涙を拭いて ◆L9juq0uMuo



「それではバトルロワイアルを続行する!!」

そう光成が宣言し、第二回目の放送は終わりを告げた。
F-5のマンションの一室。そこにいた神楽とキュルケは放心したかのように目を見開いていた。
平賀才人と桂小太郎、キュルケの想い人と神楽の仲間である二人の名前が放送で挙げられたからだ。

「嘘……、嘘よ……」
「な、何でヅラが死ぬアルか!! あのゴキブリ並みにしぶとい奴が死ぬ訳無いアル! そんな……、そんないい加減な事言うな禿頭ァァァァッ!!」

烈火の如く怒り狂う神楽と、かぶりを振りながら塞ぎこむキュルケ。
対照的ではあるが互いに激しく動揺しているのは同じである。

「嘘……よ……」
「ふざ……けん……っ……な……」

キュルケ、そして神楽は力なくうなだれた。
そして、その二人の動揺に付け込むかのように脳裏に浮かぶ『優勝者の褒美として一つだけどんな願いも叶えられる権利が与えられる』という言葉。
――キュルケは思う、優勝すれば才人を甦らせる事ができると。
――神楽は思う、もし桂に続いて銀時・新八が死んでしまっても、自分が優勝し願い事を言えば皆生き返るのではと

だが、二人はそんな考えを振り払った。
キュルケには才人を生き返らせる為とは言え、親友であるタバサ、そして悪友で才人の主であるルイズを殺す事などできはしない。
それに、その為には神楽や命の恩人であるケンシロウをも手にかける事になる。
人にマダオなどというふざけたあだ名を付け、貴族である自分に無礼な発言ばかりする平民の神楽。
しかし彼女は、事故とはいえ彼女が大怪我を負わせてしまった自分を助ける為に奔走した。自分を助けようと力の限りを尽くしてくれたのである。
『ごめんなさい』とおずおずと謝った、いじっぱりな悪友を髣髴とさせる神楽。キュルケは、そんな彼女を殺す気になどなれなかった。

神楽にはもし生き返るとしても、共に暮らし、戦闘民族『夜兎』である自分を仲間と認めてくれている銀時や新八を殺す事などできはしない。
それに、その為にはキュルケや、キュルケの命を救ってくれたケンシロウをも手にかける事になる。
胸がでかければ態度もでかい。まるでダメなおっぱいお化け、略してマダオなキュルケ。
しかし彼女は、事故とはいえ危うく彼女を殺しかけてしまった自分の事を許してくれたのである。
『うん』と穏やかに笑い、自分のやってしまった事を許してくれたキュルケ。神楽はそんな彼女を殺す気になどなれなかった。

そして何より、
誇り高き貴族である少女の心が――、
戦闘民族として生まれながらその宿命に抗い、人の為にその力を使うと決めた少女の心が――、
この殺し合いの場で、主催者の口車に乗り殺人を犯すことを否とした。
「……神楽」

うつむいたまま、キュルケは同じくうつむいたままの姿勢の神楽へと話しかける。

「……何アルか」

顔も向けずに神楽が答える。

「この殺し合い、絶対に止めましょう。あの主催者も、恐らく殺し合いに乗ってダーリンを殺した奴も、私は絶対に許さない、そして……」

一息付き、キュルケは顔を上げる。泣きはらした両の目に強い決意を携えて。

「私達みたいな思いをする人は、一人でも減らさなくちゃいけない」
「……もちろんネ」

すくっと、神楽が立ち上がる。彼女の瞳にもまた、キュルケと同じ強い決意の光を携えている。

「こんな殺し合いに乗った馬鹿は私がぶん殴ってでも止めてやるネ。そして最後はあの禿ジジイを死ぬほど後悔させてやるネ」
「ええ、私達の大切な人を失わせた罪、身をもって味あわせてあげましょう。いやという程、ね」
「考えはまとまったようだな」

今まで二人の反応を窺っていたケンシロウは狼狽する二人に一切話しかけなかった。
先ほどの放送で発せられた『優勝者はどのような願い事でも一つだけ叶えられる』という悪魔の誘い。
無論、ケンシロウはそのような外道な誘いに屈するような男ではない。寧ろその優勝特典はケンシロウの怒りという火に油を注ぐ行為であった。
そしてまた、自分が傷つけてしまったキュルケを全力で助けようとする神楽、自分に重傷を負わせた神楽を許したキュルケ。
その二人があのような悪魔の誘いに負けないと、ケンシロウは信じていた。

「突然で悪いが俺は行かなければならなくなった」
「藪から棒にいきなりどうしたの?」
「そうネ、あれか? トイレか? ガタイ良すぎてそこのトイレに入れなかったか? だったらもったいぶった言い方しないで、素直にそう言うネ」
「違う」

きっぱりと否定し、ケンシロウは続ける

「この殺し合いで知り合った一人の男、カズマが死んだ。カズマの性格からして、俺と戦う為にもしかしたらこの近くに来ていたかもしれん」

その言葉に二人が固まる。もしもそのケンシロウが知り合った男がこの近くで死んだというのならば、その男を殺した人物がこの近くに来ているかもしれないという事である。

「カズマはさっき言ったアミバに任せてきた。俺はアミバを見つけ出す、そして奴がカズマを殺したのであれば……」

明確な意思を持ってケンシロウは続けた。

「殺す」

ケンシロウの体から発せられた殺気と覇気にキュルケと神楽は言葉を失う。
放送でカズマの名を聞いた時、真っ先にアミバが殺したのではと思った。
だがそれとは別にもう一つの考えが浮かんだ。ケンシロウがここへ来る途中あしらったあの老人。
もし、カズマが自分を追って来ていた場合、あの老人に出くわす可能性も高い。
あの奇妙なコートと人形のような物体は厄介な代物だ。カズマが倒されたとしても不思議ではない。

(あの時見逃さずに止めを刺すか、支給品を奪っておいた方がよかったかもしれなかったな)

もっとも今となってはそれは後の祭りではあるが。
だが、アミバの性格からして、自分と対抗できる武器や仲間を見つけ、カズマを不意打ちで殺したという可能性も考えられる。
結局、真相を確かめる為には生存者であるアミバと接触せざるを得ないと言う事だ。

「俺は必ず帰ってくる。だから二人とも……」
「嫌よ」

ケンシロウが全てを言う前にキュルケがその提案を拒否した。

「皆が危険な目に合っているのに私達だけのんびりとここで待ってると思う?」
「そうネ! 旅は道連れヨ、私達も連れてくネ!」

キュルケの発言に神楽が続く。どうやら二人ともちょっとやそっとでは折れないようだ。

「駄目だ。怪我人を連れていく訳には……」
「連れていく訳にはいかないのに置いていくのはいいのかしら? いつそのアミバって人が見つかるかわからないのに?」
「むぅ……、だが神楽もいる事だ……」
「こんな逃げ場も無い所で集団に襲われたらどうするネ」
「ぬぅ……」

ケンシロウの意見を二人がぴしゃりと反対し、ケンシロウは言いよどむ。
「ねぇケン、危ないのはどこだって一緒よ? なら私達は貴方についていく。足手まといにならないように努力もする」
「それにケンと一緒に行動してれば銀ちゃん達やキュルケの仲間にも会えるかもしれないネ」
「お願いよケン」
「仕舞いにゃ駄目だって言っても無視してついてくヨ」

頑として引かない二人に、ついにケンシロウが折れた。

「……わかった。だが、無茶はしないでくれ」

その一言に神楽とキュルケの顔がパッと明るくなる。

「話がわかる奴アル! やっぱケンはただの筋肉ダルマじゃないアルな!」
「ちょっと神楽、筋肉ダルマは失礼じゃない?」
「じゃあ筋肉眉毛か?」
「それはもっと失礼」

きゃあきゃあと言い合う二人に、ケンシロウは自然と笑みがこぼれるのを感じた。

「よし、全員で行動するとなれば話は別だ。今のうちに昼食を取り、それから出かけるとしよう」
「私殆ど食べちゃったヨ」
「……俺のを少し分けよう」
「じゃあ私のも少し分けてあげるわ」
「マジでか!? でもちゃらついたおかずには興味ないから米かパンが欲しいアル」
「恵んでもらうのに我儘言わないの」

こうして賑やかな昼食が始まった。
「マンションか……、もしかすれば誰かが潜んでいるかもしれないな」

マンションの向かいの角から顔を出しながら、マーティン・ジグマールは呟く。
放送を聞いた後、近くに人はいないかと、人が集まりそうなマンションまで捜索しに来たのである。
思わず「美形だ!」と叫びたくなる程の美貌も今は見る影もなく、風にアフロが揺れる。

「しかし、まさかあのカズマがこのような所で死ぬとは……」

自分の部下のスーパーHOLY蒼乃大気を破った、“反逆者”(トリーズナー)カズマ。
その男の死亡が先ほどの放送で発表された事はジグマールに衝撃を与えた。

「私ほどでは無いにしろ、奴はあの蒼乃大気すら破る腕前の持ち主。それが敗れるという事は……」

それは即ちカズマ以上の強大な敵が存在し得るという事。制限下におかれた今のジグマールには嬉しくない事実だ。
嫌な汗がジグマールの頬を伝う。

「とりあえずは無力な参加者を演じて取り入り、あいつらの悪評をふりまかないと」

長年威厳あるHOLY隊長を演じてきたジグマールだ。演技力にはそれなりの自負もある。
おまけに顔もぼこぼこで説得力もある。後はどれだけ情けなく、無力な一般人を演じられるかだ。

(ギャラン=ドゥ……)

今は出て来れない自分の頼りになる相棒の姿を思い浮かべると、寂しさと不安から涙がにじむ。
ジグマールは乱暴に目をこすり涙を拭った。

「僕がここで一人で頑張ってみせないと、ギャラン=ドゥが安心して出て来れないんだ……!」

一念発起し、慎重にマンションの捜索をするジグマール。ふと、その耳に誰かの声が聞こえた。
「誰かいるみたいだな、今度こそうまくやらないと……!」

そしてジグマールはその声の方向へと進む。
だが彼は知らない、そこにいる人物は彼が悪評をふりまこうとしている人物の知り合いであるという事を。
彼の受難はまだまだ終わる気配を見せない。


【F-5 マンションの一室 一日目 昼】
【ケンシロウ@北斗の拳】
[状態]:カズマのシェルブリット一発分のダメージ有り(痩せ我慢は必要だが、行動制限は無い)
    キング・クリムゾンにより肩に裂傷
[装備]:
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム(1~3、本人確認済み)
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない、乗った相手には容赦しない。
1:昼食の後、アミバを捜索、事と次第によれば殺害。
2:ジャギ・アミバ・ラオウ・勇次郎他ゲームに乗った参加者を倒す。
3:助けられる人はできるだけ助ける。
4:乗ってない人間に独歩・ジャギ・アミバ・ラオウ・勇次郎の情報を伝える。
[備考]
※参戦時期はラオウとの最終戦後です。

【キュルケ@ゼロの使い魔】
[状態]後頭部打撲(治療済) 貧血気味 マントが破られている
[装備]タバサの杖@ゼロの使い魔
[道具]支給品一式
[思考・状況]
基本:学院に三人で帰る、殺し合いには乗ってない人を守る、乗っている人は倒す
1:昼食後、ケンシロウと同行。
2:タバサ、ルイズと合流する。
3:サイトを殺した人物が乗っていた場合容赦はしない。
4:帰る方法を考える。

[備考]
軽い頭痛と出血により、行動に支障。
首輪をマジックアイテムだと思っています。

【神楽@銀魂】
[状態]疲労 精神的に少し持ち直した
[装備]木刀正宗@ハヤテのごとく 
 ジャッカル・13mm炸裂徹鋼弾予備弾倉(30×2)@HELLSING
[道具]支給品一式 拡声器@BATTLE ROYALE
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗っていない人は守る、乗っている人は倒す
1:昼食後、ケンシロウに同行する
2:銀ちゃん(銀時)と新八を探す。
3:帰る方法を考える。

[備考]・原作18巻終了後から参戦。
【マーティン・ジグマール@スクライド】
[状態]:全身に負傷大 疲労大 美形+アフロ状態
[装備]: 本部の鎖鎌@グラップラー刃牙 アラミド繊維内蔵ライター@グラップラー刃牙(未開封)
    法儀礼済みボールベアリングのクレイモア地雷(リモコン付き)@HELLSING(未開封)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本:生き延びて全宇宙の支配者になる
1:ギャラン=ドゥの言うとおりに行動する
2:ギャラン=ドゥが活動できるまで戦闘は避ける
3:マンションにいる人物に接触・匿ってもらう(美貌が使えそうなら使う)
4:素性を知っている吉良、コナン、マリア、銀時、ルイズたちの悪評をばら撒く
[備考]
アフロ状態が次の話まで続くかどうかは他の書き手に任せます
※人間ワープにけっこうな制限(半径1~2mほどしか動けない)が掛かっています
連続ワープは可能ですが、疲労はどんどんと累乗されていきます
(例、二連続ワープをすれば四回分の疲労、参連続は九回分の疲労)
※ルイズと吉良吉影と覚悟はアルター使いと認識しました
※沖田のバズーカ@銀魂(弾切れ)をS8駅の車掌室に放置しています
【ギャラン=ドゥ@スクライド】
[状態]:ジグマールに潜伏状態 全身に負傷小(自己治癒中) 中程度の疲労
[思考・状況]
1:成り行きを観察中
[備考]
※ギャラン=ドゥは制限によりジグマールと命運を共にしています
 そのため、ジグマールを生かしています
※ギャラン=ドゥは制限により、30分前後しか表に出られません(それ以降は体力を大幅に消費してしまいます)
※表に出られる時間はギャラン=ドゥ本人の体力と精神力に依存しています
※一度引っ込んだら2,3時間ほど間を置かないと、表に出られません(無理をすれば出られますが、体力を大幅に消費してしまいます)
※人間ワープにジグマールほどではないが、けっこうな制限(半径3~4mほどしか動けない)が掛かっています
連続ワープは可能ですが、疲労はどんどんと累乗されていきます
(例、二連続ワープをすれば四回分の疲労、参連続は九回分の疲労)


124:薔薇獄乙女 投下順 126:タバサの沈黙
124:薔薇獄乙女 時系列順 126:タバサの沈黙
106:人の名前とか間違えるの失礼だ ケンシロウ 137:漫画キャラバトルロワイアル0点・家出編
106:人の名前とか間違えるの失礼だ キュルケ 137:漫画キャラバトルロワイアル0点・家出編
106:人の名前とか間違えるの失礼だ 神楽 137:漫画キャラバトルロワイアル0点・家出編
109:ギャラン=ドゥ ジグマールのバトルロワイアル マーティン・ジグマール 137:漫画キャラバトルロワイアル0点・家出編