「手札」(2009/11/26 (木) 00:31:48) の最新版変更点
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手札 ◆jeZ53dFAZA氏
体中の鈍い痛みに、鷲巣は忌々しさをまったく抑えずに舌打ちした。
不快極まりない。
それは体の痛みだけではなく。
あの時、逃げをうった己を鷲巣は心底嫌悪した。
何故、逃げた。
逃げなどと、王が逃げるなどと、そんなことが許されるはずがない。
苛立ち、苛立ち、苛立ち、煮え滾りも頂点に達した思考。
これが鷲巣巌か。
否。
帝王と恐れられた者か。
否。
苛付く。
杖を振り上げようとしたが、手には何もなく、苛付き故の歪んだ笑みが浮かべられた。
塵屑、虫けら、なんの存在価値も無い愚鈍、無能。
鷲巣は今だかつてそれらを”邪魔”だと認識したことすらなかった。
たったそれだけの意識すら、それらに割きはしなかった。時間の無駄だったからだ。王は自ら羽虫などに構わない。
鷲巣が、初めて、他者に大きく意識を割いたのは、あの夜だけ。
狂気の夜。
喪失の夜。
「………ぅ、…」
ざわざわと、心の奥が騒ぐ。
それが、慄きでも不安でもないことに、鷲巣自身軽い驚きを覚えた。
高揚。
「(馬鹿馬鹿しい…)」
何故、あの不快な出来事を思い起こして、そんな感情が湧き上がる。
「(…屈辱じゃ、あれは)」
己の剛運が唯一捻じ曲げられ圧し折られた、瞬間。
息を吐いて近くの木に凭れかかると、ずきりと胸が痛んだ。
「…チッ」
やはり肋骨にヒビが入っているのだろう。幸い、防弾チョッキを着ているのでこれをコルセット代わりに出来る。
少々肩は凝るが、流石に仕方が無い。
毒気を抜くような爽やかな風が頬を撫でた。
無論、毒そのもののような老王からソレが抜けるわけはなかったのだが、つられて顔を上げた鷲巣は、
大きな目を更に見開いて一点を凝視することとなった。
似合わぬ晴天、広い空の下。
特に周囲を警戒するでもなく、ただスタスタと歩く男。
「……っ!!」
痛みも忘れて腰を上げる。
向こうも、気付いたのだろう、僅かばかり進路を変更して、鷲巣のもとへと歩いてくる。
お互いに、まるで場違いな明るいその場所、
ギャンブルの魔物と狂乱の老王は再会した。
「ふ、っふはは…くははははははは…っ!!」
歩み寄り、距離を縮めながら、鷲巣は歓喜に体を震わせた。
「…アカギ…ッ!! 赤木しげるぅううう!!!」
「…クク、…元気そうじゃねえか、…鷲巣巌…」
見上げる。
見下ろす。
両者の距離は数mも無い。
不可思議なことではあるが、互いに、互いが武器を持っている可能性を忘れているわけでもなかったというのに、警戒することはなかった。
暫し、鷲巣がアカギを睨み上げ、アカギは鷲巣を薄笑みで見下ろすという時間が流れたが、不意にアカギが顎をしゃくる。
「行くか」
その先には、ギャンブルルーム。
「く、くく、…よかろう…」
しかして、ギャンブルルームの入り口、そういえばの事実を突きつけられる。
30分の利用料金、100万円。
本来、それは鷲巣にとってははした金に過ぎない、が、今は、件の殺人鬼のお陰で一文無しだ。
金に頓着せずに動いていた鷲巣は、所持金という概念を失念していた。眉間に恐ろしく深い縦皺を刻んで鼻を鳴らす。
「ククク…、…まあ、アンタなら仕方ない…」
「……ぁ゛あ?!」
くつくつと笑い出すアカギ。
暗に示しているのは、かつて鷲巣が『自分の金が”減る・無くなる”という概念自体を失念していた』あの時のこと。
無論、それを察せない鷲巣でもなく、ただでさえつり上がっている目尻を更に険しくさせかけた、
ところで、アカギの腕が目の前に伸びた。
チップが黒服に渡される。
「30分だ」
「…確かに。お入り下さい…」
「……フンッ」
ともあれやっとの、入室。
しかし時間が限られている。鷲巣としては両面麻雀を選びたかったのだが、アカギとのそれは時間が掛かるだろう。無理、だとして…
テーブルの上に無造作に置いてあったカードを手に取る。
皇帝と奴隷が描かれているカードを暫し玩んだ鷲巣が、アカギにカードを向けた。
「時間が限られておる、これで勝負じゃ。…少しルールを変えてな」
・絵札は『皇帝』『市民』『奴隷』
・『皇帝』『市民』『奴隷』の札を2枚所持
・3種類の絵札を出し合い勝敗を決める
・皇帝は市民に勝ち、奴隷に負ける
・市民は奴隷に勝ち、皇帝に負ける
・奴隷は皇帝に勝ち、市民に負ける
・絵札が同じなら引き分け
・1セット中に使い切った種類の札は
そのセットでは使用出来ない
・6枚すべてを使い切って勝負する。それを3セット
・2セット先取で勝利
アカギが了承し、テーブルに向かい合い、座す。
互いにカードを選択。
「…それで、アンタは何を賭けるつもりだ?」
静かに問う。
「わしと勝負するという権利。それでは不服か」
「…クク…」
カード開示。
アカギ、奴隷。鷲巣、皇帝。
「……使い所は難しそうだが、アンタは強力なカード…。…俺もまた、同じくな。このカードを賭けないか?」
カード、選択。
「…く…く、…カードはゲームに利用する為だけに存在するのではないと、承知の上か…!」
カード開示。
アカギ、奴隷。鷲巣、奴隷。
「ククク、破り捨てようが燃やそうが、それは所持者の自由…。そうだろ…?」
カード選択…。
時間としては、彼らがギャンブルルームに居た時間は20分と少しに過ぎなかった。
それに、そのうち5分弱は鷲巣が喚き散らした時間なので実質は15分強といったところだろう。
見るも無残に八つ当たりを受け、大破した小道具類を誰が片付けるのか、当然ながらアカギにも鷲巣にもそれは興味のないことで。
怒りと苛立ちに、赤を通り越して青くなっていた鷲巣の顔色がようやっと落ち着いてきた。
「………~~~~~~~」
比喩で、『脳の血管が切れて死んでしまうのではないか』というものがあるが、
人間案外脳の血管が数本切れても生きていけるのかもしれない。
少なくとも鷲巣は『血管が4~5本』は切れた顔色と顔付きだった。
「さっきも言ったが」
アカギはまったく涼しげに話を進める。
「アンタは強力なカード…。このゲームにおいてな……」
ギャンブルルームから少し離れた木陰、アカギは言葉を零しながらもペンを走らせている。
『何故なら、アンタはこのゲームの主催を知っている。…もしくは、心当たりがある』
「…わしの財産では飽き足りず、天運まで寄越せとぬかすか…っ」
鷲巣が声を荒げ、…荒げながら、ペンを動かす。
『このような下らんゲームのことなど、知らん』
「そうだ。…逆に俺を手札にしたかったら、いつでも勝負を仕掛けてきて良い…」
文字が書かれているのは、先ほどのギャンブルルームでアカギが失敬してきたメモ帳だ。
支給品は有限。活用できる他があれば、それを使う方が良い。
『あのカードを手に取って、ゲームを仕掛けてきた時…”少しルールを変えて”と…そう言ったぜ、アンタ。
あんなカード、俺は見たことがない』
「…充分だろう? 鷲巣巌」
『乗れよ、アンタも。このゲームの中で最も面白い…主催者殺しに…!』
ペンを動かす手を止めたアカギが、鷲巣を見下ろした。
ただ真っ直ぐな。
「ククク…」
狂人が。
何度目かも分からない感想を抱き、鷲巣は白髪の悪鬼を睨み上げる。
アカギが今、興味のあるギャンブルは”主催者殺し”なのだろう。
しかし。
鷲巣は思う。
言葉通りには受け取れない。
アカギは生死に興味が無い。自分のも、他人のも、だ。鷲巣は、身をもってそれを知っている。
アカギの、その信念には揺るぎなど無い。
求めるのはただ、身を焦がすほどの勝負、ギャンブル。
「……(このような狂気のギャンブルを思いつく主催…。ソレと勝負がしたいとでもいうか、赤木しげる)」
強烈な視線がアカギを射抜く。アカギは、薄く笑っている。鷲巣の視線は殺意と狂気を孕んでいたが、気にするでもなく。
ふん。
鷲巣は鼻を鳴らす。
「…さっさと行け…っ」
今度は鷲巣が顎をしゃくった。
狂気から、退いてはならない。例え生命の危機を感じても。
怯めば飲み込まれ、わけのわからぬまま”下”へと追いやられる。本来は上も下も無いというのに。
アカギはそれを知っている。
故に手に入れる。
灼熱の、剛運のカード…。
「100万は返せよ、鷲巣巌」
「~~~分かっとるわ…っ!!!!」
【E-4/道路沿い/夕方】
【赤木しげる】
[状態]:健康
[道具]:五億円の偽札 不明支給品0~2(確認済み)支給品一式
[所持金]:600万円
[思考]:もう一つのギャンブルとして主催者を殺す
※過去に主催者が開催したゲームを知る者、その参加者との接触を最優先に考えています。
接触後、情報を引き出せない様ならば偽札を使用。
それでも駄目ならばギャンブルでの実力行使に出るつもりです。
※危険人物でも優秀な相手ならば、ギャンブルで勝利して味方につけようと考えています。
※首輪に似た拘束具が以前にも使われていたと考えています。
※主催者はD-4のホテルにいると狙いをつけています。
※五億円の偽札
五億円分の新聞紙の束がジェラルミンケースに詰められています。
一番上は精巧なカラーコピーになっており、手に取らない限り判別は難しいです。
※2日目夕方にE-4にて平井銀二と再会する約束をしました。
※鷲巣巌を手札として入手。回数は有限で協力を得られる。(回数はアカギと鷲巣のみが知っています)
※鷲巣巌に100万分の貸し。
【鷲巣巌】
[状態]:膝裏にゴム弾による打撲、右腕にヒビ、肋骨にヒビ、少し動けるようになってきています
[道具]:防弾チョッキ
[所持金]:0円
[思考]:零を殺す、沢田を殺す、平井銀二に注目、有賀を自らの手で殺す。赤木しげるのに同行して動向を探る。
※赤木しげるに、回数は有限で協力する。(回数はアカギと鷲巣のみが知っています)
※赤木しげるに100万分の借り。
|051:[[仮定]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:[[投下順>本編投下順]]|053:[[孤島の鬼]]|
|051:[[仮定]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:[[時系列順>本編時間順]]|053:[[孤島の鬼]]|
|045:[[余裕]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:赤木しげる|068:[[計画]]|
|034:[[賭博覇王]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:鷲巣巌|068:[[計画]]|
**手札 ◆jeZ53dFAZA氏
体中の鈍い痛みに、鷲巣は忌々しさをまったく抑えずに舌打ちした。
不快極まりない。
それは体の痛みだけではなく。
あの時、逃げをうった己を鷲巣は心底嫌悪した。
何故、逃げた。
逃げなどと、王が逃げるなどと、そんなことが許されるはずがない。
苛立ち、苛立ち、苛立ち、煮え滾りも頂点に達した思考。
これが鷲巣巌か。
否。
帝王と恐れられた者か。
否。
苛付く。
杖を振り上げようとしたが、手には何もなく、苛付き故の歪んだ笑みが浮かべられた。
塵屑、虫けら、なんの存在価値も無い愚鈍、無能。
鷲巣は今だかつてそれらを”邪魔”だと認識したことすらなかった。
たったそれだけの意識すら、それらに割きはしなかった。時間の無駄だったからだ。王は自ら羽虫などに構わない。
鷲巣が、初めて、他者に大きく意識を割いたのは、あの夜だけ。
狂気の夜。
喪失の夜。
「………ぅ、…」
ざわざわと、心の奥が騒ぐ。
それが、慄きでも不安でもないことに、鷲巣自身軽い驚きを覚えた。
高揚。
「(馬鹿馬鹿しい…)」
何故、あの不快な出来事を思い起こして、そんな感情が湧き上がる。
「(…屈辱じゃ、あれは)」
己の剛運が唯一捻じ曲げられ圧し折られた、瞬間。
息を吐いて近くの木に凭れかかると、ずきりと胸が痛んだ。
「…チッ」
やはり肋骨にヒビが入っているのだろう。幸い、防弾チョッキを着ているのでこれをコルセット代わりに出来る。
少々肩は凝るが、流石に仕方が無い。
毒気を抜くような爽やかな風が頬を撫でた。
無論、毒そのもののような老王からソレが抜けるわけはなかったのだが、つられて顔を上げた鷲巣は、
大きな目を更に見開いて一点を凝視することとなった。
似合わぬ晴天、広い空の下。
特に周囲を警戒するでもなく、ただスタスタと歩く男。
「……っ!!」
痛みも忘れて腰を上げる。
向こうも、気付いたのだろう、僅かばかり進路を変更して、鷲巣のもとへと歩いてくる。
お互いに、まるで場違いな明るいその場所、
ギャンブルの魔物と狂乱の老王は再会した。
「ふ、っふはは…くははははははは…っ!!」
歩み寄り、距離を縮めながら、鷲巣は歓喜に体を震わせた。
「…アカギ…ッ!! 赤木しげるぅううう!!!」
「…クク、…元気そうじゃねえか、…鷲巣巌…」
見上げる。
見下ろす。
両者の距離は数mも無い。
不可思議なことではあるが、互いに、互いが武器を持っている可能性を忘れているわけでもなかったというのに、警戒することはなかった。
暫し、鷲巣がアカギを睨み上げ、アカギは鷲巣を薄笑みで見下ろすという時間が流れたが、不意にアカギが顎をしゃくる。
「行くか」
その先には、ギャンブルルーム。
「く、くく、…よかろう…」
しかして、ギャンブルルームの入り口、そういえばの事実を突きつけられる。
30分の利用料金、100万円。
本来、それは鷲巣にとってははした金に過ぎない、が、今は、件の殺人鬼のお陰で一文無しだ。
金に頓着せずに動いていた鷲巣は、所持金という概念を失念していた。眉間に恐ろしく深い縦皺を刻んで鼻を鳴らす。
「ククク…、…まあ、アンタなら仕方ない…」
「……ぁ゛あ?!」
くつくつと笑い出すアカギ。
暗に示しているのは、かつて鷲巣が『自分の金が”減る・無くなる”という概念自体を失念していた』あの時のこと。
無論、それを察せない鷲巣でもなく、ただでさえつり上がっている目尻を更に険しくさせかけた、
ところで、アカギの腕が目の前に伸びた。
チップが黒服に渡される。
「30分だ」
「…確かに。お入り下さい…」
「……フンッ」
ともあれやっとの、入室。
しかし時間が限られている。鷲巣としては両面麻雀を選びたかったのだが、アカギとのそれは時間が掛かるだろう。無理、だとして…
テーブルの上に無造作に置いてあったカードを手に取る。
皇帝と奴隷が描かれているカードを暫し玩んだ鷲巣が、アカギにカードを向けた。
「時間が限られておる、これで勝負じゃ。…少しルールを変えてな」
・絵札は『皇帝』『市民』『奴隷』
・『皇帝』『市民』『奴隷』の札を2枚所持
・3種類の絵札を出し合い勝敗を決める
・皇帝は市民に勝ち、奴隷に負ける
・市民は奴隷に勝ち、皇帝に負ける
・奴隷は皇帝に勝ち、市民に負ける
・絵札が同じなら引き分け
・1セット中に使い切った種類の札は
そのセットでは使用出来ない
・6枚すべてを使い切って勝負する。それを3セット
・2セット先取で勝利
アカギが了承し、テーブルに向かい合い、座す。
互いにカードを選択。
「…それで、アンタは何を賭けるつもりだ?」
静かに問う。
「わしと勝負するという権利。それでは不服か」
「…クク…」
カード開示。
アカギ、奴隷。鷲巣、皇帝。
「……使い所は難しそうだが、アンタは強力なカード…。…俺もまた、同じくな。このカードを賭けないか?」
カード、選択。
「…く…く、…カードはゲームに利用する為だけに存在するのではないと、承知の上か…!」
カード開示。
アカギ、奴隷。鷲巣、奴隷。
「ククク、破り捨てようが燃やそうが、それは所持者の自由…。そうだろ…?」
カード選択…。
時間としては、彼らがギャンブルルームに居た時間は20分と少しに過ぎなかった。
それに、そのうち5分弱は鷲巣が喚き散らした時間なので実質は15分強といったところだろう。
見るも無残に八つ当たりを受け、大破した小道具類を誰が片付けるのか、当然ながらアカギにも鷲巣にもそれは興味のないことで。
怒りと苛立ちに、赤を通り越して青くなっていた鷲巣の顔色がようやっと落ち着いてきた。
「………~~~~~~~」
比喩で、『脳の血管が切れて死んでしまうのではないか』というものがあるが、
人間案外脳の血管が数本切れても生きていけるのかもしれない。
少なくとも鷲巣は『血管が4~5本』は切れた顔色と顔付きだった。
「さっきも言ったが」
アカギはまったく涼しげに話を進める。
「アンタは強力なカード…。このゲームにおいてな……」
ギャンブルルームから少し離れた木陰、アカギは言葉を零しながらもペンを走らせている。
『何故なら、アンタはこのゲームの主催を知っている。…もしくは、心当たりがある』
「…わしの財産では飽き足りず、天運まで寄越せとぬかすか…っ」
鷲巣が声を荒げ、…荒げながら、ペンを動かす。
『このような下らんゲームのことなど、知らん』
「そうだ。…逆に俺を手札にしたかったら、いつでも勝負を仕掛けてきて良い…」
文字が書かれているのは、先ほどのギャンブルルームでアカギが失敬してきたメモ帳だ。
支給品は有限。活用できる他があれば、それを使う方が良い。
『あのカードを手に取って、ゲームを仕掛けてきた時…”少しルールを変えて”と…そう言ったぜ、アンタ。
あんなカード、俺は見たことがない』
「…充分だろう? 鷲巣巌」
『乗れよ、アンタも。このゲームの中で最も面白い…主催者殺しに…!』
ペンを動かす手を止めたアカギが、鷲巣を見下ろした。
ただ真っ直ぐな。
「ククク…」
狂人が。
何度目かも分からない感想を抱き、鷲巣は白髪の悪鬼を睨み上げる。
アカギが今、興味のあるギャンブルは”主催者殺し”なのだろう。
しかし。
鷲巣は思う。
言葉通りには受け取れない。
アカギは生死に興味が無い。自分のも、他人のも、だ。鷲巣は、身をもってそれを知っている。
アカギの、その信念には揺るぎなど無い。
求めるのはただ、身を焦がすほどの勝負、ギャンブル。
「……(このような狂気のギャンブルを思いつく主催…。ソレと勝負がしたいとでもいうか、赤木しげる)」
強烈な視線がアカギを射抜く。アカギは、薄く笑っている。鷲巣の視線は殺意と狂気を孕んでいたが、気にするでもなく。
ふん。
鷲巣は鼻を鳴らす。
「…さっさと行け…っ」
今度は鷲巣が顎をしゃくった。
狂気から、退いてはならない。例え生命の危機を感じても。
怯めば飲み込まれ、わけのわからぬまま”下”へと追いやられる。本来は上も下も無いというのに。
アカギはそれを知っている。
故に手に入れる。
灼熱の、剛運のカード…。
「100万は返せよ、鷲巣巌」
「~~~分かっとるわ…っ!!!!」
【E-4/道路沿い/夕方】
【赤木しげる】
[状態]:健康
[道具]:五億円の偽札 不明支給品0~2(確認済み)支給品一式
[所持金]:600万円
[思考]:もう一つのギャンブルとして主催者を殺す
※過去に主催者が開催したゲームを知る者、その参加者との接触を最優先に考えています。
接触後、情報を引き出せない様ならば偽札を使用。
それでも駄目ならばギャンブルでの実力行使に出るつもりです。
※危険人物でも優秀な相手ならば、ギャンブルで勝利して味方につけようと考えています。
※首輪に似た拘束具が以前にも使われていたと考えています。
※主催者はD-4のホテルにいると狙いをつけています。
※五億円の偽札
五億円分の新聞紙の束がジェラルミンケースに詰められています。
一番上は精巧なカラーコピーになっており、手に取らない限り判別は難しいです。
※2日目夕方にE-4にて平井銀二と再会する約束をしました。
※鷲巣巌を手札として入手。回数は有限で協力を得られる。(回数はアカギと鷲巣のみが知っています)
※鷲巣巌に100万分の貸し。
【鷲巣巌】
[状態]:膝裏にゴム弾による打撲、右腕にヒビ、肋骨にヒビ、少し動けるようになってきています
[道具]:防弾チョッキ
[所持金]:0円
[思考]:零を殺す、沢田を殺す、平井銀二に注目、有賀を自らの手で殺す。赤木しげるのに同行して動向を探る。
※赤木しげるに、回数は有限で協力する。(回数はアカギと鷲巣のみが知っています)
※赤木しげるに100万分の借り。
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