……新≪No.63≫より、今宵への〝惜別〟と明日への〝宣戦〟をお送りしたい。
先ず、『ディモルキャスト会戦』……奮戦空しく我等機関軍は撤退を余儀なくされた。
旧≪No.63≫は単騎で以って敵旗艦へ奇襲を仕掛け、玉砕された為である。
蛮勇と言わば蛮勇であるが、彼の部下であった私からすれば惜別の情を禁じ得ない。
だが、何時までも〝後ろを向く〟訳には行かない。
我々が『悲哀』に溺れ、諸君の多くが『歓喜』に包まれる間にも小さな世界は大きな激動を見せている。
大事なのは〝アクティブ〟である事……そして、『次なるステージ』へと邁進する事。
だから僕は此処に、諸君達の一部が〝渇望〟する『更なるステージ』を提示しよう――……。
…… … ≪ R eturn Ⅰ n P relude ≫ だ。
……今宵≪No.63≫は、〝カーネル=アドルフ・レルゼクム〟の活動に対する『一方的協力』を約束する。
見返りは求めない。 僕は彼の〝熱狂的なシンパ〟だ。
そして、…… 今宵の敗北を、〝水の国を序曲へ還す〟契機と設定する。
よく聞き給え『日陰者』達よ……、…〝金の国〟に続いて〝水の国〟の「天秤を覆す」時が来たのだ。
政府は弱者に対して、何かして呉れたか? ……金欲に溺れた彼等は、薬物の取締りすら満足に出来ない。
ならば、君達の為すべき事は『たった一つ』――。 ……そう、『一つだけ』。
……… 〝 革命 〟 だよ、諸君。 政府首脳陣を打ち倒そう。
『信じられない事』かも知れないが……≪No.63≫が手助けをしよう。
君達が信じられずとも、我々は“行動で示す” ……――其れが、『新しい世界』の有り方だ。
其れに君達が、〝自由意志〟を以って「乗れば」良いんだ。
〝時〟まで只、じっと……『待ち続ければ』良い。 予約は要らない。
“意思”さえ有れば、其れが〝天秤を覆す〟事の『参加権』になるんだから。
…………さて、〝惜別〟と〝宣戦〟は終わった。
後は少し、『私的な連絡』をさせて貰おう―― 一つ目は、親愛なる〝同僚〟達に向けた物だ。
――〝機関員〟諸君。 ……君達は既に、“僕に付いて来る”義理は無い。
『水の国を序曲に返す』事は機関の任務ではなく、単なる〝信義〟に基づいた行動だ。
だが、だ……理由は何でも構わない。 〝天秤を覆したい〟或いは〝暴れたい〟のなら、付いて来ると良い。
『理由』は如何有れ、“水の国”に及ぼす『結果』は同じなんだ――。
偽善に燃える事も良いだろう。 機関への反発心を糧とする事も良いだろう。
確定事項を告げるのなら、「新≪No.63≫が≪R.I.P.≫の思想の下に水の国を攻める」と云う事だけ。
君達自身の〝良心〟と〝誇り〟に基づいて、『個人』として考えればいい。
――――――二つ目にして最後は、〝世界〟に向けての物。
……『世界』よ、君達がちっぽけな箱の向こうに見ているのは〝他人事〟では無い。
“思想”と“行動”は伝播し、拡散し……、…『変貌』を齎す。
親愛なる隣人達よ、『僕個人が≪R.I.P.≫に染められている』と捉えるんじゃない。
君達と共に僕を見ている者が、“染められつつある”かも知れない、と考えるんだ――。
<Justice>……、 『対機関連合』……、
「六王教団」……、
〝教会〟……、
“カノッサ機関”……、
……… ―――或いは、〝無垢な一般市民〟よ。
………… 〝 『理想郷』を望む者は、何処にでも出現し得る 〟 と『自覚』しろ。
最早此れは、〝 正義と悪の二元論 〟では計り知れない ……………。
―――――― ≪No.63≫、〝ジャッキーニ=ライオニウス〟からの話は以上だ。