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**フライトコードなし! A-6/ホテルへ向かえ! ◆hqLsjDR84w A-6にある総合公園。 そこで放送を聴き終えた3人の男――劉鳳・防人・桐山が、机を中心に情報交換を行っている。 机の上には木刀が1振り、スタングレネードが6つ、地図が1枚、そして名簿が1枚。 木刀とスタングレネードは防人の支給品だが、話し合った結果、木刀は必要とする者がいないのでここに放置することにし、スタングレネードは3人で2つずつ分け合うことにした。 他に机の上にある名簿と地図は劉鳳の物で、載っている名のうち放送で呼ばれた人間には、バツ印が付けられている。 また他の参加者のうち十数人には、青い丸印と赤い丸印が付けられている。 青い丸印は信用できる人間を意味し、赤い丸印は信用できない人間を意味する。 ちなみに記入するのに使ったのは、劉鳳の支給品の1つである4色ボールペンだ。 現在それを持っているのは、防人。 防人衛・津村斗貴子・武藤カズキの名に迷わず青い丸印を付け、蝶野攻爵の所で少し迷い――緑色で丸印を付けた。 「緑色? どういう意味だ?」 怪訝な顔で尋ねてくる劉鳳に、防人は名簿の『武藤カズキ』を指差して答える。 「信用できるか微妙なところ、ということだ。  少なくとも、この『武藤カズキ』が生きている間は、大丈夫だと思うが……」 「よく分からんが、そこまで信用すべきではない人間だ、と俺は解釈しよう。」 「ああ、それで良い。」 そして劉鳳は桐山の方を向き、名簿を指差して尋ねる。 「お前だけ8人もの人間に丸印を付けたが、そんなに何人も知り合いがこの世界に来ているのか?  それとも……ここに来てから、誰かにあったのか?」 若干桐山を警戒してるのか、鋭い視線を向けながら尋ねてくる劉鳳に、桐山は今までにあったことを淡々と話した。 元の知り合いは『川田章吾』『三村信史』、そして既に死んでしまった『杉村弘樹』の3人で、彼らは中学校のクラスメイトだということを。 『平賀才人』という少年にB-6で出会い、彼に剣をやったことを。 彼は自分と会う前に『DIO』と『アーカード』という化け物に襲われ、その化け物から逃走していたことを。 しばらく共に行動していたが、彼が『ルイズ』という参加者を守ると言って、化け物に対抗する手段も持ち合わせていないのにホテルに向かったことを。 自分自身は、西へ行って地図の端がどうなってるか確認し、その後変電所を調べたい、と。 ■ 桐山の話を聞いた防人と劉鳳は、お互いに『自分が少年の元へ向かう。』と提案した。 「だから俺が絶影に乗ってホテルへと向かい、少年を保護。  その後、地図の端を確認し終えたお前と桐山の2人と、変電所で落ち合った方が、迅速だろう!」 こう主張するのは、劉鳳。 しかしその劉鳳の主張を、防人は却下する。 「相手の話も聞かず、いきなり攻撃を仕掛けるような奴に、任せられるか!  俺は元の世界では、学校の寮長をやってたから、子供には慣れている!」 彼らの中に、『3人で行く』『防人と劉鳳が行く』という2つの選択肢は無い。 中学生であり、さらに顔見知りが死んでしまった桐山を1人にするのは、彼らの正義が許さないので、後者は却下。 かといって、地図の端や変電所を調べない訳にも行かないので、前者も却下。 そこまで分かっていながら、この口論をしている時間こそが最も無駄という事に、気付いていないのだ。 「何度も言うが、悪と判断した人間を、間違いにもかかわらず問答無用で攻撃する奴には、行かせられん!」 「こんな状況で、悪と勘違いされるような行動をするのはお前くらいだ!」 「少年は動揺していると、桐山が言っていただろう! そんな行動をとってもおかしくは無い!」 「……しかし、歩くお前と絶影に乗って移動出来る俺では、速さに差がありすぎる!」 そうこうしてる間に、才人に危機が訪れている事など露知らず…… この調子で既に15分が経過している。 「……おい」 色々と記入された劉鳳の名簿を写し終えた桐山が、溜息を吐きながら防人と劉鳳に声をかける。 その手には一枚の100円玉。 「このまま話しているほうが、時間の無駄だ……ここはコインで決めたらどうだ……?」 桐山の提案により、コインが表なら劉鳳、裏なら防人がホテルへ向かうことになった。 コインが桐山の親指に弾かれ、回転しながら宙を舞う。 落下していくコインに、3人の視線が集中する。 その結果は――― ■ 「では、言ってくる」 荷物を纏めたデイパックを持ちながら、そう言うのは劉鳳。 「青い服を着て、剣を持った少年だ。間違えるなんじゃないぞ」 苦虫を噛み潰したような顔で、出迎えをしているのは防人。 そう、桐山が弾いたコインは、表を上にして静止したのだ。 「ところでさっき絶影に乗る、と言っていたが……」 尋ねてくる桐山に、劉鳳は絶影の真の姿を解放させて答える。 「これが俺のアルター、絶影の真の姿だ。普段は隠しているのだが、この状況でそんなことは言ってられん」 絶影の巨大な尾に飛び乗り、ホテルへ向かおうとした瞬間―― 「待て」 ――防人が劉鳳に声を掛ける。 「何だ? 用があるなら、早く言え」 億劫そうに振り向く劉鳳に、防人は劉鳳のデイパックを指差しながら問いかける。 「お前のデイパックから見える、それは何だ?」 劉鳳のデイパックからは、朝日を反射させて光る何かが見えていた。 もしかしたら核鉄かもしれない……防人はそう考え、劉鳳を呼び止めたのだ。 「これか? 俺の支給品で、説明書には『参加者の1人の記憶が入ったDISC』と書いてあったが……  武器にもならないので、誰も必要としないと思い、見せなかったのだが」 そう言って劉鳳がデイパックから出したのは、CDディスクのような物。 「そうか……すまない、さっき話した核鉄ではないかと勘違いしていた」 微かとはいえ希望を抱いてしまっていた防人は、無意識の内に若干トーンを低くしながら返事を返す。 「核鉄……6角形の金属で、中心にナンバーが記入されているんだったな。  仮にそれを支給されていたら、お前に言っている。  少年を保護する道中で見つかれば、次に会う時に渡す。では」 「待て」 ホテルへ向かおうとした劉鳳を、今度は桐山が呼び止める。 「……何だ?」 2度も出鼻を挫かれ不機嫌そうな劉鳳に、桐山は感情のこもってない声で呼び止めた理由を話す。 「……そのディスク、俺にくれないか?」 「別に構わないが……何故だ?」 「そのディスクの中に入っている情報が、気になる。もしかしたらかなり重要な物かもしれない……  変電所なら、中身を見る為の機械が存在するかもしれない」 「ホテルにある設備でも、それくらい可能なんじゃないか?」 ロストグラウンドの宿屋なら無くてもおかしくはないが、普通それ位の機械はあるだろう、と劉鳳が思った事を言うと、桐山は例によって感情の篭っていない声で返す。 「確かに可能だろう。普通のホテルならな」 「どういう事だ?」 「俺が主催者なら、開催地には極力道具は置かない……  脱出しようなんて考えられたら困るからな。  主催者がまともな人間ならば、ホテルにこのディスクを開くことが出来る道具がある可能性は、低い」 一理ある。劉鳳はそう判断しながらも、1つの疑問が浮かぶ。 「しかし何故、変電所には存在すると考えるんだ?」 「ここには電気が通っている。そして地図が嘘でなければ、『開催地内』に変電所がある……  変電をする設備の中に、ディスクを開く為の道具が存在するかもしれない。まあ可能性は低いが……」 彼を知るものがいたらビックリするくらいに、長い説明を聞き劉鳳は納得したらしく 「そういう事ならいいだろう。そもそも少年を保護して、すぐに変電所へ向かう俺が持っていても仕方ないからな」 そう言って、劉鳳はDISCを投げる。 「……」 普段ならそれ位のスピードの物を取るくらい、造作も無いことなのに、桐山にはそれが出来なかった。 何故かDISCが、ヌメヌメとした液体に塗れていたのだ。 「では、行って来る。変電所で会おう」 そう言って、劉鳳は真・絶影に乗って、凄まじい速さでホテルへと向かう。 「速いな……」 呆然としている防人に、地面に落ちたDISCを拾った桐山が声を掛ける。 「あのスピードなら、予想以上に早く合流できるかもしれない。そろそろ出るか……」 ■ 一方、真・絶影の尾に乗る劉鳳は、その速さに防人や桐山と真逆の感想を持っていた。 「……遅い」 そう、普段と比べてあまりにもスロウリィ。 彼がそう思うのも当然だ。 全力ではないといえ、ロストグラウンドにいた頃の真・絶影と比べて、3分の1程度の速さしか出ていないのだ。 (それだけじゃない……) そう、それだけではない。 普段の3分の1の速さしか出ていないのに、体力の消耗が普段と変わらないのだ。 (主催者による何らかの制限か……? こんな状況で、絶影を正義武装へと変化させたら……その状態で長く戦ったら……) (――ただでは済まないだろう) (ならば目の前に悪がいても、守るべき人間に危機が迫っても、自分の身の為に使わないか?) 「フッ……」 そこまで考えて、自分の考えを一蹴する。 (そもそも自分の身を守りたいわけじゃない、全ての人が平等に生きる世界が欲しい。それだけだ。  その為に、正義武装を使わねばならないのなら――) 「もはや他には何もいらない! いらない……命さえ、いらない!」 力強くそう呟くと、劉鳳は真・絶影をさらに加速させた。 【B-6 路上/1日目/朝】 【劉鳳@スクライド】 [状態]:健康、顔面に若干の腫れ [装備]:真・絶影 [道具]:支給品一式、4色ボールペン、色々と記入された名簿、スタングレネード×2 [思考・状況] 1:ホテルで平賀才人を保護、それを終えたら変電所へ向かい、防人・桐山と合流。 2:悪(主催者・ジグマール・DIO・アーカード)は断罪、弱者(シェリス)は保護 3:カズマ・シェリス・防人の知り合い・桐山の知り合い・核鉄を探す。 [備考] ※絶影にかけられた制限に気付きました。 ※桐山・防人と情報交換しました。 ※名簿に青い丸印が付けられているのは、カズマ・劉鳳・シェリス・桐山・杉村・三村・川田・才人・ルイズ・防人・カズキ・斗貴子  赤い丸印が付けられているのは、ジグマール・DIO・アーカード  緑色の丸印が付けられているのは、蝶野 【A-6 総合公園/1日目/朝】 【桐山和雄@BATTLE ROYALE】 [状態]:健康 [装備]:レミントンM31(3/4)@BATTLE ROYALE [道具]:支給品一式、レミントン M31の予備弾24、空条承太郎の記憶DISC@ジョジョの奇妙な冒険、劉鳳の名簿の写し、スタングレネード×2 [思考・状況] 基本:首謀者の思惑を外すべく、死者が一人でも減るように行動する 1:防人とA-6の西端に向かい、境界を確かめる。その後、変電所へ向かう。 2:変電所でディスクを調べながら、劉鳳を待つ。 3:変電所に着いたら劉鳳を待つ。 4:乗ってない人間を見つけ協力するなら仲間にする。 5:襲ってきた人間に対しては一切の手加減をしない。 6:首謀者を倒す。 ※防人・劉鳳と情報交換しました。 ※承太郎の記憶DISCは、6部3巻でホワイトスネイクに抜き取られたものです。 ※名簿に青い丸印が付けられているのは、カズマ・劉鳳・シェリス・桐山・杉村・三村・川田・才人・ルイズ・防人・カズキ・斗貴子  赤い丸印が付けられているのは、ジグマール・DIO・アーカード  緑色の丸印が付けられているのは、蝶野 【防人衛@武装錬金】 [状態]:健康、顔面に若干の腫れ [装備]:シルバースキン形コート@武装錬金 [道具]:支給品一式、スタングレネード×2 [思考・状況] 基本:弱い者を守る 1:桐山とA-6の西端に向かい、境界を確かめる。その後、変電所へ向かう。 2:変電所でディスクを調べながら、劉鳳を待つ。 3:錬金の戦士・パピヨン・カズマ・シェリス・三村・川田、核鉄を探す。 4:勇次郎・拳王・ジグマール・DIOには警戒。 ※劉鳳・桐山と情報交換しました。 ※総合公園の机に、銀時の木刀@銀魂が放置されています。 |077:[[ハッピーバースデー]]|[[投下順>第051話~第100話]]|079:[[Blue sky]]| |077:[[ハッピーバースデー]]|[[時系列順>第2回放送までの本編SS]]|079:[[Blue sky]]| |060:[[Contact]]|劉鳳|091:[[Justice to Believe]]| |060:[[Contact]]|桐山和雄|105:[[桐山の戦略]]| |060:[[Contact]]|防人衛|105:[[桐山の戦略]]| ----

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