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伝声(後編) ◆IWqsmdSyz2氏


市川との一戦を終えたひろゆきと平山は、ギャンブルルーム前で佇んでいた。
どのような形であれ、人の死は精神を摩耗させる。
市川が晴れ晴れしい気持ちで死んでいっただろうことを知っていても
特に平山の心は鬱々としていた。

「まさかこんな短時間に二人も殺すことになるとはな・・・」

薄ら明るい空を仰ぎながら呟く平山の肩を、ひろゆきはそっと叩いた。
利根川も市川も、乗り越えなければならない壁だった。
殺傷に貴賎などありはしない。
それでもひろゆきは平山に、
前を向いて歩いていくだけの資格があるのだということを伝えたかった。

アカギは市川の亡骸まで歩み寄りしばらくそれを見下ろしていたが、
目当ての首輪が跡形もないと気付くと、再びギャンブルルーム前まで戻ってくる。

「あんたらはこれからどうする」

アカギの問いに、ひろゆきと平山は顔を見合わせた。

平山にとって第一に目的としていた首の針具の取り外しは達成された。
利根川が死んだ今、最も恐れていた人物は潰えたことになる。
気になるのはカイジの状況と、田中沙織のこと。
そして、先刻受けた何者からかの宣戦布告だった。

ひろゆきは、今後平山と行動を共にしていく心積もりでいるものの、
アカギと真正面からの博打がしたいという気持ちは未だ捨てられずにいる。
市川と囲んだ卓だけでは、満足できないという本音があった。
しかしながら、第三回放送の時間が迫っている状況で再びギャンブルを持ちかけても、
それが叶う公算は極めて低いだろうとわかっていた。
そして、天の死を前にしたことで、自分本位な目的の他に、
このゲームを止めなければならないという使命感が生まれたのも事実である。

二人に共通して挙げられる具体的な目標は、『カイジとの合流』になるだろう。

アカギの述べた“これからどうする”という言葉からは、
アカギ自身は既に行先を定めているのだろうと推測できる。

「・・・お前はどうするんだ」

聞き返す平山に、アカギは薄く笑いながら答えた。

「もう一人・・・厄介なジジイを探さなきゃならない」

再び、ひろゆきと平山は視線を交わす。
気味の悪い宣戦布告を受けたこの状況で、
ひろゆきも平山も、アカギと別行動をしたいとは思っていない。
人探しとなれば、ひろゆきの持つ首輪探知機が役に立つことは予想できるため、
尚の事、三人で立ち回ったほうがいいはずだ。

しかし、厄介なジジイ――つまり市川の他にも
アカギに因縁を持つ老人がいるということだろうか。
また市川戦のような出来事に出くわすことになるかもしれない。

数秒の沈黙の後、ふと平山があることを思い出す。
ひろゆきと平山は、病院で出会った老人から、アカギへの伝言を預かっていたのだ。

「そういえば・・・アカギ。お前への言付けを頼まれているんだ」
「ああ、そうだった。僕達が病院にいたとき・・・三、四時間前だったか・・・
鷲巣って爺さんが言っていた・・・!“病院で待機している”と・・・」

鷲巣、という名前を憎々しげに扱いながら、ひろゆきがアカギに話す。

「なぁ、厄介なジジイっていうのはひょっとしてこの・・・」

眉を顰めるひろゆきに、アカギはいつものように底の知れない笑みを浮かべた。

「丁度いい・・・別行動だ・・・!オレは病院に戻るよ・・・!」

アカギはもう一人の老人
――鷲巣に会うため、単独で病院に向かうと言う。

ひろゆきは鷲巣に良い印象を抱いてはいない。
異常に攻撃的であり、とりわけ平山に対して執拗に突っかかってくる
子供じみた言動で傲慢な、まさしく厄介者であると認識していた。
足手まといな老人の一体どこにアカギの気を引く要素があるのだろうか。

「伝言を頼まれたのは四時間近く前の話だっ・・・!
鷲巣は怪我をしていたし・・・第一あの爺さんが何の役に立つ・・・?」

少し声を荒らげながら、アカギを引きとめようとするひろゆき。
対するアカギは、ひろゆきを横目に悠然とした様子で答えた。

「鷲巣には“情報”を集めさせている・・・。
そして・・・・意味がある・・・!あの場所に戻ることには・・・・・!」

言葉でアカギを止めることなど出来ようがない。
ひろゆきは口に手を当てて溜息をついた。

鷲巣との合流は都合が悪い。
それに加えて病院を警戒する理由が、ひろゆきにはあった。



盗聴器を持っていたのは利根川。
盗聴器の声の主は利根川の一味――頂点に和也を置く危険グループの人間である。
天に爆発物で攻撃をしかけたのも、おそらくは利根川たちだ。
病院付近で利根川と一条という男が、事の顛末を見張っていたのは間違いない。
また、病院前のギャンブルルームに一人滞在していた光点が兵藤和也である確率は高い。
すると、病院付近は利根川、一条、和也たちの本拠地だという可能性が生まれる。

黙りこんでしまったひろゆきに続いて、今度は平山がアカギに食い下ろうとする。

「でもっ・・病院付近は危険だっ・・・!まだ爆発物が仕掛けられているかも知れない・・・!
それに病院方向っていえば、盗聴器の・・・あの声の主が・・・」

そこまで言いかけた言葉を、はっと飲み込んで
平山は気まずそうにアカギの様子を伺った。

当初は和也グループを奇襲するという強気な策さえ練っていた平山であったが、
それ以上に強気な態度でターゲット宣言を下した盗聴者に恐ろしさを感じていた。
これまでの状況を組み立てていけば、盗聴器の向こうにいる正体は凡そ見当がつく。
そして、病院前のギャンブルルームが彼らの拠点であることもおそらくは事実である。
病院に近づくということは、盗聴者に近づくことなるかもしれないのだ。
もはや奇襲など不可能なのではないか。
盗聴者――ギャンブルルームの和也は、
今まさに火にいる夏の虫を待っている状況なのではないか。

しかし、アカギがそれを恐れるだろうか。有り得ない。
アカギは例えそこが業火であろうとも飛び込んでいく。
事実、平山の言いかけた言葉に反応して、アカギは口の端を不気味に上げた。

もはや、アカギが病院方向へ戻ることを止めは出来ないだろう。
仕方なく、ひろゆきはアカギへ新たな提案を持ちかけた。



「病院まで同行する・・・!僕には首輪探知機がある・・・・!役に立てるだろっ・・・!
病院内に存在する光点の動きが不穏ならば相応の対策を打つことが出来るだろうし・・・」

鷲巣と会うという点には賛成できないが、
病院に戻ることについてはひろゆきも候補として考えていたところだった。
天の遺物の確認と、遺体の弔いを行いたかったからだ。

「お、おい、ひろゆきっ・・・!」

平山は焦り顔でひろゆきを見る。

首輪探知機によって事前に危険を回避できるとはいえ、不安は付きまとい続けるだろう。
ましてや、危険値の高い病院に乗り込むとなれば、尚更である。

そもそもが、病院などの建造物は首輪探知機と相性が悪い。
例えば病院内で探知機の画面に3つの光点が映しだされていたとして、
光点の主が別々の階にいる場合でも、光は画面上同じ平面に並ぶ。
横の探知は出来ても、縦の探知は出来ない。
これが首輪探知機の欠点であることは、以前病院を訪れたときに学んでいた。

また、自信満々に平山たちを殺すと言ってのけた盗聴器の向こうの声に対して
こちら側が持ち合わせている武器はひろゆきの日本刀と利根川が遺した拳銃のみ。
アカギがどのような武器を隠し持っているかはわからないが、
少なくとも平山自身は、身を守れるアイテムを持っていない。

敵地――かもしれない場所――に乗り込むには、戦力不足が過ぎる。


しかし消極的な平山を余所に、アカギは病院へと歩き出してしまう。
同行なら勝手にしろと言わんばかりのその背中を、ひろゆきも追いかける。
そうなると平山も、置いて行かれてはたまらないと仕方なく
二人と共に病院に向かうことにしたのだった。



* *



一行は、もうしばらく歩けば病院が見えるだろう、というところで立ち止まり
草むらで身を隠しながら首輪探知機の電源を入れた。
ここは、数時間前アカギの後を追うために探知機を確認した場所と凡そ同じはずだ。
前回の探知結果と照らし合わせることが出来れば、より深い情報になるだろう。

平山は数時間前の記憶を呼び起こしながら画面を覗き込む。
病院付近には六つの光点が存在していた。

前回と同じ位置に光る点は二つ。
まず病院から離れた場所に光る一点。
この光は病院のちょうど正面にあるギャンブルルームあたりに位置している。
そこに何者かが一人で滞在している、ということも自ずと導きだされる。
アカギと合流する前から変わらずに、その人物はギャンブルルームに滞在し続けていることになる。
ひろゆきと平山の予想が正しければ、この光点は兵藤和也である。

「こいつは一人で何時間も・・・・一体何をしているんだ・・・・・?」

平山が当然の疑問を口にする。
利根川は死んだ。一条はギャンブルルームに戻っていないらしい。
ただ一人、動くことなくギャンブルルームに滞在する様子からは並々ならぬ余裕を感じさせる。
興味深そうに画面を見ていたアカギは顔を上げると、「なるほどな」と独りごちた。

草むらに位置する動いていないもう一つの光点は、おそらく前回の考察の通り死者の首輪だろう。
平山はそのことをアカギに伝えると死体を探しだしかねない、と思い触れずにおく。

「あ・・・」


病院内に位置するだろう光点に目を移しそうとしたその時、平山は思わず声をあげた。
病院前、天貴史の光にあたるものがない。
つまり、天の首輪が探知機に反応していないか、探知範囲外に移動したと考えられる。
首輪が爆発してしまったのか。
あるいは、アカギのように平気で人の首を切ろうとする人間がいないとも限らない。
どちらにしても、天を深く慕っていたひろゆきに見せたい様子でないことは確かだった。

「平山、どうした・・・?」
「い・・・いや・・・なんでもない・・・!」

ひろゆきも馬鹿じゃない。既に気づいているのかも知れない。
平山は気まずさを覚えながら、病院の中で寄り添うように動く二つの光点に視線を移した。

「このどちらかが鷲巣か、あるいはどちらも違うかも知れない・・・。
利根川の仲間という可能性も十分にあるが・・・・」

ひろゆきの言葉に、アカギと平山は頷いて答える。
一条が病院付近に出戻ってきている可能性は十分に考えられた。
鷲巣が未だ病院内で待機しているのならば、この光点は鷲巣と一条か。
しかし銃を持っていた一条に手負いの老人を殺すことなど容易いはず。
そう考えると、鷲巣は既に死亡していてもおかしくはない。
何にせよ、いずれかの光点が鷲巣であるという考えは超希望的観測に他ならないのだ。

前回と同じ位置にある二つの光点。
病院内で移動する二つの光点。
それらについて簡単な推測を行ってから、ひろゆき達は残りの二点に目を移す。

北の森林から南下してくる二つの光点――現時点で最も無視できないものだ。
このまま進めば、この二点とひろゆき達は病院前でかち合ってしまうだろう。
ひろゆきは口元に手をあてて悩んだ。
「歩くスピードを早めて、彼らより先に病院に到着するか・・・?
逆にしばらく待機して、彼らの動きを見るというのもアリだが・・・」

この二点の正体は皆目見当がつかなかった。
移動速度は早くない。
互いにかなり近い距離で歩いているため、この二人は味方同士か、
とにかく、追って追われての関係でないことだけは確かだ。

「利根川たちの仲間かもしれない・・・様子を見たほうがいいんじゃないか・・・・?」

平山の意見に、ひろゆきも首を縦に振る。
しかしアカギだけは、服についた土を振り払いながら立ち上がり、
どうやらただ待つつもりはないらしい。

「今からその二点と接触する・・・!」
「・・・はぁっ!?」

アカギの言葉に、平山は素っ頓狂な声をあげながら反論の意を示す。
この二つの光点は、自分たちにとって敵であるか、味方であるか、
あるいは敵になってしまうか味方になってくれるかわからない相手だ。

「草陰からこいつらの正体を確認して・・・それから考えても遅くないだろっ・・・!」

平山の意見は尤もであった。
ひろゆきも同意するが、アカギは引かない。

アカギに機嫌を損ねられては困る、ということで
またしても、ひろゆきと平山が折れることで事態は収束する。




接触のためのプランはこうである。
まず、光点がこのまま南下を続けることを前提として、
通り道になる場所付近でアカギが待機する。
アカギから離れた地点で、ひろゆきと平山は待機。
光点を発する二人と接触するのはアカギ一人。

一人で接触を計りたがるアカギと、
こちらから向かっていく必要はないという平山の主張を折衷した待ち伏せ案だった。
同時に、首輪探知機という貴重なアイテムを持つひろゆきを優先的に守る意味もある。

草むらの影から相手がやってくる様子を観察し、
三人が知る限りの危険人物ではなければ、アカギは利根川の拳銃を構えながら道路へ出る。
手の打ちようがない危険人物、あるいは人目でそうとわかる状態の人物ならば
アカギはそのまま草むらで待機。
当然、光点の正体が見知った仲間であれば、銃を構える必要もなくなるだろう。

数分後、予定通りひろゆきと平山は、
アカギから離れた場所でしゃがみ込んで待機することとなった。
もしも不穏な事態が生じた場合、
ひろゆきたちは防犯ブザーを鳴らして相手の注意を引きつけるつもりでいる。
アカギから借りたロープで、防犯ブザーには簡単な仕掛けが施されていた。
二人が隠れている場所から離れた木に防犯ブザーをくくりつけ、ロープの端を結びつけておく。
ロープの逆端を引けば、ブザーが鳴る。
数メートル離れた場所からでもブザーを鳴らすことが出来る仕組みだ。
運がよければ、相手はブザーの方に注意を向けてくれるかも知れない。
この辺りは人間の背を覆うほどの高さまで草が育っていため
草むらに後退して逃げさえすれば、相手から激しい攻撃を受けることなく済むはずだ。
つまりは、一瞬でも相手に隙が生まれれば、逃げおおせる勝算がある。


草葉の合間から時折のぞく白髪を眺めながら二人がしばらく待っていると、
道路の先から体格のいい大男が歩いて来るのが見えた。
彼が光点の正体である。
その歩き方から、もう一人はすぐ背後にいるらしいとわかるが、
ひろゆき達の位置から確認することは出来ない。

「平山、あの男誰だかわかるか・・・・?」
「いや・・・知らないな・・・」

緊迫した表情ではあるが、ユーモラスな顔つきの中年男である。
見たところ、両手に武器は持っていない。
もしもこの大男が背負っているスコップを武器としているのならば、
拳銃を持つアカギに勝ち目はある。

「後ろが気になるが・・・」
「見えないな・・・ここからじゃ・・・」

いくら手前の男が大柄とはいえ、
歩いている最中にすっかり全身が隠れてしまうほどなのだから
大男の後ろにいる人物は小柄だと言えるだろう。

「おい平山、足元を見てみろっ・・・!」
「え?」
「違う、あの男の足元だっ・・・」

自らの足元を見下ろす平山の頭をはたきながら、ひろゆきが示すのは
大男が歩くたびに足の間から見え隠れする、もうひとつの光点の正体である。

「あれは・・・女・・・?」

歩き方、細さ、靴――確信を持てはしないが、女である可能性は高そうだ。


大男は時折後ろを気にしながら、道路沿いを進んでくる。
落ち着いているのか、単に注意が不足しているだけなのか、
ゆったりとした足取りで、堂々と道路の真ん中を歩く姿は
息苦しいこの島ではなかなか見られないものだろう。

男は丁度草むらの、アカギが隠れているあたりで立ち止まる。

「気づかれたか・・・?」

ひろゆきが呟くとほぼ同時に、大男の背後から女性の細い声があがった。

「何っ・・・!?いや・・・いやっ・・・・こないでっ・・・!」

その叫びが辺りに反響する間に、
大男は覚悟を決めたか、スコップを構えて草むらに向かって吠えだした。

「出てこいっ・・・・!」

アカギは大男に従って素直に草むらか道路へと歩み寄る。
警戒のためなのか、拳銃を大男に向けながらも、
果たして撃つ気があるのかないのか、それは実銃ではなくモデルガンである。

当然、緊張感に包まれている相手側も、
アカギから距離を置いて観察しているひろゆき達にもそのことはわからない。

「やっぱり後ろは女か・・・」


先程の悲鳴を受けて、ひろゆきが呟く。
女、というとまず思い浮かぶのは田中沙織である。
彼女以外にも女性参加者が複数いるようならば、
いよいよ主催者の外道具合が浮き彫りになるな、とひろゆきは思った。
尤も、このようなゲームを開催している時点で参加者の性別など関係なく
十分に怒りの矛先になりうるのだが。

「しかし・・・大丈夫か・・・?」
「出会い頭なんて大体あんなもんさ・・・うまくいってる方だよ」

心配そうな表情の平山に、ひろゆきは自身の経験を照らし合わせながら答えた。

大男の注意は完全にアカギに引きつけられている。
周囲に他の人間がいる可能性など、考えもできない状況なのだろう。
ひろゆきと平山が小声で会話をしていても、こちらに気づく気配はない。

そのまま――アカギと大男が沈黙を保ったまま、しばらくの時が流れる。
拳銃を突きつけられている大男はともかくとして、
何故アカギはアクションを起こさないのだろうか。
大男がどのようにしてこの局面を切り抜けるのか、見定めようとでも言うのか。

膠着状態を打ち破ったのは大男の方であった。

「逃げろっ田中さんっ・・・・・!」

男は背後に向かって、搾り出すような声をあげる。
“田中”という言葉に、草むらで待機中のひろゆき達も反応する。

「まさか・・・田中沙織・・・?」
「これって・・・やばいんじゃないかっ・・・・・!」


田中沙織――彼女についての情報は、ひろゆきと平山で交換してあった。
二人の知る限りでは、沙織は少なくとも一人は殺している。
武器や支給品の類をカイジから奪い去り、棄権のために動いているはずだった。
彼女が既に棄権が不可能だと知っているのか、それとも知らないのか、
棄権不可と知った上で優勝狙いに切り替えている可能性もある。
この大男を上手く利用することで、効率よくのし上がっていくつもりなのかもしれない。

田中沙織は現段階で、危険人物とまでは言い切れなくとも、
準危険人物、要注意人物であることに間違いはない。

その田中沙織がもしこの場にいるのならば――
そして、アカギが沙織のことを知らないようであれば、事態がどう展開するのか想像がつかない。

「田中沙織・・・?」
「し・・・知り合いかっ・・・田中さんの・・・あんた・・・」

しかし、ひろゆき達の予想に反して、アカギは田中沙織を知っているようだった。
先刻黒沢が叫んだ“田中さん”というワードに反応し、
その正体が田中沙織であるかどうかを、大男に問うたのだ。
それに対する男の答えから、どうやら彼の後ろに隠れているのは沙織であるとわかる。
そして大男が述べる次の言葉は、ひろゆき達の予想に再び反するものであった。

「田中さんは今・・・まともに会話もできない・・・!
だが・・・あんたに危害は加えない・・・!オレも・・・田中さんもっ・・・・」

まともに会話できない――その言葉が何を意味するのか、
可能性があまりに多すぎて、特定しようがない。
順当なところで、深い怪我を負っているため喋れない、という状況だろうか。
相変わらず大男の影に隠れている沙織にやきもきしながら、
ひろゆき達は成り行きを見守っていた。


「オレは黒沢ってんだ・・・見知らぬ男から襲われたところを逃げてきた・・・!」

大男は“黒沢”と名乗ると、スコップを地面に投げ置いた。
敵意がないことの証明らしい。
その後、黒沢は沙織を“こんな状態”と称して状況を簡単に説明した。
やり取りのさなか、全く姿を見せない沙織に、
ひろゆきと平山は、暗い想像を巡らせる。
まともに会話できない状態とは、一体どのような姿を指すのだろう。

「カイジのことを考えれば・・・田中との接触は望むところだったはずなんだが・・・」

複雑な表情で溜息をつく平山に、ひろゆきも同意する。

「しかし・・・アカギも田中沙織のことを知っていたんだな・・・。
どの時点で面識を持ったのかによるが・・・場合によっては危ないな・・・」

ひろゆきと平山は、沙織がどのような行動をとってきたのか
その負の側面を一部ではあるが知っている。
だが、アカギがどの程度の情報を持っているのかは、まったく未知である。
こんなことならば、アカギとも精密に情報交換をしておけばよかったと、
当然のことながら二人は後悔していた。

二人の後悔と不安を余所に、
アカギは意外にもひろゆき達が求めるに近い言動をする。

「田中沙織、あんたを探しまわってる人間がいる」

直入に切り出すアカギ。
どうやら、アカギは沙織とカイジの関係を知っているらしい。
この発言が吉と出るか凶と出るかはわからないが、
少なくとも沙織にカイジの想いを伝える切欠にはなるはずだ。


おそらくカイジは今なお、沙織のために走り回っている。
平山は、最後にカイジと出会ったときのことを思い出しながら
どうか生きていてくれ、と心から願った。

「おい平山・・・様子がおかしいぞ・・・!」

ひろゆきの声に、平山は現実に引き戻される。
いつのまにやら黒沢はこちらに背を向けているが、
それに加えて位置取りが変わったおかげで、隠れて見えなかった沙織の姿が確認できる。
そう、その女性は間違いなく田中沙織であった。

酷い外傷は見受けられず、自身の足でしっかりと立っている。
しかし、そう見えたのも一瞬のことで、
次の瞬間には黒沢の手を振り払いながら尻餅をつき、震えて縮こまる沙織がいた。
視線はアカギの方向へ向いているが、焦点は定まらず、涙を流している。
明らかに、正常な人間の反応ではなかった。

「まさか・・・“まともに会話できない”ってのは・・・・」

薄々勘づき始める二人の耳に、決定的な言葉が聞こえてくる。

「カイジっ・・・とう・・かいじ・・・こないで・・・あっちいってっ・・・・!」

沙織の口から飛び出したのは、カイジという単語。
当然、ここから見える範囲にカイジなどいない。
それでも、まるでカイジが見えているかのように、彼女は震えていた。

「おかしくなっちまったのか・・・・?」


平山は唖然とした表情で沙織を見た。
もしかして、という可能性が確信に変わる。
沙織の精神はもはや均衡を失っているのだろう。

「それにしても・・・突然“カイジ”って・・・どういうことだ・・・?」

それまで静かに黒沢の背後に隠れていた沙織が、
アカギの一言を切欠に急変した。
“あんたを探しまわっている人がいる”という言葉がそんなにおそろしく思えたのだろうか。
そこからすぐにカイジという人物を結び付けられるものだろうか。
ピンとこない様子の平山に、ひろゆきは自分の見解を話す。

「もしかして・・・田中沙織は“声”でパニックを起こしてるんじゃないか・・・?」
「どういうことだ・・・?」
「似てないか・・・?アカギとカイジの“声”・・・!」

なるほど、本人たちの雰囲気や紡ぐ言葉が似つかないためわからなかったが、
“声”のみに注意して聞いてみると、確かに似ているかも知れない。
加えて、「探し回っている」という単語もポイントだったのだろう。
ひろゆきは、カイジと田中沙織の経緯を思い返し、
あのような別れ方をしたカイジと再会したくないのだ、と解釈した。

「田中さん大丈夫だぞっ・・・!襲ってきたりはしないから・・・大丈夫・・」

黒沢は必死に田中を宥めている。
銃をもつ相手に平気で背を向けるとは、
それでよくここまで生き抜いてこれたな、とひろゆきは感心する。
しかし、アカギへの警戒心よりも沙織へ保護欲が上回っているのだとすれば、
黒沢という男は沙織にとって最高のボディーガードだ。

沙織の、カイジと口論していた様子、そして赤松と涯に相対していた姿が脳裏に過ぎる。
生きるために敵意のない人間をも裏切り、そして無抵抗の人間にも攻撃を加える。
この状況で、自ら生還のために行動を起こせる女が、
か弱いただの庇護対象で済むはずなどない。
一連の行動全ては黒沢を騙し利用するための演技なのではないか。
そんな下賎な予測さえ思い浮かんでしまう。
しかし、先程からの沙織の言動は彼女にとってメリットがない。
すると、精神崩壊したことは事実である、と信じるしかないのか。

考え込むひろゆきの隣で、平山は表情を翳らせていた。

「あんな状態じゃ・・・もしも本物のカイジと再会でもした日には・・・」

カイジは沙織を探しているはずだ。
沙織を守るためのカイジの行動だが、裏目に出かねない。
心神喪失状態である沙織が、人を殺し続けているとは思えないことだけが
カイジにとっての救いになり得るかも知れない、と平山は思った。

黒沢は事態を理解出来ていないようで、棒立ちで佇んでいる。
またアカギも、平山と間違われるのならばまだしも、
似通わない人違いをされているとは思っていないだろう。
ここは、状況を把握した自分たちが間に入って話を落ち着かせるべきなのではないか。
そういった考えに至った平山は目配せをするが、
一方のひろゆきは険しい表情で首を横に振った。

自分たちが弁明すれば沙織や黒沢も納得するだろうと考えた平山に対し、
ひろゆきは真逆の可能性を危惧していた。
彼を足止めさせるのは、田中沙織と面識があるという事実である。
平山も、以前沙織と出会っている。
ひろゆきに至っては、沙織がカイジを置き去ったその場面に居合わせていたのだ。
カイジの虚像に怯えるほどにまで陥っている沙織の状況を考えれば、
顔見知りが二人も登場したとなった時、事態の悪化も有り得る。


出ようにも出られない。アカギを見守るしかない。
ひろゆきと平山は、仕方なく草むらで待機することを選んだ。
ちょうどその時、黒沢が突如唸り出す。

「カイジ君・・・カイジ・・・ぐうぅ・・・!」

肩を震わせ始めた黒沢に、ひろゆき達は面食らった。
涙声でアカギに振り向いた黒沢の顔は、想像に違わず涙まみれである。
体のどこにそんな大量の水分があるのだと問いたくなるほどに顔を濡らしている。

「今カイジって言ったよな・・・あの男まで誤解を・・・?」

黒沢の醜態に驚きつつも、ひろゆきは冷静に状況を分析する。
沙織とカイジは面識がある。
黒沢とカイジは――面識がないのだろう。
沙織がアカギを“カイジ”と呼んだため、黒沢もそう思い込んでしまったのだ。
しかし、カイジを全く知らない人間ならば、この反応はおかしい。
つまり黒沢は、カイジの名前のみを伝え聞いていたと考えられる。
それにしても、あの涙は何を意味するのか。
ひろゆきの疑問は黒沢の次の言葉で氷解した。

「渡さなければならないものがあるっ・・・!この・・・声を・・・!
美心の声を聞いてやってくれ・・・!どうかこの・・・メッセージをっ・・・・!」

黒沢はどこか満足気な表情でそう言うと、“カイジ”に何かを手渡した。
カイジにそれを渡すため、カイジを探していたのだろう。
顔も見知らぬはずの相手を探していた――
言葉の中にあった“美心”という人間に頼まれでもしたのか。
渡したかったものを、渡したかった人に手渡すことが出来る。
当然のようで、この島ではあまりに難しい。
渡した何かがよほど重要なものならば、黒沢が涙を流すのも理解できるだろう。


「カイジ君・・・美心はっ・・・オレの美心は天国にっ・・・・・!」

感情が昂ったか、次第に黒沢の声のトーンがあがっていく。
“カイジ”という単語があがる度に、沙織の顔色は悪くなり、体を抱えながら震え続けている。
黒沢という男、何かに夢中になると周りが見えなくなるタイプなのだろう。

アカギはどんな顔をして黒沢の話を聞いているのか。
こちらに背を向けた彼の表情はわからないが、
すっかり“カイジ”扱いされていることを肯定も否定もせず、
流れに身をまかせるつもりなのかも知れない。

黒沢の鼻をすする音だけがしばらく響いていた。
今度の沈黙を破ったのは、アカギの行動である。
アカギは黒沢を通り越し、沙織へと歩み寄りはじめたのだ。

「ばっ・・・バカ、あいつなんで近づいたりなんか・・・!」

歩き出したアカギを見て、平山は思わず身を乗り出した。
理由がわからないにせよ、沙織がアカギを怖がっていることは
当事者のアカギにだってわかるはずだ。

「首輪だ・・・!」

ひろゆきはしゃがみこんでいる田中沙織の手元を指さした。
沙織の手の中に光るもの、それは首輪。
それも大きな損傷のない、謂わば完全品と見受けられる。
どういった経緯で手にしているのかはわからないが、
ナップザックや衣服に隠すでもなくそれを持ち歩いている様子から
沙織にとってその首輪は何か意味があるのだろうということだけは推測できた。


利根川の遺体を切り落とそうとしてまで求めている首輪、
それを見とめたためにアカギは沙織に歩み寄ったのだろう。

平山も気付き、そして呆れたように溜息をついた。
アカギは黒沢に止められても尚、沙織に接近する。

「田中さん、あんた・・・」

挙句、沙織に声をかける始末である。
わざとやっているのだろうか、しかし沙織はその声に過剰に反応する。

「いやああっいやっ・・・!ごめんなさいっ・・・!ごめんなさい・・!許して・・・」

弾けるように立ち上がると、病院とは正反対の方向へ駆けだしてしまった。
黒沢も、沙織を追って走りだす。

「おいおいどうするんだよっ・・・!」

草陰から心配する平山達を余所に、アカギは黒沢と沙織の様子をただ見つめていた。
黒沢はそんなアカギに“石田”という人物についての言葉をかけて、森へ走り去っていく。

「・・・・なんだったんだ」

防犯ブザーの出番がなかったことに少し安堵しながらも、
平山は気抜けした調子で声をあげる。

「僅かだが情報は得られたし・・・接触は成功なんじゃないか・・・?
アカギが何の目的を持っていてそれを達成したのかどうかは計り知れないが・・・」
「まぁ・・・そうだな・・・結果的には・・・」

誰一人怪我をせずに事態が収束したのは大きい。
加えて、黒沢という男はゲームに乗ってはいないらしいことと
田中沙織の現状を確認できたのだから、今回の接触の成果はあったと言える。

沙織はカイジを恐れている――カイジにとって嬉しくはない情報だろうが、
それでも、保護してくれる人間と出会えていることは確かだ。
沙織があのような精神状態になっていたことは、
顔見知り程度のひろゆきや平山にとっても少なからずショックであった。
沙織を探しまわっているカイジともなれば、打ちのめされることは間違いない。
沙織については良い情報、悪い情報がイーブンといったところか。

小さくなっていく黒沢の影をいくらか見送ってから、
アカギは再び草むらに分け入り、ひろゆき達の元へと帰ってきた。

「おいアカギっ・・・!おまえ何を考えて」

一連の流れを見ていて溜まった不満を、平山はアカギにぶつけようとする。
しかしそれは、アカギの言葉に遮られてしまった。

「代わりに伝えておいてよ」

ラジカセを投げよこすアカギに、二人は狼狽する。

「伝えておいてって・・・カイジを探してこれを渡せってことか・・・?」

「アンタ、その探知機があるんだから適任だろ・・・。
ここから先は一人で動かせてもらう・・・!」

何が面白いのかアカギはクククと笑うと、
呆然とする二人を一瞥して再び草むらをかき分け道路へ向かい出す。


利根川絡みのこと、沙織絡みのこと。カイジに話しておきたい事項は多い。
いずれはカイジと合流したいと思っていたし、
ひろゆき、平山共に、機会があればカイジを捜索しようと考えていた。
しかしこのタイミング――
病院を前にした今は、この場にいる身内の安全確保が優先である。
一人で乗り込もうというアカギを引き止めるのが先決だ。

「病院は危険な場所だぞ・・・!この島のどこだって危険に決まっているが・・・・
僕たちと行動すれば探知機によって危険度を軽減できる・・・・!」

危険度など、アカギが気にしているとは思えない。
それを理解してはいるものの、今のひろゆきにはその程度のことしか言えなかった。
そしてやはり、アカギの返答はひろゆきが望んだものとはかけ離れていた。

「最後にカイジにあったのはE-2エリアだったかな・・・
第二回放送の前田から随分経つが・・・」

「カイジの捜索なら病院での用事が済んでからでもっ・・・!」

割合に引き際の悪いひろゆきを横目に、
平山は今になって再び、天の遺体のことを思い出していた。

アカギとカイジ、どちらをとるのかという状況。
目の前にいるアカギ、そして自分によくしてくれたカイジ。
選択は悩ましい。
けれど、そこにひろゆきが加わるとどうか。

病院に乗り込むということは、危険に飛び込むということ。
もしもそこで乱戦でも起きて、命を落とすことになったら――
そうでなくとも、例えば現在自分たちの命綱になっている探知機を奪われでもしたら
損害は計り知れない大きさになるだろう。


平山は結局どちらの側にもつけないまま、状況を見守るに留まっていた。
だが例え平山がひろゆきに加勢したとしても、結果は変わらないだろう。

「探知機の情報ならさっき見せてもらっただけで十分・・・・!
どうせ室内でそれは大して役に立たない・・・
敵の手に渡るリスクを負うくらいなら別行動だ・・・!」

アカギが尤もらしい理由を述べるが、それでもひろゆきは納得しなかった。

「だけどっ・・・」
「危険など・・・構わない・・・むしろ望むところさ・・・・!」

アカギは最後にそう残すと、草むらをすり抜けて道路へ出てしまう。
あまりのスピードに反応しきれず、結局置いてけぼりを食らう形で、
ひろゆき達は目的をカイジの捜索へと切り替えざるをえなくなった。

アカギと数時間行動を共にしてわかったのは、
この男を止めることなど出来はしないということだ。



【E-5/道路沿い/早朝】

【赤木しげる】
 [状態]:健康
 [道具]:ロープ3本 不明支給品0~1(確認済み)支給品一式×3(市川、利根川の分) 浦部、有賀の首輪(爆発済み)対人用地雷 デリンジャーの弾(残り25発) ジャックのノミ モデルガン 手榴弾 ICレコーダー カイジからのメモ
 [所持金]:700万円
 [思考]:もう一つのギャンブルとして主催者を殺す 死体を捜して首輪を調べる 首輪をはずして主催者側に潜り込む
※主催者はD-4のホテルにいると狙いをつけています。
※2日目夕方にE-4にて平井銀二と再会する約束をしました。
※鷲巣巌を手札として入手。回数は有限で協力を得られる。(回数はアカギと鷲巣のみが知っています)
※鷲巣巌に100万分の貸し。
※首輪に関する情報(但しまだ推測の域を出ない)が書かれたメモをカイジから貰いました。
※参加者名簿を見たため、また、カイジから聞いた情報により、 帝愛関係者(危険人物)、また過去に帝愛の行ったゲームの参加者の顔と名前を把握しています。
※過去に主催者が開催したゲームを知る者、その参加者との接触を最優先に考えています。 接触後、情報を引き出せない様ならばギャンブルでの実力行使に出るつもりです。
※危険人物でも優秀な相手ならば、ギャンブルで勝利して味方につけようと考えています。
※カイジを、別行動をとる条件で味方にしました。
※和也に、しづかに仕掛けた罠を外したことがばれました。
※和也から殺害ターゲット宣言をされました。


【平山幸雄】
 [状態]:左肩に銃創 
 [道具]:支給品一式 カイジからのメモ 防犯ブザー Eカードの耳用針具 Eカード用のリモコン 針具取り外し用工具 小型ラジカセ ロープ1本
 [所持金]:1000万円
 [思考]:カイジに会う 田中沙織を気にかける
※カイジからのメモで脱出の権利は嘘だと知りました。
※カイジに譲った参加者名簿、パンフレットの内容は一字一句違わず正確に記憶しています。ただし、平山の持っていた名簿には顔写真、トトカルチョの数字がありませんでした。
※平山が今までに出会った、顔と名前を一致させている人物(かつ生存者)
  大敵>利根川、一条、兵藤和也  たぶん敵>平井銀二、原田克美、鷲巣巌 市川
  味方>井川ひろゆき、伊藤開司      ?>田中沙織、赤木しげる       主催者>黒崎

 (補足>首輪探知機は、死んでいる参加者の首輪の位置も表示しますが、爆発済みの首輪からは電波を受信できない為、表示しません。)
※和也から殺害ターゲット宣言をされました。

【井川ひろゆき】
 [状態]:健康
 [道具]:日本刀 首輪探知機 懐中電灯 村岡の誓約書 ニセアカギの名刺 アカギからのメモ 支給品一式×2 (地図のみ1枚)
 [所持金]:1500万円
 [思考]:この島からの脱出 カイジに会う 極力人は殺さない 赤木しげるとのギャンブル
※カイジからのメモで脱出の権利は嘘だと知りました。
※和也から殺害ターゲット宣言をされました。



148:愚者(前編)(後編) 投下順 150:記録
154:暗涙 時系列順 153:帰参
142:逆境の闘牌(前編) (中編) (後編) 赤木しげる 158:悪夢(前編)(後編)
142:逆境の闘牌(前編) (中編) (後編) 井川ひろゆき 156:集約
142:逆境の闘牌(前編) (中編) (後編) 平山幸雄 156: 集約
148:愚者(前編)(後編) 黒沢 157:慟哭
148:愚者(前編)(後編) 田中沙織 157:慟哭




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