彼と、僕の過去。


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1995年、とある研究所の領域内にて

「なァ、俺たちは強くなれば…此処から抜け出せるのかな?」

冷たい風が吹き荒れる、冬に近しい季節の草原

風が青く茂る草を靡かせ、寝ころんでいた僕の頬に触れる。

僕は彼の話を聞きながら、自分の“ 植えつけられたとされている ”能力のことを少し考えていた。

『変化、もしくは具現化する力』

それが、僕の力だった。それで色々な『僕』を作った。

「僕は…強くなくてもいいかな?強くなくてもヴァーデッドが強ければいいからさ」

本心だった、そのために彼を強くしようと陰で努力していた。

そのことを、恐らく彼は知らない。

彼は…恐らく僕のことを“ 一緒に連れてこられた子供 ”だと思っているはずだ。

そうじゃなければ、切り刻んだ僕にこんな風に話しかけたりはしないと思う。

「俺を頼りにすんなよォ?俺ァ友人より自分の命を大切にする奴だからなァ!」

嘘だ。

僕は知っている、彼が誰よりも繋がりを大切にしていることを

「――…潮時かな」

「あァ?」

「ううん、何でもないよ」

潮時だ、そろそろ僕は彼の前から姿を消す、いや、“ 形式上 ”死ぬだろう。

その時、彼はたぶん自分の能力をLv3からLv4に上げることが出来ると思う。

そして長い間、僕は彼と会えないだろう、それは…本当にさみしいけど、仕方ないことだと思う。

―――彼にはきっと、此処がカノッサ機関だと思わされているはず。

もし、彼が僕のことを復讐してくれるのならば、その標的はカノッサ機関に成ると、僕は思う。

そうすれば、彼は他の強い人と戦って、もっと強くなるはずだから。

「もしさ、僕が死んだら……ヴァーデッドは怒る?」

少しいたずら気味に、質問してみた。

『当然だろ?』と言ってくれると、僕は思ってた。

でも、彼は僕に向かってキョトンとした顔で

「……お前は死なねェよ?この世界にいる限り、俺が護ってやるからな。」

ちょっとだけ予想外の答えだったからかな、今度は僕がキョトンとした顔に成っちゃってね。

思わず笑いがこみあげちゃって、彼は何かうろたえてたよ。

「ふふ、じゃあ約束だね、僕を、護ってくれよ?」

「あァ、当然だろォが、黒瀬がいなくなっちゃァ誰とも話せなくなっちまうしな、死んでも守ってやるよ!」

僕たちは拳を突き出して、“ 約束 ”をした。


――――僕の予定だと後三時間後、“黒瀬”が来て僕を殺すんだろうな。

実際には死なないけど、彼と話し合えるのもこれが最後かな?

少し、さみしいけれどもう覚悟したよ。

僕は“ 彼をだれよりも強くするんだ ”――――――――――――


 *** 


「昔の日記か…?はずかしいなぁオイ」
「痛々しいですね、ていうか“思う”って書きすぎですよ」
「うるせぇ、何見てんだよ、これは俺にとって一番大切な資料だ、一文字も変えたくはねェ」
「はぁ…思い出が一番の資料ですか、まだまだ子供ですね」
「……そろそろ新しい黒瀬を作るべきかな?」
「私、子供好きですよ?」