~2010/5/1
『櫻が夜行』の戦乱の中で対峙した組織。
ミストドラゴン、
ハニーと共に、≪四刃≫の
エルヴァレッタという大男、
ワーズワイスという少女と刃を交えた。
共闘の甲斐あって彼らを撤退に追い込むが、『終演』に現れたもう一人の男、≪R.I.P.≫の
ヴュネルド
カンナは、その男の放つ『別格』の雰囲気に圧倒されるも──決して眼差しを逸らすことはなかった。
だがそのヴュネルドでさえもナンバー2、上には≪暴帝≫
グレミュール・ポポル という者がいると知った彼女は────?
~2010/8/28
光の国、とある物資運搬の列車停車駅にて、再びその意思は交錯する。
≪R.I.P.≫襲撃の噂を聞きつけて、それを阻止せんと彼女は再び戦火に飛び込んでいく。
そこで見えたのは、かつて
砂の国で刃を交えた
ワーズワイスであった。
戦闘の中でワーズの晒した、禍々しい『鬼』の姿──カンナはそれを眼前にして、本能的な『恐怖』を拭えなかった。
あまりに恐ろしいその姿と、圧倒的な力──かつて、弱々しく震え出していたあの少女の面影すらも無く。
もはや、「そんな姿でもワーズには変わりない」等と、そんな温い言葉の一つもかける余裕すら消失していたのだった。
やがて戦闘の舞台は列車内へと移るが、カンナはその狭い車内に一縷の望みを見出した。
まともに立ち向かっては分が悪いと見た彼女は、貨物室内に逃げ込んで在り合わせの『トラップ』を仕掛ける。
それは一か八かの賭けであったが、結果、鬼気迫る様相のワーズに『騙まし討ち』を食らわせる事に成功──
崩れたワーズに、トドメの一撃を食らわせるチャンスが訪れたが──そこで彼女が見舞ったのは『抱擁』だった。
「人間には分からない領域」「受け入れられない鬼」と自身で断じたワーズへ、身を持って呈した応えがそれ。
殺されそうになる恐怖に身を震わせながらも、少女を受け入れる存在は一人ではないと必死に訴えたのだった。
そして、それに呼応するように、ワーズは震える四肢を差し出して────戦いはそこで終わる、かに見えた。
──暴走した
オルガネラが、その場に乱入してきた事で、再び緊張が疾った。
もはや敵味方の区別無く殺戮する機械と化したオルガネラと相対するだけの余裕は、
戦闘によって激しく疲弊したカンナには無かったのである。切羽詰ったワーズは彼女に『逃げろ』と命じたが、
その場で共に戦っていた者達やワーズを残して一人で逃げる事など、彼女には選べるはずも無かった。
無謀な抵抗、絶体絶命のカンナであったが──その光景を目にしていたのは、同列車内に居た≪四刃≫の
エルヴァレッタ。
──彼が再び見つけた『護るべきもの』。その優しい瞳は、ワーズへと向いていた。
彼、曰く──「この拳を賭けてでも護りたいと思ったヤツ」──「助けてやってくれ」──
そして刹那に交錯したエルヴァレッタとカンナの視線──その意思、そして『約束』。
エルヴァレッタは、自身の携帯転移端末を使ってカンナと、そしてワーズをその場から逃がし──
──カンナの意識は、そこで限界を迎えた。
やがて見知らぬ宿屋で目覚めたとき、そこに残っていたのは一枚の紙切れだった。
宛名も差出人も書かれておらず、そこにあったのはたった一つの言葉。
──“Words”
世界一短い、手紙。
戦火の中で、彼女の心に齎されたものとは──