ターミネーターゼクロス(後編) ◆1qmjaShGfE



身動きする力も残っていないゼクロスを見下ろすパピヨンは、彼の持つ機械の体にその知的好奇心を大いに刺激されていた。
この装甲、ここまでゼクロスを弱らせて尚、再生を果たそうと蠢いている。
内部構造の頑強さも折り紙付きであろう。でなくばあそこまでの衝撃に耐えられるはずもない。
こいつもまた、パピヨンの見知らぬ技術で作られたのであろう。
もしかしたら敵の持つ技術に通じる物があるかもしれない。
「泉、シェリスと二人で戻っていろ。これだけ大騒ぎしても誰も戻って来ないという事は、何か不測の事態が起こったのかもしれん」
「パピヨンは?」
「俺はこいつに聞きたい事がある。それが終わったらすぐ後を追うから心配するな」
そう言いながら核金に戻したエンゼル御前をこなたへと放る。
こなたは横目にちらっとゼクロスを見る。
とても何かを話せる状態には見えない。
幸いな事に、その変身した姿と大きく開いた傷口から見える機械部品がそれを人ではないと教えてくれていたので、さほどの衝撃は無かったが。
「わかった。じゃあ先に行ってるね」
特に反論もせずに承諾し、シェリスと共にこの場を去る。
残されたのはパピヨンとゼクロスのみ。
二人が視界から消えたのを確認すると、パピヨンはゼクロスの前にしゃがみこむ。
そこでゼクロスの変身が解け、人間の姿に変わる。
まだ意識はあるのか苦しそうにゼクロスは言う。
「俺に聞きたい事? 素直に答えると思うのか?」
パピヨンは大層愉快そうに笑った。
「お前の口から聞きたい事なんて無い」
動けない村雨の、腹にある傷口に両手を突っ込むパピヨン。
「直接体に聞くのが早そうだからな」
村雨の皮膚の下にある全身を覆っている装甲を、パピヨンは力づくで引っぺがすべく、その腕に力を込めた。

「ぐがあああああああああああああああああ!!」

生きたまま体を引き裂かれる痛みに、見も世もない悲鳴をあげる村雨。
「なるほど、痛覚はあるようだな。それで良くあの攻撃に耐え切れたものだ、褒めてやる」
腕に込めた力は抜かない、腹部から上に向かって手を引き上げる。

べりっ、びちっ、みききしっ

そんな音を立てながら少しづつ装甲が剥がされていく。
胸部装甲を真ん中から二つに千切り、それを左右に引き上げる。

「がっ! あがっ! ぐあがああああああああああああ!!」

そんな無残な様を、見過ごせぬ者がこの場には居た。

『貴様! 何をしているか!』

強化外骨格「零」である。
村雨の行為が非道であった事は認めている。
だが、それでもなおこのような行為は見過ごす訳にはいかないのだ。
パピヨンは、無視しようと思ったが、騒々しくされるのも鬱陶しいので村雨の側を離れ、零の元へ向かう。
『そのような非道は許されぬぞ! お主も正義を志すのならばこんな真似をするな!』
「やかましい。正義だと? 俺の大嫌いな言葉を平然と口にするな」
『何だと!? では先ほどの言葉は偽りだと……』
皆まで言わせず零を手に持つと、さっきのビルの前に立ち自動ドアを開ける。
『おのれ卑怯者め! あの婦女子を誑かし何を企むか!?』
そのままビルの奥の方に放り込み、外に出ると自動ドアが閉まる。
これならば、奴がいくら騒いでも聞こえてはこないだろう。
気を取り直して村雨の解体作業へと戻る。
真ん中から左右に裂けた胸部装甲を再度その手に取り大きく開くと、体内の主要回路が良く見えるようになった。
興味深げにそれを覗き込む。
生体工学はホムンクルス研究者であるパピヨンにとっては得意分野である。
白目を剥いているゼクロスを他所に、真剣な顔でその中身を見つめる。
そのまま身じろぎもせず、じっと睨み続けるパピヨン。
時が止まったかのように静止しているその体とは裏腹に、頭の中はこれの構造を理解する為に高速で動き続けている。
時々、気になった部位に手を伸ばし、そこを引っ張ったり押したりしてゼクロスの反応を見る。
その度にゼクロスが絶叫を上げるが、やはりパピヨンは気にもかけない。
身体内部、人間で言う内蔵に当たる部位すら、再生が行われている。
強度を確認する為、指で各部位を弾き、それでも飽き足らずに一部を自分の手で引き千切る。
パピヨンはゼクロスとの戦闘で、その高い能力を警戒して出来るだけ近接を避けるようにしてきたが、どうやら正解だったようだ。
この男はまるで体を使いこなせていない。この体の持つ本来のスペックと可能性があんな程度で済むはずがないのだ。
そしてもう一つ気にかかる事がある。
この体は外部装甲に比して内部の強度が高すぎる。この分を装甲に回せば、もっと効率的に重量配分を行えるはずなのに。
それは、内部にてこれだけの強度を必要とする何かがあるという事に他ならない。
ゼクロスの戦闘を振り返るパピヨン。
確かにこの強度を活かしたパワーやそこから生み出されるスピードは凄まじい物だった。
だが全身にこれだけの強度があるのなら、もっと大きなエネルギーを用いても構わないはずだ。
単にそれだけのエネルギー源を確保出来なかっただけなのかもしれないが、だとしたらそれでも尚この強度にする理由がわからない。
その分を武器なりに回した方が良いとパピヨンならば考える。
開発者のミス。そう言ってしまうのは簡単だ。
だが、この内部構造自体は芸術的と言っていい程の完成度を誇ると思われる。
サイボーグなぞ作った事もないが、それでも設計や構造に関してより適切な状態を、そしてそのバランスを判断するぐらいは出来るとパピヨンは自負している。
「何か、もっと大きなエネルギー……それを受け入れる用意があるという事か?」
変な事は他にもある。
外部入力端子が、何故か胴体下部のベルトに付いている。
ここは何かを収める空間を空けたまま空になっていた。
パピヨンはこれらの事から、この男は未完成である、と結論付けた。
そこまで考えてから、ふっと立ち上がるパピヨン。
「本格的に調べたくなってきたな。病院にでも行けば設備も整っているだろう」
何を思ったかゼクロスの前を離れるパピヨン。
鉄製の外灯の前に立つと、それを手刀で斬って落とす。
長大なそれを抱えてゼクロスの前に戻り、感情の篭らない目でゼクロスを見下ろす。
「用を済ませたら戻る。しばらくはここに居ろ」
それだけ言うと、倒れるゼクロスの胴体に外灯を突き刺した。

「いぃぎいい! ぐおあああああああああああああああ!!」

ずぶずぶとそれをアスファルトに埋めていき、半ばまで埋まった所でその手を止める。
その様を見て、何かを思い出したのか、パピヨンはぽんと手を叩く。
「ああ、そうか。色は違うがお前バッタに似てるんだな」
それだけ言い残し、パピヨンは彼を置いてこなた達の後を追った。

通りの角を曲がってすぐの所で、パピヨンは目の前が斜めになる錯覚に襲われた。
いや、錯覚ではない。何故なら同時に胸の辺りからこみ上げてきた吐き気に負け、口から血を吐き出していたから。
どうやらあの男との戦闘は随分とパピヨンには堪えたようだ。
(これは倒れるな。少し……無理をしすぎたか)
それが何かに遮られる。
横に何かパピヨンを支える物がある。
「大丈夫パピヨン?」
「泉?」
その声ですぐに意識がはっきりする。
喫茶店に行ったはずのこなたは角に居て、こうしてパピヨンの体を支えている。
「お前……もしかして、見ていたのか?」
「うん」
喫茶店に着く前に何処かで洗おうと思っていた手も血塗れのままだ。
それでも、こなたは恐れる気もなくパピヨンの側に居る。
パピヨンが責めるような視線をシェリスに送ると、シェリスはパピヨンから目を逸らす。
「しょうがないじゃない、こなたが残りたいって聞かないんだから」
こなたがそう言ったというのが意外で、改めてこなたの顔を見るパピヨン。
こなたはにぱーっと笑っていた。
「一緒に行こうよパピヨン」
こなたの顔を見て、その言葉を聞いて、一瞬、パピヨンの中の全ての時間が止まってしまった。
すぐに我に返ると、ふんと鼻を鳴らして自分の足で立つパピヨン。
「好きにしろ」
どうやら残酷な物を見せまいとしたパピヨンの目論見は、こなたに見抜かれていたらしい。
その上で残ってああ言うという事は、つまりは、荒事の経験も無い彼女は、それでもパピヨンと同じ物を見て、物を考えられるようにありたいという事だ。
距離を置かれる事には慣れていた。だが、こうしてパピヨンに踏み込んで来る人間というのは、武藤以外に居なかった。
目的完遂の為の鋼の意思、全てを客観的に判断し、常に最善の選択を選び続ける事。
この思考にノイズが走るのを自覚するパピヨン。
何が厄介かといえば、それを不快と思えない事が一番厄介なのだ。


疲れ切った顔の村雨。
腹を貫く外灯は、まだ今の力で引き抜く事は出来そうにない。
回復を待つしかない。
気分が落ち着かない、さっきの戦闘を思い出すだけですぐに興奮してしまう。
以前にそんな状態の人間を見た事を思い出す。
「そうか、これが怒りか」
そう認めると、ふっと肩の力が抜けた。
完敗であった。終始パピヨンのペースで、自分の戦いを一切させてもらえなかった。
奴がどう戦ったのか、何故あのような結果になったのか。
考えてもわからない。だが、それでも村雨は決意と共に言葉を吐く。
「次は、絶対に負けん」
奴が戻ってくるまでに出来るだけ回復していなければならない。
ここに来てから回復速度が落ちてきているのが、これほど疎ましいと思えた時は無かった。


S3駅に辿り着いたDIOは、そこでゆっくりと休みを取るべく駅長室に入る。
そこは既に誰かが入った形跡があった。
だが今は無人であるようなので、さして気にせずその奥にあった仮眠用ベッドに横になる。
今度は夢を見る事も無いだろう。夜までは後少しだ、それまでは充分休養を取ってその後の戦いの時に備えるとする。
DIOがその意識を手放しかけた時、爆発音のようなものが聞こえた。
不愉快そうに身を起こす。どうやら近くであるようだ。
殺しに行ってやろうかとも考えたが、わざわざそこに行くのも面倒なので、無視する事に決めた。
再度寝転がり、枕の上に頭をおく。
すぐに眠りの衝動がDIOを包み込む。
そこで、二度目の音。今度は何かが崩れるような音に聞こえた。
流石に不快感を隠せず、室内にあった時計を確認する。
まだ日没までは間がある。音の原因は外であろう。やり方は色々あるにせよ、そこに行くのには危険が伴う。
少し考えた後、DIOは備え付けの布団を頭から被ってやはり寝る事に決めた。


【D-2 駅前 一日目 夕方】

【パピヨン@武装錬金】
[状態]:動きすぎで疲れて吐血
[装備]:猫草inランドセル@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:支給品一式 地下鉄管理センターの位置がわかる地図 地下鉄システム仕様書
[思考・状況]
基本:首輪を外し『元の世界の武藤カズキ』と決着をつける。
1:喫茶店に戻る。
2:シェリスの殺人は一般人に限り黙認する。殺し合いに乗っていたことも他言しない。
3:エレオノールを警戒しておく。
4:核鉄の謎を解く。
5:二アデスハピネスを手に入れる。
6:首輪の解体にマジックハンドを使用出来る工場等の施設を探す。
7:喫茶店まで二人を送った後、駅前に居るゼクロスを連れ、病院に行ってゼクロスを調べる
[備考]
※参戦時期はヴィクター戦、カズキに白い核鉄を渡した直後です
※スタンド、矢の存在に興味を持っています。
※猫草の『ストレイ・キャット』は、他の参加者のスタンドと同様に制限を受けているものと思われます
※エレオノール、鳴海に不信感(度合いはエレオノール>鳴海)
※独歩・シェリスと情報交換をしました。


【泉こなた@らき☆すた】
[状態]:軽い打撲
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、フレイム・ボール@ゼロの使い魔(紙状態)んまい棒@銀魂、エンゼル御前@武装錬金
綾崎ハヤテの女装時の服@ハヤテのごとく
[思考・状況]
基本:みんなで力を合わせ首輪を外し脱出 。
1:喫茶店に戻る。
2:かがみ、つかさを探して携帯を借りて家に電話。
[備考]
※エンゼル御前は、使用者から十メートル以上離れられません。 それ以上離れると、自動的に核鉄に戻ります。
※独歩・シェリスと情報交換をしました。
※みゆきの死をいまいち実感していません


【シェリス・アジャーニ@スクライド】
[状態]:軽い打撲 でかいタンコブ
[装備]:光の剣(ただのナイフ)@BATTLE ROYALE、銭湯にあった女物の浴衣(ピンク地でハートの柄入り)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本:劉鳳に会って脱出。
1:喫茶店に戻る。
2:劉鳳を探す。
3:足手まといだと判断した一般人は誰にも気づかれないように殺す。(こなたは殺さない)
4:平次、タバサ(両方とも名前は知らない)は殺人鬼という情報を流す。
[参戦時期]
劉鳳と同時期
[備考]
※タバサのマント@ゼロの使い魔 はホテルの脱衣所に放置、内側は血だらけです。
※ホテル従業員の制服は銭湯に放置、外側にガムやらゴミ汁やらがこびりついてます。
※アプライド=サック=アップについて。
触れた相手のアルターを吸収する能力。シェリス単独で使用可能とします。
アルター以外の特殊能力(スタンド、魔法など)にも吸収の効果は及びますが、能力などの制限は不明とします。
※パピヨン・勝・こなたと情報交換をしました。


【D-2 駅前 一日目 夕方】

【村雨良@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:全身に無数の刺し傷、打撲傷 同中央に大きな風穴(今はそこに外灯を突き刺され身動きが取れません) 疲労(大)
[装備]:クルーザー(全体に焦げ有り)、十字手裏剣(0/2)、衝撃集中爆弾 (1/2) 、マイクロチェーン(2/2)
[道具]:地図、時計、コンパス 、強化外骨格「零」(カバン状態)@覚悟のススメ
[思考]
基本:殺し合いに乗る。
1:繁華街で刃牙を捜索し、戦闘。
2:エリアE~H全域を探索し、ついでに施設の有無の確認。
3:劉鳳、ジョセフと次に会ったら決着を着ける
4:十二時間後(約零時)に消防署の前で散と落ち合う。
5:散の愚弟覚悟、波紋に興味あり。
6:DIOと戦う気はない。
7:パピヨンに恨み
[備考]
※傷は全て現在進行形で再生中です
※参戦時期は原作4巻からです。
※村雨静(幽体)はいません。
※連続でシンクロができない状態です。
※再生時間はいつも(原作4巻)の倍程度時間がかかります。
※衝撃集中爆弾、マイクロチェーンの威力は制限で弱められています。
 制限の程度は後の書き手さんにお任せします
※施設の確認はあくまでも『ついで』なのでそれほど優先度は高くありません。
 またどのような経路を辿ってゆくかも後の書き手さんにお任せします。
※D-1、D-2の境界付近に列車が地上と地下に出入りするトンネルがあるのを確認しました。
※零は戦闘力のない『明らかに刃牙でない人物』を察知しても村雨には知らせません。
※また、零の探知範囲は制限により数百メートルです。
※現在零はすぐ側のビルの中に放り込まれています
※零はパピヨンを危険人物と認識しました


【D-2 S3駅駅長室仮眠ベッド/1日目 夕方】

【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:エネルギー枯渇(ザ・ワールドで時を止められる時間が1秒になる程)
[装備]:スタンド『世界』、
[道具]:ダーツ(残弾数1)、デルフリンガー@ゼロの使い魔
    参加者顔写真&詳細プロフィール付き名簿。ルイズの杖。
    イングラムM10サブマシンガンの予備マガジン9。ライドル。
    スタングレネード×2。時計型麻酔銃(1/1)。麻酔銃の予備針8本。
    デイバック×4(DIO、桂、灰原、みゆき)
[思考]
基本:帝王に負けはない。参加者を殺し、ゲームに優勝する 。アーカードのボディを乗っ取り、太陽を克服する
1:夜になるまで地下で英気を養う。及び、地下鉄に乗りにやって来た参加者を各個撃破し体力を回復
2:デルフリンガーから平賀才人他の情報収集・デルフリンガーを用済み、又は障害と判断した場合破壊する。
3:どんな手を使ってでもアーカードを打倒し、ジョースター家を根絶やしにする
4:魔法使い・しろがね等の血に興味
5:ゲームを仕組んだ輩を断罪する
[備考]
※ジャギの腕はほぼ馴染みました
※時を止められる時間は約3秒間です
※首輪の他に、脳内に同様の爆弾が埋め込まれています
※S5駅方面の列車は途中で地上に出ることを確認しました
※デルフリンガーはコミックス2巻のフリッグの舞踏会の最中から召還されたようです。
※ラオウ・勇次郎・DIO・ケンシロウの全開バトルをその目で見ました


164:気付かないのはお約束 投下順 166:スカイハイ
164:気付かないのはお約束 時系列順 166:スカイハイ
152:【裏】貴重な貴重なサービスシーン パピヨン 178:情報戦的優位(ビバ=ノウレッジ)
152:【裏】貴重な貴重なサービスシーン 泉こなた 178:情報戦的優位(ビバ=ノウレッジ)
152:【裏】貴重な貴重なサービスシーン シェリス・アジャーニ 178:情報戦的優位(ビバ=ノウレッジ)
143:揺らいでいく未完成の『メモリー』 村雨良 174:Double-Action ZX-Hayate form
149:大乱戦 DIO 178:情報戦的優位(ビバ=ノウレッジ)