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道標 ◆X7hJKGoxpY氏


『聞けっ……!ここに一千万ある……!!得たくば、奪いに来いっ……!!』

「……ひろゆき………聞いたか、今の声……」
「……聞こえないわけないだろう」
自己紹介を終え、今後の方針を話し合っているときだった。
突然周囲に響き渡った声。
それは屋内にいる彼らにも例外無く届く。

「いや……そういうわけじゃなくてよ」
ひろゆきの言葉に平山は少し溜息をつきながら言った。
「いいのかよ……俺なんかに付き合ってて………
お前だって当然生き延びたいんだろ?一千万を脱出費用の足しにしようと思わないのか……?」
「言っただろ、やりたいことをやってるだけだって………それに……」
「それに?」
「僕には殺してでも奪い取るなんて気はまるでないんだ……僕はギャンブルだけで生き残る」
あの赤木しげるに追いつけるように――とは言わなかった。
言えば空々しくなるし、赤木がもしこの地に参加したとしても
ギャンブルで生き残るなどという発想にはまず至らないであろう。
口に出して、それをはっきり自覚するのが嫌だった。
彼がこのいかれたギャンブルに参加したならば、喜んで主催者を狙うだろう。
――生きることを楽しむために。
だが、ひろゆきにはそこまでの勇気はない。
だから、目先の赤木しげるを追った。
生死を賭けた地で生死を賭けたギャンブルをする。
それもまた、ひろゆきの中の赤木しげるの一つである。
彼は自分を否定しないために、あくまでその赤木に固執していたかったのである。

「だけどたまには……寄り道してもいいんだ………それが君を助ける、ということさ」
逃げの思考に陥っているのは平山だけでは無い。
自分もまた本物の赤木しげるの幻影から逃げているのだ。
平山と自分はあまりに似ている。
だからこそ自分と重ね合わせた。
だからこそ道標になりたいのである。
ひろゆきにとっての赤木がそうであったように。


「ふうん……俺にはよく分からねえな………」
ひろゆきの内心を露程も知らぬ平山は首を捻った。
「まあいいさ。今は僕のことより……君のことだ。
利根川からもらったっていうメモを見せてくれないか?」
「ああ……」
ひろゆきに言われたとおりに平山は利根川のメモを手渡す。
メモの内容にざっと目を通してからひろゆきは口を開いた。
「なるほどね………まず……ひとまず君は行動を縛られているわけだけど……
利根川の手が届かないようにするための理想は、機械に詳しい協力者を見つけることだな」
「それはそうだが、そうそう都合のいい奴なんて……もしかして心当たりでもいるのか?」
平山が期待した目を向ける。
だが、ひろゆきはゆっくりと首を振った。
「いや……残念だけどね………」
「……だろうな」
ハア、と平山は肩を落とした。
「まあそこで次善の策だよ。
……このメモを見る限り少なくとも伊藤開司という男と遠藤という男は利根川と敵対してるようだ」
「……カイジって奴もか?」
「ああ……もし仲間であれば一条という奴のように協力を仰がせればいいだけのことだからね……
親友だから会いたいって文面にも見えないし、
メモからすれば利根川はおそらく合理的な性格なんだろう……
そんな奴がわざわざ呼び出すっていうのは余程のことだ」
平山はそれをきいてコクリと頷いた。
だがその目にはまだ疑問の色が残っている。
「……それで、敵だからどうしろってんだ?まさか敵の敵は味方、とでも言うんじゃ……」
「その通りさ。ここで重要なのはカイジの方だ……いいか?
できるだけ万全の状態で連れて来いってことは、
おそらく自分の手で息の根を止めたい……そういうことだろう。
だけど普通、殺すつもりと分かっているなら、事情を話したところで連れてこれるわけがない。
なら可能性は二つ……カイジが利根川に罪の意識を抱いているか……
決闘しようとしているか………だ」
「……決闘?」
考えられない、というように平山は首を振る。
「フフ……決闘といっても殴り合うわけじゃない………
決闘って言うのはプライドを守るための闘い……
だからどんなものでもありえる………例えばギャンブル、とかね」
「ギャンブルか……なるほど………でも協力してくれない場合は?」
「それこそギャンブルで言うことを聞かせてやればいいのさ………
まあ僕の考えはこんなところだ………
ほとんど当てずっぽうだけどね……実際のところどうだかわからない………
だけどどういう形にせよ利根川を止められる可能性が現状で一番高い人物は彼だ……
つまり彼に協力させればいい……自分ではどうしようもない場合はね」
そう言うと、平山の顔に血の気が差した。

利根川から逃れる術に気付き、俄かに希望が見えてきたためであろう。
「カイジを探しだせばいいんだな……よし!行こうぜ!」
興奮気味に平山は喋る。
「待てよ……言っただろ?自分ではどうしようもない場合は、って……
カイジって奴がどんな奴かは皆目見当が付かないんだ……敵に回る可能性だってある。
その覚悟はあるのか?」
「そんなこと言ったってどうしようもねえだろっ……!
この拘束がある限り………
それに俺は……どのみち死ぬってなら、可能性のある方に賭ける!」
従うだけでは駄目。
抗うことこそが生きるための道だと平山は悟ったのだろう。
ひろゆきとしては、出来ることなら道を切り開くことを他人任せにして欲しくはなかったが、
これは仕方あるまい。
なにせ自分自身その方法を掴めずにいるのだ。

「……わかったよ。カイジを捜すのにも手を貸そう………
ただ………君と一緒に行動するわけにはいかない」
「……なんでだよ」
「利根川との約束を忘れたわけじゃないでしょう……君は定時放送の六時に待ち合わせをしている。
万が一遅れて、逃げたと勘違いされたらまずい………それこそ殺されかねない」
平山は、壁の時計に目を向けた。
「……もう四時か」
「ああ……あまり時間はないぞ………平山……
二人でのんびりとカイジを探して、途中で何かあったらそれだけでアウツ………!
どっちみち二手に分かれたほうが早いし……君は利根川に会う道中カイジを捜すんだ……いいな」
「ああ……だけど………」
「どうした?」
「収穫無しってのは不味くないか……?それこそ会ったとき容赦なく殺される……」
平山は不安そうに言う。
「だってそうだろ?俺の代わりは一杯いるんだから、手際の悪い俺を生かしておく筈がない……」
「なんだ……収穫ならあるじゃないか………僕という協力者を見つけただろ?
放送までに四人の内、誰かを見つけろってのがそもそも無理な話さ………
利根川も分かっている……協力者を見つけただけでも、利根川は逆らう気は無いと読むよ………
まして協力者との連絡手段を持つのは君だけ……それなら殺されない………当面はね」
「そ、そうか……なるほど……」
ひろゆきはフフッと少し笑い、平山の顔をじっくり見つめた。
「まだ正念場はこれから……恐れるのはその後でも遅くはない。
利根川と別れたらまたここで落ち合おう……そうだな、夜の九時か、とにかくその辺りの時間に」
「ああ……分かった」
「じゃあ行ってくるんだ………大丈夫さ……きっと生き残れる」

平山は頷くとそのまま背を向け、守衛室から出て行った。
ひろゆきもカイジを捜すため移動する準備を始める。
果たして自分は平山にとっての道標となれたのであろうか。
まだ分からない。
目の前の敗北から、目の前の死から逃げぬことは伝えられたのか。
(分かってくれたのかな……ハハ………やっぱ赤木さんの背は遠いな……)
実のところあまり人のことにかまけている時間はない。
ひろゆきは、まだ答えを出せなかった。
雀士としての赤木を追うか、道標としての赤木を追うか、人間としての赤木を追うか――
答えを出すには、やはりあの男と闘うしかない――そう感じる。
(もう一人の、赤木しげる……)


【C-4/事務所内/夕方】
【井川ひろゆき】
 [状態]:健康
 [道具]:日本刀 首輪探知機 不明支給品0~2(確認済み)
     村岡の誓約書 ニセアカギの名刺 支給品一式×2
 [所持金]:1700万円
 [思考]:赤木しげるとギャンブルで闘う ギャンブルで脱出資金を稼ぐ 極力人は殺さない
     カイジを捜す 自分の進むべき道を見つける
※村岡の誓約書を持つ限り、村岡には殺されることはありません。
※平山と21時にアトラクションゾーン事務所で落ち合う約束をしました。

【C-4/アトラクションゾーン/夕方】
【平山幸雄】
 [状態]:左肩に銃創 首輪越しにEカードの耳用針具を装着中
 [道具]:不明支給品0~3(確認済み) 通常支給品
 [所持金]:1000万円
 [思考]:カイジを捜す 利根川に会いにいく 引き続き利根川の命令には従うが、逃れる術も積極的に探る
※ひろゆきと21時にアトラクションゾーン事務所で落ち合う約束をしました。





042:虎穴 投下順 044:彼我
042:虎穴 時系列順 045:余裕
028:3人目のアカギ 井川ひろゆき 075:四槓子
028:3人目のアカギ 平山幸雄 049:操作







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