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夢幻 ◆iL739YR/jk氏


「零…大丈夫か…?」
先に口を開いたのは沢田だった……
第二回定時放送、そこで語られたのは『板倉』の名前。これで…零の知り合いは全滅……
「はい…大丈夫です!」
沢田と涯の視線から彼らが自分を気遣う気持ちが痛いほど分かった。だから…零は強く答える。自分は大丈夫だと…
「そうか…だったら今はとにかく二人とも休め…見張りはしてこくから、何かあったらすぐに起こす…」
沢田の言葉に涯は黙って頷き、床に突っ伏す。そうとう眠気を我慢していたのだろう。
「では…後少しなので、標のメモを読み終えたら、休ませてもらいます…」
「…あまり無理するなよ」
沢田は何かを忘れるようにメモに没頭する零にそう言うことしかできなかった。

標のメモを読み込むにつれて、零は改めて標の偉大さを思い知らされた…
ゲーム序盤にして早々と対主催の道を選び、付け入る隙…穴を探して動いていた。
そして彼は見つけていた…首輪の盗聴機能に謎の灯台の存在を…
どちらもこの現状では重要な情報…特に盗聴機能は厄介…
先程、提案したギャンブルルームで安全を買う戦術。これも当然、主催の耳に入ってしまっている筈…
…ということは仮にある程度の人数でギャンブルルームに閉じこもる動きがあれば、そこは真っ先に禁止エリアに指定されてしまうだろう。
もしこのことに気づいていれば迂闊に発言することなどなかった…標がこんな重要なことに気づいていた同じ時間…そのころの自分といえば、イカサマ麻雀で金を稼ごうとしか思っていなかった。
圧倒的思考の差…センス…能力…
(標…もしここにいてくれたら……)
そんな適わぬ願いを思い浮かべたとき…急に零の視界は暗転した。





闇…闇…見渡す限り果てしなく続く深い闇……
零は突如としてそこに放り込まれた。
(どこだ…ここは…涯…沢田さん…!)
当てもなく闇の中を彷徨った零の目の前に、見覚えのある男性の姿が現れた。
(末崎…!?)
「零…もう無理だ…こんな島…抜ける…抜けるんだ! こんな首輪なんか!」
やめろ! 零はそう叫びたかった。しかし、それより早く末崎は自らの手で首輪を引きちぎり、閃光と爆音を連れて闇の中に消えていった。
「…駄目ですよ、兄さん。無用心すぎます…」
再び零の耳に飛び込んでくる聞き覚えのある声…
(板倉…さっき放送で呼ばれたばかりなのに……)
「首輪は主催が参加者を縛る枷…そんな簡単には外せやしませんよ…」
そういうと板倉は遠方を指差す。そこにはいつの間にやら灯台が建っていた。
「禁止エリア内にあり、人が管理していて、アンテナで何かを送受信する施設…となれば答えは一つ…」
板倉が手にしたボウガンで灯台を射抜くと、それは先ほどまで聳え立っていたのがまるで嘘のようにあっさりと消えてしまった。
「これで主催者は首輪を起爆できない…これが正解…!」
そして、板倉も自らの手で首輪を引きちぎる…その直後、末崎同様、彼もまた爆発とともに闇の中に消えていった。



ここまでくると流石に零も気づいていた。そう…これは夢…メモを読み終えた自分はいつの間にか寝てしまっていた…だから見る夢…
どうせ夢なら…そう…夢ならもう少し…続いて欲しい…そして…
「零…」
語りかけて欲しい…そう思ったとき、彼は現れた…
(標……)
やっと会えた…心強い仲間…自分を上回る圧倒的知力…一緒に解き明かしたい謎が…倒したい敵が……
零の胸をあらゆる思考が駆け巡る……あれも聞きたい…これも聞きたい…逆にあれも聞いて欲しいし、これも聞いて欲しい……
それらが零の口から今にも飛び出しそうな…そんなとき、標の口が先に開いた……

「首輪は外せない…」

えっ………

その一言に零の思考が止まる。首輪は外せない……何を言っているのか零には分からなかった……

「首輪は主催が参加者に対して優位に立つ為に必要な絶対条件…参加者が短時間でそんな簡単に解除できるような…そんな甘い仕掛けにするくらいなら…こんなゲーム…始めから成立しない……
入念な準備…幾重にも張り巡らされた対策…それを敗れるのは主催が用意した正規の方法…ただ一つ…そうするのが鉄則……故に参加者が自力で解除するなど…不可能……」

それはそうだ…そんなこと誰しも一度は考える…だが、そこに主催さえ気づかぬ穴があるのではないのか…? その為に動いていたのではないのか…? 標……!

「零…君の言いたいことは分かってる…でも、僕は感じた…首輪の…いや、ゲーム自体の『滅び』を…
そうじゃなかったら…勝算がなかったら…あんな序盤からゲームを潰しにはかからない…本当に王の試験だって可能性もあったしね……」

そう言うと標は自らの首輪を指差した。

「首輪は外せない……零……」

(標…標…!)



「零…零…!」
気がつくと零の目の前には涯と沢田がいた。
「大丈夫か…ずいぶんと魘されてたぞ……」
寝汗を拭けと言わんばかりに涯はタオルを差し出す。
「お友達の夢でも見てたのか…?」
沢田の言葉に零は必死で夢の記憶を辿る…あれは何だったのか…メモの内容を整理していた脳が見せた考察の欠片か…それとも本当に標や板倉、末崎たちが…
そんなことありえないのは分かってる…でも、そう思いたいときもある……
一番印象に残っているのは夢の最後……標は自らの首輪を指差していた。
「紙…の首輪…」
「は…・?」
唐突に零の口から飛び出してきた言葉に沢田も涯もあっけにとられる。
「標の首に嵌められてた首輪…まるで玩具みたいに…紙で出来てた……」
なんだ…夢の話か…涯と沢田は互いに顔を見合わせると少し笑って、再び零と向き合う。
「やっぱり疲れてるみたいだな…今はゆっくりと休め…零…」
沢田の優しい言葉に触れ、零は今度こそ自覚したまま眠りに落ちていくのを感じていた。
(でも…さっきの夢…気になるな…標…)
願わくば…もう一度会いたい…そんな願いを込めて…零は再び眠りについた。

(やっぱりまだ子供だな…)
夢に魘され、寝言を呟く。どんなにしっかりしていても、所詮まだ子供。
だからこそ、自分が今やるべきこと…彼らを守る…必ず…
眠りに耽る子供二人のそばで沢田は静かに辺りに気を配り続けた……
この島の夜は……まだ長い………



【E-3/民家/深夜】

【工藤涯】
 [状態]:健康 右腕と腹部に刺し傷 左頬、手、他に掠り傷 両腕に打撲、右手の平にやや深い擦り傷
     (傷は全て応急処置済み) 睡眠中
 [道具]:鉄バット 野球グローブ(ナイフによる穴あり) 野球ボール 手榴弾×8 石原の首輪 支給品一式×3
 [所持金]:1000万円
 [思考]:零と共に対主催として戦う 首輪の構造を調べる 
※石原の首輪は死亡情報を送信しましたが、機能は停止していません。

【宇海零】
 [状態]:健康 顔面、後頭部に打撲の軽症 両手に擦り傷 睡眠中
 [道具]:麻雀牌1セット 針金5本 標のメモ帳 不明支給品 0~1 支給品一式
 [所持金]:0円
 [思考]:対主催者の立場をとる人物を探す 涯と共に対主催として戦う 標のメモを分析する 休息をとる
※標のメモ帳にはゲーム開始時、ホールで標の名前が呼ばれるまでの間に外へ出て行った者の容姿から、
どこに何があるのかという場所の特徴、ゲーム中、出会った人間の思考、D-1灯台のこと、
利根川からカイジへの伝言を託ったことなど、標が市川と合流する直前までの情報が詳細に記載されております。

【沢田】
 [状態]:健康
 [道具]:毒を仕込んだダガーナイフ ※毒はあと一回程度しかもちません
     高圧電流機能付き警棒 不明支給品0~4(確認済み) 支給品一式×2
 [所持金]:2000万円
 [思考]:対主催者の立場をとる人物を探す 主催者に対して激しい怒り 赤松の意志を受け継ぐ 零と涯を守る 見張りをする



115:金の狩人(前編)(後編) 投下順 117:帝王
117:帝王 時系列順 121:慕効
094:息子 工藤涯 118:説得の切り札
094:息子 宇海零 118:説得の切り札
094:息子 沢田 118:説得の切り札




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