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目的 ◆X7hJKGoxpY氏


「思ったよりも規模は大きいな……」
利根川は発電所を見てポツリと呟く。
彼は平山との集合場所に、一足先に訪れていた。
発電所の周辺に誰か来ていることもあるかもしれない。
それが利用できる人物であるならば、器具を装着した平山の姿を見られるのはまずいだろう。
自分が他人を脅しつけている人間であると知られては、思い通りには動いてくれない可能性が大きい。
だから、その前に駒を動かす。
――他人を動かせるリモコンは一つしかないのだ。


それにしても、随分と大層な発電所である。
この島の大きさを考えれば、ここまで大規模なものでなくても普通なら十分に賄える。
尤も膨大な電力を要する遊園地を経営している以上、これくらいの大きさは必要なのかもしれない。
(在全グループによる無人島開発計画がいくつかあると聞いていたが……)
この島がその一つであるというのなら、やはりその財力は計り知れない。
発電所だけでも膨大な維持費がかかる。
島全体では、一体どれだけの費用がかかるのだろうか。
並の財力、経営手腕では即座に破綻するであろう。
しかもこれは氷山の一角。
他にもこのような島がいくつもあるのだ。
一事が万事、どの島もこの程度の規模は持っていると思われる。
その財力は、まるで計り知れない。

(なるほど…………見えてきたな)
このギャンブルの目的。
最初はトトカルチョによる儲けを期待したものではないかと考えていた。
趣味と実益を兼ねた、優れた企画ではないか。
だが、それだけではあるまい。
彼の知る限り、ここまで人を人とも思わぬギャンブルが行われた試しはこれまで無かった。
言うなれば、新しい風。
次世代のギャンブル。
そのインパクトは想像を絶する。
このギャンブルは在全にとって絶大な宣伝効果をもたらすに違いない。

だが、それすらも所詮は表向きの目的ではないか、と利根川は考察を続ける。
在全の真の狙いは別にある。
おそらくそれは、その財力を背景にした示威行為。
このギャンブルを観戦したものは、誰しもが考えるはずである。
――次は自分の番では無いか、と。

まず間違いなく、首謀者は在全であろう。
そしてその目的は不穏分子を抑えること。
本当のところは今は分からないが、その考えに彼は確信をもっていた。
彼には、長く帝愛グループでナンバー2を務めてきたという自信がある。
しかし、それでもただ一つ、分からないことがあった。
(何故だ……在全の目論見に……何故兵藤様が絡んでいるのだ………)


分からない。
どれほど考えても分からない。
尤も、それでいいのかもしれない。
臣下に主の考えに近づくのは、それだけで大罪である。
それに、今は他にやらねばならないことがある。
(三人か……)
遠目に見かけた集団。
二人は大人だが一人は子供であった。
子供がいる、というあたりとこのギャンブルに乗った集団であるとは考えにくい。
おそらく彼等はこのギャンブルを良く思わず、潰そうと考えている連中。
(兵藤様にたてつく愚者どもか……)
その志、大いに結構。
だが、それが成就することなどまずあるまい。
このようなギャンブルを開催したということは、まず反乱対策は万全であろう。

彼らをどうするべきか。
殺してもよいが、子供を戦闘員と勘定しなくても一対二。
正直やって出来ないことはないだろうが、不利な状況には違いない。
ここで無理に頭数を減らすよりも、利用できるなら利用するに越したことはない。
対主催派のふりをすれば、それも無理なく出来る。
その場合、主催者との繋がりを示す和也の保護や遠藤殺害の指示は出来ないが、
カイジに伝言を頼むことくらいは可能だ。
殺すことはいつでも出来るのだから、今は利用した方が建設的だろう。
そうして方針を定めると、利根川は三人に向かって歩き出した。

 * * *

「ほ……本当ざんすか……?いや助かった……ありがとうっ………ありがとうっ………」
村岡は喜びを隠しきれない様子である。
ニヤニヤと笑みを浮かべながら、赤松に首輪を手渡した。
赤松はそのまま首輪をバッグにしまう。
「それで……知ってる情報を教えてもらえますか?」
「分かったざんす……ゆっくり話すざんす………
だから焦らない焦らない……焦ってもいいこと無いざんすよ」
――同行させると言ったとたんにこれか。
この馴れ馴れしさに赤松は不快感を覚える。
少なくとも彼が生きてきた中でこんなわざとらしいコミュニケーションをとる者はいなかった。
村岡がこれまでどんな生活をしてきたか知ったことではないが、これでこの男は世を渡ってきたのか。
このような男とは生理的にウマが合わない。
これまでにも合わない人間は少なからずいたが、態度に出すことはなかった。
だが、環境がそうさせるのか、苛立ちを隠せずにはいられない。
「いいからっ……とっとと言ってくださいっ……!時間は無限にあるわけじゃないんだからっ……」
「はいはい、わかったざんすよ……」
急かされて、ようやく村岡は話し出した。

まず、井川ひろゆきと伊藤開司。
村岡曰く、井川ひろゆきはこの地で、伊藤開司は以前彼を嵌めた男らしい。
このあたりは彼が明らかに悪意を持っているため簡単には信用できない。
続いて利根川という男。
この男は帝愛グループのもとナンバー2であったが失脚。
一条。
この男は帝愛の裏カジノを経営するも客に大負けして借金を覆う。
驚いたことにこの二人もカイジという人物に負けたことが不運な目にあった原因らしい。
「まるで貧乏神っ……!近寄るといいこと無いざんす」
と、村岡は付け加えた。
三好という人物。
この男は村岡の元部下で、気が弱く頭も回らない小物ということ。

「それで主催者ざんすが……これは間違いなく帝愛グループ………
司会者の黒崎という男は現ナンバー2で、しかもこのギャンブルを持ちかけてきたのも帝愛ざんす……
帝愛は血も涙もない鬼集団……こんなことをしでかしてもおかしくはない………」
「なるほど……」
敵は大企業。
あまりに雲の上の存在で実感はあまり湧かないが、ありそうなことではある。
「それでここからが重要ざんす……第一級の危険人物………まさに血も涙も無い鬼の象徴っ……!
帝愛の兵藤会長の息子、兵藤和也も参加してるざんす……出来れば彼には会いたくない………
会えば間違いなく殺されるっ………!
……とまあ、ワシが知っているのはそんなところざんす」
「そうですか……ありがとうございます」
赤松はメモをとりながら考える。
ひとまず彼は感情でものは言っても嘘は言っていないだろう。
しかしこの人物自体は信頼できない。
仲間は多いに越したことはないが、今後、どう対応すべきであろうか――

「村岡さん」
唐突に標が口を開く。
「これから行動を共にするにあたって……確認しておきたいことがあるんだ」
「なんざんす?坊や……」
例の笑い顔を貼り付けて村岡は尋ねた。
「正直言って……僕たちはあなたをまだ信用していない………
だから、武器はあなたに持たせない………それが同行の条件……」
この言葉を聞いて、村岡は表情を変える。
当然であろう。
自分よりはるかに若い、人生経験の少ない少年が自分のことを信用できないというのだ。
腹が立つのも無理はない。
だが、村岡としては条件を呑むより仕方がないのだろう。
黙ってコクリと頷いた。
「あと、もし裏切ったら………」
そう言いながら標はモデルガンを構える。
「容赦なく撃ち殺すから」
村岡の顔から血の気が引いていくのが分かった。


それからしばらく後、再び新たな警告音が近くで鳴り始めた。
「誰か来る……」
三人はそれぞれ身構える。
現れたのは顔面に生々しい火傷の跡を残した一人の男。
「そんなに警戒しなくても結構……私は殺し合いには乗っていない………」
「と……利根川さんっ……!」
村岡が突如声を上げた。
利根川といえばつい先程聞いた名前である。
こういうことを、噂をすれば影、というのだろうか。
「ほう……私を知っているのかね………それは話が早い……
ご存じのとおり私は失脚した身でね……主催者の帝愛………奴らに復讐をしたいと願っているんだ……」
「復讐……ですか?」
「ああ……見受けたところ君たちも反乱しようと思っているようだが………
そうならば私達は同志、ということになるな」
「ははあ……」
何やら圧倒される。
堂々とした佇まいには好感が持てるが、彼も同行したいとでもいうのだろうか。
「フフフ……」

標がクイ、と服を引っ張った。
手を口に当てる。
耳を貸せ、というのだろう。
「どうしたんだい、標君」
「赤松さん、気をつけて………あの人、袖口に銃を隠してる……」
「なっ……!」
自分の顔からも、さっと血の気が引いていくのを感じた。


【C-1/樹林地帯/午後】
【赤松修平】
 [状態]:健康
 [道具]:手榴弾×10 石原の首輪 支給品一式
 [所持金]:1000万円
 [思考]:この場を乗り切る 村岡に警戒 できる限り多くの人を助ける 標を守る
※石原の首輪は死亡情報を送信しましたが、機能は停止していません

【標】
 [状態]:健康
 [道具]:モデルガン 支給品一式
 [所持金]:1000万円
 [思考]:この場を乗り切る 村岡に警戒 バトルロワイアルの穴を見つける 他の対主催派と合流する

【村岡隆】
 [状態]:健康 やや興奮状態
 [道具]:なし
 [所持金]:0円
 [思考]:赤松・標と同行する ひろゆきとカイジに復讐したい 生還する
※村岡の誓約書を持つ井川ひろゆきを殺すことはできません。

【利根川幸雄】
 [状態]:健康
 [道具]:デリンジャー(1/2) デリンジャーの弾(30発) Eカード用のリモコン 針具取り外し用工具 支給品一式
 [所持金]:1000万円
 [思考]:三人を利用する ゲームで優勝、もしくは和也を優勝させての離脱
※両膝と両手、額にそれぞれ火傷の跡があります
※和也の保護、遠藤の抹殺、カイジとの真剣勝負での勝利・その結果の抹殺を最優先事項としています。
※一条はその目的次第で協力・殺害を判断します。
※平山と次の定時連絡時に発電所で落ち合う約束をしました。
※デリンジャーは服の袖口に潜ませています。
※Eカード用のリモコン
Eカードで使われた針具操作用のリモコンです。
電波が何処まで届くかは不明です。

※針具取り外し用工具
Eカードの針具を取り外す為に必要な工具です。



040:見当 投下順 042:虎穴
040:見当 時系列順 044:彼我
030:窮鼠 赤松修平 048:思惑
030:窮鼠 048:思惑
030:窮鼠 村岡隆 048:思惑
013:再起 利根川幸雄 048:思惑







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