鬼と戦士と喧嘩師

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鬼と戦士と喧嘩師 ◆ozOtJW9BFA


特に目印の無い夜の住宅街を、津村斗貴子と花山薫はコンパスだけを頼りに市役所を目指しに進む。
セーラー服の少女、斗貴子はその姿に不釣合いなUSSR AK74を持ち周囲への警戒の念を顕にしている。
白いスーツの巨漢、花山は手に有るデイパックのみを荷物に悠然とした様子で歩いていた。

「君に言って置きたい事がある、私は錬金戦団という組織に所属する戦士だ」
「……戦士?」
「急にこんな話をしても信じ難いだろうが、私はホムンクルスと言われる人食いの化け物と戦ってきた。
 君は私を助けてくれた程に強く勇敢だが、やはり誰かと交戦になったら私に任せてくれ」
「………」
「私は戦いを自分の使命として生きてきた、人々を守る為に命を賭ける覚悟は出来ている」

斗貴子から戦士だと聞かされて、花山は何処か合点がいった。
始めは只の女子高生だと思っていたが、殺し合いの最中だというのに落ち着きを失わない様子は
言うなれば命の危険に晒される事に、慣れているように思われた。
花山は斗貴子への認識を改めると共に、斗貴子の自分への誤解も解くべきだと感じる。

「姉ちゃんが戦士だというのは分かった、戦いに命を張る覚悟が有る事もな。
 だがそういう覚悟なら俺にもある、こちとら喧嘩師として渡世してきたんだ」
「君の戦闘経験は、普通の人間相手の戦いだろう? 今の状況では、ほとんど意味を為さない」
「……俺は暴力で身を立てて生きてきた。自分の筋は通してきたが、世間の法に背を向けてきた事には変わりねえ」
「………」
「どんな理不尽にあっても誰にも文句は言えねぇ、てめぇの力だけで通る。それが通用しない時は死ぬだけだ」
「……分かった、ならば有事には君の力を借りよう」
「……ああ」

花山から喧嘩師としての覚悟を聞かされて、斗貴子は何処か合点がいった。
斗貴子は花山がこの危険な状況で同行する相手として頼もしく感じていたのは、最初に会った時に助けて貰ったからだと思っていた。
だがそれだけでは無い。
斗貴子は花山から錬金の戦士にも劣らぬ、気概を感じていた。

◇ ◆ ◇

赤髪に黒衣の男が、住宅街を歩く。
その男は、人であって人では無い。
その身から発する気は、獣をすら圧する。
その黒衣の下の高密度に発達した筋肉は、人のそれとは異なる形状を表す。
何より一日たりとて何かを殺傷せずにはいられないその精神が、彼を人の範疇から大きく逸脱させていた。

―――鬼―――

あるいはオーガ、あるいは地上最強の生物と呼ばれし男、範馬勇次郎は闘争に餓えていた。
SEXより!食事より!水より!酸素より!求めて止まぬものに餓えていた。

(こことは違う場所で、もう一度花火を上げるか……)
勇次郎は先刻見た地図を、思い返す。
(ここから近くで人の集まりそうな所は、北に在る繁華街だな。
 あるいは東に在る、病院辺りか。……………!)

勇次郎の足が止まる。その赤髪が逆立ち、その双眸の光が増す。
遂に鬼は、前方に見付けたのだ―――餌を。

◇ ◆ ◇

斗貴子と花山の足はその場に縫い付けられた様に動けず、その足は30m程前方の人物から離せない。
その30m程前方の人物―――勇次郎の放つ、威圧感に縛られている。

(あいつは、最初の場にいた男か!?)
幾多のホムンクルスと渡り合ってきた斗貴子が、勇次郎に完全に呑まれていた。
「……勇次郎っ」
花山が発した言葉に、斗貴子はようやく我に返る。
そして確信する、前方の人物は殺し合いに乗っていると。

「会いたかったぜ、花山」
勇次郎が発した言葉は、字面だけとると友好の意を示す言葉。
だが勇次郎の発する異常な威圧感が、そう感じ取らせない。
「最大トーナメント以来の縁」
勇次郎からは話す言葉が分からなくとも、その意思が伝わる程の威を発していた。
「そそられていた」
その意思とは即ち、宣戦布告。

「君はあいつを、知っているのか?」
「ああ……どうやら俺に用があるみてぇだ、姉ちゃんは下がってな」
「いや、あいつは危険なのだろう? ならば私も、放っておく訳にはいかない」
「相手は一人だ、二人じゃ掛れねぇ」
「では君が下がってろ」

斗貴子は先程までとは違い、覇気を取り戻している。
「君に喧嘩師としての誇りが有るのは分かる、だが私にも戦士としての責が有る。
 特に今のような状況で危険な人物を、放置していく訳にはいかない」
花山は無言で斗貴子を見る、その表情からは何の感情も読み取れない。
そして拳を握り締め、振りかぶる。
充分に溜めの効いた拳を、斗貴子の頭目掛けて振りぬいた。

(!!?)
斗貴子が自分の頭目掛けて振りぬかれたと思った拳が、頭上を通過したと気付いたのは
背後から真剣を突き付けられた様な殺気を感じ取ったのと、ほぼ同時だった。
何時の間にか斗貴子の背後に立っていた勇次郎が、花山の拳を受けふき飛んで行く。

「おめぇが、この場で仕掛けてくるなら……」
花山は悠然と、地に伏す勇次郎に語り掛ける。
「二対一だぜ」

「伝説の喧嘩師、花山薫の拳」
勇次郎は地に伏した状態から、手を使わず無拍子で立ち上がった。
「その速さッ!重さッ!どちらも近代格闘技一流の水準を凌駕している」
勇次郎の双眸の光が更に強さを増す、それは怒りの為かそれとも喜悦の為か。
「だが倒れ付した相手に戦意を問い、追撃の機を逃すとはなんという軟弱ッ!!消え失せいッッッ!!!」

歴戦の戦士と伝説の喧嘩師が、同じく敵とする者を相手に肩を並べる。
対峙するは、人にして人に在らざる者―――鬼。

【D-4北西部 一日目 早朝】
【津村斗貴子@武装錬金】
[状態]:健康
[装備]: USSR AK74(30/30) 水のルビー@ゼロの使い魔
[道具]:支給品一式、USSR AK74の予備マガジン×10 始祖の祈祷書@ゼロの使い魔 キック力増強シューズ@名探偵コナン
[思考・状況]
基本:主催者をなんとしても倒す
1:花山と協力して勇次郎を倒す
2:花山と市役所に向かう
3:カズキ、またはブラボーと合流。パピヨンには警戒

【D-4北西部 一日目 早朝】
【花山薫@グラップラー刃牙】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、川田のタバコ@バトルロワイアル
[思考・状況]
基本:乗っていない奴は助けるor手を出さない
1:斗貴子と協力して勇次郎を倒す
2:斗貴子と市役所に向かう
3:襲ってくる奴はぶっ飛ばす

【D-4北西部一日目 早朝】
【範馬勇次郎@グラップラー刃牙】
[状態]健康 闘争に餓えている
[装備]ライター
[道具]打ち上げ花火3発
[思考] 基本:闘争を楽しみつつ優勝し主催者を殺す
1:斗貴子と花山を喰う
2:此処以外の人が集まりそうな所へ行き、花火を上げる
3:首輪を外したい
(備考) デイパックと二枚の紙(日本刀と自転車)は消防署内に放置しています


050:摩天楼の死兆星 投下順 039:北斗神拳の恐怖
050:摩天楼の死兆星 時系列順 052:永遠の夢に向かって
041:ふたりはスカーフェイス 津村斗貴子 084:はらわたをまく頃に~侠客立ち編~
041:ふたりはスカーフェイス 花山薫 084:はらわたをまく頃に~侠客立ち編~
042:オーガ=範馬勇次郎 範馬勇次郎 084:はらわたをまく頃に~侠客立ち編~



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