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「第三回定時放送 ~契約~」(2013/12/07 (土) 23:09:03) の最新版変更点
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**第三回定時放送 ~契約~ ◆iL739YR/jk氏
AM 4:20
森田はひた走る。
今成すべきことは残された時間に対してあまりに多すぎる。
一つ、首輪を回収すること
一つ、権利を譲渡可能な人材と接触すること
一つ、南郷との待ち合わせ場所へ向かうこと
一つ、ギャンブルルームにたどり着くこと
残り時間はおよそ1時間半…流石に森田の顔にも焦りが浮かぶ……
その焦りはやがて顔だけでなく、全身へと回り……
「!?……うわぁぁ!!」
躓くっ…! 足元の段差に気づかず、派手に声を上げ、転がるっ…!
「(何をしている…こんなことで時間を無駄にしている場合じゃ……)」
立ち上がろうとするも軽く足をくじいたのか、うまく立ち上がれない…
「…そこのお前、何してる?」
不意にかけられた声に森田は慌てて振り返った。
AM 4:35
「放送まであと1時間半はあるな……」
落ち着きを取り戻したカイジに芽生えるのは、 やはり田中沙織の捜索を再開したいという気持ちであった。
零の助言は確かに助けとなった。
冷静にまとめ上げた情報はこれからどう動くにせよ、必ず役に立つはずだ。
「カイジさん、この情報を見てどう思ったのか…だいたい察しはつきます。それでも、今慌てて飛び出すことは避けるべきです! せめて…せめて放送は落ち着いて、ここで聞いていってください…お願いします…」
頭を下げ、頼み込む零の姿にカイジは迷う……
田中沙織の捜索は急務…だが……
「俺もそう思うぞ…イトウカイジ…!」
カイジと零は小屋の入り口を見合う。
そこにいたのは、涯と沢田に連れられてやって来た森田鉄雄だった。
AM5:15
「なるほど…主催、帝愛とのギャンブルってわけか……」
森田は、主催との契約内容、今は壊れたフロッピー、村岡の死体等、これまでの自分の行動を簡単に説明した。
無論、銀二との筆談内容は伏せているが……
契約書を見ながら、それを聞いたカイジは己れの経験を振り返り、しみじみと森田に向けて呟いた。
「ああ、もう時間もない。そこでだ…頼みがある。宇海零…!」
「…首輪の提供と、エリア解除権の譲渡……ですね?」
「流石に聡明だな。話が早くて助かる…」
森田の幸運は、声を上げて躓いたおかげでカイジと零に接触出来たこと、そして、両者を比較することが出来たこと。
「(カイジ…お前は優しい人間だ。田中沙織の捜索を熱望しているくらいに……だが、そうである以上、俺はお前に解除権は託せない)」
実際に両者を目の前にし、その資質…比較しようがないほど秀逸…!
銀さんが目をつけるのも無理がない……!
だが、強いていうならば…零を選ぶ。
今のカイジでは、打倒主催よりも、田中沙織との再会を優先させる可能性を拭い去れない…!
「それで…首輪はいくつ必要なんだ?」
涯は厳しい口調、鋭い眼差しで森田に問いかける…事と次第によってはただでは済まさないとでもいわんばかりに。
「涯くん…心配いらない。首輪はあと一つで十分だ。赤松の墓を荒らすようなことは決してしない…!」
森田とてその理由を察することの出来ぬほど愚鈍ではない。
優しく語りかけるように返答し、再び零と向き合う。
「俺の申し出…受けてくれるか、宇海零くん?」
森田の言葉を聞き、真剣な面持ちで何か考えていた零の顔が一瞬曇る…何か良くないことに気づいたかのように……
「……分かりました。森田さんが契約達成した場合、『解除権を譲り受けます』!」
しかし、表情一変。そう言うと、零は首輪を取り出し、森田に手渡す。
「森田さん…すみません…俺、こんなことしか出来ません…それでも…本当に…」
「大丈夫だ…ありがとう…零くん!」
本当はもう少しここで話していきたい。
だが、森田には時間がない……
そして……森田は悩むも信じる。
僅かな時間しか話していないが、目の前の彼らを…!
「これは俺がフロッピーの情報を…覚えきれずに書けるだけ書いたメモだ…何かの参考にしてくれっ…!」
手帳を床に置き、そう言うと、森田は立ち上がる。
「騒がせて悪かった。首輪は大切に使わせてもらう…それと、カイジ…!」
森田は真剣な眼差しでカイジを見つめる。
「お前が田中さんに会いたい気持ちはよく分かる…分かるが…それでも、割り切れ! 彼女を見捨てる、というのではなく … 一刻も早く…主催を倒すことが、田中沙織を救うことに繋がると割り切れ…! 俺はそうしている……」
「森田……」
カイジと森田…どこか似通った二人の間に緊張が走る…
「世話になった…じゃあ、運が良ければ…また会おう!」
軽く挫いていた足の痛みも気にせず、慌てて飛び出す森田。
「後は頼んだぜ……」
小屋を振り返り、森田はそう呟いた。
AM 5:55 G-5 ホテル前
「(…時間がない。あと5分……)」
南郷との約束の時間はすでに1時間近く遅れている。
道中、何もトラブルに巻き込まれなかったのは流石森田の強運というべきか。
「(足の痛みなんか気にしてられるか…今は、早くG-6のギャンブルルームへ!)」
AM 5:59 G-6 ギャンブルルーム前
「(南郷…いないか…)」
ひたすらに駆けてきた森田。
ゴールに待つべき仲間はいない…それが何を意味するのか……
今はそれに思いを馳せるべきではない…心の中で南郷に詫びながらも…森田はギャンブルルームに駆け込む。
「使用料は…」
「ほらよ、1人分だ!」
森田は乱雑に、黒服にチップを渡す。それを黒服が丁寧に確認する時間さえもどかしい。
「確かに…入れ」
開かれた扉…駆け込んだ森田は開口一番に宣言する!
「首輪は集め終わった。契約達成だ!」
AM 6:00
第三回定時放送が鳴り響く。
~~~~~~~~~~~
「…参加者の諸君、黒崎だ…これより第三回定時放送を行う。
例のごとく、今回も復唱はしない……よく聞いてくれたまえ…
ではまず、前回から今回の放送までの間に敗れ去った敗者の名を発表する。
『天貴史』、『石田光司』、『村岡隆』、『治』、『利根川幸雄』、『市川』、『南郷』、『遠藤勇次』
以上8名。再びペースが上がってきたこと、非常に結構だ……
勝つためには、弱者を切り捨てるしかないということを、皆、良く分かってきたようだな。
その調子で隙あらばどんどん勝利することだ…健闘を祈る…
続いて、禁止エリアを発表する。
重要事項であるため、聞き逃さないように願いたい……
『E-2』、『C-5』
……以上の2箇所だ。
最後に…諸君、前回の放送を覚えているだろうか?
このゲームに不満を感じ、抵抗を試みようとしている一部の参加者には“それ相応”の報いがあるという話を…?
この放送が最終警告だ…そろそろ真剣に現状を見直すことをお勧めする。
……では、以上で放送を終了する。 引き続き、諸君の健闘を祈る」
~~~~~~~~~~~~
AM 6:02
「さて、森田くん。契約の確認といこうか…」
放送を終えた黒崎は即座にモニタと音声を切り替え、森田と対話し始める。
「ああ…約束通り、『第三放送終了前』までに、俺は首輪を揃えてギャンブルルームにやってきた…その辺の時刻は、そちらの方がしっかり把握出来てるだろ?」
「確かに…到着時刻は契約に反していない…が、肝心の首輪の個数は……?」
森田はバックから取り出した首輪をテーブルの上に並べる。
「死体から回収した首輪が3個…そして……」
ゆっくりと…それでいて力強く…森田は己れの首を指差す。
「森田鉄雄の首輪が1個…これで首輪6個カウント達成…契約成立だっ……!」
ざわ…
ざわざわ……
予想はしていた…
しかし、森田の胸はざわめく……
己れの首輪を主催に明け渡す…その意味はすなわち……
「…よかろう。森田鉄雄、契約達成だ」
黒崎のこの一言に森田はほっと一息つくも、まだざわめきは止まらない。
「権利の譲渡の件は…?」
「先ほど宇海零との会話音声を確認した。権利の譲渡も問題ない…森田…ご苦労様……そして……さようなら…!」
AM 6:02 E-3 民家
放送を聞き、皆、それぞれ思うところがある……
中でも、零が気になるのは一点…
「(放送で呼ばれなかった…森田さんの名前が……)」
詰まるところ、零は森田が自分の首輪を主催に明け渡すつもりだと見抜いていた。
他のメンバーは契約書の存在に気を取られ、そこまで気が回っていなかった、もしくはカイジのように他のことに気が向いていたか……
とにかく、森田が契約達成した場合に、その命が失われるであろう可能性にたどり着いていたのは、あの時点では零だけであった。
森田が零に解除権を譲渡したのは、その辺の聡明さも見抜いてのことであろうが……
「(森田さんが死んでいない…これは契約が達成されていないと見るべきなのか…それとも……?)」
零は考え、そして口を開く。
「皆さん…俺は…森田さんが契約を達成し、エリア解除権が俺に『譲渡』されたものとして、これから動きます…!」
AM 6:03 G-6 ギャンブルルーム
「…俺は、生きてるのか?」
首輪に手を触れ、まだ自分の元に残っていることを森田は確認する。
「勘違いしてもらっては困るよ、森田くん。我々はそう簡単に参加者に死んでもらっては困るのさ……」
黒崎は嫌な笑みを浮かべながら、森田に話しかける。
「私は『これまでの君』にさようなら…と言ったに過ぎない…君の首輪は我々が『回収』した。君は為すべきことをしてほしい…我々の望む…為すべきことをね……」
「…そういうことか。外道が…! 俺が素直に従うとでも…?」
「君に拒否権はない…放送を聞いていなかったのか…?」
『抵抗を試みようとしている一部の参加者には“それ相応”の報いがある』
『この放送が最終警告だ…』
『真剣に現状を見直すことをお勧めする』
「我々が『回収』した首輪をいつ、どのタイミングで『処分』するかなど、こちらの自由だ…生き残るには他の参加者を始末し、優勝する以外ありえない……どうだね、『現状を見直すことをお勧めする』よ…森田くん…?」
|154:[[暗涙]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:[[投下順>本編投下順]]|156:[[集約]]|
|153:[[帰参]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:[[時系列順>本編時間順]]||
|146:[[主催]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:森田鉄雄|161:[[巨獣]]|
|147:[[分別]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:伊藤開司|156:[[集約]]|
|147:[[分別]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:宇海零|156:[[集約]]|
|147:[[分別]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:工藤涯|156:[[集約]]|
|147:[[分別]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:沢田|156:[[集約]]|
|141:[[深緋な虚言]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:黒崎義裕|161:[[巨獣]]|
**第三回定時放送 ~契約~ ◆iL739YR/jk氏
AM 4:20
森田はひた走る。
今成すべきことは残された時間に対してあまりに多すぎる。
一つ、首輪を回収すること
一つ、権利を譲渡可能な人材と接触すること
一つ、南郷との待ち合わせ場所へ向かうこと
一つ、ギャンブルルームにたどり着くこと
残り時間はおよそ1時間半…流石に森田の顔にも焦りが浮かぶ……
その焦りはやがて顔だけでなく、全身へと回り……
「!?……うわぁぁ!!」
躓くっ…! 足元の段差に気づかず、派手に声を上げ、転がるっ…!
「(何をしている…こんなことで時間を無駄にしている場合じゃ……)」
立ち上がろうとするも軽く足をくじいたのか、うまく立ち上がれない…
「…そこのお前、何してる?」
不意にかけられた声に森田は慌てて振り返った。
AM 4:35
「放送まであと1時間半はあるな……」
落ち着きを取り戻したカイジに芽生えるのは、 やはり田中沙織の捜索を再開したいという気持ちであった。
零の助言は確かに助けとなった。
冷静にまとめ上げた情報はこれからどう動くにせよ、必ず役に立つはずだ。
「カイジさん、この情報を見てどう思ったのか…だいたい察しはつきます。それでも、今慌てて飛び出すことは避けるべきです! せめて…せめて放送は落ち着いて、ここで聞いていってください…お願いします…」
頭を下げ、頼み込む零の姿にカイジは迷う……
田中沙織の捜索は急務…だが……
「俺もそう思うぞ…イトウカイジ…!」
カイジと零は小屋の入り口を見合う。
そこにいたのは、涯と沢田に連れられてやって来た森田鉄雄だった。
AM5:15
「なるほど…主催、帝愛とのギャンブルってわけか……」
森田は、主催との契約内容、今は壊れたフロッピー、村岡の死体等、これまでの自分の行動を簡単に説明した。
無論、銀二との筆談内容は伏せているが……
契約書を見ながら、それを聞いたカイジは己れの経験を振り返り、しみじみと森田に向けて呟いた。
「ああ、もう時間もない。そこでだ…頼みがある。宇海零…!」
「…首輪の提供と、エリア解除権の譲渡……ですね?」
「流石に聡明だな。話が早くて助かる…」
森田の幸運は、声を上げて躓いたおかげでカイジと零に接触出来たこと、そして、両者を比較することが出来たこと。
「(カイジ…お前は優しい人間だ。田中沙織の捜索を熱望しているくらいに……だが、そうである以上、俺はお前に解除権は託せない)」
実際に両者を目の前にし、その資質…比較しようがないほど秀逸…!
銀さんが目をつけるのも無理がない……!
だが、強いていうならば…零を選ぶ。
今のカイジでは、打倒主催よりも、田中沙織との再会を優先させる可能性を拭い去れない…!
「それで…首輪はいくつ必要なんだ?」
涯は厳しい口調、鋭い眼差しで森田に問いかける…事と次第によってはただでは済まさないとでもいわんばかりに。
「涯くん…心配いらない。首輪はあと一つで十分だ。赤松の墓を荒らすようなことは決してしない…!」
森田とてその理由を察することの出来ぬほど愚鈍ではない。
優しく語りかけるように返答し、再び零と向き合う。
「俺の申し出…受けてくれるか、宇海零くん?」
森田の言葉を聞き、真剣な面持ちで何か考えていた零の顔が一瞬曇る…何か良くないことに気づいたかのように……
「……分かりました。森田さんが契約達成した場合、『解除権を譲り受けます』!」
しかし、表情一変。そう言うと、零は首輪を取り出し、森田に手渡す。
「森田さん…すみません…俺、こんなことしか出来ません…それでも…本当に…」
「大丈夫だ…ありがとう…零くん!」
本当はもう少しここで話していきたい。
だが、森田には時間がない……
そして……森田は悩むも信じる。
僅かな時間しか話していないが、目の前の彼らを…!
「これは俺がフロッピーの情報を…覚えきれずに書けるだけ書いたメモだ…何かの参考にしてくれっ…!」
手帳を床に置き、そう言うと、森田は立ち上がる。
「騒がせて悪かった。首輪は大切に使わせてもらう…それと、カイジ…!」
森田は真剣な眼差しでカイジを見つめる。
「お前が田中さんに会いたい気持ちはよく分かる…分かるが…それでも、割り切れ! 彼女を見捨てる、というのではなく … 一刻も早く…主催を倒すことが、田中沙織を救うことに繋がると割り切れ…! 俺はそうしている……」
「森田……」
カイジと森田…どこか似通った二人の間に緊張が走る…
「世話になった…じゃあ、運が良ければ…また会おう!」
軽く挫いていた足の痛みも気にせず、慌てて飛び出す森田。
「後は頼んだぜ……」
小屋を振り返り、森田はそう呟いた。
AM 5:55 G-5 ホテル前
「(…時間がない。あと5分……)」
南郷との約束の時間はすでに1時間近く遅れている。
道中、何もトラブルに巻き込まれなかったのは流石森田の強運というべきか。
「(足の痛みなんか気にしてられるか…今は、早くG-6のギャンブルルームへ!)」
AM 5:59 G-6 ギャンブルルーム前
「(南郷…いないか…)」
ひたすらに駆けてきた森田。
ゴールに待つべき仲間はいない…それが何を意味するのか……
今はそれに思いを馳せるべきではない…心の中で南郷に詫びながらも…森田はギャンブルルームに駆け込む。
「使用料は…」
「ほらよ、1人分だ!」
森田は乱雑に、黒服にチップを渡す。それを黒服が丁寧に確認する時間さえもどかしい。
「確かに…入れ」
開かれた扉…駆け込んだ森田は開口一番に宣言する!
「首輪は集め終わった。契約達成だ!」
AM 6:00
第三回定時放送が鳴り響く。
~~~~~~~~~~~
「…参加者の諸君、黒崎だ…これより第三回定時放送を行う。
例のごとく、今回も復唱はしない……よく聞いてくれたまえ…
ではまず、前回から今回の放送までの間に敗れ去った敗者の名を発表する。
『天貴史』、『石田光司』、『村岡隆』、『治』、『利根川幸雄』、『市川』、『南郷』、『遠藤勇次』
以上8名。再びペースが上がってきたこと、非常に結構だ……
勝つためには、弱者を切り捨てるしかないということを、皆、良く分かってきたようだな。
その調子で隙あらばどんどん勝利することだ…健闘を祈る…
続いて、禁止エリアを発表する。
重要事項であるため、聞き逃さないように願いたい……
『E-2』、『C-5』
……以上の2箇所だ。
最後に…諸君、前回の放送を覚えているだろうか?
このゲームに不満を感じ、抵抗を試みようとしている一部の参加者には“それ相応”の報いがあるという話を…?
この放送が最終警告だ…そろそろ真剣に現状を見直すことをお勧めする。
……では、以上で放送を終了する。 引き続き、諸君の健闘を祈る」
~~~~~~~~~~~~
AM 6:02
「さて、森田くん。契約の確認といこうか…」
放送を終えた黒崎は即座にモニタと音声を切り替え、森田と対話し始める。
「ああ…約束通り、『第三放送終了前』までに、俺は首輪を揃えてギャンブルルームにやってきた…その辺の時刻は、そちらの方がしっかり把握出来てるだろ?」
「確かに…到着時刻は契約に反していない…が、肝心の首輪の個数は……?」
森田はバックから取り出した首輪をテーブルの上に並べる。
「死体から回収した首輪が3個…そして……」
ゆっくりと…それでいて力強く…森田は己れの首を指差す。
「森田鉄雄の首輪が1個…これで首輪6個カウント達成…契約成立だっ……!」
ざわ…
ざわざわ……
予想はしていた…
しかし、森田の胸はざわめく……
己れの首輪を主催に明け渡す…その意味はすなわち……
「…よかろう。森田鉄雄、契約達成だ」
黒崎のこの一言に森田はほっと一息つくも、まだざわめきは止まらない。
「権利の譲渡の件は…?」
「先ほど宇海零との会話音声を確認した。権利の譲渡も問題ない…森田…ご苦労様……そして……さようなら…!」
AM 6:02 E-3 民家
放送を聞き、皆、それぞれ思うところがある……
中でも、零が気になるのは一点…
「(放送で呼ばれなかった…森田さんの名前が……)」
詰まるところ、零は森田が自分の首輪を主催に明け渡すつもりだと見抜いていた。
他のメンバーは契約書の存在に気を取られ、そこまで気が回っていなかった、もしくはカイジのように他のことに気が向いていたか……
とにかく、森田が契約達成した場合に、その命が失われるであろう可能性にたどり着いていたのは、あの時点では零だけであった。
森田が零に解除権を譲渡したのは、その辺の聡明さも見抜いてのことであろうが……
「(森田さんが死んでいない…これは契約が達成されていないと見るべきなのか…それとも……?)」
零は考え、そして口を開く。
「皆さん…俺は…森田さんが契約を達成し、エリア解除権が俺に『譲渡』されたものとして、これから動きます…!」
AM 6:03 G-6 ギャンブルルーム
「…俺は、生きてるのか?」
首輪に手を触れ、まだ自分の元に残っていることを森田は確認する。
「勘違いしてもらっては困るよ、森田くん。我々はそう簡単に参加者に死んでもらっては困るのさ……」
黒崎は嫌な笑みを浮かべながら、森田に話しかける。
「私は『これまでの君』にさようなら…と言ったに過ぎない…君の首輪は我々が『回収』した。君は為すべきことをしてほしい…我々の望む…為すべきことをね……」
「…そういうことか。外道が…! 俺が素直に従うとでも…?」
「君に拒否権はない…放送を聞いていなかったのか…?」
『抵抗を試みようとしている一部の参加者には“それ相応”の報いがある』
『この放送が最終警告だ…』
『真剣に現状を見直すことをお勧めする』
「我々が『回収』した首輪をいつ、どのタイミングで『処分』するかなど、こちらの自由だ…生き残るには他の参加者を始末し、優勝する以外ありえない……どうだね、『現状を見直すことをお勧めする』よ…森田くん…?」
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