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強運 ◆6lu8FNGFaw氏


仲根がメモを読み、北へ向かって走り出すのを見届けた後、森田は隠れていた茂みから這い出した。
「なんとか信じてくれたようだな…」

森田は、仲根の走っていった方角へと思いを馳せ、腕時計に目をやる。
一刻も早く銀二と合流したい。だが…
「確か隣のエリアに一つ、死体があったな…」

刻一刻と差し迫る時間、6時間以内に首輪を6つ集めるという約束。
本当は先に銀さんを探したいところだ。だが、首輪集めが何よりも最優先だ。
せっかく第二放送前までの、死体のある場所の情報を握っているのに、
首輪を集めている他の参加者に先に奪われては本末転倒である。
それに、今はもう島の情報を掴むことが出来ない。フロッピーは自ら壊してしまった。

(…早計だったか?…いや、機械に疎い俺が持っていてもまごつくだけだし、
フロッピーだけでは動かないし、宝の持ち腐れだ。
それに、壊してしまえば他の参加者に奪われることを恐れる必要もない。)
それに、あれは己を奮い立たせるのに必要なことだった、と森田は自分に言い聞かせる。

遠藤にフロッピーの中身だけすでに奪われていたことなど、森田には知る由もない。

「…とりあえず、銀さんがいたはずのF-3、バッティングセンターに向かいながら、死体も捜す方向でいくか…。」
中途半端な決心ではあるが、今それ以上の名案も思いつかない。


森田がF-5に向かうと、路上であっさり船井の死体を見つけた。
まだ他の参加者に首輪を奪われてはいないのを見て、胸を撫で下ろす。
死体を見てホッとするのも変な話だと思いながら、森田は船井の死体を両脇から抱え上げ、木陰まで運んでいった。
作業にどれだけ時間がかかるかわからない。
作業に集中しすぎて、他の参加者に狙い撃ちされる等のヘマをしないようにと考えての行動であった。

ナイフで首輪を取ろうと試みるが、どうにも上手くいかない。
薄いナイフの刃先で頑丈な首輪を切ろうとする行為自体、無理があろうというものである。
最初は首輪の輪の部分を切ろうとして、滑ってさんざん死体の首を刺してしまった。
血だらけになるし、死体を傷つけるのは気分がいいもんじゃない。

次は死体の頭を起こし、首輪の金具が地面と垂直になるよう支え、
金具の噛みあっている部分に上から刃先をめり込ませようとする。
だが、金具はびくともしない。

「くそっ…!時間がないってのに…!」
森田は舌打ちをすると、いったん死体を地面に下ろして休憩をとった。

「どうしろってんだ…!」
こんな脆弱な刃物一つ寄越しただけで、任務を押し付けた黒崎に対して苛立ちを覚える。
…ふと、死体に目をやった。雑に地面に置いたせいで、こちらに延髄をさらす形でうつ伏せに倒れている。

「………………………………」
森田は、ふと肩膝を立て、死体をうつ伏せのまま持ち上げ、
自分の膝に死体の腹が当たる様に、前屈みの状態にして乗せた。
死体の頭頂部は地面についているので、楽に固定できる。
そうしておいて首輪の下部分を上に向けた状態で、先程のように首輪の結合部の隙間に刃先を突き立てようとした。


死体の頭部が固定しやすいおかげで、思い切り力を込めることができた。
僅かな隙間に刃の先端を噛ませると、メリ、と音を立てて隙間が開いた。
そのまま、てこの要領で外側へとこじってやると、「バキッ」と小気味良い音とともに驚くほどあっさり、首輪が外れた。

「おおっ……!」
森田は思わず声を漏らした。
首輪が外れたことに対する感動だけではない。

(……これ、生きてる人間の首輪を外すときにも使えるんじゃないか…?
上から押すとき、首輪に圧迫されて喉が苦しくなったり、頭が地面に擦れたりするだろうが……。
まあ、首輪が一時的にでも無力化してなきゃ、単なる絵空事だ。
でないと外れるより先に首輪が爆発するだろうし、そんな危険な…)

………ピッ

「え?」

森田がとっさに首輪を放り投げるのと、首輪が爆発するのはほぼ同時だった。

ボシュッ!!
首輪は空中で火炎と煙を巻き上げると、一瞬で燃え尽きた。

「………あ、危ねえっ……!」
気づくのが一瞬でも遅ければ森田の腕は吹っ飛ばされていた。森田は恐る恐る、地面に落ちた首輪を見つめた。
首輪は黒コゲになり、爆弾が詰まっていたと思われる箇所には穴が開いていた。


持ち主が死んだとしても首輪の機能は停止する訳ではない。首輪が爆発済みでもない限り。
ゆえにこうなるのは自明の理であった。
本来なら、森田が首輪を外そうと悪戦苦闘している時点で爆発していてもおかしくはない。
なぜそうならなかったか?黒崎が渡した小型ナイフが、絶縁体を使った特殊ナイフだったからである。

本来、首輪の電池が切れたり、発信が途切れるようなことでもない限り、首輪を外すことは出来ないように設計されている。
無理に外そうとして、金具をこじ空けようとすれば、金具の中に仕込まれているスイッチが入り、首輪が爆発するようになっている。
主催者が、首輪から逃れたいと考えている参加者達に対してとっている防衛策である。
防衛策がまともに機能していれば「首輪の回収」に関して森田を使うこともなかったのである。
………死体の首をちょん切ったり、頭部を潰して首輪を外したり、首輪をわざと爆発させて回収するような猛者が現れなければ。

先ほど森田は絶縁体のナイフを使ったため作業中には爆発しなかったのだが、
外した直後、まだ微弱な電流が流れている状態でうっかり金具の一部分を触れ合わせてしまったため爆発が起きた。
村岡が首輪を死体から奪ったときは、金具に衝撃を与えたときに、たまたま運良くスイッチそのものが先に内部で壊れたと推測される。
そのときに爆発せず、まだ首輪の機能が生きているのはあまり良い状況とは言えないのだが…。

「………………………。」
森田にその辺りの首輪の構造など察しようもない。
ただ、首輪を取るのが命懸けだということと、すばやく取れば作業中に首輪が爆発することはないのだろう、と結論づけた。
そして、生きている人間には応用しないほうがいい、ということも。

(危険だとは言っても、やらないわけにもいかねえしな…!)
煤けた首輪をポケットに入れ、森田はその場で地図を広げた。


「さて…隣のE-5…病院前にも二つ、死体があるはずだ…」
森田は自分のメモを見返し、顔を歪ませる。

神威。

「こんな所でもまた、殺し合いを繰り返して、挙句には相打ちか…。」
忘れようもない名前。森田が裏社会から引退を決心するに至った事件の関係者である。
あの夜の事件が脳裏によみがえる。精神を圧迫させる暗闇、それ以上に寒気が走る人間の悪意、憎悪。
森田は首を振り、思いを断ち切ろうとした。感傷に浸っている時間はない。

「…こっちにも寄っていくか…。F-3へ行くにはさらに遠回りになるが、G-4が禁止エリアになってしまったから迂回するのは同じ…」
森田が心を決めかけた、その時である。

ドドォーーーーーーーーンッ………

まさに今向かおうとしていた方角から、大きな爆発音。
(……何だっ…!?)
首輪の爆発よりももっと大きい、破壊音、地響きが周囲に木霊する。
胸騒ぎがする。ここからでは暗さもあって何が起こっているのかまでは見えない。
木霊が止み、静けさを取り戻したかのように見えたが、静寂を破って軽い発砲音が響く。

(銃声……。病院付近で何かが起きてる………!!)
森田は立ち上がると、急いで歩き出した。E-5の病院の方ではなく、F-4、バッティングセンターへの近道の方である。

(ここにいるのは危険だ。病院付近から来る参加者と鉢合わせするかもしれない…!)
しかも相手は銃器を持っている可能性が高い。ナイフのみでは応戦できない。森田の判断は早かった。
少しでも早く遠ざかるため、商店街の入り口が見えてきた辺りから、あえて草むらでなく走りやすい真っ直ぐな路上に出て、西へと走った。


そして、これまでの森田の行動が重なり重なり、その結果、銀二との再開を果たすことが出来たのである。


………AM1:00頃、病院内を移動する光あり。明かりのついた部屋がひとつ。

銀二は短くメモを書き、ペンを置いた。
(人がいる内はまだ行動すべきではないな…。
ならば、先に港へ行くか…?……どうしようか………)

銀二は再び窓の外へ目をやった。
そのとき、視界に僅かに黒い影が過ぎる。

一瞬、我が目を疑った。
今、すぐ外の路地を横切って行ったのは、己の願望が生み出した幻覚ではないのかと。
だが、視界に一瞬移ったその影…。長髪を後ろに纏めた特徴的な髪型の男。

幻覚なのかどうか、確かめてみる価値がある。
銀二は音を立てぬよう室内を横切ると、慎重に扉を開けた。
路地を駆ける男の背中が遠目に見える。見間違いようもない。

「森田っ…!」
周囲を警戒して、だいぶ絞った声で呼んだのだが、その男の耳には届いたようである。

森田は振り返り、呆然としたままその場に立ち尽くした。
「銀さ……………」


銀二は早足で、突っ立ったままの森田の傍まで歩き、肩に手を置いた。
「銀さん、俺……」
「話は後だ……ともかくこっちへ来い、人に見られる」

腕を掴み、森田を引きずっていく。
潜んでいた民家に戻り、寝ている原田を指して仲間であることを示し、出来る限り音を立てないようにと森田に忠告する。

「銀さん、無事で良かった」
森田が緊張の面持ちのまま、小声で銀二に話しかける。銀二はようやく相好を崩し、頷き返す。
「お互い、悪運だけは強いらしいぜ」
「でも、困った事態になりました。俺の持ってるネタが、銀さんの悪運を奪っちまうかもしれません…。」
「何だそりゃ…?……まぁ、それもおそらくお互い様だろうな。……で、ネタってのは」
「ええ、実は………」

「ん……何や……誰と話しとるんや………?」
二人が声のしたほうを振り向くと、原田が体を起こそうとしていた。

「ああ…睡眠中のところ、起こしてしまいましたね…」
「何や…?知り合いか…?」
原田が半開きの目で森田の顔を睨むと、銀二は微笑んだまま、森田を紹介した。


「ええ、この男が例の…“とにかく運の強い男”です……!」



【F-4/商店街家屋内/深夜】

【原田克美】
 [状態]:健康
 [道具]:拳銃 支給品一式 
 [所持金]:700万円
 [思考]:もう一つのギャンブルとして主催者を殺す ギャンブルで手駒を集める 場合によって、どこかで主催と話し合い、手打ちにする 銀二に従う
※首輪に似た拘束具が以前にも使われていたと考えています。
※主催者はD-4のホテルにいると狙いをつけています。
※2日目夕方にE-4にて赤木しげるに再会する約束をしました。カイジがそこに来るだろうと予測しています。
※村岡の誓約書を持つ限り、村岡には殺されることはありません。原田も村岡を殺すことはできません。
※村岡に「24時間以内にゲーム主催者と直接交渉窓口を作る」という指令を出しました。中間報告の場所と時間は次の書き手様にお任せします。
※村岡に出した三つ目の指令はメモに記されています。内容は次の書き手様にお任せします。成功した場合、原田はその時点で所持している武器を村岡に渡す契約になっています。
※『島南、港を探せ』『病院内を探索する』『黒幕は帝愛、在全、蔵前』『銀二はアカギや零とは違う形の対主催体制をとる』という内容の銀二のメモを持っています。

【平井銀二】
[状態]:健康
[道具]:支給品一覧 不明支給品0~1 支給品一式 褌(半分に裂いてカイジの足の手当てに使いました) 病院のマスターキー
[所持金]:1300万
[思考]:見所のある人物を探す カイジの言っていた女に興味を持つ 病院、港を探索する 証拠を掴む 猛者とギャンブルで戦い、死ぬ 森田の話を聞く
※2日目夕方にE-4にて赤木しげると再会する約束をしました。
※2日目夕方にE-4にいるので、カイジに来るようにと誘いました。
※『申告場所が禁止エリアなので棄権はできない』とカイジが書いたメモを持っています。
※原田が村岡に出した指令の内容、その回収方法を知っています
※この島で証拠を掴み、原田、安田、巽、船田を使って、三社を陥れようと考えています。

【森田鉄雄】
 [状態]:左腕に切り傷 わき腹に打撲
 [道具]:フロッピーディスク(壊れた為読み取り不可) 折り畳み式の小型ナイフ(素材は絶縁体) 不明支給品0~2(武器ではない) 支給品一式  船井の首輪(爆発済み)
 [所持金]:1000万円
 [思考]:遠藤を信用しない 人を殺さない  首輪を集める 銀さんに自分の任務について話す
※フロッピーで得られる情報の信憑性を疑っています。今までの情報にはおそらく嘘はないと思っています。
※遠藤がフロッピーのバックアップを取っていたことを知りません。
※南郷と第3放送の一時間前にG-6のギャンブルルーム前で合流すると約束しました。
※以下の依頼を受けました。契約書を1部所持しています。
※黒崎から支給された、折り畳み式の小型ナイフを懐に隠し持っています。

――――――――――――――――――――――――――

【依頼内容】

制限時間内に首輪を6個集めること。
期間は依頼受託時から、第4回放送終了まで。
死体から集めた首輪は1個、生存者の首から奪った首輪は2個とカウントする。
森田鉄雄、平井銀二の首輪は3個とカウントする。
第4回放送を過ぎても集められなかった場合は依頼未達成とみなし、森田鉄雄の首輪を爆破する。
森田鉄雄がギャンブルルームに規定数の首輪を持参し、申告した時点で依頼達成とする。
資金の受渡は申告と同時に、ギャンブルルームにて行う。

【報酬一覧】

第2回放送終了までに集めた場合
ゲームを棄権する資金1億円+ボーナス2億円

第3回放送終了までに集めた場合
進入禁止エリアの解除権(60分間)>※
他者に譲渡可能。ただし、渡す側、受け取る側、双方の意思確認が必要。
確認がとれない場合、権利そのものが消失する。

第4回放送終了までに集めた場合
報酬、ボーナスともになし

※補足>進入禁止エリア一箇所の永久解除権(権利が発生してから60分間以内に使わないと無効)



128:偶然と奇跡の果てに 投下順 130:宣戦布告(前編) (後編)
130:宣戦布告(前編) (後編) 時系列順 118:説得の切り札
125:我執(前編) (後編) 原田克美 140:正義
125:我執(前編) (後編) 平井銀二 140:正義
121:慕効 森田鉄雄 140:正義




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