」 「何で呼び方の方なのよ! だいたい、区切るところが変!!」 「Oh~ブラの方だったか。意外と小さいのを気にしてんのね」 「この、スカタン!!」  かがみがジョセフの太い首を締め上げ、ジョセフが苦しげな声をあげながら降伏の意を示す。  スピードを一切緩めないため、全然説得力がなかったが。  ジョセフの首から、力を込めていた腕を緩め、かがみは引き続きまわりを見渡す。  彼女が探す、『ある店』を見つけられず、不満を爆発させる。 「も~、何でブティックや古着屋が見つかんないのよ!!」 「服売ってそうなところや、店員の制服とかも探したのにな。 あれだ、貴重なサービスシーン担当だってことだな。我が友か・がーみんは」 「こんの~~、スカタン!!」  本日二度目のスカタンは、拳固と共に発せられた。 □ 「いってぇ~、本気で殴りやがった。まだジンジンするぜ」  軽口の代償に痛む頭部を撫でながら、ジョセフは一人街を走る。  かがみは近くの民家に待機させている。あの後かがみがくしゃみをして、さすがに身体が冷えたのだろうと思い、羽織るものの探索に一人出たのだ。  離れる時かがみは不安そうな表情をしていたため、早く戻ろうとジョセフは全速力で街を駆ける。 「それにしても、本当に服が見つからん。マジであのハゲジジイはかがみをサービス担当にしてニヤニヤスケベ面してんじゃねえか?」  この戦いを観察し、一人ニヤニヤしている光成を思い浮かべ、ジョセフは吐き捨てる。  もっとも、当の光成はジョセフが思うような恵まれた環境におかれているわけではないが、ジョセフが知ることはない。  かがみを長い間一人にはしておけないと、更に加速しジョセフは駅前に辿り着いた。 「売店とかになんか残っていないかな~っと。 駅があるってことは、汽車が走っているってことか? まあ、それよりも先に服だ、服。 個人的にはあのままでもいいんだけど」  かがみが聞いたら、ジョセフの評価を更に下げるような事を呟く。  ジョセフも本気でそう思っているわけではないが、目的の物が見つからないために少しめげそうになっているのだ。  ジョセフでは何の目的で作られたか分からない、改札の前で頭を抱えて佇む。  ふと視線を向けると、ダンボールが立てられた場所に薄汚れたコートを発見する。  風を遮るように立てられたダンボールの中央には、古新聞が敷かれており、誰か暮らしていたような雰囲気を醸し出していた。  ジョセフの時代には失業者など腐るほどいたため、気にせずに失礼しま~すと、軽い口調で中へと侵入していく。 「お、ちょうどいいのがあるじゃん。ちょっと匂うけど、かがみもこれなら納得してくれるだろ! まっていろよ、我が友、か・がーみん!!」  一人でもおどける事を忘れず、ジョセフはコンクリートで舗装された道を戻る。  彼が去った後には、空き缶で満杯のリアカーだけが残されていた。 □ 「ジョジョ遅いなぁ……」  かがみはため息を吐き、外の様子を窺って呟いた。  本当はジョセフが服を探しに出かけてから十分も経っていない。  さすがに待つ間、家の中とはいえ上半身裸では寒気がする。  くしゅんと、ジョセフが服を探しに出るきっかけになったくしゃみをし、家の中にはあるものがないか探索をする。  木製の床を踏んで歩きながら、周りを見渡す。  大きなソファーと机、大きなテレビがある。自分たちのように夜には家族が揃ってここでテレビを一緒に見ていたのかもしれない。  大きな庭が窓の先にあり、主を失った犬小屋が寂しげに置かれてある。  リビングを出て書斎や寝室のある一階を回り、衣服類を一つも見つけられなかったかがみは二階へと向かう。  勉強部屋だろうか、自分の部屋を思い出し、かがみは懐かしむ。  家に帰れなくなってから、まだ一日も経っていない。なのに、二度と戻れない遠い場所のように思える。  この部屋の端に存在するベットが、かがみが風邪で寝込んでいた時、見舞いに来たみゆきの人柄の良さを思い出した。  涙を拭い、前に進むと決めた瞳を向ける。その瞬間、かがみは偶然目の前のクローゼットを発見した。  みゆきの事を思い出していたのに、衣服があるかもしれないという期待をすることに罪悪感を抱く。  それでもこの格好から開放されるという魅力には叶わず、かがみはクローゼットへと歩み寄った。  結果としてはクローゼットの中は空であり、現実は非常であった。 「はぁ~」  期待を裏切られたかがみはため息を吐きながら一階の台所へと降りてくる。  期待していた分だけ、空回りすると余計落ち込むのは人の常であった。  静かさが演出する不気味さを、みゆきに対する罪悪感でかがみは塗りつぶしており、椅子に腰をかけて突っ伏す。 「ごめんね、みゆき、灰原さん、桂さん」  答えは返らない。もしも生きていたのなら、どんな返事をしたのか、かがみは気になるが答えを知る術はない。  死ぬ時は安らかに死ねただろうか? 三人を殺した無慈悲な殺人鬼は誰であろうか?  気にしだすと止まらなくなり、こんな時はジョセフの軽口を無性に聞きたくなる。  そこでかがみはジョセフは自分の気を紛らわせるために軽口を叩いているのではいかと思い、少し見直す。  が、かがみの脳裏に胸の事を馬鹿にして、HAHAHAと外人臭い笑い方をするジョセフが描かれ、評価を上げるのを思いなおす。  過大評価は必要ない。頭に血管を浮かばせ、かがみはそう心に決めた。  次に思い出すのは、あの赤い戦士。  どこか虫を髣髴させながらも、スタイリッシュにまとめたフォルムに赤い仮面。  忍者のような技や手裏剣を放つ彼は、かがみを殴ろうとして明らかに戸惑っていた。  ジョセフが言うには、強い相手と戦うことを喜ぶタイプだとのことだが、かがみに拳を当てなかったその無機質な緑眼に、悲しみを覗き見た気がするのだ。 (もしかしたら、あの人も私たちと一緒に戦ってくれるかも……)  淡い期待を寄せるその戦士は、皮肉にも彼女の双子の妹の探し人でもあった。  ジョセフと合流したら、その話もしようかと脳裏に書き留める。  考えがまとまり、かがみはゆっくりと顔を上げる。そのかがみの視線の先には……  かがみがいるであろう民家のドアをジョセフはたたき、鍵を開ける事を催促する。 「ノックしてもしもお~し……って、シンちゃんのときにやったか。 かがみん、俺だ。ジョジョだ。呼び方気に入らないなら、か・がーみんって呼ぼうか?」 「呼ばなくていいわよ! 何気に気に入っているの? その呼び方!?」 「お、ちゃんといるじゃん。早く開けれくれよ~」 「鍵を開けるけど、ちょ、ちょっと待ってね」  ジョセフはその声に構わず、鍵があくと同時にドアを開ける。  戦利品を手にして、ジョセフはホクホク顔で玄関に上がりこんだ。 「いや~、身体冷やすとさすがにいけないって。俺が持ってきた……」  ジョセフは最後まで言葉をいいかけて止まる。  彼が目にしたかがみは、ここを出かえる前と変わらずタイツをはいている。  出かける前と違うのは上半身。白い肢体にかけられている、白い布。背中は相変わらず肌を晒している。  エプロンを裸の上半身につけ、青少年には刺激の強い姿にかがみはなっていた。  ジョセフは口をあんぐりあけ、やがて表情を引き締める。 「かがみ、俺は妻がいるんだ。その、誘惑されても……なんだ、困る」  ジョセフは真面目な顔でかがみを見つめ……いや、かがみの胸を見つめて戸惑いながら告げる。 「俺はロリコンでもないし……」 「このぉぉぉぉぉぉ!! スカタンンンンンンン!!!!」  本日かがみの三度目のスカタンと共に全身全霊を込めたとび蹴りがジョセフの鳩尾にヒットした。 「乱暴だな、か・がーみんは」 「その呼び方やめてっていったでしょう。だいたい、人が説明しようとしているのに無視して入るし」 「せっかく人がそれよりマシな格好になるもん手に入れてきたのに」 「それは……あ、ありがとう」  本気で感謝を込めてかがみは礼を言う。殺し合いが行われているのは、放送が物語っている。  殺人鬼が徘徊しているかもしれない街中を、自分のために服を探してくれたのだ。ジョセフには感謝してもし足りない。  それに、こなたが喜びそうな卑猥な格好から逃れられると思うと、素直に嬉しくてしょうがない。  絶対こなたと再会して、この格好だったら彼女はこういう。 『かがみ、裸エプロンに首輪……それなんてエロゲー?』  表情まであっさりと思い浮かべれたかがみは、そんな状況は真っ平ごめんだと首を振る。  疲れた表情のかがみをジョセフは不思議そうに見つめていた。 「どうした、か・がーみん」 「いや、この格好を喜びそうな奴がいるのよ……」 「男なら誰でも喜ぶぜ」 「……いや、そいつは女よ」  かがみの言葉を聞いて、ジョセフは驚愕する。  あまりにも驚いているため、かがみは自分が何か迂闊な事をいったのではないか、不安になる。それも一瞬だけだったが。 「か・がーみんはその気があったのか!? Oh My God!! もったいねー!! 現在はともかく、将来は期待大なのに!!」 「ないわ!!」  今度のツッコミはあっさりジョセフに避けられ、かがみは悔しげに拳を震わせる。  HAHAHAとジョセフはわざと外人臭い笑い声をあげて挑発してくる。 「なんだかあんたといると、あいつの事を思い出すわ」 「へえ、女なのに男前ってか?」 「いや、なんかくらげっぽいところが」 「く、くらげ……か・がーみんの俺に対する印象っていったい……」  妙にショックを受けるジョセフを前に、かがみは内心ガッツポーズをとる。  実はジョセフを殴る時は、殴ったかがみのほうがダメージが大きかったりするからだ。  くだらない戦いを一段落させ、ジョセフがかがみに収穫を伝える。 「かがみ、ようやく手に入れたぜ。……ちょっと臭うけど」 「え、嘘! 本当、ありがとう! ……まあ、臭いくらいなら」  二人とも語尾が小さくなり、ジョセフがごそごそと収穫物を取り出す。  かがみはわくわくしながら、ジョセフが手に入れた物を待ち続けた。  取り出されたものは…… 「ん? どうした、か・がーみん。嬉しくないのか? やっぱり臭いがきついか?」 「え……いや、そ、そんなことないわよ! 臭いはそんなに酷くない……臭いは」  不思議そうに首を傾げるジョセフに、かがみは言う。  ジョセフが取り出したのは薄汚れたコート。臭いはかがみが告げたように、さほど酷くはない。  ないのだが、現在のかがみはしつこいようだが、上半身裸なのだ。  下半身だって、つけているかどうか微妙なラインである。  そんな中、コートを羽織れば変質者のような気がする。かがみの脳裏に、コートの前を開けて全裸を晒す変態を思い浮かべ、げんなりする。  そういえば、こなたがあんまり趣味じゃないといっていたゲームに、似たような状況の話があった。 『かがみ、それなんて鬼畜ゲー?』  悪夢だとかがみは頭を振るが、ジョセフの行為を無駄に出来ないし、ないよりマシだ。  下にエプロンをつけたままにするかかがみは少し悩んで、やがて取る。  万が一、激戦を使うような事態に陥れば、代わりに羽織るものとして使えるからだ。  もっとも、そんなことは二度と起きないようにとかがみは願うが。 (全裸にコート……こなたには……いや、誰にも見せたくない姿だ。代わりの服を早く見つけなくちゃ)  かがみはよりいっそう服を見つけるという決意を強める。  傍から見ると、マヌケな姿でもあった。 「それじゃあ、ボウリング場へと向かいますか。シンちゃんもその内来るだろうし」 「……ねえ、ジョジョ。このコート、どこで見つけたの?」 「ああ、駅があってさ、そこで見つけた。シンジと合流したら汽車にでも乗って旅をするか?」  汽車という言葉にかがみは首を傾げるが、駅があるという方向に視線を向ける。  ジョセフはその様子を不審に思い、声をかける。 「かがみ、どうした?」 「ジョジョ…………」  ジョセフは無言で先を促す。表情はいつもの通り、どこかいたずらっ子のような顔をしている。  かがみの真剣さを声色で読み取ったのだろう、茶化す気配は一向になかった。 「みゆきたちと別れるとき……私は吸血鬼をひきつけて、みゆきたちは駅で逃げたの……。 だから、みゆきたちは……きっとどこかの駅で…………死んで……」  かがみの声がどんどん小さくなり、最後は嗚咽が混じる。  もう泣かないと決めたはずなのに、頑張ると決めたはずなのに、かがみの涙は意思に逆らって流れてくる。  こんなことでは自分を助けてくれたジョセフに申し訳ないと、涙を拭うが、何度拭っても拭い足りない。  涙の止まらないかがみに、ジョセフは静かに歩み寄って涙を拭う。 「なあ、かがみ。シーザーの話をしたよな。 俺、あいつが死んだとき最初は思いを受け継いで、前に進もうと思った。俺たちの波紋の先生リサリサもあえて冷徹さを装って、前に進もうとした」  かがみは目をぱちくりさせ、ジョセフを見つめる。  いつにもなく、ジョセフの表情は真剣で、どれほど亡き友を思っているかを読み取れる。 「けどな、俺もリサリサも瓦礫の下から流れる、シーザーの血を見てみっともなく泣いた。敵地のど真ん中なのにな」 「ジョジョが…………?」  その事実はかがみにとって信じられないものだ。  かがみが見てきたジョセフは、身体を焼かれてもかがみを救うために全力で立ち向かってきた。  とても今の自分のように泣くような弱さを見出せない。 「ああ。だけどな、それでよかったんだ。 俺もリサリサも、それでシーザーの死を確認できて、きっちり片をつける覚悟が出来たからな」  ジョセフは踵を返して、駅の方向へと向かう。  かがみは慌てた後を追い、声をかける。 「ちょっと、そこはボウリング場じゃ……」 「かがみ、お前の友達を探してやろうぜ。こんなところで殺人気に襲われてはい、さよならじゃ可哀想過ぎる。 それに、俺たちのようにかがみが友達の死に決着をつけなくちゃいけない。安心しなさい。 悪党はこのジョジョがぶちのめすからよ!」  力強く宣言するジョセフに、かがみの涙腺は決壊し表情を崩す。  そのかがみにジョセフは焦り、やがてかがみは涙を浮かべながらも、笑う。 「ありがとう、ジョジョ」 □  ボウリング場から出てくるかがみを見つけ、ジョセフは大きく手を振る。  ちなみに、服の類はここにもなかった。ここまで来ると嫌がらせのような気がする。 「か・がーみん、メモは置いてきたか?」 「うん、私のメモを張っておいた」 「よし、シンジもこれで俺たちを追いかけるだろう。運が良けりゃあまた合流できるさ」 「でも……三村が危なくない?」 「あのシンジがこの程度でくたばるタマかい」  あっさりとジョセフは言い切り、かがみを背負おうとする。 「ジョジョ、私は大丈夫だって。もう疲れもないし」 「そう? まあ、つらくなったらいつで声をかけな」  妙に男らしい事を言うジョセフにかがみは素直に頷きかけて、やっぱりやめる。  これ以上ジョセフに迷惑をかけれない。かがみは静かに首を振った。 「大丈夫、私は歩くよ。ジョジョ」  ジョセフは後ろを振り返り、いつものように明るい表情をかがみに向けた。  かがみにとってその笑顔は、何百人の味方をつけたような心強さがある。 「だって、みゆきや灰原さん、桂さんに誇れるようになりたいから。 きっと、三人の死体を見つけたらみっともなく泣くだろうけど……絶対決着をつける。片をつける。 だからジョジョ、今は歩かせて」 「……へへ、もちろんいいに決まっているだろ!!」  ジョセフは嬉しそうに身体を伸ばしながら立ち上がる。  力強く頷くかがみを守るようにジョセフは彼女の傍に立った。 「じゃあ、かがみの友達を殺した悪党を懲らしめに行きますか!」  燃える思いを胸に、ジョセフが吠える。二人が力強く歩む先には駅がある。  二人が右足を前に出し、一歩前に進んだ時、 「くしゅん!」  風が吹いて、かがみの身体が冷えてついくしゃみをする。  やはり、全裸にコートではまだ寒い時期のようだった。 【G-8 ボウリング場前/一日目 夕方】 【ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態]:健康、顔面にマジシャンズ・レッドの拳によるダメージ [装備]:ハイパーヨーヨー×2(ハイパーミレニアム、ファイヤーボール)、 [道具]:支給品一式 [思考・状況] 基本:あのスカタンを一発ぶん殴ってやらねぇと気が済まねぇ~~。 1:かがみを三人の友達の死に対して決着をつけさせる。 2:1のために駅周辺を探索。三人を殺した悪党をぶちのめす。 3:三村とそのうち合流。 4:マップの端を見に行く。 5:「DIO」は警戒する、一応赤石も探しとくか……無いと思うけど。 6:ところで、何で義手じゃないんだ? 7:赤ムシ野郎(ZX)にはもう会いたくねぇな [備考] ※二部終了から連れてこられていますが、義手ではありません。 ※承太郎、吉良、DIOの名前に何か引っかかっているようです。 ※水を使うことで、波紋探知が可能です。 ※村雨が西の方角へ行ったと勘違いしています ※三村の留守電を聞き逃しました。 【柊かがみ@らき☆すた】 [状態]:左肩、左脇腹に打撲、精神消耗(大)、 [装備]:核鉄「激戦」@武装錬金、マジシャンズレッド(魔術師の赤)のDISC@ジョジョの奇妙な冒険     江頭2:50のタイツ、上半身裸に汚れたコート [道具]:白いエプロン [思考・状況] 基本:生きる 1:みゆきたちの死と決着をつける。 2:そのために駅周辺を探索する。 3:殺し合いには乗らない、脱出を目指す 4:ジョセフについていく。 5:こなた、つかさと合流する 6:三村に謝りたい 7:ま と も な ふ く が ほ し い (切実) [備考] ※アーカードを不死身の化け物と思っています。 ※「激戦」は槍を手から離した状態で死んだ場合は修復せずに死にます。  持っている状態では粉々に吹き飛んでも死にませんが体の修復に体力を激しく消耗します。  常人では短時間で三回以上連続で致命傷を回復すると意識が飛ぶ危険があります。  負傷して五分以上経過した患部、及び再生途中で激戦を奪われ五分以上経過した場合の該当患部は修復出来ません。  全身を再生した場合首輪も再生されます。  自己修復を利用しての首輪解除は出来ません  禁止エリア等に接触し首輪が爆破した場合自動修復は発動しません。 ※マジシャンズレッドの火力は使用者の集中力によって比例します。  鉄を溶かすほどの高温の炎の使用は強い集中力を要します。  火力センサーは使用可能ですが精神力を大きく消耗します ※精神消耗のためしばらくマジシャンズ・レッドは出せません ※三村の留守電を聞き逃しました。 ※ボウリング場にかがみのメモを張っています。 |152:[[【裏】貴重な貴重なサービスシーン]]|[[投下順>第151話~第200話]]|154:[[新しい夜が来た、闘争の夜だ]]| |151:[[小さな死 ~ La Petite Mort ~]]|[[時系列順>第3回放送までの本編SS]]|154:[[新しい夜が来た、闘争の夜だ]]| |144:[[らき☆すた 第X話 あるいはこんな日常]]|ジョセフ・ジョースター|176:[[波紋の記憶]]| |144:[[らき☆すた 第X話 あるいはこんな日常]]|柊かがみ|176:[[波紋の記憶]]| ----
**一歩進んで ◆WXWUmT8KJE  昼も近くなり、天に燦々と輝く太陽が街を照らしている。  レンタルビデオ店、本屋、スーパー、パブなどが並び、こんな状況でなければ賑わうのだろう。  百九十五センチのイギリス人に背負われる少女、柊かがみにとっては、人がいない不気味な現状に感謝をしていた。  誰もが人がいないことに疑問を示し、あるものはこの舞台を考察、あるものは無力さと静かさに脅えている。  そんな彼らが、かがみの感情を知り、最初は疑問を示すのだろう。  その疑問は柊かがみの姿を見れば、万人が納得する。もっとも、そんな状況が起これば、かがみは羞恥で死にたくなるのだろうが。  ここまでもったいぶってすまない。現在のかがみの姿は、上半身裸に下半身はタイツと言う、痴女と言っていい格好だ。  かがみの肢体は自分の格好に対する羞恥と服が見つからない焦りで、白い肌をしっとりと汗で濡らしている。  はかない印象を与える細く白い腕は背負う男の首にかけ、程よく肉がついている太ももをがっしりつかまれている。  二つに結ぶ長い髪は背負っている長身の男、ジョセフ・ジョースターが走るたびに上下に揺れている。  多くもなく少なくもない、標準的な女子高校生としては形の整っている乳房を背に感じても、ジョセフが動揺する様子はまったくない。  外国人である彼にとっては、日本人では標準サイズに入るかがみの乳房でも小さい部類に入るのだろう。  先ほどの会話を思い出し、かがみはムッとする。  思わず彼の肉をつねろうかと考えたくらいだ。しかし、かがみはジョセフの鍛えられた肉体には体脂肪率が一桁だろうなと思い、余計にへこむ結果になっただけだった。 「かがみん、さっきから黙ってどうした? 胸が小さいこと気にしてんのか? だったらいい話があるぜ。AAカップがCカップになる不思議な下着もあるんだ、世の中」 「その呼び方やめて……てか、寄せてあげるブラじゃない」 「気になさんなって。なんなら、か・がーみんって呼ぼうか?」 「何で呼び方の方なのよ! だいたい、区切るところが変!!」 「Oh~ブラの方だったか。意外と小さいのを気にしてんのね」 「この、スカタン!!」  かがみがジョセフの太い首を締め上げ、ジョセフが苦しげな声をあげながら降伏の意を示す。  スピードを一切緩めないため、全然説得力がなかったが。  ジョセフの首から、力を込めていた腕を緩め、かがみは引き続きまわりを見渡す。  彼女が探す、『ある店』を見つけられず、不満を爆発させる。 「も~、何でブティックや古着屋が見つかんないのよ!!」 「服売ってそうなところや、店員の制服とかも探したのにな。 あれだ、貴重なサービスシーン担当だってことだな。我が友か・がーみんは」 「こんの~~、スカタン!!」  本日二度目のスカタンは、拳固と共に発せられた。 □ 「いってぇ~、本気で殴りやがった。まだジンジンするぜ」  軽口の代償に痛む頭部を撫でながら、ジョセフは一人街を走る。  かがみは近くの民家に待機させている。あの後かがみがくしゃみをして、さすがに身体が冷えたのだろうと思い、羽織るものの探索に一人出たのだ。  離れる時かがみは不安そうな表情をしていたため、早く戻ろうとジョセフは全速力で街を駆ける。 「それにしても、本当に服が見つからん。マジであのハゲジジイはかがみをサービス担当にしてニヤニヤスケベ面してんじゃねえか?」  この戦いを観察し、一人ニヤニヤしている光成を思い浮かべ、ジョセフは吐き捨てる。  もっとも、当の光成はジョセフが思うような恵まれた環境におかれているわけではないが、ジョセフが知ることはない。  かがみを長い間一人にはしておけないと、更に加速しジョセフは駅前に辿り着いた。 「売店とかになんか残っていないかな~っと。 駅があるってことは、汽車が走っているってことか? まあ、それよりも先に服だ、服。 個人的にはあのままでもいいんだけど」  かがみが聞いたら、ジョセフの評価を更に下げるような事を呟く。  ジョセフも本気でそう思っているわけではないが、目的の物が見つからないために少しめげそうになっているのだ。  ジョセフでは何の目的で作られたか分からない、改札の前で頭を抱えて佇む。  ふと視線を向けると、ダンボールが立てられた場所に薄汚れたコートを発見する。  風を遮るように立てられたダンボールの中央には、古新聞が敷かれており、誰か暮らしていたような雰囲気を醸し出していた。  ジョセフの時代には失業者など腐るほどいたため、気にせずに失礼しま~すと、軽い口調で中へと侵入していく。 「お、ちょうどいいのがあるじゃん。ちょっと匂うけど、かがみもこれなら納得してくれるだろ! まっていろよ、我が友、か・がーみん!!」  一人でもおどける事を忘れず、ジョセフはコンクリートで舗装された道を戻る。  彼が去った後には、空き缶で満杯のリアカーだけが残されていた。 □ 「ジョジョ遅いなぁ……」  かがみはため息を吐き、外の様子を窺って呟いた。  本当はジョセフが服を探しに出かけてから十分も経っていない。  さすがに待つ間、家の中とはいえ上半身裸では寒気がする。  くしゅんと、ジョセフが服を探しに出るきっかけになったくしゃみをし、家の中にはあるものがないか探索をする。  木製の床を踏んで歩きながら、周りを見渡す。  大きなソファーと机、大きなテレビがある。自分たちのように夜には家族が揃ってここでテレビを一緒に見ていたのかもしれない。  大きな庭が窓の先にあり、主を失った犬小屋が寂しげに置かれてある。  リビングを出て書斎や寝室のある一階を回り、衣服類を一つも見つけられなかったかがみは二階へと向かう。  勉強部屋だろうか、自分の部屋を思い出し、かがみは懐かしむ。  家に帰れなくなってから、まだ一日も経っていない。なのに、二度と戻れない遠い場所のように思える。  この部屋の端に存在するベットが、かがみが風邪で寝込んでいた時、見舞いに来たみゆきの人柄の良さを思い出した。  涙を拭い、前に進むと決めた瞳を向ける。その瞬間、かがみは偶然目の前のクローゼットを発見した。  みゆきの事を思い出していたのに、衣服があるかもしれないという期待をすることに罪悪感を抱く。  それでもこの格好から開放されるという魅力には叶わず、かがみはクローゼットへと歩み寄った。  結果としてはクローゼットの中は空であり、現実は非常であった。 「はぁ~」  期待を裏切られたかがみはため息を吐きながら一階の台所へと降りてくる。  期待していた分だけ、空回りすると余計落ち込むのは人の常であった。  静かさが演出する不気味さを、みゆきに対する罪悪感でかがみは塗りつぶしており、椅子に腰をかけて突っ伏す。 「ごめんね、みゆき、灰原さん、桂さん」  答えは返らない。もしも生きていたのなら、どんな返事をしたのか、かがみは気になるが答えを知る術はない。  死ぬ時は安らかに死ねただろうか? 三人を殺した無慈悲な殺人鬼は誰であろうか?  気にしだすと止まらなくなり、こんな時はジョセフの軽口を無性に聞きたくなる。  そこでかがみはジョセフは自分の気を紛らわせるために軽口を叩いているのではいかと思い、少し見直す。  が、かがみの脳裏に胸の事を馬鹿にして、HAHAHAと外人臭い笑い方をするジョセフが描かれ、評価を上げるのを思いなおす。  過大評価は必要ない。頭に血管を浮かばせ、かがみはそう心に決めた。  次に思い出すのは、あの赤い戦士。  どこか虫を髣髴させながらも、スタイリッシュにまとめたフォルムに赤い仮面。  忍者のような技や手裏剣を放つ彼は、かがみを殴ろうとして明らかに戸惑っていた。  ジョセフが言うには、強い相手と戦うことを喜ぶタイプだとのことだが、かがみに拳を当てなかったその無機質な緑眼に、悲しみを覗き見た気がするのだ。 (もしかしたら、あの人も私たちと一緒に戦ってくれるかも……)  淡い期待を寄せるその戦士は、皮肉にも彼女の双子の妹の探し人でもあった。  ジョセフと合流したら、その話もしようかと脳裏に書き留める。  考えがまとまり、かがみはゆっくりと顔を上げる。そのかがみの視線の先には……  かがみがいるであろう民家のドアをジョセフはたたき、鍵を開ける事を催促する。 「ノックしてもしもお~し……って、シンちゃんのときにやったか。 かがみん、俺だ。ジョジョだ。呼び方気に入らないなら、か・がーみんって呼ぼうか?」 「呼ばなくていいわよ! 何気に気に入っているの? その呼び方!?」 「お、ちゃんといるじゃん。早く開けれくれよ~」 「鍵を開けるけど、ちょ、ちょっと待ってね」  ジョセフはその声に構わず、鍵があくと同時にドアを開ける。  戦利品を手にして、ジョセフはホクホク顔で玄関に上がりこんだ。 「いや~、身体冷やすとさすがにいけないって。俺が持ってきた……」  ジョセフは最後まで言葉をいいかけて止まる。  彼が目にしたかがみは、ここを出かえる前と変わらずタイツをはいている。  出かける前と違うのは上半身。白い肢体にかけられている、白い布。背中は相変わらず肌を晒している。  エプロンを裸の上半身につけ、青少年には刺激の強い姿にかがみはなっていた。  ジョセフは口をあんぐりあけ、やがて表情を引き締める。 「かがみ、俺は妻がいるんだ。その、誘惑されても……なんだ、困る」  ジョセフは真面目な顔でかがみを見つめ……いや、かがみの胸を見つめて戸惑いながら告げる。 「俺はロリコンでもないし……」 「このぉぉぉぉぉぉ!! スカタンンンンンンン!!!!」  本日かがみの三度目のスカタンと共に全身全霊を込めたとび蹴りがジョセフの鳩尾にヒットした。 「乱暴だな、か・がーみんは」 「その呼び方やめてっていったでしょう。だいたい、人が説明しようとしているのに無視して入るし」 「せっかく人がそれよりマシな格好になるもん手に入れてきたのに」 「それは……あ、ありがとう」  本気で感謝を込めてかがみは礼を言う。殺し合いが行われているのは、放送が物語っている。  殺人鬼が徘徊しているかもしれない街中を、自分のために服を探してくれたのだ。ジョセフには感謝してもし足りない。  それに、こなたが喜びそうな卑猥な格好から逃れられると思うと、素直に嬉しくてしょうがない。  絶対こなたと再会して、この格好だったら彼女はこういう。 『かがみ、裸エプロンに首輪……それなんてエロゲー?』  表情まであっさりと思い浮かべれたかがみは、そんな状況は真っ平ごめんだと首を振る。  疲れた表情のかがみをジョセフは不思議そうに見つめていた。 「どうした、か・がーみん」 「いや、この格好を喜びそうな奴がいるのよ……」 「男なら誰でも喜ぶぜ」 「……いや、そいつは女よ」  かがみの言葉を聞いて、ジョセフは驚愕する。  あまりにも驚いているため、かがみは自分が何か迂闊な事をいったのではないか、不安になる。それも一瞬だけだったが。 「か・がーみんはその気があったのか!? Oh My God!! もったいねー!! 現在はともかく、将来は期待大なのに!!」 「ないわ!!」  今度のツッコミはあっさりジョセフに避けられ、かがみは悔しげに拳を震わせる。  HAHAHAとジョセフはわざと外人臭い笑い声をあげて挑発してくる。 「なんだかあんたといると、あいつの事を思い出すわ」 「へえ、女なのに男前ってか?」 「いや、なんかくらげっぽいところが」 「く、くらげ……か・がーみんの俺に対する印象っていったい……」  妙にショックを受けるジョセフを前に、かがみは内心ガッツポーズをとる。  実はジョセフを殴る時は、殴ったかがみのほうがダメージが大きかったりするからだ。  くだらない戦いを一段落させ、ジョセフがかがみに収穫を伝える。 「かがみ、ようやく手に入れたぜ。……ちょっと臭うけど」 「え、嘘! 本当、ありがとう! ……まあ、臭いくらいなら」  二人とも語尾が小さくなり、ジョセフがごそごそと収穫物を取り出す。  かがみはわくわくしながら、ジョセフが手に入れた物を待ち続けた。  取り出されたものは…… 「ん? どうした、か・がーみん。嬉しくないのか? やっぱり臭いがきついか?」 「え……いや、そ、そんなことないわよ! 臭いはそんなに酷くない……臭いは」  不思議そうに首を傾げるジョセフに、かがみは言う。  ジョセフが取り出したのは薄汚れたコート。臭いはかがみが告げたように、さほど酷くはない。  ないのだが、現在のかがみはしつこいようだが、上半身裸なのだ。  下半身だって、つけているかどうか微妙なラインである。  そんな中、コートを羽織れば変質者のような気がする。かがみの脳裏に、コートの前を開けて全裸を晒す変態を思い浮かべ、げんなりする。  そういえば、こなたがあんまり趣味じゃないといっていたゲームに、似たような状況の話があった。 『かがみ、それなんて鬼畜ゲー?』  悪夢だとかがみは頭を振るが、ジョセフの行為を無駄に出来ないし、ないよりマシだ。  下にエプロンをつけたままにするかかがみは少し悩んで、やがて取る。  万が一、激戦を使うような事態に陥れば、代わりに羽織るものとして使えるからだ。  もっとも、そんなことは二度と起きないようにとかがみは願うが。 (全裸にコート……こなたには……いや、誰にも見せたくない姿だ。代わりの服を早く見つけなくちゃ)  かがみはよりいっそう服を見つけるという決意を強める。  傍から見ると、マヌケな姿でもあった。 「それじゃあ、ボウリング場へと向かいますか。シンちゃんもその内来るだろうし」 「……ねえ、ジョジョ。このコート、どこで見つけたの?」 「ああ、駅があってさ、そこで見つけた。シンジと合流したら汽車にでも乗って旅をするか?」  汽車という言葉にかがみは首を傾げるが、駅があるという方向に視線を向ける。  ジョセフはその様子を不審に思い、声をかける。 「かがみ、どうした?」 「ジョジョ…………」  ジョセフは無言で先を促す。表情はいつもの通り、どこかいたずらっ子のような顔をしている。  かがみの真剣さを声色で読み取ったのだろう、茶化す気配は一向になかった。 「みゆきたちと別れるとき……私は吸血鬼をひきつけて、みゆきたちは駅で逃げたの……。 だから、みゆきたちは……きっとどこかの駅で…………死んで……」  かがみの声がどんどん小さくなり、最後は嗚咽が混じる。  もう泣かないと決めたはずなのに、頑張ると決めたはずなのに、かがみの涙は意思に逆らって流れてくる。  こんなことでは自分を助けてくれたジョセフに申し訳ないと、涙を拭うが、何度拭っても拭い足りない。  涙の止まらないかがみに、ジョセフは静かに歩み寄って涙を拭う。 「なあ、かがみ。シーザーの話をしたよな。 俺、あいつが死んだとき最初は思いを受け継いで、前に進もうと思った。俺たちの波紋の先生リサリサもあえて冷徹さを装って、前に進もうとした」  かがみは目をぱちくりさせ、ジョセフを見つめる。  いつにもなく、ジョセフの表情は真剣で、どれほど亡き友を思っているかを読み取れる。 「けどな、俺もリサリサも瓦礫の下から流れる、シーザーの血を見てみっともなく泣いた。敵地のど真ん中なのにな」 「ジョジョが…………?」  その事実はかがみにとって信じられないものだ。  かがみが見てきたジョセフは、身体を焼かれてもかがみを救うために全力で立ち向かってきた。  とても今の自分のように泣くような弱さを見出せない。 「ああ。だけどな、それでよかったんだ。 俺もリサリサも、それでシーザーの死を確認できて、きっちり片をつける覚悟が出来たからな」  ジョセフは踵を返して、駅の方向へと向かう。  かがみは慌てた後を追い、声をかける。 「ちょっと、そこはボウリング場じゃ……」 「かがみ、お前の友達を探してやろうぜ。こんなところで殺人鬼に襲われてはい、さよならじゃ可哀想過ぎる。 それに、俺たちのようにかがみが友達の死に決着をつけなくちゃいけない。安心しなさい。 悪党はこのジョジョがぶちのめすからよ!」  力強く宣言するジョセフに、かがみの涙腺は決壊し表情を崩す。  そのかがみにジョセフは焦り、やがてかがみは涙を浮かべながらも、笑う。 「ありがとう、ジョジョ」 □  ボウリング場から出てくるかがみを見つけ、ジョセフは大きく手を振る。  ちなみに、服の類はここにもなかった。ここまで来ると嫌がらせのような気がする。 「か・がーみん、メモは置いてきたか?」 「うん、私のメモを張っておいた」 「よし、シンジもこれで俺たちを追いかけるだろう。運が良けりゃあまた合流できるさ」 「でも……三村が危なくない?」 「あのシンジがこの程度でくたばるタマかい」  あっさりとジョセフは言い切り、かがみを背負おうとする。 「ジョジョ、私は大丈夫だって。もう疲れもないし」 「そう? まあ、つらくなったらいつで声をかけな」  妙に男らしい事を言うジョセフにかがみは素直に頷きかけて、やっぱりやめる。  これ以上ジョセフに迷惑をかけれない。かがみは静かに首を振った。 「大丈夫、私は歩くよ。ジョジョ」  ジョセフは後ろを振り返り、いつものように明るい表情をかがみに向けた。  かがみにとってその笑顔は、何百人の味方をつけたような心強さがある。 「だって、みゆきや灰原さん、桂さんに誇れるようになりたいから。 きっと、三人の死体を見つけたらみっともなく泣くだろうけど……絶対決着をつける。片をつける。 だからジョジョ、今は歩かせて」 「……へへ、もちろんいいに決まっているだろ!!」  ジョセフは嬉しそうに身体を伸ばしながら立ち上がる。  力強く頷くかがみを守るようにジョセフは彼女の傍に立った。 「じゃあ、かがみの友達を殺した悪党を懲らしめに行きますか!」  燃える思いを胸に、ジョセフが吠える。二人が力強く歩む先には駅がある。  二人が右足を前に出し、一歩前に進んだ時、 「くしゅん!」  風が吹いて、かがみの身体が冷えてついくしゃみをする。  やはり、全裸にコートではまだ寒い時期のようだった。 【G-8 ボウリング場前/一日目 夕方】 【ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態]:健康、顔面にマジシャンズ・レッドの拳によるダメージ [装備]:ハイパーヨーヨー×2(ハイパーミレニアム、ファイヤーボール)、 [道具]:支給品一式 [思考・状況] 基本:あのスカタンを一発ぶん殴ってやらねぇと気が済まねぇ~~。 1:かがみを三人の友達の死に対して決着をつけさせる。 2:1のために駅周辺を探索。三人を殺した悪党をぶちのめす。 3:三村とそのうち合流。 4:マップの端を見に行く。 5:「DIO」は警戒する、一応赤石も探しとくか……無いと思うけど。 6:ところで、何で義手じゃないんだ? 7:赤ムシ野郎(ZX)にはもう会いたくねぇな [備考] ※二部終了から連れてこられていますが、義手ではありません。 ※承太郎、吉良、DIOの名前に何か引っかかっているようです。 ※水を使うことで、波紋探知が可能です。 ※村雨が西の方角へ行ったと勘違いしています ※三村の留守電を聞き逃しました。 【柊かがみ@らき☆すた】 [状態]:左肩、左脇腹に打撲、精神消耗(大)、 [装備]:核鉄「激戦」@武装錬金、マジシャンズレッド(魔術師の赤)のDISC@ジョジョの奇妙な冒険     江頭2:50のタイツ、上半身裸に汚れたコート [道具]:白いエプロン [思考・状況] 基本:生きる 1:みゆきたちの死と決着をつける。 2:そのために駅周辺を探索する。 3:殺し合いには乗らない、脱出を目指す 4:ジョセフについていく。 5:こなた、つかさと合流する 6:三村に謝りたい 7:ま と も な ふ く が ほ し い (切実) [備考] ※アーカードを不死身の化け物と思っています。 ※「激戦」は槍を手から離した状態で死んだ場合は修復せずに死にます。  持っている状態では粉々に吹き飛んでも死にませんが体の修復に体力を激しく消耗します。  常人では短時間で三回以上連続で致命傷を回復すると意識が飛ぶ危険があります。  負傷して五分以上経過した患部、及び再生途中で激戦を奪われ五分以上経過した場合の該当患部は修復出来ません。  全身を再生した場合首輪も再生されます。  自己修復を利用しての首輪解除は出来ません  禁止エリア等に接触し首輪が爆破した場合自動修復は発動しません。 ※マジシャンズレッドの火力は使用者の集中力によって比例します。  鉄を溶かすほどの高温の炎の使用は強い集中力を要します。  火力センサーは使用可能ですが精神力を大きく消耗します ※精神消耗のためしばらくマジシャンズ・レッドは出せません ※三村の留守電を聞き逃しました。 ※ボウリング場にかがみのメモを張っています。 |152:[[【裏】貴重な貴重なサービスシーン]]|[[投下順>第151話~第200話]]|154:[[新しい夜が来た、闘争の夜だ]]| |151:[[小さな死 ~ La Petite Mort ~]]|[[時系列順>第3回放送までの本編SS]]|154:[[新しい夜が来た、闘争の夜だ]]| |144:[[らき☆すた 第X話 あるいはこんな日常]]|ジョセフ・ジョースター|176:[[波紋の記憶]]| |144:[[らき☆すた 第X話 あるいはこんな日常]]|柊かがみ|176:[[波紋の記憶]]| ----

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